チケットの高値転売を防ぐには
五輪チケット 高値転売の防止策を講じたい
2017年9月19日6時0分
読売
2020年東京五輪・パラリンピックでは、約1000万枚のチケット販売が見込まれる。開会式などには、人気が集中するだろう。 多くの人が手頃な価格で五輪の醍醐(だいご)味を味わえるよう、高値転売を防ぐ対策を急ぎたい。
リオでは、チケットは売れているのに、空席が目立つ競技もあった。チケットの適正な販売は、近年の五輪の大きな課題である。東京五輪…チケットの再販売を厳格に禁止すると謳っている。
ネット上には多数の転売仲介サイトが存在する。市場規模は年数百億円とされる。音楽チケットの異常なまでの高値転売は、社会問題化している。
チケットのダフ屋行為については…条例で禁止しているが、ネットでの転売は想定していない。
法規制が必要なのか、慎重に議論してもらいたい。
チケットの転売については、下記でも扱いました。
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「嵐」のコンサート
本来は、行きたい人が、出せるカネを払い・・・そうなると嵐のチケットは、10万円を超え、行きたい「小学生」が行くことができなくなります。
これは、コンサートやオリンピックが「需要と供給」の世界では、分析できない「独占市場」だから、「需要と供給」の論理では、分析できない=解決できない話になるのです。
需要と供給の世界は、「完全競争市場」であり、無数の供給者と無数の需要者がいて・・・そういう世界でした。ですから需要と供給の論理で分析できます。価格が毎日のように上下する世界です。バラ積み船の料金、ドルと円の関係、鉄や銅やアルミ、トウモロコシなどの素材市場・・・。完全競争市場に近いものはごく限られます。
ですが、オリンピックも嵐のコンサート(新人アーチスト)も、寡占市場どころか、「独占的競争市場」「独占市場」そのものです。なにせ、「供給者」が「1つ」しかないからです。
そうすると、供給曲線は垂直(量は一定)になり、価格は、需要者の需要で決まることになります。

オリンピックは、カネを払いたい人だけが見られる・・・小学生はいけないことになります。これでは、批判が生じます。
ですから、オリンピックや嵐のコンサートは、「抽選制」になります。そうすると、事情があっていけなくなった人や、最初から転売する目的の人が出てきて、「転売市場」が現出することになります。
では、経済学的に「解決策」はあるのか?
大竹文雄 『競争社会の歩き方』中公新書 2017
P4- チケット転売問題を考える
アラン・クルーガーの提案。
チケットの一定枚数を主催者が直接ネットオークションで売ることにして、その時成立した価格が定価以上であれば、定価との差額を慈善団体に寄付するというものである。どうしてもコンサートに行きたい人は、価格を払えば必ず実現でき、慈善団体にも便益がある。価格が高くなっても寄付に回れば、フェアな価格設定だと認識し、正規のチケットなので、安心して購入することができる。その価格があるので、転売業者の価格がそれより高くなりすぎることはない。チャリティ・コンサートであれば、チケットが高額になってもだれも文句は言わないはずだ。
このような、一般抽選+高い参加料のチャリティ参加枠は、すでに東京マラソンや大阪マラソンには導入されているそうです。