リカード 比較優位 比較生産費説 その8
<リカード・比較生産費説 その8>
<ミクロ経済学の使用(3)>
(3)満足度(効用)の最大化
さて,今まで,家計(消費者)の予算線と,満足度(効用)を示す,家計の無差別曲線について,見てきました。では,家計(消費者)は,どのように,自分にとって一番良い消費方法を選択するのでしょうか。

家計の所得が1万円なので,図の直線abが,1万円の予算線となります。衣料品は1000円です。食料品は200円です。
また,消費の無差別曲線は右上ほど,満足度(効用)が高いという性質がありました。満足度(効用)は,図では,U1<U2<U3となります。
A点では,予算をすべて使い切っていません。もっと購入量を増やせば,もっと高い満足度(効用)を得られます。逆にB点は,予算線を越えていますので,実際には商品を購入できません。最適な点は,予算線ab上と接する点ということになります。しかし,C点,D点の満足度(効用)は,実はA点と同じでしかありません。C点では,衣料品を減らし,食料品を増やすことで,さらに満足度(効用)を高めることができます。
このように,選択していくと,図の場合は,E点が,もっとも満足度(効用)の高い点ということになります。予算線abと,消費の無差別曲線U2の接点です。このE点を,消費の最適点といいます。
家計(消費者)は,満足度(効用)の最高値を目指して,予算線の制約のもと,一番合理的な選択をします。E点では,衣料品5枚×1000円=5000円,食料品25個×200円=5000円,合わせて1万円で購入し,消費します。
他にも,予算線abと,消費の無差別曲線の接点には,下記U1,U2,U3のようないろいろな場合があります。

いずれにしても,それぞれの家計(消費者)は,消費の最適点を選んでいます。
それでは,所得が増えたら,どうなるでしょうか。アルバイト代が,1万円から,2万円になったとします。家計(消費者)の予算線は,abからABにシフトします。「6ミクロ経済学・予算線」で分析したように,所得が増えるということは,私たちの商品購入の選択肢が増えるということでしたね。

このとき,無差別曲線はどのようになるでしょうか。家計(消費者)は,満足度(効用)の最高値を目指して,予算線の制約のもと,消費の最適点を選択します。新しい予算線ABのもとで,満足度(効用)の最高値を選びます。図では,U1の無差別曲線は,U2の無差別曲線へとシフトし,C’点が消費の最適点となります。家計は食料品と衣料品を,より多く消費するとともに,満足度(効用)も高くなっていることがわかります。
まとめると,グラフの三角形が大きくなり,実質所得が増え,商品購入の選択肢が拡大するとともに,消費者効用も増大すると言えるのです。
次に,衣料品や食料品の価格が安くなったらどうなるでしょうか。食料品が,安くなったとします。今まで,1個200円だったものが,100円に値下がりしたとします。「6ミクロ経済学・予算線」と同じ図で見てみましょう。

1万円という予算は変わりませんが,食料品を購入できる個数が増えたため,予算線は,abから,aBにシフトしました。商品の価格が安くなるということは,私たちの商品購入の,選択肢が拡大するということでしたね。
このとき,無差別曲線はどのようになるでしょうか。図では,U1の無差別曲線は,U2の無差別曲線へとシフトし,C’点が消費の最適点となります。家計は食料品を,より多く消費するとともに,満足度(効用)も高くなっていることがわかります。
所得が増えたときと同様に,グラフの三角形が大きくなり,実質所得が増え,商品購入の選択肢が拡大するとともに,消費者効用も増大すると言えるのです。
以上,ミクロ経済学の,家計(消費者)の行動について,分析してきました。これは,「リカード比較生産費説・比較優位」を分析するための道具です。皆さんは,その道具を手に入れました。
間違い×「生産量が増え,交換すれば利益を得る」
正解 ○
「特化前は,生産量≧消費量だったものが,特化後は生産量<消費量となり,消費者効用が増大する」
では,いよいよ,「リカード比較生産費説・比較優位」の「利益」を証明してゆきましょう。「予算線・消費者効用」という、ミクロ経済学を使用します。続く
<ミクロ経済学の使用(3)>
(3)満足度(効用)の最大化
さて,今まで,家計(消費者)の予算線と,満足度(効用)を示す,家計の無差別曲線について,見てきました。では,家計(消費者)は,どのように,自分にとって一番良い消費方法を選択するのでしょうか。

家計の所得が1万円なので,図の直線abが,1万円の予算線となります。衣料品は1000円です。食料品は200円です。
また,消費の無差別曲線は右上ほど,満足度(効用)が高いという性質がありました。満足度(効用)は,図では,U1<U2<U3となります。
A点では,予算をすべて使い切っていません。もっと購入量を増やせば,もっと高い満足度(効用)を得られます。逆にB点は,予算線を越えていますので,実際には商品を購入できません。最適な点は,予算線ab上と接する点ということになります。しかし,C点,D点の満足度(効用)は,実はA点と同じでしかありません。C点では,衣料品を減らし,食料品を増やすことで,さらに満足度(効用)を高めることができます。
このように,選択していくと,図の場合は,E点が,もっとも満足度(効用)の高い点ということになります。予算線abと,消費の無差別曲線U2の接点です。このE点を,消費の最適点といいます。
家計(消費者)は,満足度(効用)の最高値を目指して,予算線の制約のもと,一番合理的な選択をします。E点では,衣料品5枚×1000円=5000円,食料品25個×200円=5000円,合わせて1万円で購入し,消費します。
他にも,予算線abと,消費の無差別曲線の接点には,下記U1,U2,U3のようないろいろな場合があります。

いずれにしても,それぞれの家計(消費者)は,消費の最適点を選んでいます。
それでは,所得が増えたら,どうなるでしょうか。アルバイト代が,1万円から,2万円になったとします。家計(消費者)の予算線は,abからABにシフトします。「6ミクロ経済学・予算線」で分析したように,所得が増えるということは,私たちの商品購入の選択肢が増えるということでしたね。

このとき,無差別曲線はどのようになるでしょうか。家計(消費者)は,満足度(効用)の最高値を目指して,予算線の制約のもと,消費の最適点を選択します。新しい予算線ABのもとで,満足度(効用)の最高値を選びます。図では,U1の無差別曲線は,U2の無差別曲線へとシフトし,C’点が消費の最適点となります。家計は食料品と衣料品を,より多く消費するとともに,満足度(効用)も高くなっていることがわかります。
まとめると,グラフの三角形が大きくなり,実質所得が増え,商品購入の選択肢が拡大するとともに,消費者効用も増大すると言えるのです。
次に,衣料品や食料品の価格が安くなったらどうなるでしょうか。食料品が,安くなったとします。今まで,1個200円だったものが,100円に値下がりしたとします。「6ミクロ経済学・予算線」と同じ図で見てみましょう。

1万円という予算は変わりませんが,食料品を購入できる個数が増えたため,予算線は,abから,aBにシフトしました。商品の価格が安くなるということは,私たちの商品購入の,選択肢が拡大するということでしたね。
このとき,無差別曲線はどのようになるでしょうか。図では,U1の無差別曲線は,U2の無差別曲線へとシフトし,C’点が消費の最適点となります。家計は食料品を,より多く消費するとともに,満足度(効用)も高くなっていることがわかります。
所得が増えたときと同様に,グラフの三角形が大きくなり,実質所得が増え,商品購入の選択肢が拡大するとともに,消費者効用も増大すると言えるのです。
以上,ミクロ経済学の,家計(消費者)の行動について,分析してきました。これは,「リカード比較生産費説・比較優位」を分析するための道具です。皆さんは,その道具を手に入れました。
間違い×「生産量が増え,交換すれば利益を得る」
正解 ○
「特化前は,生産量≧消費量だったものが,特化後は生産量<消費量となり,消費者効用が増大する」
では,いよいよ,「リカード比較生産費説・比較優位」の「利益」を証明してゆきましょう。「予算線・消費者効用」という、ミクロ経済学を使用します。続く
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