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<北海道の経済学の様子>

<お知らせ:12月14日より、3週間入院します。13日以降の、記事の更新は、来年になります>

<北海道の経済学の様子>

北海道教育大学教授宮田和保さんは、「市場原理主義」論を展開しています。

主張:市場原理主義、雇用の規制緩和によって、格差拡大が広がり、格差の連鎖がある。

http://www.jichiro-hokkaido.gr.jp/2009/11/post_528.html  自治労北海道HP 2009年11月25日 写真も

なくせ!!「子どもの貧困」、格差解消
 11月24日、札幌市・北海道教育会館で、連合北海道が主催する教育講演会を開き、講師に民主教育をすすめる道民連合副会長の宮田さん(北海道教育大学教授)を招き、「教育格差」の背景にある経済・社会構造の問題点を学習した。

 近年、「自己責任」をスローガンとした自公政権、とりわけ小泉内閣以降の「構造改革」によって、社会保障や教育などのセーフティネットは寸断され、所得をはじめ、地域・社会層間の「格差」が拡大し、おとなの間で広がった格差が、その子どもたちに引き継がれる「格差の連鎖」が生み出されている。

 講演では、宮田教授が、市場原理主義
と雇用法制の規制緩和により、労働者の3人に1人が非正規職員として不安定な雇用を余儀なくされ、親の貧困が子どもの貧困を生む連鎖について述べ、「子どもの貧困がひろがり、1日の栄養量のほとんどを学校給食でまかなう現状になっている」と指摘し、「生活困窮から学ぶ意欲をなくしたり、家計支援のため進学を断念するなど、成長・発達や健康、人間関係などさまざまな面に深刻な影響を及ぼしている。さらに、子どもたちが自ら学び生きていくことを阻害し、子どもの将来の職業や所得にも直結する、『貧困の連鎖』につながっている」と強調した。
新しい画像

 市場原理主義の誤りについては、このブログのカテゴリー「市場原理主義」を参照してください。

<格差は小泉改革によって縮小した>

1 OECDが発表したデータ

 ジニ係数です。係数が0に近ければ、格差が少なく、1に近いほど大きくなります。

 2008年10月にOECDが発表したデータでは、0.321と、0.337(2000年)から、縮小しました。日本の格差は過去5年間(小泉政権下)で、縮小したのです。

2 OECD2006年7月発表

 相対的貧困率です。

日本の貧困率は先進国中第2位で、アメリカに次ぐ格差社会」でした。ただし、この数値は、2000年のものです。2008年にOECDが発表したデータでは、日本は4位に後退しています。ちなみに1位はアメリカ→メキシコでした。

1世帯あたり566.8万円(H19年)の半分は、283万円です。この283万未満が相対的貧困になるのです。月収23.6万以下になる計算です。

格差は減少しています。

「労働力調査詳細集計平成19 年平均結果」(総務省統計局)
 非正規雇用者は、男性で年収100 万円未満が27.5%、100~199 万円が29.6%と200万円未満が57.1%を占めます。
女性では100万円未満が49.0%、100~199 万円が36.9%で、年収200 万円未満が85.9%を占めています。女性の非正規雇用者の約半数が年収100万円未満である最大の理由は、扶養認定や扶養控除の範囲内で働く主婦パートが多いからです。

 もちろん、このデータは、世帯主で、年収が低い人が多くなっているという現実を、否定するものではありません。
 
 労働者の所得を、全体で100万とします。これを、正規労働者・非正規労働者で分配する率を変えれば、非正規労働者の年収は上がります。正規労働者の給与を下げれば、非正規労働者の年収はアップします。

 こんなくだらない論議より、経済成長(GDPアップ)をすれば、まったく問題がなくなることがわかります。

毎年2.5%、GDPがアップすれば、こうなります。

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
100 102.5  105 108 110

たった5年で、10%も所得が増えるのです。所得が増えれば、分配も増えます。

高度成長期は、毎年10%GDPがアップしました。

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
100 110  121 133  146

 恐ろしい時代だったことがわかります。

 1993年-2007年の日本の平均成長率は、1.4%です(インフレ率を0とします)。主要先進国では、最低の成長率です。

岩田規久男『日本銀行は信用できるか』講談社現代新書2009 p162岩田規久男『日本銀行は信用できるか』講談社現代新書2009 p162.jpg
インフレ率

<北海道で教えられている経済学>

札幌学院大学のホームページからです。

「資本論と貧困を考えるシンポジウム」を開催します。
基礎経済科学研究所編 『時代はまるで資本論』 からみえる現代
内  容
【講  演】 『時代はまるで資本論』の反響と未来社会論
       講 師 / 大西 広 氏(京都大学大学院教授・基礎経済科学研究所理事長)
【問題提起】 青木  紀 氏(北海道大学教育学研究院教授 / 社会福祉学) 
      宮田 和保 氏(北海道教育大学教授・札幌学院大学非常勤講師 / 経済学)

主催: 基礎経済科学研究所(京都)、札幌学院大学総合研究所  

後援: 国鉄労働組合北海道地方本部

「資本論と貧困を考えるシンポジウム」が開催されました(9/4)
9月4日、基礎経済科学研究所(京都)と本学教員有志が主催、国鉄労働組合北海道本部と札幌学院大学総合研究所の後援で「資本論と貧困を考えるシンポジウム」が本学社会連携センターで開催され、市民、学生、研究者など40名が参加しました。

 まず基調報告として、京都大学教授 大西 広氏(基礎経済科学研究所理事長)が「基礎研人間発達論と『資本論』」と題し、大要次のような話をされました。
「社会の法則を理解することで未来社会を構成する人々がどのような特徴を持っているかが明らかになる。このことを理解すれば、たとえば資本と対抗する労働組合の課題としてどのような人々を組織していかなければならないかがわかる。京都建設労働組合は、最初は大工さんの集まりだったが、実際に建築現場で主流になっているのは企業に雇用された建築労働者であって、彼らを対象にすることで大きく組織が伸び、現在発言力を増している。これは経済環境の変化であって、この変化を法則的につかむことで将来の社会を見通すことができる。資本論は、そういった知見の宝庫である。貧困の問題も、こういった資本論の法則的認識の上で理解することが必要だ」。

 これに対し、青木 紀氏(北海道大学教授)は、現実の貧困問題と資本論や基礎研の人間発達論を架橋する議論が必要であると問題提起されました。宮田 和保氏(北海道教育大学教授)は、近代経済学は現在、第三の危機状況を呈しており、資本論を軸とするマルクス経済学は新しい問題提起をしていかなければならないと強調されました。また高懸 雄治氏(本学名誉教授)は今こそ貧困化論を深める必要がある、そして格差社会論は階級社会論として提起されなければならないと述べられました。ほかに浅川 雅巳氏(本学准教授)、増田 和夫氏(京都経済短大講師)らが討論者として発言しました。
(神谷 章生 法学部教授)

 北海道の大学の、経済学部では、マルクス主義が論じられています。

 岩田規久男『日本銀行は信用できるか』講談社現代新書2009 p34、36

「戦前や戦後しばらくの間、日本の大学の経済学部で教えらていた経済学は、現代の金融政策を決定する上で全く役に立たない」「政治家、中央銀行員、中央銀行の政策決定委員、中央や地方の幹部官僚、さらに世論をリードする大新聞や主要雑誌の経済担当記者などはそれでは困る…最低限、経済学の知識を持って仕事をしてもらいたいものである」
 「日本は、正統派経済学の知見なしには書けないはずの記事が新聞・雑誌に満載されている不思議な国である」
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genre : 学校・教育

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