新聞を解説(35) 『経済財政白書から』図も同様 読売21年8月6日

『経済財政白書から』図も同様 読売21年8月6日 

 日本人の貯蓄についてです。私たちが,給料をもらったら,何に使うでしょうか。これには3つの使い道しかありません。「使うか,貯めるか,税金か」です。高校生がアルバイト代を1万円もらいます。6000円で服を買います。消費税は,5%なので,300円です。残り3700円は,預(貯)金します。ものすごく単純な例ですが,これですべてです。

 ここで,「貯める」というのは,使わなかったお金すべてを示します。それは,財布の中にあろうと,銀行預金になろうと,誰かに貸そうと,社債や株に投資しようと、要するに,「モノ・サービスの購入に使わなかったお金全部」のことを言います。
 会社が使っても同じです。「モノを作るために,原材料を買ったり(飲食店のようなサービス業なら,食材を購入したり,従業員の服をそろえたり)するか,法人税や,消費税などの税を払うか,残るか」です。
 分配(所得)が,会社に回っても,個人に回っても,あるいは,宮崎県のような地方自治体に回っても,すべて同じ結果になります。「使うか,貯めるか,税金か」です。この「使うか,貯めるか,税金か」を難しく言うと,「消費・貯蓄・税金」と言います。
 「消費・貯蓄・税金」=「消費を英語のConsumptionの頭文字C,貯蓄をSavingのS,税金をTaxのT」であらわします。すると、「C++T」という式になります。
読売 21.8.6

 この貯蓄率ですが、「日本人の貯蓄に対する姿勢は、実はもう50年近く変わっていない」と書かれています。所得のうち、どのくらい「貯蓄」に回しているか、1962年を100とした場合、07年は103.5で、「同じ水準」です。日本人は、高度成長期から、「コツコツと貯蓄」している性向は変わっていません

 一方、「家計貯蓄率」は低下しています。これは、高齢者(例えば年金生活者)は貯蓄を取り崩して生活するためです。少子高齢化に伴い、「若者は貯蓄、高齢者は取り崩す」関係で、全体としては低下しています

 この貯蓄が、企業に貸し出され、政府に貸し出され、外国に貸し出される原資です。三面等価の図を見て下さい。

注)このブログの「GDP」カテゴリ―三面等価および、貯蓄投資/ISバランスの項目を参照ください
三面等価

S=I+(G-T)+(EX-IM)
S-I=(G-T)+(EX-IM)

 という関係がわかります。(S-I)が0(つまり、国民の貯蓄を、企業投資で使い切っている状態)なら、財政赤字(G-T)と、貿易黒字(EX-IM)の合計は0です。
高度経済成長期は、企業投資が活発で、国債発行(国への貸し出し)も、外国への貸し出しも生じませんでした。
国債残高
日本の輸出入


 国民の貯蓄超過がなくならない限り、財政赤字(G-T)+外国への貸し出し(EX-IM)は必ずトータルプラスで発生します。

 一方、三面等価より、総生産の残りS相当分を、I(企業)+(G-T:政府)+(EX-IM:外国)が購入しています。私たちが貯蓄すると、その分、生産が余ります。それを、企業が消費・投資し、政府が公債を発行して消費・投資し、外国が消費・投資します。外国の消費・投資を「輸出」と言い、日本の場合輸出>輸入なので「貿易黒字」に相当します。
 S=  I  +(G-T)+(EX-IM)
貯蓄=企業投資+ 政府投資 + 貿易黒字
貯蓄=企業貸出+ 政府貸出+外国への貸し出し


<結論>

 貯蓄をすると、「貿易黒字」になる。
 貯蓄をすると、「公債費」になる。


「財政赤字」と「貿易黒字」は、われわれの貯蓄から生じるのです。
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