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新聞の間違い 日経 H21.7.30 『韓国 資本収支7770億円黒字』

新聞の間違い 日経 H21.7.30 『韓国 資本収支7770億円黒字』

(1)『韓国 資本収支7770億円黒字』
 韓国銀行が29日発表した1~6月の国際収支によると、資本収支が82億3000万ドル(約7770億円)の黒字となった。昨年7~12月は米金融危機をきっかけに466億ドルの大規模な赤字に陥っていた。

(2)同日記事『ポルシェ6700億円赤字へ』
 独高級車メーカーのポルシェは29日、2009年7月期の税引き前損益が最大で50億ユーロ(約6700億円)の赤字になる見通しだと発表した。


(注)Yahoo辞書大辞林 「陥る」望ましくない状態になる。「重態に―・る」「ジレンマに―・る」

 さて、上記の、2つの記事の違いがわかりますか?日経は、資本収支が「赤字に陥る」と書いています(注)。「資本収支の赤字」と「ポルシェの赤字」は、全く違うことばですが、日経記者は、その区別がついていないので、「赤字は悪いこと」と、とらえていることがわかります。

 国際収支上の「赤字」は、「ポルシェの赤字」と違い、「損」とか、「悪いこと」の対象ではありません同様に、「黒字」も、「もうけ」ではありません。経済新聞でさえ、このように謝った記事を書いてしまいます。

              黒字         赤字
国際収支   a trade surplus    a trade deficit    足すとゼロ
 ポルシェ        Black         Red         (もうけor損失

<国際収支表の原則>

2009年7月国際収支

 国際収支は、複式簿記という記入方法で書かれている、会社で言う「貸借対照表=バランスシート」のことです。商業科に通っている高校生なら、すぐに理解できます。
 モノ・サービスを売買すると、必ず同額のカネが動きます。ですから、モノ・サービスを売ると、貸し方(+)に記載された同額が、借り方(-)にも記載されます。ですから、経常収支黒字額=資本収支赤字になるのです。モノ・サービス金額=カネ金額です。
だから、2007年の日本は
国際収支表
となるのです。△は外国カネ(資産)増と覚えれば間違いないでしょう。ドル・ユーロや、外国国債、外国社債、外国株の購入額のことです。貿易黒字=外国への資金提供のことなのです。ですから、「貿易黒字はもうけ」ではありません

 ①経常収支黒字=②資本収支赤字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)
 ①経常収支赤字=②資本収支黒字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)

この式が、常に成り立ちます。

2009年1~6月期の韓国の場合、「経常収支217.5億ドル黒字 資本収支82,3億ドル黒字」です。

経常収支217.5=②資本収支赤字(資本収支82.3外貨準備△299.8)となります(誤差脱漏は無視)。

 韓国の中央銀行・政府が保有する外貨が299.8億ドル増えたことを示します。外貨ですから、韓国国内には、還元しない「カネ」です。貿易黒字(経常収支黒字)は、「もうけ」ではありません。同様に、「赤字は損」ではありません。経常赤字額=その国への外国からの投資額のことです。
 
 資本収支も、「黒字が良い」「赤字が悪い」ということではありません。中国も、韓国と同様、①経常収支黒字=②資本収支赤字(資本収支黒字外貨準備赤字)になっており、世界一の外貨保有国になっています。

 中国貿易黒字=中国外貨準備赤字
日経 H21.6.14 中国 米国 モノ・カネ

 「ポルシェの赤字」は悪いことですが、国際貿易の「赤字・黒字」には、「良い悪い」は全く関係ないのです。
 ここを間違うと、「日本の貿易黒字はけしからん、ジャパン・バッシングしよう(80年代~90年代にかけて)」となります。日本国民も、アメリカ国民も、日経記者も、間違っていますね
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