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市場原理主義?の対極

<市場原理主義?の対極>

 マーケット・メカニズム(市場機構 市場原理)は、資源(ヒト・モノ・カネ・時間etc)を最大限、効率的に運用しようとするメカニズムです。このマーケット(市場)は無数の「私」=「民間」によって成り立っています。

 この対極にあるのが、「政府」です。政府は税金を使う、いわば「公」的機関です。マーケット/メカニズムではなく、「財政」といういわば「人為的行為」を行う機関です。その、「政府」が肥大化しているのが、現代社会です。
昨年の、世界各国の財政出動は,過去最大規模に上り,政府支出の割合も過去最高の水準となりました。

『政府支出GDPの45%に』日本経済新聞 H22.2.19
 政府支出の規模が主要国で急速に膨らんでいる。経済協力開発機構(OECD)の2009年の統計によると,加盟28カ国の政府部門の支出は国内総生産の(GDP)の約45%に達し,過去最高の水準を記録した模様だ。・・・1960年の比率は30%弱。福祉政策の充実などを背景に70年代,80年代とほぼ一貫して上昇…。



 政府(国家)の力をできるだけそぐために,建国されたのがアメリカです。国家権力(リヴァイアサン)は常に暴走するので,契約(憲法)によって,その力を縛ろうというのが,アメリカの建国精神です。だから,国家が税金をかける際には,納税者の代表「議会」が同意しなければならないし,不当な課税には,「抵抗権(社会契約説・ロックの思想)を使って抵抗できるとされ,アメリカ独立革命が起きました。

 政府は、「人権」「私有財産」を守ってさえくれればいい、それが政府の役割だと考えるので、「小さな政府」を指向します。州職員や、市職員など、「いなければいないほど良い」し、給料も日本とは比べものにならないくらい「安い」のです。もちろん、「共産主義」など、原理的にうけつけません。
 その,元祖「小さな政府」志向のアメリカでさえ,政府支出は膨大化の一途です。

参考・引用文献 猪木徳武『戦後世界経済史』中公新書2009 p4~ それまでGNP比6,7%程度だったものが,第二次大戦で20%台,1980年代以降も同様になりました。州政府も,地方政府もその割合はゆっくりと拡大しています。その結果,「二〇世紀の初頭には連邦・州・地方政府収入の総計はGNPの一割にも満たなかったのに,二〇世紀末には,四割に迫るウェイト」になっています。

H21.11.18『短期主義、市場から政府へ』日経
…危機で経済の主役は市場から政府に変わった。…今年度の政府支出は国内総生産(GDP)の26%と、「大きな政府」といわれたカーター政権時代の20%台を大きく上回る。


最新のGDP統計でも、政府支出は2割、232兆円(1ドル=90円)にのぼります。
日経H22.2.27アメリカGDP

「市場原理主義」なるものの、権化(ごんげ)とされるアメリカにおいて,「市場原理」の対極にある「政府」が肥大化しているという現状です。

 ひるがえって、日本です。
三面等価 2008

 民主党政権になり、政府(国)はますます肥大化するようです。平成22年度一般会計予算額は92兆2992億円、もちろん過去最大です。その割合は、日本のGDP約500兆円の20%にのぼります。日本人が稼いだ所得の20%を、政府(国/地方)が使っている計算になります。

 例えば、子ども手当。満額支給されると、1人あたり2万6000円だそうです。

毎日新聞 web
http://mainichi.jp/life/edu/child/news/20100224ddm002010067000c.html
財源は子ども手当の「弱点」で、支給額が1万3000円でも10年度予算編成過程で問題となった。民主党は当初、「全額国庫負担」としていたが、地方や事業主も負担している現行の児童手当を存続させることで、総額2・3兆円のうち国庫負担を1・7兆円に抑えた。
 満額支給には5兆円規模の財源が必要で、ハードルはさらに高くなる。野田佳彦副財務相が「1万3000円で効果を見ながら次年度の額を考えるべきだ」と発言。野田氏は発言を撤回したが、政府内には今も実現を疑問視する声がくすぶる。


 5兆円は、21年度の防衛決算額、4兆9045億円と同じ額です・・・。自衛隊をもう一個つくるのと同じですね。
子供手当て
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