<自給率アップは無意味 その2/2>
<自給率アップは無意味 その2/2>
11月8日18時40分配信 産経新聞
『贅沢と浪費の日本、「食料自給率41%」は低いのか? 』
…41%―。農林水産省が今年8月に発表した平成20年度の日本の食料自給率(カロリーベース)だ。農水省は食料安全保障の立場から、自給率アップの必要性を説き、「50%以上が望ましい」との目標を掲げている。
…農水省の資料によると、食料自給率とは「国内の食料消費が国産でどの程度賄えているかを示す指標」だ。…だが、「カロリーベースの食料自給率は(国民の)生命・健康維持にかかわる安全保障度を示している」(同課)という視点に立ち、食料自給率の算出の仕方をよく見てみると、意外な事実が分かる。
…カロリーベースの食糧自給率は「1人1日当たり国産供給熱量」を「1人1日当たり供給熱量」で割った数値だ。20年度の「1人1日当たり国産供給熱量」は1012キロカロリー、「1人1日当たり供給熱量」は2473キロカロリーだ。1012を分子とし、2473を分母として求めたのが、同年度のカロリーベース食料自給率である41%だ。
しかし、ここで言う「供給」とは“消費”であり、“摂取”ではないことを見逃してはならない。つまり、農水省が算出した2473キロカロリーという数字は、日本人1人が1日間に“摂取”した食料の熱量ではなく、市場で商品として“消費”された食料の熱量を意味しているのだ。
…2473キロカロリーには、家庭や飲食店まで渡ったものの、調理されずに廃棄されたり、食べられずに残飯となったりした食料も含まれている。さらに、必要以上に摂取され肥満をもたらした食料や、フォアグラのような高カロリーの贅沢品も含まれている。
…「贅沢で浪費をしている現代日本の食生活を前提としている」と政府が発表しているカロリーベースの食料自給率の計算式に疑問を呈するのは、NHK元解説委員で農業評論家の加倉井弘氏だ。「たくさん浪費し、贅沢な食生活の中で、国産の食料は41%だといっているにすぎない。食糧安保の話をするとき、われわれは贅沢三昧の生活を保障しろとはいっていない」と指摘し、飢えを意識させる食料安保の指標とすることに反対する。
ちなみに、厚生労働省は毎年、国民健康・栄養調査を実施し、「国民1人当たり摂取カロリー」を算出している。それによると、昨年12月に発表された19年の数字は1898キロカロリーだった。
…農水省安全保障課も「現在公表されているカロリーベースの食料自給率は、平常時の指標。不測時には食生活の状況も変化するので指標として十分とはいえない面もある」と認めている。
日本では、たくさんの食料が「廃棄」されています。ホテルのバイキング、宴会での残り物、スーパーやコンビニのお弁当、総菜、生菓子etc,家庭でも、「捨ててしまう食糧」はありますね。
農水省が言っている消費カロリーは、このように廃棄された食糧も含めたものです。これらを含めると、「1人当たり2473キロカロリーを消費している」となります。しかし、高級ホテルでの、廃棄されたフォアグラや高級ワインをそこに含められても・・・。
日本国民が、実際に1日当たり消費しているカロリーは、厚労省によると、1898キロカロリーです。国民が消費した1898キロカロリーに対し、国産「1人1日当たり国産供給熱量」1012キロカロリーで割ると、自給率は53.3%となります。
つぶれてしまった「船場吉兆」のように、お客さんの食べ残しをほかの客にだせば、自給率はUPしますね。北海道「白い恋人」・伊勢の「赤福のおもち」のように、消費期限シールを掛け替えても、食料自給率はUPします。ばからしくて、お話になりません。
参考文献:日本貿易会『日本の食糧戦略と商社』東洋経済新報社 2009
P148-150
日本では,1年間に約1900万トンの食品廃棄物があり、可食部分の食品ロスは、約500~900万トンと推計されます。
厚労省「国民健康・栄養調査」によれば、総供給カロリーは、65年2291→06年2551キロカロリーで、11.3%増です。実際の摂取カロリーは、65年2184→1891キロカロリーで、13.4%減少です。暫定的な食品廃棄率(単純計算)は65年11.8%→06年25.9%へ上昇しています。
P23-24
日本の食料輸入は、輸入総額の1割以下です。その4割を肉やエビやカニ、ウナギなどの輸入が占めます。明日生きるのに必要な小麦・飼料用トウモロコシなどの費用は、歴史的高値の2008年でも輸入総額の1.5%、1.2兆円でした。おカネがないために輸入できなくなることはありません。

11月8日18時40分配信 産経新聞
『贅沢と浪費の日本、「食料自給率41%」は低いのか? 』
…41%―。農林水産省が今年8月に発表した平成20年度の日本の食料自給率(カロリーベース)だ。農水省は食料安全保障の立場から、自給率アップの必要性を説き、「50%以上が望ましい」との目標を掲げている。
…農水省の資料によると、食料自給率とは「国内の食料消費が国産でどの程度賄えているかを示す指標」だ。…だが、「カロリーベースの食料自給率は(国民の)生命・健康維持にかかわる安全保障度を示している」(同課)という視点に立ち、食料自給率の算出の仕方をよく見てみると、意外な事実が分かる。
…カロリーベースの食糧自給率は「1人1日当たり国産供給熱量」を「1人1日当たり供給熱量」で割った数値だ。20年度の「1人1日当たり国産供給熱量」は1012キロカロリー、「1人1日当たり供給熱量」は2473キロカロリーだ。1012を分子とし、2473を分母として求めたのが、同年度のカロリーベース食料自給率である41%だ。
しかし、ここで言う「供給」とは“消費”であり、“摂取”ではないことを見逃してはならない。つまり、農水省が算出した2473キロカロリーという数字は、日本人1人が1日間に“摂取”した食料の熱量ではなく、市場で商品として“消費”された食料の熱量を意味しているのだ。
…2473キロカロリーには、家庭や飲食店まで渡ったものの、調理されずに廃棄されたり、食べられずに残飯となったりした食料も含まれている。さらに、必要以上に摂取され肥満をもたらした食料や、フォアグラのような高カロリーの贅沢品も含まれている。
…「贅沢で浪費をしている現代日本の食生活を前提としている」と政府が発表しているカロリーベースの食料自給率の計算式に疑問を呈するのは、NHK元解説委員で農業評論家の加倉井弘氏だ。「たくさん浪費し、贅沢な食生活の中で、国産の食料は41%だといっているにすぎない。食糧安保の話をするとき、われわれは贅沢三昧の生活を保障しろとはいっていない」と指摘し、飢えを意識させる食料安保の指標とすることに反対する。
ちなみに、厚生労働省は毎年、国民健康・栄養調査を実施し、「国民1人当たり摂取カロリー」を算出している。それによると、昨年12月に発表された19年の数字は1898キロカロリーだった。
…農水省安全保障課も「現在公表されているカロリーベースの食料自給率は、平常時の指標。不測時には食生活の状況も変化するので指標として十分とはいえない面もある」と認めている。
日本では、たくさんの食料が「廃棄」されています。ホテルのバイキング、宴会での残り物、スーパーやコンビニのお弁当、総菜、生菓子etc,家庭でも、「捨ててしまう食糧」はありますね。
農水省が言っている消費カロリーは、このように廃棄された食糧も含めたものです。これらを含めると、「1人当たり2473キロカロリーを消費している」となります。しかし、高級ホテルでの、廃棄されたフォアグラや高級ワインをそこに含められても・・・。
日本国民が、実際に1日当たり消費しているカロリーは、厚労省によると、1898キロカロリーです。国民が消費した1898キロカロリーに対し、国産「1人1日当たり国産供給熱量」1012キロカロリーで割ると、自給率は53.3%となります。
つぶれてしまった「船場吉兆」のように、お客さんの食べ残しをほかの客にだせば、自給率はUPしますね。北海道「白い恋人」・伊勢の「赤福のおもち」のように、消費期限シールを掛け替えても、食料自給率はUPします。ばからしくて、お話になりません。
参考文献:日本貿易会『日本の食糧戦略と商社』東洋経済新報社 2009
P148-150
日本では,1年間に約1900万トンの食品廃棄物があり、可食部分の食品ロスは、約500~900万トンと推計されます。
厚労省「国民健康・栄養調査」によれば、総供給カロリーは、65年2291→06年2551キロカロリーで、11.3%増です。実際の摂取カロリーは、65年2184→1891キロカロリーで、13.4%減少です。暫定的な食品廃棄率(単純計算)は65年11.8%→06年25.9%へ上昇しています。
P23-24
日本の食料輸入は、輸入総額の1割以下です。その4割を肉やエビやカニ、ウナギなどの輸入が占めます。明日生きるのに必要な小麦・飼料用トウモロコシなどの費用は、歴史的高値の2008年でも輸入総額の1.5%、1.2兆円でした。おカネがないために輸入できなくなることはありません。

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