新聞を解説(29) 志田富雄『過剰マネー制御不可欠』日本経済新聞H21.7.11

志田富雄『過剰マネー制御不可欠』日本経済新聞H21.7.11 

 ニューヨーク原油先物相場が1バレル147ドルの史上最高値をつけてから11日で1年。金融危機や、景気後退による急落を経て今春には反発したが、7月以降は再び急落。乱高下振りは“健在”だ。

…最高値から半年で5分の1近くまで下げた原油急落は、2002年からの商品高騰劇の終幕にも見えた。…過剰マネーが商品市場に再流入した事実は、各国政府に衝撃だった。…原油価格が上昇しようとする背景には、増加する需要に追いつかない供給不安と、膨らんだマネーと有限なモノという二つの不均衡がある。さまざまな規制で先物市場を押さえ込んでも、過剰マネーは現物投資を通じて、商品市場に流れ込む


 原油、穀物などの商品先物取引市場や、「金取引」などの実物市場の大きさを、プールにたとえると、投機マネーはクジラに相当します。プールにクジラが出たり入ったりして、暴れるようなスケールなのです。

 2007年現在,外国為替市場の1日の平均取引額は3.2兆ドル(340兆円)にも上ります(2007年4月 国際決済銀行BIS統計)。同年の世界貿易額は,1日当たり357億ドルですから(2007年4月 国際決済銀行BIS統計),貿易額の約90倍にのぼる資本の取引があることになります(JETRO 2007年統計)。

 例えば,東京証券取引所の売買代金は,1か月に40兆円~70兆円です。日本の1年間の国家予算が約82兆円,GDP(国内総生産)は約510兆円です。これらの実体経済をはるかに上回る,資本の取引があるのです。

 90年代初頭までは,実体経済が犬の頭,資本経済が犬の尻尾でした。しかしいまや,バーナンキFRB議長が「貿易は犬の尻尾」というほど資本取引が巨額になったのです。

 これらの金融・資本取引の結果,世界の金融資産は,総額167兆ドル(1京7744兆円)に達します。実体経済(世界全体のGDP48兆ドル)の3.5倍です。しかも,その成長率は2006年までの11年間で年平均9.1%,世界の実体経済(GDP)成長率の5.7%を大きく上回っています。

図79 経済産業省 平成20年版『通商白書』概要 第1章図の5
金融資産推移3

 実物経済と切り離された“マネー”に翻弄されているのが、現在の世界経済なのです。
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