<親の経済力と子どもの学歴の相関関係>
<親の経済力と子どもの学歴の相関関係>
プレジデント 2010年10.18号
http://president.jp.reuters.com/article/2010/09/25/3DD229AC-C79E-11DF-93BD-14D73E99CD51.php

「保護者の年収が高い世帯ほど子どもの学力が高い」――。
2008年度の「全国学力テスト」を受けた公立小学校の6年生について、文部科学省の専門家会議は09年8月、学力と経済力の調査結果を公表した。学力が高ければ本人の学歴にプラスに反映するのは自明の理。それを裏返せば、経済力のない家庭の子どもの学力は相対的に低く、学力の低さはそのまま低学歴につながることになる。参照の図のように母子家庭や父子家庭の親が抱える悩みの1位「教育・進学」が2位以下を圧しているのもそれを強く裏付けている。経済力のない親が子どもの教育や進学について自覚的に悩みを抱えているというのなら、まだ救いがあろうというものだ。
東京都江戸川区で福祉事務所のケースワーカーを中心とした区職員の有志が無料で週2回、中学3年生に勉強を教える「江戸川中3勉強会」。過去5年間の参加者は123人で、公立・私立の全日制に74人、定時制に44人、通信制の高校に5人を進学させている。特徴的なのは、参加者の48%の59人が生活保護受給者ということ。この勉強会の代表を務める徳澤健氏に話を聞いた。
「ここに来なかったらどうなってしまうかわからない子ばかりです。中卒で社会に出て挫折し、世帯主として生活保護に戻ってくる状況=貧困の再生産を止めるには少なくとも高校進学が必要なのではないか、という思いのもとで設立されました」
「江戸川中3勉強会」に参加している中学3年生の成績は5段階評価でオール2前後の子が多く、不登校の子もいる。高校を中退したり、中学卒業後に「やっぱり高校に行きたい」と参加する子も少なくない。掛け算の99やアルファベットも書けないような子も毎年数人おり、自分の住所が漢字で書けない子やカタカナが読めない子もいるという。
これらの生徒たちの家庭環境、そして親たちはどうか。
「母子家庭、父子家庭といったひとり親世帯の子が多く、親や兄弟が高校に進学していないか卒業していない、また非正規雇用やフリーターとして生計を成り立たせている親が多いために子どもと向き合う時間もなく、子どもは高校進学に意味を見出せなくなっています」(徳澤氏)
その揚げ句、「落ち着いて勉強する部屋はなく、幼い弟妹の世話をして1日が終わってしまう」「働いている母親に代わり、家庭の食事はすべて自分が作るかコンビニ弁当」「アルコール依存症の親が突然暴れだすので、家に帰れず公園で時間を過ごしている」「中学校には行ったけど、給食だけ食べて帰ってきた」と話す子どもがたくさんいるという。
経済力と、学力の相関は、教育現場では自明です。進学校ほど、親の学歴・収入は高く、底辺校ほど、親の収入・学歴は低いというものです。
ただ、この因果関係は?です。収入低いと子供の学力が低いのか、もともと学力の低い親世代だから収入が低いのか。一方、長期で観察すると、後者にも一理ありそうです。
<ルポ 生活保護>
本田良一著 中公新書 2010
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AB%E3%83%9D-%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E2%80%95%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E3%82%92%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%99%E6%96%B0%E3%81%9F%E3%81%AA%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%9C%AC%E7%94%B0-%E8%89%AF%E4%B8%80/dp/4121020707/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1309913801&sr=1-1

引用ページは多岐にわたり、なおかつ前後しているため、省略します。
厚生労働省は09年11月、子供のいる世帯のうち、母子家庭などひとり親世帯の相対的貧困率を公表した。
…それによると、06年のひとり親世帯の貧困率は54.3%で、子供がいる世帯全体の貧困率12.2%、大人が2人以上いる世帯の貧困率10.2%を大きく上回った。

北海道釧路市です。北海道の東にあり、人口は、昭和56年(1981年)の21万8007人をピークに下がり続け、隣の釧路町、阿寒町などと合併し、かろうじて18万5038人(平成22年12月)を維持している街です。
炭鉱と漁業の町として栄えてきました。今後、この人口が、平成29年(6年後)には、16万人を切ることが予想される(釧路市HP)、過疎化の進行する街です。
釧路市の昨年12月末の生活保護率が過去最高の50.2パーミルに達したことが分かった。市民20人に1人が受給している計算。道によると、50パーミル突破は道内35市の中で、過去10年間で初めて・・・・。
…釧路市の生活保護率は1996年度の22.9パーミルを底にじわじわと上昇し、…09年12月末ついに50パーミルを突破した。
釧路市に限ったことではない。全国の保護率は、…95年度の7.0パーミルを底に反転し、2010年3月(速報値)には14.7パーミルへ上昇した。生活保護の受給者は(2010年3月速報値)は186万6157人に達した。
釧路市の、生活保護額です。
2005年度の釧路市市民経済計算によると…付加価値。…一次産業全体で111億3000万円で、ほぼ生活保護費に匹敵する金額になる(ちなみに、05年度の生活保護費の支給額は117億7000万円)。…「第4の基幹産業」になっている。
高校や、小学校で、授業料免除(高校では、平成22年4月から全員に支給されるようになりました)や、就学補助を受けている割合です。
…授業料減免措置…北海道教育委員会釧路教育局によると、…07年度は同教育局が管轄する釧路市と周辺市町の道立高校13校の生徒のうち17.6%(生活保護家庭を除く)が授業料の減免を受けた。これに授業料を含む高校就学費の支給を受けている、生活保護世帯の生徒を加えると…ほぼ4.5人に1人が国の支援制度を利用していることになる。
…小中学生の就学援助は釧路市の場合…ほぼ3人に1人の生徒児童が国の援助を受けている計算になる。07年度の釧路市の就学援助支給総額は2億9200万円、そのうちほぼ半分の1億5400万円が給食費だ。
…釧路市の07年度の割合26.2%は全国平均(12.5%)の2倍以上…。…全国平均の割合は生活保護家庭を含めると、07年度で13.7%になる。つまり、日本の児童生徒のうちほぼ7人に1人が就学援助または教育援助を受けていることになる。
…公立高校の授業料減免を受ける生徒について、…都道府県別ではトップの鳥取県が23.3%。次が大阪府の17.6%、福岡県15.9%、北海道14.8%…。
生活保護についてです。学歴と、見事に相関しています。
…釧路市…生活保護を受けている母子世帯の母親のうち、中卒(高校中退を含む)は34.3%、ほぼ3人に1人になる。これは全国の…小・中卒者の割合(11.1%)に比べると3倍になる。

一方、生活保護を受けていない母子世帯の母親のうち、中卒者(高校中退を含む)は14.3%と生活保護を受けている世帯の半分以下。高卒者は59.7%と、保護世帯の母親(50.4%)と比べると10ポイント近く高い。こうした学歴の様就業先の職種や就業形態ひいては収入に影響を与えているようだ。
この、生活保護は、親から子へ受け継がれているのです。
…貧困の再生産…。釧路市の生活保護を受けている。母子世帯の母親の3人に1人は中卒の学歴しかないが、その父親の42.3%母親の51.9%が中卒(高校中退を含む)だった。高卒者は父親で17.5%、母親で12.4%、中卒者の割合が本人以上に多く、高卒者の割合は中卒の半分程度から4分の1に過ぎない。低学歴の階層が受け継がれているのだ。
…「親が生活保護を受けていて、娘が結婚して、子供をつくって離婚。母子家庭になって家に戻り、生活保護を受けるというケースは多い。第2、第3世代が増えている」…。
…釧路市の共同調査報告書は、多くの母親が子育てに悩み、パソコンの利用率が低く、塾・習い事なども経済的理由でさせられないこと、子供も学校での交友関係が狭く、いじめや不登校など深刻な問題を抱えている家庭が多いことなどを紹介…。
北海道の不登校の実態・高校中退の実態です。
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ssa/grp/syoutyufutoukou.pdf

結局、中学校で不登校の場合、高校を卒業できない(数字上)ことになります。
この貧困の連鎖はあやゆる地域に共通です。
…大阪府堺市健康福祉局理事の道中隆氏…。…06年4月時点で堺市で生活保護を受けていた3924世帯のうち…世帯主の学歴が中卒(高校中退を含む)は、72.6%で、生活保護を受けて育った世帯主も25.1%…。
そのうち母子106世帯の母親について見ると、中卒は66.0%生活保護を受けた家庭で育ったのは40.6%…。
低学歴と貧困との強い結びつき…。…日本女子大学教授の岩田正美氏らが行ったホームレス調査ではホームレスの人々の学歴は「義務教育まで」が約6割であり、厚労省が2007年に行った全国ホームレス調査でも、学歴が中卒54.5%高卒31.5%短大専門学校卒2.9%大卒5.6%だった。

A自治体の保護廃止483世帯(2005年度)を対象にした調査分析…。学歴別の内訳は中卒316世帯(65.4%)高卒148世帯(30.6%)。短大卒以上10世帯(2.1%)、不詳9世帯(1.9%)と圧倒的に中卒が多い。…総じて世帯主の学歴が高いほど、受給期間は短くなる。
この生活環境は、成績に直結しています。
就学援助を受けている生徒・児童の割合が高いほど、学力が低くなるというデータがある。東京都23区のうち就学援助を受ける児童の割合が低い千代田区(2004年度6.6%)、目黒区(11.4%)、中央区(13.7%)と、割合が高い足立区(42.8%)、板橋区(35.6%)、墨田区(35.1%)について、04年度の小学5年生の学力調査平均点を比べると…前者のグループが後者のグループを上回っていた。東京23区の就学援助と国語の平均点の相関を調べると、就学援助の割合が低い程平均点が高くなるという相関関係が明確に現れた。
結論は、以下のようになります。
就学援助と学力との相関関係は親の所得によって子供の成績が左右されている現状…。
…学歴と貧困は密接に結びついている。
これと反対に、高学歴家庭では、教育に力を入れます。
…学歴の高い親は概ね比較的恵まれた年収の仕事に就き、経済的に余裕があるので、子供により高教育環境を与え、塾に通わせるなど多くの投資もできる。その結果、子供は高学歴となり、いい仕事に就く。東大生の親の年収分布にその一端を見ることができる。東京大学の学生生活実態調査(2007年)によると、親の年収が950万円以上の学生は51.3%と750万円以上~950万円未満は18.3%、450万円以上~750万円未満は17.7%、450万円未満は11.6%だった。
…東京大学の大学経営・政策研究センターが2006年3月、高校3年生3493人を対象に、高校卒業後の予定進路を聞いたところ、4年制大学へ進学予定者の割合は両親の年収が400万円以下では33.9%に過ぎないが、年収が上がるにつれて割合も高くなり、年収1000万円以上になると60.7%になった。
学力だけではありません。児童虐待が多いのも、生活貧困層です。
貧困は生活苦だけでなく、それに起因する様々な問題を生む。
その一つが自動虐待だ。三都道府県の17児童相談所で「児童虐待」として2002年度に保護した501ケースの家庭状況を調査したところ、生活保護家庭19.8%、市町村民税非課税世帯19.2%、所得税非課税世帯5.8%だった。生活保護世帯だけに焦点をあててみても同年度に生活保護を受けている子供たちは全体の1%以下しかなく、保護世帯では少なくとも20倍以上の割合で児童虐待が起きている。
貧困者の、学歴や、生育歴です。
釧路市の元土木会社員健児さん(56)仮名…。
…健児さんは釧路市で生まれ、育った。実は小学校から中学2年まで、家は生活保護を受けていた。給食費も修学旅行費も支払わなくてもいい。
…釧路市内…幸子さん(50)仮名…。
…幸子さんは釧路で生まれ、育った。29才で結婚、42才の時離婚し、中一の長男を筆頭に3才の女の子まで4人の子供を抱える母子家庭になった。…結婚前も会社勤めの経験はなく、ずっと生活保護と児童扶養手当などを受けて、暮らしていた。
…20代後半の男性Mさん。…両親が離婚したため、16才で一人暮らし。働きながら定時制高校へ通ったが、結局卒業できなかった。…病気にもなり、生活保護を受けることになった。…「オレは仕事を選ばないよ。何でもやる。でも、オレみたいに学歴も資格も車の免許もないヤツは、『あんたができる仕事はないよ』って感じで門前払い。
…M さんは「高校の資格より学歴はなくてもについてすぐに働ける資格や技術が欲しい」という。
…そこで支援員は介護ヘルパー2級の資格取得を進めた。
…ころあいを見て、就労支援員に紹介し、履歴書の書き方、面接の時の態度、服装などを助言して介護事業所の面接の挑み3ヶ所目で採用が決まった。
…勤務先は釧路市内の事業所だった。 M さんは運転免許も取得し、しばらくは元気に働いていた。保護もぬけた。ところが2ヶ月後、事務所から「無断で休んでいる」との連絡…。…M さんはその後、本州へいったらしい。
どうでしょう?学歴が低いから貧困層なのか、貧困層だから(だったから)学歴が低いのか。家庭の教育力が低いから低学歴なのか。低学歴だから、家庭の教育力が低いのか。耐性力がないから学歴が低いのか。学がないから耐性力がないのか。
景気がいいと、社会の隅々まで、仕事が回ります。失業率が低下します。日雇い仕事も増えます。
北海道の求人倍率は0.4.倍(全国0.52):平成23年4月現在です。平成19年1月(2007年)は全国で1.09倍でした。
プレジデント 2010年10.18号
http://president.jp.reuters.com/article/2010/09/25/3DD229AC-C79E-11DF-93BD-14D73E99CD51.php

「保護者の年収が高い世帯ほど子どもの学力が高い」――。
2008年度の「全国学力テスト」を受けた公立小学校の6年生について、文部科学省の専門家会議は09年8月、学力と経済力の調査結果を公表した。学力が高ければ本人の学歴にプラスに反映するのは自明の理。それを裏返せば、経済力のない家庭の子どもの学力は相対的に低く、学力の低さはそのまま低学歴につながることになる。参照の図のように母子家庭や父子家庭の親が抱える悩みの1位「教育・進学」が2位以下を圧しているのもそれを強く裏付けている。経済力のない親が子どもの教育や進学について自覚的に悩みを抱えているというのなら、まだ救いがあろうというものだ。
東京都江戸川区で福祉事務所のケースワーカーを中心とした区職員の有志が無料で週2回、中学3年生に勉強を教える「江戸川中3勉強会」。過去5年間の参加者は123人で、公立・私立の全日制に74人、定時制に44人、通信制の高校に5人を進学させている。特徴的なのは、参加者の48%の59人が生活保護受給者ということ。この勉強会の代表を務める徳澤健氏に話を聞いた。
「ここに来なかったらどうなってしまうかわからない子ばかりです。中卒で社会に出て挫折し、世帯主として生活保護に戻ってくる状況=貧困の再生産を止めるには少なくとも高校進学が必要なのではないか、という思いのもとで設立されました」
「江戸川中3勉強会」に参加している中学3年生の成績は5段階評価でオール2前後の子が多く、不登校の子もいる。高校を中退したり、中学卒業後に「やっぱり高校に行きたい」と参加する子も少なくない。掛け算の99やアルファベットも書けないような子も毎年数人おり、自分の住所が漢字で書けない子やカタカナが読めない子もいるという。
これらの生徒たちの家庭環境、そして親たちはどうか。
「母子家庭、父子家庭といったひとり親世帯の子が多く、親や兄弟が高校に進学していないか卒業していない、また非正規雇用やフリーターとして生計を成り立たせている親が多いために子どもと向き合う時間もなく、子どもは高校進学に意味を見出せなくなっています」(徳澤氏)
その揚げ句、「落ち着いて勉強する部屋はなく、幼い弟妹の世話をして1日が終わってしまう」「働いている母親に代わり、家庭の食事はすべて自分が作るかコンビニ弁当」「アルコール依存症の親が突然暴れだすので、家に帰れず公園で時間を過ごしている」「中学校には行ったけど、給食だけ食べて帰ってきた」と話す子どもがたくさんいるという。
経済力と、学力の相関は、教育現場では自明です。進学校ほど、親の学歴・収入は高く、底辺校ほど、親の収入・学歴は低いというものです。
ただ、この因果関係は?です。収入低いと子供の学力が低いのか、もともと学力の低い親世代だから収入が低いのか。一方、長期で観察すると、後者にも一理ありそうです。
<ルポ 生活保護>
本田良一著 中公新書 2010
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AB%E3%83%9D-%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E2%80%95%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E3%82%92%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%99%E6%96%B0%E3%81%9F%E3%81%AA%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%9C%AC%E7%94%B0-%E8%89%AF%E4%B8%80/dp/4121020707/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1309913801&sr=1-1

引用ページは多岐にわたり、なおかつ前後しているため、省略します。
厚生労働省は09年11月、子供のいる世帯のうち、母子家庭などひとり親世帯の相対的貧困率を公表した。
…それによると、06年のひとり親世帯の貧困率は54.3%で、子供がいる世帯全体の貧困率12.2%、大人が2人以上いる世帯の貧困率10.2%を大きく上回った。

北海道釧路市です。北海道の東にあり、人口は、昭和56年(1981年)の21万8007人をピークに下がり続け、隣の釧路町、阿寒町などと合併し、かろうじて18万5038人(平成22年12月)を維持している街です。
炭鉱と漁業の町として栄えてきました。今後、この人口が、平成29年(6年後)には、16万人を切ることが予想される(釧路市HP)、過疎化の進行する街です。
釧路市の昨年12月末の生活保護率が過去最高の50.2パーミルに達したことが分かった。市民20人に1人が受給している計算。道によると、50パーミル突破は道内35市の中で、過去10年間で初めて・・・・。
…釧路市の生活保護率は1996年度の22.9パーミルを底にじわじわと上昇し、…09年12月末ついに50パーミルを突破した。
釧路市に限ったことではない。全国の保護率は、…95年度の7.0パーミルを底に反転し、2010年3月(速報値)には14.7パーミルへ上昇した。生活保護の受給者は(2010年3月速報値)は186万6157人に達した。
釧路市の、生活保護額です。
2005年度の釧路市市民経済計算によると…付加価値。…一次産業全体で111億3000万円で、ほぼ生活保護費に匹敵する金額になる(ちなみに、05年度の生活保護費の支給額は117億7000万円)。…「第4の基幹産業」になっている。
高校や、小学校で、授業料免除(高校では、平成22年4月から全員に支給されるようになりました)や、就学補助を受けている割合です。
…授業料減免措置…北海道教育委員会釧路教育局によると、…07年度は同教育局が管轄する釧路市と周辺市町の道立高校13校の生徒のうち17.6%(生活保護家庭を除く)が授業料の減免を受けた。これに授業料を含む高校就学費の支給を受けている、生活保護世帯の生徒を加えると…ほぼ4.5人に1人が国の支援制度を利用していることになる。
…小中学生の就学援助は釧路市の場合…ほぼ3人に1人の生徒児童が国の援助を受けている計算になる。07年度の釧路市の就学援助支給総額は2億9200万円、そのうちほぼ半分の1億5400万円が給食費だ。
…釧路市の07年度の割合26.2%は全国平均(12.5%)の2倍以上…。…全国平均の割合は生活保護家庭を含めると、07年度で13.7%になる。つまり、日本の児童生徒のうちほぼ7人に1人が就学援助または教育援助を受けていることになる。
…公立高校の授業料減免を受ける生徒について、…都道府県別ではトップの鳥取県が23.3%。次が大阪府の17.6%、福岡県15.9%、北海道14.8%…。
生活保護についてです。学歴と、見事に相関しています。
…釧路市…生活保護を受けている母子世帯の母親のうち、中卒(高校中退を含む)は34.3%、ほぼ3人に1人になる。これは全国の…小・中卒者の割合(11.1%)に比べると3倍になる。

一方、生活保護を受けていない母子世帯の母親のうち、中卒者(高校中退を含む)は14.3%と生活保護を受けている世帯の半分以下。高卒者は59.7%と、保護世帯の母親(50.4%)と比べると10ポイント近く高い。こうした学歴の様就業先の職種や就業形態ひいては収入に影響を与えているようだ。
この、生活保護は、親から子へ受け継がれているのです。
…貧困の再生産…。釧路市の生活保護を受けている。母子世帯の母親の3人に1人は中卒の学歴しかないが、その父親の42.3%母親の51.9%が中卒(高校中退を含む)だった。高卒者は父親で17.5%、母親で12.4%、中卒者の割合が本人以上に多く、高卒者の割合は中卒の半分程度から4分の1に過ぎない。低学歴の階層が受け継がれているのだ。
…「親が生活保護を受けていて、娘が結婚して、子供をつくって離婚。母子家庭になって家に戻り、生活保護を受けるというケースは多い。第2、第3世代が増えている」…。
…釧路市の共同調査報告書は、多くの母親が子育てに悩み、パソコンの利用率が低く、塾・習い事なども経済的理由でさせられないこと、子供も学校での交友関係が狭く、いじめや不登校など深刻な問題を抱えている家庭が多いことなどを紹介…。
北海道の不登校の実態・高校中退の実態です。
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ssa/grp/syoutyufutoukou.pdf

結局、中学校で不登校の場合、高校を卒業できない(数字上)ことになります。
この貧困の連鎖はあやゆる地域に共通です。
…大阪府堺市健康福祉局理事の道中隆氏…。…06年4月時点で堺市で生活保護を受けていた3924世帯のうち…世帯主の学歴が中卒(高校中退を含む)は、72.6%で、生活保護を受けて育った世帯主も25.1%…。
そのうち母子106世帯の母親について見ると、中卒は66.0%生活保護を受けた家庭で育ったのは40.6%…。
低学歴と貧困との強い結びつき…。…日本女子大学教授の岩田正美氏らが行ったホームレス調査ではホームレスの人々の学歴は「義務教育まで」が約6割であり、厚労省が2007年に行った全国ホームレス調査でも、学歴が中卒54.5%高卒31.5%短大専門学校卒2.9%大卒5.6%だった。

A自治体の保護廃止483世帯(2005年度)を対象にした調査分析…。学歴別の内訳は中卒316世帯(65.4%)高卒148世帯(30.6%)。短大卒以上10世帯(2.1%)、不詳9世帯(1.9%)と圧倒的に中卒が多い。…総じて世帯主の学歴が高いほど、受給期間は短くなる。
この生活環境は、成績に直結しています。
就学援助を受けている生徒・児童の割合が高いほど、学力が低くなるというデータがある。東京都23区のうち就学援助を受ける児童の割合が低い千代田区(2004年度6.6%)、目黒区(11.4%)、中央区(13.7%)と、割合が高い足立区(42.8%)、板橋区(35.6%)、墨田区(35.1%)について、04年度の小学5年生の学力調査平均点を比べると…前者のグループが後者のグループを上回っていた。東京23区の就学援助と国語の平均点の相関を調べると、就学援助の割合が低い程平均点が高くなるという相関関係が明確に現れた。
結論は、以下のようになります。
就学援助と学力との相関関係は親の所得によって子供の成績が左右されている現状…。
…学歴と貧困は密接に結びついている。
これと反対に、高学歴家庭では、教育に力を入れます。
…学歴の高い親は概ね比較的恵まれた年収の仕事に就き、経済的に余裕があるので、子供により高教育環境を与え、塾に通わせるなど多くの投資もできる。その結果、子供は高学歴となり、いい仕事に就く。東大生の親の年収分布にその一端を見ることができる。東京大学の学生生活実態調査(2007年)によると、親の年収が950万円以上の学生は51.3%と750万円以上~950万円未満は18.3%、450万円以上~750万円未満は17.7%、450万円未満は11.6%だった。
…東京大学の大学経営・政策研究センターが2006年3月、高校3年生3493人を対象に、高校卒業後の予定進路を聞いたところ、4年制大学へ進学予定者の割合は両親の年収が400万円以下では33.9%に過ぎないが、年収が上がるにつれて割合も高くなり、年収1000万円以上になると60.7%になった。
学力だけではありません。児童虐待が多いのも、生活貧困層です。
貧困は生活苦だけでなく、それに起因する様々な問題を生む。
その一つが自動虐待だ。三都道府県の17児童相談所で「児童虐待」として2002年度に保護した501ケースの家庭状況を調査したところ、生活保護家庭19.8%、市町村民税非課税世帯19.2%、所得税非課税世帯5.8%だった。生活保護世帯だけに焦点をあててみても同年度に生活保護を受けている子供たちは全体の1%以下しかなく、保護世帯では少なくとも20倍以上の割合で児童虐待が起きている。
貧困者の、学歴や、生育歴です。
釧路市の元土木会社員健児さん(56)仮名…。
…健児さんは釧路市で生まれ、育った。実は小学校から中学2年まで、家は生活保護を受けていた。給食費も修学旅行費も支払わなくてもいい。
…釧路市内…幸子さん(50)仮名…。
…幸子さんは釧路で生まれ、育った。29才で結婚、42才の時離婚し、中一の長男を筆頭に3才の女の子まで4人の子供を抱える母子家庭になった。…結婚前も会社勤めの経験はなく、ずっと生活保護と児童扶養手当などを受けて、暮らしていた。
…20代後半の男性Mさん。…両親が離婚したため、16才で一人暮らし。働きながら定時制高校へ通ったが、結局卒業できなかった。…病気にもなり、生活保護を受けることになった。…「オレは仕事を選ばないよ。何でもやる。でも、オレみたいに学歴も資格も車の免許もないヤツは、『あんたができる仕事はないよ』って感じで門前払い。
…M さんは「高校の資格より学歴はなくてもについてすぐに働ける資格や技術が欲しい」という。
…そこで支援員は介護ヘルパー2級の資格取得を進めた。
…ころあいを見て、就労支援員に紹介し、履歴書の書き方、面接の時の態度、服装などを助言して介護事業所の面接の挑み3ヶ所目で採用が決まった。
…勤務先は釧路市内の事業所だった。 M さんは運転免許も取得し、しばらくは元気に働いていた。保護もぬけた。ところが2ヶ月後、事務所から「無断で休んでいる」との連絡…。…M さんはその後、本州へいったらしい。
どうでしょう?学歴が低いから貧困層なのか、貧困層だから(だったから)学歴が低いのか。家庭の教育力が低いから低学歴なのか。低学歴だから、家庭の教育力が低いのか。耐性力がないから学歴が低いのか。学がないから耐性力がないのか。
景気がいいと、社会の隅々まで、仕事が回ります。失業率が低下します。日雇い仕事も増えます。
北海道の求人倍率は0.4.倍(全国0.52):平成23年4月現在です。平成19年1月(2007年)は全国で1.09倍でした。
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