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塚崎公義 (久留米大学商学部教授)はウソをつく 2

<塚崎公義 (久留米大学商学部教授)はウソをつく>


http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8861?page=3

塚崎公義 (久留米大学商学部教授)

経常収支黒字は円高要因となりかねないが、昨今は大丈夫

経済学的には、経常収支の黒字、赤字は善悪ではありませんが、日本経済の現状を考えると、やはり経常収支の黒字は素晴らしいと言えるでしょう。第一は、少子高齢化が進みつつあることです。もしかすると将来の日本は、「現役世代が皆で高齢者の介護をしているので、製造業で働ける人がいない」国になってしまうかもしれません。そうなれば、輸出が激減し、輸入が激増します。その時に、日本が輸入する外貨を持っていなかったら大変です。現在、日本が経常収支黒字で外国から稼いでいる外貨は、対外純資産の増加となって外国に貸し出されていますから、将来はそれを取り崩して輸入することができるわけです。「日本国が老後に備えて貯金している」というわけですね。

 経常収支が黒字だということは、輸出企業等が海外から持ち帰って売りに出すドルが多く、輸入企業等が購入して海外に支払うドルが少ないということを意味しています。そうなると、経常収支の黒字はドルの需給関係に影響を与えてドル安円高を招きかねません。

 もっとも、最近は日本企業が海外企業を積極的に買収していることなどから、輸出企業が持ち帰ったドルが、そうした用途で海外に還元されているので、ドル安円高にはなっていません。今後については予断を許しませんが、少なくとも当面は海外企業の買収などは高水準で続きそうですから、現状程度の経常収支黒字であれば、特にドル安円高になると考える必要はなさそうです。



本当にデマゴーグです。

(1)
>もしかすると将来の日本は、「現役世代が皆で高齢者の介護をしているので、製造業で働ける人がいない」国になってしまうかもしれません。そうなれば、輸出が激減し、輸入が激増します。その時に、日本が輸入する外貨を持っていなかったら大変です。

2016年の円と海外通貨の1日あたり為替取引額です(BIS 10億ドル)

ドル・円 902
ユーロ・円79 
豪ドル・円31 
他通貨・円18

合計 1030(10億ドル)

1ドル110円とすると、113兆円です。

これに対し、日本の2016年貿易額(財・サービス)は、

輸出70兆0392億円 輸入65兆9651億円です。

輸出額は、1日あたり、0.192兆円=1920億円、輸入額は同0.18兆円=1807億円です。輸出入を合計すると1日あたり0.37兆円=3727億円です。

日本の円と、外貨の為替取引は、貿易実需額の304倍!!!です。

1 為替取り引きと実需 日本

>輸入が激増します。その時に、日本が輸入する外貨を持っていなかったら大変です。

こんなこと、絶対にありません。外貨は「輸出で入ってくる、輸入で出ていく」ではなく「買って手に入れる、売って手放すもの」です。

(2)

>経常収支が黒字だということは、輸出企業等が海外から持ち帰って売りに出すドルが多く、輸入企業等が購入して海外に支払うドルが少ないということを意味しています。そうなると、経常収支の黒字はドルの需給関係に影響を与えてドル安円高を招きかねません。

為替取引は貿易取引の304倍ですから、輸出企業の持ち帰ったドルを使って輸入することも120%ありません(304分の1は使われているかもしれませんが-笑-)

 貿易黒字や経常黒字になると、円を買いドルを売る→円高になることなど、絶対にありません! あ、304分の1はあります!(爆笑)

(3)
>経常収支の黒字はドルの需給関係に影響を与えてドル安円高を招きかねません。
>もっとも、最近は日本企業が海外企業を積極的に買収していることなどから、輸出企業が持ち帰ったドルが、そうした用途で海外に還元されている


2016 上半期 国際収支表

 このように、輸出-輸入の「貿易黒字」・経常黒字は、直ちに「金融黒字」になります。輸出企業が持ち帰ったドルは、直ちに「金融収支黒字」になります。

輸出企業の持ち帰ったドルを使って海外企業の買収に使っている(何らかの意思が入っている)などということは120%ありません。繰り返しますが、304分の1はあります(爆笑)。

(4)
>現在、日本が経常収支黒字で外国から稼いでいる外貨は、対外純資産の増加となって外国に貸し出されていますから、将来はそれを取り崩して輸入することができるわけです。「日本国が老後に備えて貯金している」というわけですね。

対外純資産は取り崩すものではありません。

1.6 対外純資産

平成28年末

日本の対外資産                997兆,7710億円
日本の対外負債(海外からの日本投資) 648兆,6580億円

対外純資産とは、差額の349兆1120億円です。

中身は、直接投資などの貸し付け、株式・債券、外貨準備などです。

 この塚崎公義というデマゴーグの脳内思考は、「対外純資産=外国への貸し出し、対外負債=借金」で止まっています。

 「負債は、借金であり、同時に債権者にとっては投資」であるという事実が理解できていません。
 なぜ、アメリカが世界最大の「対外純負債」国かというと、アメリカは「世界最大の投資受け入れ国」だからです。

対外資産 負債 1
対外資産 負債 日米英

 世界中が、「ドル資産」を持ちたくて持ちたくて仕方がないのです。だから、アメリカの銀行に預金し、アメリカの国債を買い、アメリカの株式を買い、アメリカの会社を買い、アメリカの不動産を買い・・・・世界中がアメリカに投資しているので、アメリカの対外負債は世界一、ついでにアメリカの対外債権も世界一です。


 日本企業が、対外資産を増やすのは、海外企業の買収や、海外企業の株や、海外に工場や店舗や農園を持ち、自分の儲けを増やすために投資しているのです。

>将来はそれを取り崩して輸入することができるわけです。「日本国が老後に備えて貯金している」というわけですね。

将来、対外資産を取り崩すために、投資しているわけではありません。

 対外純資産とは、「対外に持っている資産-外国が日本に持っている資産」のことです。
日本の金融資産7715兆円のうち、351兆円分を、「外貨」で持っているというだけのことです。

金融資産
                                      
                                 この中で、唯一、海外資産351兆円
                                 のみ、実物資産=国富にカウント


 資産を取り崩すというのは、塚崎公義の脳内レベルでは金融資産のうち、「家計が預金を降ろす」ことと同じことなのでしょう。ですが、対外純資産は必ず同額の「実物資産」と対応しています。

金融資産は「資産と負債」が同額になり、プラマイゼロなので、「国富」には入りません。しかし、対外純資産はその中でも唯一、「国富」に換算されます。

国富は「在庫・固定資産(建築物 構築物、機械など)」「非形非生産資産(土地、地下資源、漁場)」のことで、すべて実物資産のことです。日本の国富は2012年で、約3000兆円です。

対外純資産は「海外の実物資産=国富」なのです。

>将来の輸入のためにこれを取り崩す・・・

こんなことは、ありえません。

 国際収支を理解しているかどうかは、経済学のリトマス試験紙(明大 飯田泰之)ですから、塚崎公義は、単なる「経済オタク」です。決して「経済学部教授」の要件を満たしていません。

塚崎公康のウソは、犯罪並みのレベル、許せるレベルではありません。
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