新聞の間違い(28)

<双子の赤字は、企業の赤字と全く違う その1>

『小さな政府、世界の流れに』日経H21.11.2

 1980年11月4日、米大統領に…レーガン共和党候補が初当選…。…レーガノミクスを掲げ…「小さな政府」志向は世界の一大潮流となった。
…「スタグフレーション」(不況下の物価高)が進行…総需要管理政策の有効性が疑問視…。…レーガノミクスは…サプライサイド経済学の考え方に基づいていた。
…同政権下で米国経済は回復した一方、財政赤字と貿易赤字という「双子の赤字」は世界経済の不安定要因になった。


 双子の赤字は、企業の赤字とは全く違います。

 「適当」という言葉にに2つの意味があるのと同じです。
1.ちょうど良い様子…適度、適切
2.いい加減な様子

 この2つは、同じ言葉を使っていますが、全く違います。「赤字」も同じです。3回にわたって、この違いを明らかにします。

<レーガノミクスの2つの柱(マネタリズム+サプライサイド政策)>

レーガノミクス.jpg

(1)金融政策 マネタリズム採用

①1970年代後半:スタグフレーション(stagnation + inflation)激化

物価上昇率年10%以上、失業率8%以上
 スタグフレーション克服できず
     ↓
ケインズ政策(財政政策)⇒有効性に疑問が出される←クラウディング・アウト
     ↓
  マネタリズムの台頭

②インフレ退治の政策:1979年10月~

A:ケインズ的金融政策=金利(マネーサプライ=Msは従属変数)      
  金利がターゲット

B:マネタリストMs(金利は従属変数:市場での決定に委ねる)     
 Msがターゲット←マネーサプライを変動(固定させる)


※インフレ邁進⇒(名目の貨幣需要up)+ Ms成長率固定(k%ルール)

 金利ではなく、マネーの量をコントロールします。コントロールといっても、マネーサプライの増加を、ある一定の%に固定するということです。たとえば、名目GDPの伸び率と同じにするのです。人為を省くのです。
 その結果、次のようになりました。

⇒高金利の定着(FFレート=20%)=極度の金融引きしめ状態

       フェデラル・ファンドレート(日本のコールレートに相当)・・政策金利

 これだけ金利が高くなるのですから、極度の金融引き締め状態になりました。インフレは収まるのですが、大不景気なります。

⇒インフレ退治 + 景気後退

‘82年に景気最悪=レーガン不況

(2)財政政策

①サプライサイド政策
  
    減税
     ↓
A労働意欲の向上→生産性上昇⇒課税訴得の増大(=税収増)
B可処分所得の増大→限界貯蓄率の上昇⇒投資可能資金の増加(=成長促進)
C企業内部資金の増大→設備投資意欲の促進→生産性上昇(=成長促進)

⇒課税所得の増大(=税収増)
  しかし、これらの政策効果が現れるには、時間がかかる(長期)

 結局、景気後退期のレーガン減税=財政赤字の拡大になります。

(3)高金剰の影響        
    ↓
 Aドル高になります。海外の資金が、高金利を目指して流入するからです。

 高金利の結果、 
    ↓
 不況深化 + 減税 
    ↓
  税収減
    ↓
財政赤字拡大(1981:1300億ドル、1983:2000億ドル)

 Bドル高 
    ↓
アメリカの輸出競争力低下 + 輸入増大 ←日独の輸出拡大→アメリカ資本収支黒字
    ↓
貿易赤字 
    
 A+B=(財政赤字+貿易赤字)=双子の赤字となります。
 しかし、世界経済のエンジンです。1980年代前半の景気停滞期の世界経済に市場と不況脱却の枠組みを提供したのです。まるで、今の「インバランス」と全く同じ構図です。

       インペリアル・サークル=赤字ファイナンスのメカニズム(体制支持金融)

日経H21.11.2
土谷英夫『グローバル化の長い夏休み』

…米国の過剰消費をエンジンに、中国や日本など東アジアの過剰貯蓄国がその金繰りをつける循環は,持続不可能とわかった。だが、取って代わる成長メカニズムは,まだ見えない…。
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