世代間格差 その2
<追記>
日銀が、事実上のインフレターゲット(アメリカと同じゴールと表記)を導入しました。国債買い入れも10兆円規模で増やします。本当は、まだ小出し(責任回避)ですが・・
市場は、すぐに反応しました。
①円安
②株高
金融緩和の目的です。
金融緩和継続
↓
予想インフレ率に影響
↓ ↓
①為替相場 ②株式市場
↓ ↓
円安・輸出増 資産効果
詳しくは、『日銀理論』
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-591.html
を参照ください。
ただし、日銀が時間稼ぎをしている間に、自律的な経済回復(長期的には規制緩和などの市場活性化政策)をしないと、すぐにしぼんでしまう効果しかありません。
といっても、既得権益保護しか考えていない政治や、権限維持にこだわる官僚では、どうしようもないでしょうけど。
ここを突破する政治力を、国民が求めているのでは?橋下現象のように。
<追記2>
日経H24.2.18

<世代間格差 その2>
定義は様々ですが、「現在の高齢者の社会保障負担と、若年層の社会保障負担では、後者の方が大きい」というような例、あるいは「経済的な格差」などが言われています。
参考・引用文献 (グラフ・図も)
加藤久和『世代間格差』ちくま新書 2011

高齢者の増加に伴って、年金支払いの先送りとともに、高齢者雇用の義務付けが、俎上に上っています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111228-00000009-fsi-bus_all
厚労省審議会が報告書 65歳まで再雇用を義務付け
フジサンケイ ビジネスアイ 2011年12月29日(木)8時15分配信
厚生労働省の労働政策審議会の部会は28日、企業に対し、希望者全員を原則65歳まで再雇用するよう義務付ける報告書をまとめた。2013年度から厚生年金の支給開始年齢が引き上げられるため、雇用を延長し、退職から支給開始までに無収入の期間が生じることを防ぐ。報告を踏まえ、厚労省は高年齢者雇用安定法の改正案を来年の通常国会に提出、13年4月の施行を目指す。
さて、よく言われる、「高齢者雇用を増やすと、若者の就業にしわ寄せがいく」という話です。実際にはどうなのでしょう?

実際には、高齢者の雇用増加=若者雇用増という、有意な相関になっています。つまり、景気が良ければ、雇用者全体が増えるのです。若者の就職の場は、「高齢者に譲ってもらう」のではなく、景気回復をすることで増えるのです。

実際に、2002年→2007年の戦後最長の景気回復期には、若年者失業率は低下しています。
では、なぜ、「高齢者雇用を増やすと、若者の就業にしわ寄せがいく」と考えるのでしょうか?それは「ゼロ・サムゲーム」の考え方に染まっているからです。
ゼロサムとは、全体の量が一定で、どちらかが増えればどちらかが減るというものです。

麻雀ゲームですかね。全体の点棒が決まっていて、それをプレイヤー間でやり取りして「勝ち負け」を決める。
昔の、地方公共工事の「談合」も、この状態だったから起きました。全体の予算額は一定。だから、皆で仕事を分け合って、共存共栄する・・・。今は、公共工事額自体減少していますので、「談合」すら成り立たなくなってしまいましたが・・。
でも、マクロの経済現象に、こんなことはありません。なぜなら、パイ(全体の点棒)は常に動くからです。しかも、多くの場合、パイは拡大しています。
「円高になれば輸出は減る」これも、「ゼロ・サム思考」の典型例ですね。


世界のGDP、また輸出額がこれだけ伸びている(要するに世界全体のパイが拡大)のに、為替の変動(数ある輸出に影響する要因の一つ)で、因果関係のごとく、「円高→量や絶対額が減る」なんて、あり得ません。
日本のGDP(名目ドル) 輸出・輸入額推移



(こういうと、「いや、為替は輸出に影響を与える・・・」と細かな数値を出す人もいますが、そんなことは当然で、「影響がない」などとは、一言も言っていません。しかも、為替安=輸出増です)
ついでに。輸出増=輸入増です。これもあたりまえなことで、「世界全体の輸出額」を反対側から見ると「世界全体の輸入額」だからです。
「輸出を伸ばし輸入を抑える」などということが可能であるなら、世界の一方に「輸入を伸ばし輸出を抑える」という、殊勝な?国がないと成立しません。

これもそうでしたね。日本企業のシェア(これは100%が上限なので、ゼロサムのように見える)は低下しているものの、売り上げは伸びていましたよね。
<七五三>
新卒後3年以内の離職率が、大卒3割、高卒5割、中卒7割というもので、七五三現象と言われています。

まず、実態ですが、長期的にみると、最近の現象ではなく、昔から(こういうとすごいあいまいですが、このグラフに現れた90年以前も同じです)あったことが分かります。
同書では、データが限られた上での分析ですが、「就職率の低い卒業年の大学生ほど3年以内離職率が高い」としています。

理由は、「新卒の就職状況が厳しくなるほど就職の選択先が限られると、結果的に学生と企業の就業条件などに関するミスマッチが生じ、これが短期間の離職をもたらすと考えられる」そうです。
<社会保障大=経済成長率低>
社会保障が経済成長を阻害しているそうです。
下図は80年→01年の、OECD26か国の分析です。社会保障比増で、成長率低という負の相関になるそうです。

1社会保障負担の増大による消費の低下
2企業負担増による投資減
3働くことのインセンティブ低下による労働供給減
4年金などの充実は資本ストックの源泉である民間貯蓄を減少させる
5所得再分配を促進するが、非効率な政府の関与拡大である
6財政赤字をもたらし、市場の長期金利を上昇させる
などの要因が考えられるそうです。
同書の結論です。
「本質的な問題は、高齢者と若者の間の損得といったことではなく、われわれの経済社会の制度・システムが制度疲労をおこしており、持続可能性が失われつつあるということ」
「社会保障と税の一体改革」は、世代・政党間の対立を超えて、長期的には必ず行わなければならないものです。
日銀が、事実上のインフレターゲット(アメリカと同じゴールと表記)を導入しました。国債買い入れも10兆円規模で増やします。本当は、まだ小出し(責任回避)ですが・・
市場は、すぐに反応しました。
①円安
②株高
金融緩和の目的です。
金融緩和継続
↓
予想インフレ率に影響
↓ ↓
①為替相場 ②株式市場
↓ ↓
円安・輸出増 資産効果
詳しくは、『日銀理論』
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-591.html
を参照ください。
ただし、日銀が時間稼ぎをしている間に、自律的な経済回復(長期的には規制緩和などの市場活性化政策)をしないと、すぐにしぼんでしまう効果しかありません。
といっても、既得権益保護しか考えていない政治や、権限維持にこだわる官僚では、どうしようもないでしょうけど。
ここを突破する政治力を、国民が求めているのでは?橋下現象のように。
<追記2>
日経H24.2.18

<世代間格差 その2>
定義は様々ですが、「現在の高齢者の社会保障負担と、若年層の社会保障負担では、後者の方が大きい」というような例、あるいは「経済的な格差」などが言われています。
参考・引用文献 (グラフ・図も)
加藤久和『世代間格差』ちくま新書 2011

高齢者の増加に伴って、年金支払いの先送りとともに、高齢者雇用の義務付けが、俎上に上っています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111228-00000009-fsi-bus_all
厚労省審議会が報告書 65歳まで再雇用を義務付け
フジサンケイ ビジネスアイ 2011年12月29日(木)8時15分配信
厚生労働省の労働政策審議会の部会は28日、企業に対し、希望者全員を原則65歳まで再雇用するよう義務付ける報告書をまとめた。2013年度から厚生年金の支給開始年齢が引き上げられるため、雇用を延長し、退職から支給開始までに無収入の期間が生じることを防ぐ。報告を踏まえ、厚労省は高年齢者雇用安定法の改正案を来年の通常国会に提出、13年4月の施行を目指す。
さて、よく言われる、「高齢者雇用を増やすと、若者の就業にしわ寄せがいく」という話です。実際にはどうなのでしょう?

実際には、高齢者の雇用増加=若者雇用増という、有意な相関になっています。つまり、景気が良ければ、雇用者全体が増えるのです。若者の就職の場は、「高齢者に譲ってもらう」のではなく、景気回復をすることで増えるのです。

実際に、2002年→2007年の戦後最長の景気回復期には、若年者失業率は低下しています。
では、なぜ、「高齢者雇用を増やすと、若者の就業にしわ寄せがいく」と考えるのでしょうか?それは「ゼロ・サムゲーム」の考え方に染まっているからです。
ゼロサムとは、全体の量が一定で、どちらかが増えればどちらかが減るというものです。

麻雀ゲームですかね。全体の点棒が決まっていて、それをプレイヤー間でやり取りして「勝ち負け」を決める。
昔の、地方公共工事の「談合」も、この状態だったから起きました。全体の予算額は一定。だから、皆で仕事を分け合って、共存共栄する・・・。今は、公共工事額自体減少していますので、「談合」すら成り立たなくなってしまいましたが・・。
でも、マクロの経済現象に、こんなことはありません。なぜなら、パイ(全体の点棒)は常に動くからです。しかも、多くの場合、パイは拡大しています。
「円高になれば輸出は減る」これも、「ゼロ・サム思考」の典型例ですね。


世界のGDP、また輸出額がこれだけ伸びている(要するに世界全体のパイが拡大)のに、為替の変動(数ある輸出に影響する要因の一つ)で、因果関係のごとく、「円高→量や絶対額が減る」なんて、あり得ません。
日本のGDP(名目ドル) 輸出・輸入額推移



(こういうと、「いや、為替は輸出に影響を与える・・・」と細かな数値を出す人もいますが、そんなことは当然で、「影響がない」などとは、一言も言っていません。しかも、為替安=輸出増です)
ついでに。輸出増=輸入増です。これもあたりまえなことで、「世界全体の輸出額」を反対側から見ると「世界全体の輸入額」だからです。
「輸出を伸ばし輸入を抑える」などということが可能であるなら、世界の一方に「輸入を伸ばし輸出を抑える」という、殊勝な?国がないと成立しません。

これもそうでしたね。日本企業のシェア(これは100%が上限なので、ゼロサムのように見える)は低下しているものの、売り上げは伸びていましたよね。
<七五三>
新卒後3年以内の離職率が、大卒3割、高卒5割、中卒7割というもので、七五三現象と言われています。

まず、実態ですが、長期的にみると、最近の現象ではなく、昔から(こういうとすごいあいまいですが、このグラフに現れた90年以前も同じです)あったことが分かります。
同書では、データが限られた上での分析ですが、「就職率の低い卒業年の大学生ほど3年以内離職率が高い」としています。

理由は、「新卒の就職状況が厳しくなるほど就職の選択先が限られると、結果的に学生と企業の就業条件などに関するミスマッチが生じ、これが短期間の離職をもたらすと考えられる」そうです。
<社会保障大=経済成長率低>
社会保障が経済成長を阻害しているそうです。
下図は80年→01年の、OECD26か国の分析です。社会保障比増で、成長率低という負の相関になるそうです。

1社会保障負担の増大による消費の低下
2企業負担増による投資減
3働くことのインセンティブ低下による労働供給減
4年金などの充実は資本ストックの源泉である民間貯蓄を減少させる
5所得再分配を促進するが、非効率な政府の関与拡大である
6財政赤字をもたらし、市場の長期金利を上昇させる
などの要因が考えられるそうです。
同書の結論です。
「本質的な問題は、高齢者と若者の間の損得といったことではなく、われわれの経済社会の制度・システムが制度疲労をおこしており、持続可能性が失われつつあるということ」
「社会保障と税の一体改革」は、世代・政党間の対立を超えて、長期的には必ず行わなければならないものです。
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