fc2ブログ

新聞を解説 チャールズ・ユウジ・ホリオカ『経済教室』その3 日経H21.9.30

新聞を解説 チャールズ・ユウジ・ホリオカ『経済教室』その3 日経H21.9.30

<貯蓄-投資差額論(ISバランス論)を学ぶ その3>

…ある経済またはある制度部門の貯蓄投資差額(貯蓄-投資)は「ISバランス」という。なお、経済全体のISバランスはネットで貯蓄がどのくらい海外に流れているかをとらえており、資本収支の赤字を意味する。また、国際収支は全体として均衡しなければならないためISバランスが正(筆者注:プラス、貯蓄超過の状態)であり、資本収支が赤字であれば、貿易収支を含む経常収支はほぼ同額の黒字にならなければならず、逆にISバランスが負であり、資本収支が黒字であれば、経常収支はほぼ同額の赤字にならなければならない

日本の貯蓄投資バランス推移.jpg


…では、今後はどのように推移するのであろうか。経済全体のISバランス・経常収支の推移は各制度部門の貯蓄と投資の推移に依存する…まず、貯蓄について考えると、今後人□がさらに高齢化し、日本は世界一の超高齢社企になると予測されており、家計貯蓄は一段と減少すると考えられる。

…経済全体で貯蓄が減少し、投資が増加すれば、ISバランスのプラス幅が縮まり、結局、経常収支の黒字も減少すると考えられる。つまり、01年以降のISバランス・経常収支の黒字の拡大は一時的な現象で、近く終息し、赤字に転じる可能性も十分あると考える。


<日本は、貿易赤字になる…>

東学 資料集『資料政・経2008』 2008年 p313
東学 資料集『資料政・経2008』 2008年 p313.jpg

 日本の貯蓄率は,先進国の中で,最も高い水準だったのです。その貯蓄率は,今後どうなるでしょうか。実は,日本の貯蓄率は,すでにドイツ・フランスを下回り,2020年には家計貯蓄率はゼロになると予測されています。

独仏を下回った日本の家計貯蓄率

櫨浩一『貯蓄率ゼロ経済』日本経済新聞社 2006年 p11 p106
櫨浩一『貯蓄率ゼロ経済』日本経済新聞社 2006年 p11 p106.jpg

2020年頃には家計貯蓄率はゼロに  

櫨浩一2006年 p106
櫨浩一『貯蓄率ゼロ経済』日本経済新聞社 2006年 p11 p106

 これもやはり,少子高齢化が影響しています。一般に,若いときは働いて貯蓄し,年をとってからは,その貯蓄を取り崩して生活します。高齢層の比率が高まると,若い世代は貯蓄をしても,高齢者世代が取り崩すので,全体として貯蓄率は低下するのです。
isバランス新.jpg

日本貯蓄超過

 現在の日本では,左辺のSが高い(貯蓄率が高い)ので,右辺がプラスでしたね。2005年の民間貯蓄は,約144兆円,GNIの28%にあたります。しかし,この貯蓄率,特に個人の貯蓄率が低下しています。2020年にはゼロになることが予測されています

 そうすると,上記の式はどうなるでしょうか。左辺が縮小,もしくはゼロ,またはマイナスになります。財政赤字が少し減ったと予想してみましょうか。そうすると・・
日本貯蓄超過今後

 このように,左辺と右辺は必ず等しくなるので,日本は,必ず「貿易赤字」になります

 貿易赤字=資本収支黒字なので、外国から日本への投資が、増えることを示します。
スポンサーサイト



カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

09月 | 2009年10月 | 11月
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31


FC2カウンター
カテゴリ
記事を検索する
「国債」 「公債」 「食糧」 「貿易黒字」などで検索して下さい
プロフィール

菅原晃

Author:菅原晃
中高の教科書でわかる経済学 マクロ篇 発売です!

中高の教科書でわかる経済学 マクロ篇

中高の教科書でわかる経済学 ミクロ篇 発売です!

中高の教科書でわかる経済学 ミクロ篇


図解 使えるミクロ経済学 発売です!

図解 使えるミクロ経済学

図解 使えるマクロ経済学 発売です!

図解 使えるマクロ経済学


高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学発売です!

高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学


経済教育学会 
経済ネットワーク 会員
行政書士資格


注 コメントする方へ

このブログでは、個人的なご意見・ご感想(価値観 正しい・間違い、好き嫌い、善悪)は、千差万別で正誤判定できないことから、基本的に扱っておりません。
意見は書き込まないで下さい。こちらの見解(意見)を尋ねる質問も、ご遠慮願います。
経済学は学問ですので、事実を扱い、規範(価値観)は扱っていません。事実に基づく見解をお願いいたします。
カテゴリ『コメントに、意見は書かないで下さい』を参照願います。
なお、はじめてコメントする方はコメント欄ではなく「質問欄」からお願いいたします。

ご質問・ご意見(非公開でやりとりできます)
内容・アドレス表示されず、直接やりとりできます。

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
最新記事
最新コメント
検索フォーム
月別アーカイブ