新聞を解説(51) 「デフレ対応には金融政策の役割が大事=藤井財務相」ロイター通信
<新聞を解説 「デフレ対応には金融政策の役割が大事=藤井財務相」ロイター通信>
11月24日10時32分配信 ロイター
藤井裕久財務相は24日の閣議後の会見で、政府が11月月例経済報告においてデフレ宣言を行ったことに関連し、物価は金融の問題であり、金融の役割が大事と述べ、日銀の金融政策対応に期待感を示した。同時に現在の需要不足への政策対応として財政は主たる役割ではないと語った。
政府は20日、11月月例経済報告で日本経済は「緩やかなデフレ状況にある」とし、2006年6月以来、3年5カ月ぶりに「デフレ宣言」を行った。
藤井財務相は、デフレ状況が長期化しないように努力するとしながら、「物価は金融の問題であり、金融の役割が大事だ」と日銀の金融政策によるデフレ対応が重要との認識を示した。その上で、日銀との話し合いは「菅直人副総理兼国家戦略・経済財政担当相のところでやるかもしれない」と語った。
財政の役割については「(菅担当相の)財政出動するのではなく、知恵でやっていこうと言っていることは正しい」と指摘。現在の需要不足に対応するための財政出動は「主たる役割ではない」とデフレ対応の財政出動に慎重な考えを示した。
日経 H21.11.21
1. 『縮み脱する成長策を』
…今回は…供給が有り余って価格が下がる、いわば「実需のデフレ」。…経済の体温低下が引き起こす日本独自の現象だ。
2.社説』
…日銀が先月末に示した経済と物価の展望でも、消費者物価は11年度まで3年連続で下落する見通しだ。
…世界でデフレのワナから抜け出せないのは日本だけ。
3.『デフレ基調10年越し』グラフも
…主要国で深刻なデフレに悩むのは日本だけ。

<日銀の対応>
日経『緩やかなデフレ認定』H21.11.21
日銀の白川方明総裁は20日の金融政策決定会合後の記者会見で、政府のデフレ認定について…現状をデフレとして認定するかどうかは「デフレには様々な定義がある」として、明言を避けた。
参考・引用文献 岩田規久男『日本銀行は信用できるか』2009 講談社新書
日銀は、徹底して、 「デフレ」対策に及び腰です。それは「日銀流理論」と小宮隆太郎が名づけた、日銀の責任を問われると、 「それは日銀にはどうしようもない外部の経済活動によって引き起こされたものであるp82」という責任回避するための理論に依拠しているからです。
1990年代後半からの「ゼロ金利」導入も「いやいやp102」ですし、2000年8月には「解除p114」し、また「デフレ」になってしまいます。
2001年3月半ばからの「量的緩和」についても白川現総裁は当時「実体経済に与える影響については否定的p51」でした。
「正統派の経済学(新古典派経済学とニューケインジアン・エコノミクス)軽視は日銀…の特徴p36」」なのです。
その結果、 「デフレに悩むのは日本だけ」となっています。
岩田規久男『日本銀行は信用できるか』2009 講談社新書 P43グラフ

このグラフの中央銀行の資産増加=民間からの国債買い取りなど=市中への金融緩和(量的緩和)→経済危機からの脱出のための積極的政策です。
なぜ、「デフレに悩むのは日本だけ」か、一目瞭然です。日銀だけが、「量的緩和」を行っていないのです。
<金融引き締め状態の日銀金利政策>
現在、日銀の政策金利は0.1%です。しかし、名目上はともかく、実質金利は、すでに2%を超える「高金利」なのです。
総務省が9月29日発表した8月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)(=11月21日時点で最新情報)は変動が大きい生鮮食品を除いたベースで100.1となり、前年同月に比べて2.4%低下しました。下落率は比較可能な1971年以降で過去最大となり、4カ月連続で記録を更新しました。
CPIが前の年を下回るのは6カ月連続です。生鮮食品を除いた下落率が2%を超すのは2カ月連続です。食料とエネルギー価格の影響を除いた物価指数も前年同月比0.9%低下しています。
下落率=金利です。
10000円のモノ・サービスの価格が、1年後に0.9%~2.4%下落しています。ということは、10000円札を持っているだけで、0.9%~2.4%の金利がつくのと同じことです。これを、「名目金利」ではなく、「実質金利」といいます。
食糧・エネルギーを含めても1%、生鮮品を除くと2.5%の金利が付いている状態です。これが、デフレ=金融引き締め=不況加速の正体なのです。これを回避するには、非伝統的金融政策=量的緩和(前掲グラフ参照)をするしか、ありません。
11月24日10時32分配信 ロイター
藤井裕久財務相は24日の閣議後の会見で、政府が11月月例経済報告においてデフレ宣言を行ったことに関連し、物価は金融の問題であり、金融の役割が大事と述べ、日銀の金融政策対応に期待感を示した。同時に現在の需要不足への政策対応として財政は主たる役割ではないと語った。
政府は20日、11月月例経済報告で日本経済は「緩やかなデフレ状況にある」とし、2006年6月以来、3年5カ月ぶりに「デフレ宣言」を行った。
藤井財務相は、デフレ状況が長期化しないように努力するとしながら、「物価は金融の問題であり、金融の役割が大事だ」と日銀の金融政策によるデフレ対応が重要との認識を示した。その上で、日銀との話し合いは「菅直人副総理兼国家戦略・経済財政担当相のところでやるかもしれない」と語った。
財政の役割については「(菅担当相の)財政出動するのではなく、知恵でやっていこうと言っていることは正しい」と指摘。現在の需要不足に対応するための財政出動は「主たる役割ではない」とデフレ対応の財政出動に慎重な考えを示した。
日経 H21.11.21
1. 『縮み脱する成長策を』
…今回は…供給が有り余って価格が下がる、いわば「実需のデフレ」。…経済の体温低下が引き起こす日本独自の現象だ。
2.社説』
…日銀が先月末に示した経済と物価の展望でも、消費者物価は11年度まで3年連続で下落する見通しだ。
…世界でデフレのワナから抜け出せないのは日本だけ。
3.『デフレ基調10年越し』グラフも
…主要国で深刻なデフレに悩むのは日本だけ。

<日銀の対応>
日経『緩やかなデフレ認定』H21.11.21
日銀の白川方明総裁は20日の金融政策決定会合後の記者会見で、政府のデフレ認定について…現状をデフレとして認定するかどうかは「デフレには様々な定義がある」として、明言を避けた。
参考・引用文献 岩田規久男『日本銀行は信用できるか』2009 講談社新書
日銀は、徹底して、 「デフレ」対策に及び腰です。それは「日銀流理論」と小宮隆太郎が名づけた、日銀の責任を問われると、 「それは日銀にはどうしようもない外部の経済活動によって引き起こされたものであるp82」という責任回避するための理論に依拠しているからです。
1990年代後半からの「ゼロ金利」導入も「いやいやp102」ですし、2000年8月には「解除p114」し、また「デフレ」になってしまいます。
2001年3月半ばからの「量的緩和」についても白川現総裁は当時「実体経済に与える影響については否定的p51」でした。
「正統派の経済学(新古典派経済学とニューケインジアン・エコノミクス)軽視は日銀…の特徴p36」」なのです。
その結果、 「デフレに悩むのは日本だけ」となっています。
岩田規久男『日本銀行は信用できるか』2009 講談社新書 P43グラフ

このグラフの中央銀行の資産増加=民間からの国債買い取りなど=市中への金融緩和(量的緩和)→経済危機からの脱出のための積極的政策です。
なぜ、「デフレに悩むのは日本だけ」か、一目瞭然です。日銀だけが、「量的緩和」を行っていないのです。
<金融引き締め状態の日銀金利政策>
現在、日銀の政策金利は0.1%です。しかし、名目上はともかく、実質金利は、すでに2%を超える「高金利」なのです。
総務省が9月29日発表した8月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)(=11月21日時点で最新情報)は変動が大きい生鮮食品を除いたベースで100.1となり、前年同月に比べて2.4%低下しました。下落率は比較可能な1971年以降で過去最大となり、4カ月連続で記録を更新しました。
CPIが前の年を下回るのは6カ月連続です。生鮮食品を除いた下落率が2%を超すのは2カ月連続です。食料とエネルギー価格の影響を除いた物価指数も前年同月比0.9%低下しています。
下落率=金利です。
10000円のモノ・サービスの価格が、1年後に0.9%~2.4%下落しています。ということは、10000円札を持っているだけで、0.9%~2.4%の金利がつくのと同じことです。これを、「名目金利」ではなく、「実質金利」といいます。
食糧・エネルギーを含めても1%、生鮮品を除くと2.5%の金利が付いている状態です。これが、デフレ=金融引き締め=不況加速の正体なのです。これを回避するには、非伝統的金融政策=量的緩和(前掲グラフ参照)をするしか、ありません。
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