おそろしい・・・
官庁エコノミストのブログ
「景気ウオッチャー調査と経常収支の統計から何が読み取れるか?」
おそろしい。ここまでトンデモを書くのを、久しぶりに見ました。
BLOGOS記事だったので、元記事を見ると、
勤続30年のキャリアの国家公務員にして、官庁エコノミスト。在外の大使館において経済アタッシェをしたり、途上国への経済協力で計量モデルを回したり、地方大学の経済学部で日本経済論を教えたりと、エコノメの分かる国際派エコノミストを自称。
と、官庁のエコノミストだそうです。しかも、経済学部で経済を教えているそうです。で、「経常黒字が改善」という日経記事を「上手くまとまっています」とほめ、貿易黒字が「競争力」に基づくだの、国際収支の各項目を、「(海外からの)稼ぎ」だの、アホかという話のオンパレードです。
まず、このエコノミスト?は日経記事を引用し、「よく取りまとめられた記事」ですと。
経常黒字、4年ぶり増加 14年度7兆8100億円
財務省が13日発表した2014年度の国際収支状況(速報)によると経常収支は7兆8100億円の黒字だった。経常黒字額は、貿易赤字が膨らんだ13年度の1兆4715億円から回復した。増加は4年ぶり。円安を背景に訪日する外国人が増え、旅行収支が改善した。外国債の利払いや外国株式の配当などの投資収益も増加した。
貿易収支は6兆5708億円の赤字(前年度は11兆187億円の赤字)だった。原油価格の下落で原燃料の輸入額が減少。円安で円換算の輸出額が増えたことで収支が改善した。外債の利払いや外国株の配当が増え、第1次所得収支は19兆1369億円の黒字(同17兆3820億円の黒字)だった。
同時に発表した3月の経常収支は2兆7953億円の黒字(前年同月は1306億円の黒字)だった。黒字は9カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は2兆655億円の黒字だった。貿易収支は6714億円の黒字、第1次所得収支は2兆3265億円の黒字だった。
で、自身は、このように感想を書きます。
次に、経常収支のグラフは上の通りです。引用した記事にもある通り、3月の経常収支は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスである2兆円強からかなり上振れし、大きな黒字となりました。1月の貿易黒字の後、2月は春節で貿易赤字を記録し、3月は再び貿易黒字となっています。貿易収支の先行きについては国際商品市況の動向にもよりますが、LNG価格が石油に遅行しますので、目先でもう少し貿易黒字が拡大する余地がありそうな気がします。ただし、どこまで経常黒字が拡大を続けるかは現時点では不明です。
また、観光に関して、サービス収支のうちの旅行収支が+2099億円の黒字と1959年度以来55年振りの黒字を記録するとともに、知的財産権等使用料が統計を取り始めた1996年度以降で最大の黒字を上げています。この2点ともに円安がそれなりに寄与していることは忘れるべきではありませんが、もしも、各収支項目が競争力に基づいて自律的に決定されると考えるのであれば、こういった収支項目を世界経済からの稼ぎ手と見るエコノミストがいるのかもしれません。
で、余りに酷いので、下記の、中学教科書と、高校資料集をコメント欄に書いたところ、削除され、今は拒否状態です(笑)。
東京書籍 「新しい社会 公民」H27 p145
貿易を拡大していくことは、その国の利益になります。しかし、むかしから貿易をめぐる国家間の争いは絶えません。1つの理由は、輸入が輸出を大幅に上回って貿易の赤字が拡大すると、国が貧しくなると考えられたことです。確かに家計の場合であれば、支出が収入を上回ると、その差額は家計の赤字となり、その差額は借金でうめなければならないので、大幅な赤字は好ましいことではありません。しかし、貿易の場合には、赤字は企業や家計の借金になるわけではなく…ただちに国が貧しくなるというわけではありません。
もう一つの理由は…安価な輸入品が国内にたくさん入ってくると、国内産業を保護するために、国による輸入規制が行われることがあります。すると相手国が対抗措置をとり、これに対して報復をするというように、報復合戦が繰り返されます。一国の輸入規制に他国もまた輸入規制で応じると、貿易そのものが縮小し、ときには戦争に発展していくこともあります。第二次世界大戦の原因の一つはこのような貿易紛争にあったといわれています。
とうほう「政治・経済資料2015」p337
経常収支赤字は国内の資金不足を海外(資金余剰の国)からの資金調達で補った結果であり、貿易取引や国際金融では当たり前に起こることで、「経常収支赤字=悪」「経常収支黒字=善」という発想を取らない。
東学「資料政・経」2015 p375
貿易黒字はもうけ、赤字は損ではなく、貿易黒(赤)字は、海外投資と同意なのである。

世界GDPは世界GDEです。
日本GDP500兆円世界500兆円とします。
日本480兆円内需+貿易(経常)黒字20兆円=世界貿易(経常)赤字20兆円+500兆円、世界は520兆円分の消費をしています。
日本は、消費を所得以下に抑え、海外に20兆円も投資し、これが貿易(経常)黒字です。
20兆円が30兆円に増えると、「改善」「稼ぎ」で、海外が520兆円消費が530兆円消費になると、「赤字」だから、損ということになります。
あれれ?国内投資せずに、海外投資=貿易黒字を増やせば増やすほど、「産業は空洞化?????」するのでは?????(笑)
これで、公務員エコノミストだそうです。終わっています。
経済学的思考のすすめ
岩田 規久男
P27
日本では、経済学を学んだことのないビジネスマンや新聞記者はもちろん、文芸作家であれ、漫画家であれ、医者であれ、テレビのニュースーキャスターであれ、お笑いタレントであれ、誰もが円高や不況やデフレなどの原因、さらに日本の財政破綻などについて、経済学の専門家顔負けで語る。まさに、シロウト経済学花盛りである。
しかも、シロウトが書いた経済本は経済学者の書いたものより分かりやすいらしく、よく売れる。
確かに、「太陽は地球の周りを回転している」という説明(つまり、シロウト経済学)のほうが、人々の観察と一致しており、「いや、実は地球が太陽の周りを回転している」(つまり、経済学者の議論)という説明よりもはるかに分かりやすいであろう。
しかし、第2章で示すように、シロウト経済学にはでたらめが多い。それらがよく売れるのだから、それだけ、日本国民の中にでたらめを信じている人が多いことになる。これは捨てて置けない状況である。