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基軸通貨とは?

<基軸通貨とは?>

 なんだか、国際通貨とか、基軸通貨とは何かが分かっていない人がたくさんいるようです。

(1)貨幣とは何か?

基軸通貨 1


 貨幣がなければ、「市場」で、物々交換しなければなりません。イノシシの肉を持ってきた人が、今日は卵が欲しいとします。

その場合、「卵を売りに来た人の中からイノシシの肉をほしい人」を探さなければなりません。卵を売りに来た人が、全部イノシシの肉を欲しい人ではないからです。

6種類の財でさえ、30通りもの「物々交換」の種類があり、それを全部「イノシシ肉を持ってきた人」が探すのは、困難です。これを「取引費用」がかかると言います。

くだものや、海産物の種類・・・無限にある財の、無限にある「交換したいもの」を探し当てるのは、事実上不可能です。肉も卵も、全部腐ってしまいます。

そこで、「貨幣」が登場します。イノシシ肉と貨幣を交換すれば、今度は、貨幣と卵を交換すればよいのです。

(2) 基軸通貨とは何か

基軸通貨も同じです。
世界には190カ国以上あり、使われている通貨も190種類?あります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%9A%E8%B2%A8%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7

ウイキペディア参照


基軸通貨 2

円とドルの交換なら容易かもしれませんが、ウクライナ「フリブナ」通貨で、マレーシアの「リンギッド」と交換したい・・・といっても、マレーシアの「リンギッド」を持っている人のうちで、ウクライナ「フリブナ」通貨と交換したい人を探す・・・

不可能ではないにしても、取引費用かかりすぎで、「ムリ」ですよね。

だから、いったん、「ドル」に交換するのです。フリブナをドルに換え、今度はそのドルをリンギッドと換えればいいのです。

つまり、ドルは 財市場における「貨幣」の役割と同じなのです。

これが、「キーカレンシー=基軸通貨」です。

現在、ドルが6割、ユーロが2割強、ポンド、円となっています。

だから、世界中が「ドルが欲しい」というのが分かりますよね。ドルは、安心して「次の人に受け取ってもらえる」通貨だからです。

貨幣の本質は、「信用=クレジット」なのです。「次の人が受け取ってくれる」というのが本質です。

「元」を国際通貨にしたい?中国の思惑と、「元」を信用するかどうかという他国民の間には、とてつもなく大きな開きがあるのです。

「元を今日から国際通貨にします」と言ったところで、「信用」に基づく通貨市場が、それを買うかどうかは別問題なのです。

信用というのは、こういうことです。
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comment

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No title

上念司理論では、「基軸通貨とは加山雄三です」。(詳しくはチャンネルグランドストラテジーで検索ください。)

No title

そうなんですか。

私の話は、岩井克人「貨幣論」の話です。経済学者は、よく引用しています。曖昧模糊としていますが、結局「幻想」というものです。

「次の人が受け取ってくれる」かどうかなので、まあ、高級時計でも土地でも何でもいいのですが、今のところ、キャッシュが一番信用調査に時間がかからず、即時に決済できます。

高級時計を出されて、「これ少なくとも40万の価値があるから・・」と言われても、すぐには取引は成立しません。

日本国内の場合、「円」通貨の信用は、抜群です。誰も、疑っていません。これは、凄い事です。原価2円程度の紙が、「1万円」の価値がある・・と信用しています。

国債=この円通貨そのもののことですから、国債下落=円下落=インフレ・円安・金利高のことです。

例えば、ブラジルやウクライナ・・通貨価値下落→インフレ→インフレ抑えるために金利引き上げ→投資減・・・

最悪ですね。

今のところ、「円」通貨は、世界の信用があり、「ドル」「ユーロ」「ポンド」並みです。

予定稿で扱いますが、「信用」は、取引にかかるコストを下げます。信用調査のためのコストはものすごくかかります。

企業内取引や、ケイレツ取引、老舗・・というのは、この取引費用を抑えます。

見えざる手では、財・サービス市場では、相手の顔が見えなくても、価格によって取引が可能ですが、もう一つの「労働市場」や、実際の「契約」市場では、信用が、「見えざる手」のキーワードです。相手がいる市場です。だから、スミスは「道徳=公平な観察者」が必要だとしています。

市場は、「相手の顔が見えなくても成立する市場」と、「相手がいる市場」の2つで成り立っています。

相手が見えない市場では、自己利益という「効率」性だけを追求しても構いません。

「相手が見える市場」では、「公平」性が重要視されます(例えば、労働市場)。この市場でのキーワードは、「信用」です。

貨幣は、この信用を、保証するものです。アルゼンチンのように、「ニセ札」が日常的に使われる国では、おっかなくて、タクシーのおつりをもらうのも、一苦労です。「コスト」がかかると言うのは、こういうことです。

No title

岩井克人「貨幣論」を、早速図書館に予約しました。参考書を教えていただけると、助かります。ありがとうございました。

No title

もう、ユーロ圏の銀行や、邦銀は、中国投資を引き上げています。住宅投資がバブル崩壊の可能性があると言う事です。

中国の銀行は「国営」「公営」ですから、何があっても、不思議ではありません。

日米欧の金融機関は、たとえ、大統領が「シェイム・オン・ユー」と言えども、経営にはタッチできません。

国家権力から独立しているというのが、中国との決定的な違いです。

No title

アメリカも偽札のせいで、クレジットカードが普及しやすかった。
という話がありますね。
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