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アベノミクス批判は、だれもがとんちんかん

<アベノミクス批判は、だれもがとんちんかん>

http://blogos.com/article/136852/

中原圭介 2015年10月01日 09:47
「新しい3本の矢」は経済失政をごまかすためのもの

アベノミクスが始まって早くも2年9か月が過ぎようとしていますが、その実態はというと、円安や株高によって大企業や富裕層が潤った一方で、国民生活は悪化し続けてきたということに尽きるでしょう。国民経済の視点から見れば、アベノミクスは完全に失敗に終わっていたわけです。

そのような経済失政にもかかわらず、自民党総裁に再任したばかりの安倍首相は、わざわざ記者会見まで開いて、「アベノミクスは第2ステージに入る」と訴え、「新しい3本の矢」を実行していくと力説しています。新しい3本の矢とは、-①希望を生み出す強い経済、②夢を紡ぐ子育て支援、③安心につながる社会保障-だということです。

しかしこれは、金融緩和を中心に据えた「従来の3本の矢」の失敗を総括することなく、経済失政の責任問題が浮上する前に「新しい3本の矢」にすり替えたというのが実情ではないでしょうか。

これに先駆けて、日銀の2年以内に2%を達成するとしたインフレ目標は、完全に失敗することとなりました。たとえ達成の期限を先延ばしたとしても、たとえ追加緩和を実施したとしても、結局のところまた失敗するのは避けられないでしょう。



 いやあ、とにかくアベノミクス批判は、「批判したい」「リフレが理解できない」「経済学勉強していない(知らない)」なので、どうしようもないです。

 アメリカのFRBの目標=法律で明記には、何が入っていると思いますか?「失業率」です。

 マンデル=フレミングモデルで明らかなように、変動相場制では、「金融政策は有効、財政背策は無効」は、理論的にも実証的にも立証されています。

 1980年代中庸のプラザ合意くらいまで、変動相場制は、ごちゃごちゃ、不安定でしたが、1980年代後半・1990年代から2008年のリーマンショックまで、ようやく安定してきました。

 その時期は、「大中庸時代」で、マクロ経済政策運営は、先進国のどの国でも「金融政策」で進められ、財政政策など、過去の遺物(固定相場制では有効でしたが)になりました。

 インフレターゲットが採用されたのも、テイラールールが提唱されたのも、90年代です。マクロ政策は「金融政策」というのは、変動相場制下の「合意事項」です。

 ただし、リーマンショックはあまりにショックが大きく、ケインズ政策の王道、「財政+金融政策」が復活しました。でも、その後はEU・米ともに「財政」はまた封印されています。

 ギリシャとドイツ見ても分かりますね。長期的に財政赤字をGDP比60%にするというのがEUの合意事項、まさに緊縮財政です。ドイツは「お前、マゾヒストか?」というくらい、緊縮財政ひた走っています(笑い)。

クルーグマンなどは、EUの「財政封印」を批判しています。

 そして、フィリップス曲線:インフレと失業のトレードオフは、短期的には「理論的に成立」します。

 インフレターゲットが、どの国も2%内外(上限下限1%~3%の間)というのがなぜかわかりますか?

それは、2%近辺が、一番失業率が低く、それ以上のインフレでも失業率に変化はない(失業率は下がらない)からです。

 で、アベノミクス導入以降、失業率は低下しています。求人倍率も最高になっているのはご存じのとおり、大学生・高校生の求人も、過去最高レベルに回復しています。

アベノミクス 失業率


当然ですが、日本でも短期的フィリップス曲線は、理論的にも実証的にも成立しています。

アベノミクス フィリップス曲線

ついでに、アメリカも、QE導入後、失業率は低下、短期フィリップス曲線は成立し、8月現在失業率は5.1%の低水準、インフレ率は1.8%、出口政策がささやかれている(金利引き上げ)のはご存じのことと思います。

アベノミクス フィリップス曲線  アメリカ

アメリカの場合、失業率5%は、完全雇用状態、インフレ率は2%目標ですから、QE導入の目標は達成されています。

マクロ経済政策運営の目標は「失業率を低くする」ことです。これが達成されているか否かが評価軸です。

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マクロ政策で出来るのは、「AD=需要」を動かすことです。それは財政+金融で可能です。潜在成長率を下回る場合、需要を増やし、供給=潜在成長率のレベルくらいまで、需要を刺激するのは可能です。

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ただし、あくまでも金融政策は有効・財政政策は無効です。

そして、金融政策は、短期では「供給=短期AS」を動かすことはできます。錯覚がある間です(インフレが見込まれる場合、供給増になります)。

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しかし、GDP=Y=長期供給をどうやったら増やせるか、そんなもの、経済学では分かりません!!

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GDP=Yを増やす魔法のような方法があれば、だれも経済学なんてやりません。そんな答えがあれば、経済学でウンウン、考えることは不要だからです。

P・クルーグマン『経済政策を売り歩く人々』ちくま学芸文庫 2009

 経済学者は、どうすればハイパーインフレーションを避けられるかといった助言は確実にできるし、不況の回避方法も、たいていの場合教えることはできる。お望みであれば、輸入割り当てや価格管理といった方策が、医学でいうところの出血治療法と同じくらい効果のない政策であることを示すことができる。

 しかし、貧しい国をいかに豊かな国にするかと言うことや、奇跡的な経済成長を再現させるにはどうしたらよいかといった問題に関する解決策はいまだにない。

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