<比較優位は競争でわかる>

大竹文雄「競争社会の歩き方」 中公新書 2017

縮約・意訳抜粋
 マイケル・ジョーダン、子どものころから野球やアメフトも得意、マルチアスリートで知られていた。NBA活躍中、一度だけメジャーリーガーへの転身を図った。結果はかなわなかった。ジョーダンほどのアスリートでも、アマ世界での万能はプロではかなわず、結局バスケ以外に道はなかった。

アマレベルでは1人の強者がすべてを独占できるが、プロレベルでは自分の最も得意なものに特化し集中しない限り、トップを取ることはできない。

ハイエクは、だれが一番すぐれているか、だれが一番私たちの要求にこたえてくれるか、それを見つけ出すための役割が競争にあるととらえた。

 すべての分野で一番は、子どものころにはあるが、競争レベルが高くなるといなくなる。高校野球ではエースで4番はいるが、プロにはいない。日ハム大谷選手の二刀流は世界的には例外だ。

 競争がないと、自分の本当の長所を知ることができない。競争のおかげで私たちは自分の長所を知ることができる。

 弱者への配慮は必要だが、一律の規制は競争のメリットを損なう。そのルール作りをするのが政府の役割であり、その判断のための適切な情報提供をするのが経済学の役割である。




<比較優位は競争で顕在化・明らかになる>

 ジョーダンや、野球選手の例にあるように、「競争」するので、「自分の得意なもの、生産性が一番高いもの」が分かります。

 小学校から、体育や音楽や美術や数学や国語に触れることで、自分の得手不得手が分かります。

 体育が万能、水泳でも、バスケでもバレーでも、徒競走でも、体操でも、野球でも・・・そういう人は小学校にはいますが、中学、高校、大学・・・とレベルが高くなればなるほど、上には上がいることが分かります。

 ましてやコンマ数秒を争う、陸上短距離の世界とか、数秒を争う長距離界、投手が数キロの球速や、数センチの曲がりを競うプロ野球の世界など、信じられないほどの「微差」が、強者と敗者をわける世界では、「サッカーも野球もうまい」レベルでは、到底通用しません。

 野球でいうなら、小中高では「エースで4番」が当たり前、そのレベルの人が「プロ」に集まります。ところが、プロのレベルではそれは最低条件、それでも毎年6人がドラフトで入団すれば、6人がその球団から解雇されるという世界です。

 比較優位は、競争するので、明確化します。あるいは自分自身で自覚します。

少し哲学的な話になりますが、「自分が何者であるか」は、何か対象にぶつからなければ分かりません。学校でいえば、体育や音楽や美術や数学や国語に触れることで、自分の得手不得手が分かります。

 何かにぶつかって見なければ、何かをやってみなければ、何かに触れてみなければ、自分の得意不得意、生産性の高低は、分からないのです。

1 比較優位


 余談ですが、「神」は、自分に似せて「人間」を創りました。「神」でさえ、自分以外の対象を創らなければ、存在できなかった(物理的にではなく、意味的にという意味)とも考えられます。

 何か「別のもの」がなければ、この世のすべては「意味的に」存在できません。

ヒトという単語は、この世にヒトしかいなければ存在しません。ヒトということばがあるのは、そのほかに「動物」がいるからです。区別するためにヒトという単語があります。

動物ということばがあるのは、その他の存在、植物と区別するためです。

チューリップも、この世に花がチューリップ1つだけなら存在しません。チューリップという単語はバラという別の花が存在するから区別するためにあることばです。

閑話休題

 比較優位、自分は何が得意か、自分にとって一番生産性が高いモノ・コトは何か、それを知るためには、対象にぶつかること、対象と競うことが必要なのです。

 日本人の時間は1億2000万人×24時間しかありません。これはどう頑張っても増やすことはできません。

 この限られた資源「時間」を最も効率的に使用するのが、「比較優位」です。1人1人が自分の最も得意なこと、最も生産性が高いことをおこなえば、日本の生産するモノ・コト(サービス)は「最大」になります。あとは、その最大生産物(サービス含む)を、お互いに交換すればよいのです。これが日本の「経済力=生産性の高さ=GDP」になります。

 時間を浪費するヒマなど、ないのです。
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