GDPは,給料の総額

<GDPは,給料の総額>
 
 さて,前日,「GDP」あるいは,「1人あたりGDP」がどのように産み出されるかを見てきました。なぜ,「GDP」が大事なのでしょうか。「別に,少しくらい減ってもかまわないのでは?」と言う声が聞こえてきそうです。あるいは,「GDPって増えなくてもいいんじゃない?」とか。

 実は,こだわるのには,理由があります。それは,「GDPは,我々の給料の総額」だからです。
 皆さんは,これからの日本は少子高齢化で人口が減るので,「自分の給料(アルバイト代)が減ってもかまわない」と自信を持って言えるでしょうか?たぶん,簡単には言えないと思います。「GDPあるいは,1人あたりGDPが減る」ということは,「我々の給料」が減るということです。

 「GDPが増えない(成長率0%)」ということは,「日本人の所得が,全体では増えない」ということです。そうなると,決まった「GDP」の範囲内で,「誰かの所得が増えれば,誰かの所得が減る」という,ゼロサム・ゲーム(勝つか負けるか)をずーっと続けていくことになります

 高度経済成長時代に,「所得倍増計画」というのがありました。実際に我々日本人の所得は,倍増,3倍増になり,世界第2位の経済大国になりました。海外旅行でも,パソコンでも,携帯電話でも,何でも購入することが出来ます。家庭用TVは1人に1台とも言われています。好きなときに,回転寿司を食べられるようになりました。やはり豊かになったのは間違いありません。

 「GDP(国内総生産)が増える」=「我々の所得(給料)が増える」ことなのです。このことを示すのが, 「GDPの三面等価」です。
桐原書店 教科書『新政治経済改訂版』H19 p114
桐原書店 教科書『新政治経済改訂版』H19 p114

 三面等価とは,「GDP」を,①生産,②分配,③支出の,どの面から見ても同じであり,①生産=②分配=③支出になるというものです。
 
 ラーメン屋さんを考えてみましょう。ラーメン屋さんの1ヶ月の売上げが,100万円だったとします。麺や具などの原料費(中間生産物)が50万円だったとすると,このラーメン屋さんの「GDP」(①生産)は50万円になります。
 ラーメン屋さんは,その中から,アルバイト代や,お店の家賃,銀行にお金を借りているなら利息,税金,そのほかを払い,残った額がラーメン屋さんに溜(た)まり(留保(りゅうほ))ます。これらを②分配と言います。これらの総額は,50万円になります。
 一方,ラーメン屋さんの1ヶ月の売上げ「GDP」は,お客さんが払ってくれた額です。これを③支出面から見た「GDP」と言います。お客さんが払った額は50万円です。お客さんは,実際には100万円払っていますが,総売上-中間生産物(この場合麺や具などの原料費)=もうけ(付加価値)になりますので,50万円が「GDP」でしたね。

 このように,「GDP」50万円は,①生産,②分配,③支出の,どの面から見ても同じになります。

GDP=①総生産
   =②分配(所得)=GDI(国内総所得)
   =③支出(購入)=GDE(国内総支出)
三面等価 資料集
帝国書院『アクセス現代社会2009』 P90 三面等価の原則 
 ですので,この表のように,GDP(国内総生産)=GDI (国内総所得)=GDE(国内総支出)ということになります。このことは,GDPとGNPの関係でも,同様に成り立ちます。

GNP=①総生産
   =②分配(所得)=GNI(国民総所得)
   =③支出(購入)=GNE(国民総支出)

 「GDPの三面等価」が成り立つと同様に「GNPの三面等価」も成り立ちます。
 「GNPは所得の総計なので現在では,GNI=国民総所得(Gross National Income)という言い方をします。もちろん,GNP=GNIです。」と,前日の、<GDPとGNIとは>で説明しました。これを図にすると,下図になります。
IMG_0003_20090823162321.jpg

 このように,「GDPの三面等価」の原則から,「GDP(国内総生産)」=「我々の所得GDI (給料)」だということが分かります。
 ですから,「GDPあるいは,1人あたりGDPが減る」ということは,「我々の給料」が減るということです。
 日本は,これから総人口が減ります。「GDP」は減るか,増えても微増でしょう。ですので,大切なのは,「GDP」を全人口数で割った,「1人あたりGDP」です。1人あたりの「GDP」が今のままであれば,「我々の所得」も今のままを維持できることになります。
GDP
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