不況の正体 その1
<不況の正体 その1>
少し過激なタイトルですが、意味は、「日本のGDPが伸びない」理由です。
日本のGDPが伸びないのは、「消費が減っているからだ」という論があります。特に「団塊の世代が退職期を迎えて・・・」というものです。
①「モノは売れていないが、サービスの売上はどんどん伸びている」というような事態が起きているのでしょう か。旅行産業を見ても外食産業を見ても、残念ながらまったくそんなことはありません。
②所得はあっても消費しない高齢者が首都圏で激増
③…高齢者だった。彼らは特に買いたいモノ、買わなければならないモノがない。
④「昔ほど車を買わない、そもそも以前ほどモノを買わない、最近余り本や雑誌を読まない、モノを送らなくなっ たし車にも乗っていない、近頃あまり肉や脂を食べないし酒量も減った、水も昔ほど使っていない」ということ です。これは正に退職後の高齢者世帯の消費行動そのものではありませんか。
⑤…「生産年齢人口の波」の減少局面に突入した日本。定年退職者の増加→就業者数の減少によって内需は構造的 な縮小を始めました。
このような、「消費が減った」論がかまびすしいですが、実際にはそんなことはありません。
国内総生産を、支出側から見ると、Y=C+I+G+(EX-IM)です。
Y=C+I+G+(EX-IM)
C=民間消費
I=投資
G=政府
EX-IM=純輸出
もし、消費が減ったなら、Cの「消費」が減ります。

このように、C(消費)は、安定しています。「減った」わけではありません。逆に、日本のGDPを安定させているのは、われわれ一人ひとり、家計一軒一軒の「消費」だと言えます。

C消費は頼りになる優等生です。そのYに占める割合は、微妙に増えてもいます。
では、 「景気」にもっとも影響のある指標は何でしょうか。グラフを見ると、一目瞭然です。I(投資)です。
<投資>


この2つのグラフは、双子のようです。投資Iと、GDPの間は、このように結びついています。投資が、景気変動によって、大きく変動しています。
これは、「均斉成長」と言われる状態です。「資本の量も、GDPも、同じ割合で、増加する」というものです。
日本はすでに投資は十分すぎるほどに行ってきて、これ以上投資によって供給力を高められない飽和状態なのです。さらに、供給力を高めても、需要が追いつきません。国内需要が広がらないので、輸出によってカバーしようとしました(2004年~2007年)。
この飽和状態を「成熟化」と言います。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4400.html

実は、日本の投資は、すでに飽和状態で、新規投資はほとんど行われなくなっているのです。

日本は、過去に大量の投資をしてきました。これらを国富(資本ストック)と言います。工場や機械、店舗、車、電信柱、最新だとコンピューターネットワークシステム・・・そして道路や港、河川などです。
これらの資本は、古くなり、摩耗してゆきます。そこで、企業は、それらを入れ替えたり、補修をしたりする費用を計上します。パソコンや車を5台購入しても、6年後には入れ替えなければなりません。橋や高速道路も、補修したり、架け替えたりしなければなりません。このための投資を「固定資本減耗」と言います。会計処理上では「減価償却費」と言っています。
この固定資本減耗分の投資額が、上記グラフのように、投資Iの大部分を占めるようになってきているのです。資本ストックが巨大で、新規投資は、ほとんどできなくなっているのです。
かつての日本は、60%ほどが新規投資でした。

1990年までは、新規投資が盛んだったことが分かります。91年からは、投資額自体が減少し、なおかつ新規投資はほとんど行われなくなっています。これは、国内投資が飽和状態であることを示します。
投資はするのですが、古い施設の補修や更新にカネが回り、投資しても投資しても、「新規==純投資=GDP発展の原動力」が生まれない状況なのです。既存設備を維持するだけで精一杯になっていることが、うかがえます。そして、今後ますますこの傾向は強くなります(この理由については、その2)。インフラを維持する・・・・莫大な費用がかかるのです。

91年~11年は「20年」です。そして、最近は、「失われた10年」ではなく「失われた20年」とさえ、言われるようになっています。
少し過激なタイトルですが、意味は、「日本のGDPが伸びない」理由です。
日本のGDPが伸びないのは、「消費が減っているからだ」という論があります。特に「団塊の世代が退職期を迎えて・・・」というものです。
①「モノは売れていないが、サービスの売上はどんどん伸びている」というような事態が起きているのでしょう か。旅行産業を見ても外食産業を見ても、残念ながらまったくそんなことはありません。
②所得はあっても消費しない高齢者が首都圏で激増
③…高齢者だった。彼らは特に買いたいモノ、買わなければならないモノがない。
④「昔ほど車を買わない、そもそも以前ほどモノを買わない、最近余り本や雑誌を読まない、モノを送らなくなっ たし車にも乗っていない、近頃あまり肉や脂を食べないし酒量も減った、水も昔ほど使っていない」ということ です。これは正に退職後の高齢者世帯の消費行動そのものではありませんか。
⑤…「生産年齢人口の波」の減少局面に突入した日本。定年退職者の増加→就業者数の減少によって内需は構造的 な縮小を始めました。
このような、「消費が減った」論がかまびすしいですが、実際にはそんなことはありません。
国内総生産を、支出側から見ると、Y=C+I+G+(EX-IM)です。
Y=C+I+G+(EX-IM)
C=民間消費
I=投資
G=政府
EX-IM=純輸出
もし、消費が減ったなら、Cの「消費」が減ります。

このように、C(消費)は、安定しています。「減った」わけではありません。逆に、日本のGDPを安定させているのは、われわれ一人ひとり、家計一軒一軒の「消費」だと言えます。

C消費は頼りになる優等生です。そのYに占める割合は、微妙に増えてもいます。
では、 「景気」にもっとも影響のある指標は何でしょうか。グラフを見ると、一目瞭然です。I(投資)です。
<投資>


この2つのグラフは、双子のようです。投資Iと、GDPの間は、このように結びついています。投資が、景気変動によって、大きく変動しています。
これは、「均斉成長」と言われる状態です。「資本の量も、GDPも、同じ割合で、増加する」というものです。
日本はすでに投資は十分すぎるほどに行ってきて、これ以上投資によって供給力を高められない飽和状態なのです。さらに、供給力を高めても、需要が追いつきません。国内需要が広がらないので、輸出によってカバーしようとしました(2004年~2007年)。
この飽和状態を「成熟化」と言います。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4400.html

実は、日本の投資は、すでに飽和状態で、新規投資はほとんど行われなくなっているのです。

日本は、過去に大量の投資をしてきました。これらを国富(資本ストック)と言います。工場や機械、店舗、車、電信柱、最新だとコンピューターネットワークシステム・・・そして道路や港、河川などです。
これらの資本は、古くなり、摩耗してゆきます。そこで、企業は、それらを入れ替えたり、補修をしたりする費用を計上します。パソコンや車を5台購入しても、6年後には入れ替えなければなりません。橋や高速道路も、補修したり、架け替えたりしなければなりません。このための投資を「固定資本減耗」と言います。会計処理上では「減価償却費」と言っています。
この固定資本減耗分の投資額が、上記グラフのように、投資Iの大部分を占めるようになってきているのです。資本ストックが巨大で、新規投資は、ほとんどできなくなっているのです。
かつての日本は、60%ほどが新規投資でした。

1990年までは、新規投資が盛んだったことが分かります。91年からは、投資額自体が減少し、なおかつ新規投資はほとんど行われなくなっています。これは、国内投資が飽和状態であることを示します。
投資はするのですが、古い施設の補修や更新にカネが回り、投資しても投資しても、「新規==純投資=GDP発展の原動力」が生まれない状況なのです。既存設備を維持するだけで精一杯になっていることが、うかがえます。そして、今後ますますこの傾向は強くなります(この理由については、その2)。インフラを維持する・・・・莫大な費用がかかるのです。

91年~11年は「20年」です。そして、最近は、「失われた10年」ではなく「失われた20年」とさえ、言われるようになっています。
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