国はウソをつく その1

<原発をめぐる報道の裏側>

国は、都合の悪い情報を隠します。

大手メディアも、同様のようです。

このレポートが事実とすれば、やっていることは、戦前の「大本営発表」と全く同じです。大マスコミが「真実を書かない」のも、全く同じです。


上杉隆『福島原発 衝撃の真実 官邸、東電、大メディアの原罪』週刊文春1月5日・12日号。 

 震災直後、東京電力は被災地に電気を送るためと称して「輪番停電」の実施を発表した。だが私にはすぐにこれがプロパガンダであることが分かった。なぜならその発表直前、情報源の1人から「明日にも原子力発電所の必要性を強調するため輪番停電を宣言するぞ」という情報提供を受けていたからだ。

 実は東電管内の17基の原発をすべて止めても、水・火力発電所の稼働で管区内の総電力をまかなえる―という情報を柏崎刈羽原発事故当時のデータとともに提供されていた。この反論材料を持って、私は…輪番停電会見に臨んだ。

…このやりとりを報じたメディアは私の知っている限り一社もない。むしろ、輪番停電は被災地のために必要なのだという東電の根拠の薄いデマを広めるありさまだった。

 結局計画停電そのものが無意味で、しかも東北の被災地には東京から電力を送るとことはできないという正しい情報がメディアによって遠慮がちに伝えられたのはそれから半年以上経ったときのことであった。

今年夏も、同様のようです。 

<電力需給>政府今夏試算「6%余裕」伏せる
毎日新聞 1月23日(月)2時30分配信
 今夏の電力需給について「全国で約1割の不足に陥る」と公表した昨夏の政府試算について「供給不足にはならない」という別の未公表のシナリオが政府内に存在したことが、分かった。公表した試算は、再生可能エネルギーをほとんど計上しないなど実態を無視した部分が目立つ。現在、原発は54基中49基が停止し、残りの5基も定期検査が控えているため、再稼働がなければ原発ゼロで夏を迎える。関係者からは「供給力を過小評価し、原発再稼働の必要性を強調している」と批判の声が上がっている。

 ◇再生エネ除外、「不足」のみ公表

 公表された試算は、東京電力福島第1原発事故を受け、エネルギー戦略を見直している政府のエネルギー・環境会議が昨年7月にまとめた。過去最高の猛暑だった10年夏の需要と全原発停止という想定で、需要ピーク時に9.2%の供給不足になると試算した。

 この試算とは別に、菅直人首相(当時)が昨年6月下旬、国家戦略室に置いた総理補佐チームに、電力需給の実態把握を指示。経済産業省に対して、発電所ごとの設備容量・稼働可能性、地域ごとの再生可能エネルギーの稼働状況など、試算の根拠データの提出を求め、再試算させた。

 その結果、現在の法律に基づいて電力会社が調達できる再生可能エネルギー容量は759万キロワット(原発約7基分)あったのに、公表された試算は供給ゼロだった。また、一部火力発電所で定期検査による稼働停止時期を猛暑の8月に設定したり、大口契約者への格安電気料金と引き換えに需給逼迫(ひっぱく)時の利用削減を義務づける「需給調整契約」による削減見込みもゼロとしていた。夜間の余剰電力を昼間に利用する「揚水発電」の供給力も低めに設定されていた。

 再生可能エネルギーによる電力供給などを盛り込むシナリオで計算し直すと、電力使用制限令を発動しなくても最大6.0%の余裕があった。再試算は昨年8月にまとまり、菅首相に報告されたが、公開されなかった。



 なぜメディアは事実を報じることができないのか。

…「会長にお伺いします。今東電管内の大口事業主などに対して節電や停電の協力を呼びかけていらっしゃいます。一方で、民間放送など民放テレビに節電すらお願いしていませんね。…なぜ電力消費量の多い民放テレビさんにはお願いしないんですか?」

…「え、はい。テレビ局さんにも広告を出しますから」

…意味を取れない私が、勝俣会長の真意を理解したのはその日の夜、情報源からの電話によってだった。

「上杉君、あれ、勝俣さんは君の事をおどしていたんだよ。きっと新聞記事かテレビ局の記者と勘違いしていたんだろうな。何しろ生まれてこの方おそらく批判的な質問などされたことないから、広告費をちらつかせたんだ



…実際、東京電力の年間の対メディア広告費は200億円を超える。電気事業連合会全体(沖縄電力含む10社)では860億円。もちろん日本一のクライアント(広告主)である。だから、勝俣会長がそうした脅しを行ったら、どのメディアも反応出来ないのだろう。



震災直後に清水社長が消えた件について。入院したとの報道については、


…病院ではなく、まさしくオペレーションルーム(筆者注:東電本店二階)の一角にいたのだ。「二階の奥の医務室に入院していました」…東京電力では会社で休養することを入院するというらしい。


政府も同じです。


3月下旬に周辺の海水から法定限度の2000倍以上の放射性物質が検出されていました。記者会見で話題になっていましたが、出元が不明でした」政府はそうした都合の悪い情報を黙殺したばかりか、調査しようとしなかった

 そして4月2日、東電は、2号機取水口付近から汚染水が大量に海に流出している写真をいきなり公開した。…官邸がいうような「漏れている」というレベルでは到底なかった。

…このような驚くべき事態が残念ながら大手メディアで報じられることはなかった。何しろこの時期、すべての大手メディアは最大のクライアントを失うことを恐れるあまり「安心」「安全」を連発し誤報の山を築いていた頃だったからだ。

…事故直後、枝野長官は3km 圏外への退避を勧告しておきながら、次には10キロその次には20キロまたその次には30キロと広げていった。

…この時期、文科省がヒタ隠しにしていたSPEEDI(筆者注:事故時の放射線の流れを予測するシステム)の全データは官邸に報告されていた。しかも壊れたと証言していたモニタリングポストの数値も、実は事故発生直後から代替の車載器等によって計測され、官邸に上がっていたのだ。

 そうした危険な数値を知りながら「情報が確実ではない」として枝野長官は発表を控えるばかりか、みずからの政治責任を回避し続けたのであった。

 「今回出た京ベクレル数になるというような推定・推測の話は3月中に、報告を受けていました。ただ、まさにその数値が確実性のない数字ではなくて、かなり確からしい数字であるということがようやく確定したので、それを受けてレベル7への引き上げを行ったということです」(4月14日)

 そう、すでに3月、みんな知っていたのだ。官邸も、政府も、東電もそして大メディアも原発が危険な状態にあることに気づいていたのだ。だから彼らの中には家族を早々と地方や外国に避難させるものがたくさん現れたのである。



SPEEDIの予測データは当たっていました。

http://www.youtube.com/watch?v=UNjQ8hS7r7A
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110325-OYT1T01048.htm
など、参照


 放射能がまさに流れている地域に、わざわざ住民が避難したのです。なぜ万が一の事故のために、何百億円もかけたシステムの情報を公開しなかったのか。政府によると「パニックを恐れたから」だそうです。


…そして摩訶不思議なのはこれだけ事故を起こしながらも東電を守ろうとする姿勢だ。大手メディアだけではない。官邸の中枢、特にそのトップや与党の要の幹事長ですら同じであった。

…また、5月には原発事故を扱う政権中枢の議員に役人たちが繰り返し「レク」という形の洗脳を始めていた。「仮に被曝しても細胞は再生するので問題はありません。特に子供の細胞の再生が早いから心配することもありません

 内部被ばくや染色体の損傷を度外視した極端な意見の一つだが、こんな常識はずれの見解がさも当然のように政府内で語られ始めていたのは事実だ。メルトダウンをしているはずがない、汚染水があふれて敷地外に流れだすはずがない、被爆しても再生できるはずだ、そう信じたかったのだろうか。これではいつかは、神風が吹くと、勝算のない前線に国民を送り出したかつての戦争指導者と変わるところはない


<では、そのかつての戦争指導者>

 以前、1月15日の記事で、アメリカとの戦争に突入した時、大東亜共栄圏での「自存自衛(共存共栄の反対)」をスローガンにしたと書きました。

 でも、永野修身軍令部総長(軍令部は海軍の事実上のトップ=制服組:背広組=海軍省)が、確かに「自存自衛」を言いましたが、自身も、誰も、こんなことをまともに信じていたわけではありません。単なる言霊(ことだま)です。

 海軍(海軍省という官僚機構)は、省益・・つまりカネと勢力拡大を追求したまでで、ずるずると戦争に引きずり込まれました。
 海軍勢力拡大のために、長年にわたり「予算」拡張をしておきながら、いざとなったら、「できない」とは言えない・・・


引用 参考文献
NHKスペシャル取材班 『日本海軍400時間の証言』 新潮社 2011


日本海軍 400時間の証言

 海軍の指導者層(参謀や、中佐、大佐以上の人たち)が語った、戦争の内幕です。海軍は上意下達ですから、先輩が鬼籍に入った(先輩が生きているときには、絶対に語ることが出来ない内容)、昭和50年代から行った、海軍反省会の証言です。

 まず、海軍が戦争に突入したのは、組織防衛のためです。

保品元中将 海軍兵備局長 
「僕は嶋田さん(開戦時の海軍大臣)に聞いたんです。もし陸軍が(言うこと)を聞かなかったら、あなた大臣をやめたらどうかって。嶋田さんが『お前、そんな子供らしいことを言うな』って(私に)言われたのを覚えているんです」

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 当時の日本は、軍部が作り出した危機によってがんじがらめになっていた。昭和12年、局地的な衝突から始まった中国との戦争は出口が見えないまま泥沼化していた。昭和15年にはいわゆる「援蒋ルート」を遮断するためにインドシナ北部に進駐し、翌年には、インドシナ南部にまで兵を進めた。

ウイキペディア
日中戦争


 中国を支援するアメリカは、日本の勢力拡大を阻止しようと、日本に対する石油輸出を禁じる経済制裁を発動。インドシナのみならず、中国からの撤退を求めた。時の陸軍大臣東條英機中将は、これまでの戦闘で数十万に上る死傷者を出しており、今さら撤退はできない、撤退すれば陸軍はガタガタになる、統制できなくなるとし、対米強硬論を主張していた。

―――――

「(嶋田大臣は)、『もし自分が(対米開戦に)反対すれば、陸軍が内乱を起こす』というんですよ。内乱が起こったら、今の状態よりも悪くなるから、向こうから押し付けられてね、始末ができなくなると」



軍令部作戦課参謀 佐薙元大佐
「内乱の発生の恐れがあったかどうかという問題につきましてね、私、当時軍令部におりまして、ワーキングレベルで陸軍と接しておった感触から言いますと、私は内乱が発生すると、こう思っておりました当時の国内の状況をね、国内の日本の世論はですね、マスコミもあれですし、政治家もあれしている時に、アメリカの言いなりになればですね、これはもう内乱が発生すると。陸軍は少なくとも参謀本部の我々の接触する範囲ではそういう空気。私もやっぱり、このままアメリカの言い分を飲み込めば、内乱は必至だと、こう感じておりました。率直に」

「内乱を起こすと人数上ですね、海軍は(陸軍に)かなわないから、何ヶ月後にはですね、(海軍が)鎮定されて、結局そういう連中、右翼の内閣ができてですね。時期失して、日本としては不利な時期に戦争をやらなきゃならぬということになると。そういうことよりも、どうせ戦争をやらぬきゃならぬというのならですね、少しでも勝ち目のある間にあるべきだということが僕(永野総長)の考えだと、こういわれましたね」


----

 なぜ中国戦線で、ほとんど犠牲者を出していない海軍がここまで開戦に前のめりだったたのか、その理由が組織防衛にあったとは・・・。
 
 国家の存亡、国民の命がかかっていたこの時期に、海軍首脳部は自分たちの組織のことばかり考えていたのである。

 豊田元大佐が、軍部は「陸海軍あるをしって国あるを忘れていた」自己批判するが、 海軍を守るために一か八かアメリカと戦争するというのは、まさに「海軍あって国家なし」という思考そのものである。


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本名元少佐
「この開戦はこういうわけで、自存自衛のために戦争ざるを得ないという、そういう考えでやったんだという、そういう考えが全然出ていませんけれども
「担当の者が、本当に日本の自存自衛のために、日本の独立を守っていくためには戦争せざるを得ないんだと、そういう考えで戦争に走ったと思うんですよ。そうじゃないんでしょうか


大井元大佐
「それだと非常に良いんですがね、そうじゃないから問題になっているんですよ


本名
「陸軍の将校が、一部立身出世のために何の計画もなしにですね、名義のない、強盗侵略戦争をやったということが、それは事実なんですか。それを我々は認めるわけですか」


大井
「(戦争に)負けると思った方は、内乱を恐れてやったと。内乱を起こそうという連中はですね、勝つと思っていたわけです」


保科元中将
東條さんがね、最後に開戦の決を決めるときに、『海軍が反対すりゃできません』といった。戦争はね、そういうことは、海軍が反対すれば戦争、要するに陸軍もどうにもしようがないということなんだね。海軍が戦わなきゃ、アメリカと戦争できないでしょ。軍令部は内乱が起こるという。内乱が起こったってね、海軍が反対すれば結局戦争にならない。あれだけの人を殺して戦争するよりも、そういうことで若干譲歩をしてね、そして決をとる方法があったんじゃないですか。いわゆる大戦略だな。そういうことが足らなかったなということは、これは反省していいと思うんだ、当然」


 高田元少佐
「それはね、それはね、デリケートなんでね、予算獲得の問題もある。予算獲得、それがあるんです。あったんです。それそれ。それが国策として決まると、大蔵省なんかがどんどん金をくれるんだから。軍令部だけじゃなくてね、みんなそうだったと思う。それが国策として決まれば、臨時軍事費がどーんと取れる。好きな準備がどんどんできる。準備はやるんだと。固い決心で準備はやるんだと。しかし外交はやるんだと。いうので11月間際になって本当に戦争するのかしないのかともめたわけです」

「だから、海軍の心理状態は非常にデリケートで、本当に日米交渉妥結したい、戦争しないで片付けたい。しかし海軍が意気地はないとか何とか言われるようなことはしたくないと、 いう感情ですね。ぶち明けたところを言えば」

軍人であってもヒト、モノ、カネを取れる人が出世していたのが実態ですよ。武人としてのプライドがあるから自分から話ませんが、そこは今の官僚と同じなんですよ」


 次回は嘘に次ぐ嘘です。
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