社説『丘珠の未来像を明確に』『航路維持に不透明感』北海道新聞 H21.11.4
社説『丘珠の未来像を明確に』『航路維持に不透明感』北海道新聞 H21.11.4
全日空が、子会社のエアーニッポンネットワーク(A-net)の丘珠空港撤退を道に正式表明した。同空港の発着路線は来年7月1日から新千歳空港に移転する。
地元の反対にもかかわらず撤退を決めた全日空の対応は遺憾だ。ただ、民間会社の経営方針である以上、行政が反対を叫ぶだけては限界がある。
A-net撤退で、丘珠に残るのは北海道エアシステム(HAC)の2路線5往復だけになる。そのHACも、日本航空が経営から手を引く方針を示し、先行きは不透明だ。
…道や札幌市は全道を巻き込んで、丘殊に空港が存在する意義について論議を深めた上で、ジェット化の是非も合めて将来像を明確に示さなければならない。
…道や札幌市が丘珠空港を今後も交通の拠点と位置づけるのであれば、使い勝手の良い空港にする戦略を、しっかりと構築してほしい。
…全日空は新千歳への移転を決めた以上、公共交通機関として地方の声を踏まえ、路線維持に努めるべきだ。

丘珠空港 札幌市の東区にある空港で、函館、稚内、女満別、中標津、釧路と結ぶ。
1 滑走路が1500mと短く、ジェットが飛べない。
2 プロペラ機(5~10年耐用)の代替機がなく、機種更新ができない。
3 滑走路延長は、地元の市民団体が騒音問題などから反発。
4 運航は、全日空子会社(A-net)だが、全日空が09年9月期連結決算で経常赤字。
5 残る2路線は北海道エアシステムが運航しているが、親会社の日航が経営撤退、自治体出資 (株譲渡)を求める。
6 全日空子会社(A-net)撤退で、客数は8割減。
7 地下鉄・JRも乗り入れなし。丘珠⇔新千歳間の直結交通手段もない。
ここでも、市場メカニズム(需要と供給)を無視した論議がなされています。全日空は、丘珠路線を新千歳に変えたうえで、「未来永劫、路線維持が保障されるわけではない(岡田晃上席執行役員)」としています。民間企業は、赤字路線を、抱え切れません。
各自治体は、「路線維持」を叫びますが、実質的な協力は無理です。
新聞は、「道や札幌市は全道を巻き込んで、丘殊に空港が存在する意義について論議を深めた上で、ジェット化の是非も合めて将来像を明確に示」せとか、「使い勝手の良い空港にする戦略を、しっかりと構築」することを迫りますが、現状からは、明らかに不可能です。
「地元の反対にもかかわらず撤退を決めた全日空の対応は遺憾だ。ただ、民間会社の経営方針である以上、行政が反対を叫ぶだけては限界」といいつつ、「公共交通機関として地方の声を踏まえ、路線維持に努めるべき」と民間会社に「べき論」で迫るのは、矛盾しているといえるでしょう。
北海道の人口は、2005年約562万人から、2030年には、468万人になります。

今後、間違いなく乗客数が減少する北海道で、「飛行機を飛ばしたい」という民間企業があると考えるのは、まるで夢想です。「夢」ともいうことができないレベルの話です。
全日空が、子会社のエアーニッポンネットワーク(A-net)の丘珠空港撤退を道に正式表明した。同空港の発着路線は来年7月1日から新千歳空港に移転する。
地元の反対にもかかわらず撤退を決めた全日空の対応は遺憾だ。ただ、民間会社の経営方針である以上、行政が反対を叫ぶだけては限界がある。
A-net撤退で、丘珠に残るのは北海道エアシステム(HAC)の2路線5往復だけになる。そのHACも、日本航空が経営から手を引く方針を示し、先行きは不透明だ。
…道や札幌市は全道を巻き込んで、丘殊に空港が存在する意義について論議を深めた上で、ジェット化の是非も合めて将来像を明確に示さなければならない。
…道や札幌市が丘珠空港を今後も交通の拠点と位置づけるのであれば、使い勝手の良い空港にする戦略を、しっかりと構築してほしい。
…全日空は新千歳への移転を決めた以上、公共交通機関として地方の声を踏まえ、路線維持に努めるべきだ。

丘珠空港 札幌市の東区にある空港で、函館、稚内、女満別、中標津、釧路と結ぶ。
1 滑走路が1500mと短く、ジェットが飛べない。
2 プロペラ機(5~10年耐用)の代替機がなく、機種更新ができない。
3 滑走路延長は、地元の市民団体が騒音問題などから反発。
4 運航は、全日空子会社(A-net)だが、全日空が09年9月期連結決算で経常赤字。
5 残る2路線は北海道エアシステムが運航しているが、親会社の日航が経営撤退、自治体出資 (株譲渡)を求める。
6 全日空子会社(A-net)撤退で、客数は8割減。
7 地下鉄・JRも乗り入れなし。丘珠⇔新千歳間の直結交通手段もない。
ここでも、市場メカニズム(需要と供給)を無視した論議がなされています。全日空は、丘珠路線を新千歳に変えたうえで、「未来永劫、路線維持が保障されるわけではない(岡田晃上席執行役員)」としています。民間企業は、赤字路線を、抱え切れません。
各自治体は、「路線維持」を叫びますが、実質的な協力は無理です。
新聞は、「道や札幌市は全道を巻き込んで、丘殊に空港が存在する意義について論議を深めた上で、ジェット化の是非も合めて将来像を明確に示」せとか、「使い勝手の良い空港にする戦略を、しっかりと構築」することを迫りますが、現状からは、明らかに不可能です。
「地元の反対にもかかわらず撤退を決めた全日空の対応は遺憾だ。ただ、民間会社の経営方針である以上、行政が反対を叫ぶだけては限界」といいつつ、「公共交通機関として地方の声を踏まえ、路線維持に努めるべき」と民間会社に「べき論」で迫るのは、矛盾しているといえるでしょう。
北海道の人口は、2005年約562万人から、2030年には、468万人になります。

今後、間違いなく乗客数が減少する北海道で、「飛行機を飛ばしたい」という民間企業があると考えるのは、まるで夢想です。「夢」ともいうことができないレベルの話です。
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