新聞を解説(15) 『社説:中国マネーに頼る米国の弱み』読売新聞
新聞を解説 『社説:中国マネーに頼る米国の弱み』読売新聞 H21年6月8日
再三指摘しているように、 「貿易黒字はもうけ」「貿易赤字は損」「貿易赤字は悪いこと」 ではなく、 「貿易赤(黒)字」は「お金の貸し借り」 のことなのです。ですから、 「○○国がもうけた」とか、「○○国が損した」という問題ではありません。
資本収支赤字=貿易黒字
資本収支黒字=貿易赤字
このように、貿易取引は、裏表一体なのです
A~Cは筆者記入
中国が米国債を買い続けなければ、米国は財政資金を確保できない。…ガイトナー米財務長官が北京で…米国債の購入継続を要望した。
…かつては、日本が米国債の最大の買い手だったが、昨秋、中国がナンバーワンに躍り出た。A:中国の保有額は、今年3月時点で約800億ドルに達する。…ドルが急落すれば、保有するドル資産が目減りしかねない-B:中国は人民元相場の上昇を抑えるために市場介入を実施し、それで急増した外貨準備をドル資産に投資している事情がある。
C:米国債を売却したり、引き受けを阻んだりすれば、ドル下落の要因になる。中国にはジレンマだが、米中が経済的に深い関係になっていることを示す。
(1)経常収支は、大きく分けると、
①貿易黒字
②所得収支=海外投資(外国の国債・社債・株式・その他貸出)からの収益
③経常移転収支=海外への無償援助です。
そして、この経常収支額=資本収支額です。
資本収支額は
④海外投資(外国の国債・社債・株式・その他貸出)と、
⑤外貨準備です(誤差脱漏を除く)。

輸出して、中国企業がドルを稼ぎます。そのドルは、中国人の給料・配当・原材料費購入などのため、人民元に交換されます。中国の中央銀行・政府は人民元を放出し、ドルを購入します。これが中国の⑤外貨準備増になります。

ただ、ドルを持っていても仕方ないので、それを、外国の国債・社債・株式等で運用し、利潤を得ます。その利潤(過去の投資の結果)が、②所得収支に含まれます。
もちろん、過去の日本のように、意図的にドルを買い(円安)為替操作をすることもありますが、その場合は、(1)経常収支額=④海外投資⑤外貨準備ですから、⑤が増えた分、民間の海外投資④が減ります。
中国の、アメリカへの貿易黒字増=④海外投資⑤外貨準備が絶対に増える のです。
A:「中国の保有額は、今年3月時点で約800億ドルに達する」のは民間が主体であれ、中国国家が主体であれ、必然です。
B:「中国は人民元相場の上昇を抑えるために市場介入を実施し、それで急増した外貨準備をドル資産に投資している」部分もありますが、過去の日本のように、意図的にドルを買い(円安)為替操作をすると、(1)経常収支額=④海外投資⑤外貨準備ですから、⑤が増えた分、民間の海外投資④が減ります。
C:「米国債を売却したり、引き受けを阻んだり」にはなりません。国債購入は止められないからです(減る事はあります:たとえば、ユーロ債・オーストラリア債に投資すれば)。
別に国債ではなくてもいいのですが、そのかわり、アメリカ企業の社債・株・アメリカ個人への貸付を増やすことになります。投資としては国債の低いけれど確実な利率を選ぶか、リスクの大きい社債・株かということになります。
皆さんが、中央銀行や政府で外貨を預かった係りの人なら、どちらを購入しますか?
中国が、アメリカ国債を購入するのは、国内の貯蓄超過が原因です。次のグラフを見て下さい。中国は経済成長しています。その分、国民所得も増大していますが、みなさん、所得が増えたら、全部消費に回しますか?しませんよね。所得が増えた分、貯蓄に回すはずです。
櫻川昌哉『経済を動かす単純な論理』光文社2009p149

なんと、中国の貯蓄率は、50%近いではありませんか!!所得の半分をS貯蓄に回しているんですね。この この貯蓄超過が、資本収支赤字(海外投資)=経常黒字になるのです。
何度も言います。 「貿易黒字はもうけ」「貿易赤字は損」「貿易赤字は悪いこと」ではなく、 「貿易赤(黒)字」は「お金の貸し借り」のこと なのです。
再三指摘しているように、 「貿易黒字はもうけ」「貿易赤字は損」「貿易赤字は悪いこと」 ではなく、 「貿易赤(黒)字」は「お金の貸し借り」 のことなのです。ですから、 「○○国がもうけた」とか、「○○国が損した」という問題ではありません。
資本収支赤字=貿易黒字
資本収支黒字=貿易赤字
このように、貿易取引は、裏表一体なのです
A~Cは筆者記入
中国が米国債を買い続けなければ、米国は財政資金を確保できない。…ガイトナー米財務長官が北京で…米国債の購入継続を要望した。
…かつては、日本が米国債の最大の買い手だったが、昨秋、中国がナンバーワンに躍り出た。A:中国の保有額は、今年3月時点で約800億ドルに達する。…ドルが急落すれば、保有するドル資産が目減りしかねない-B:中国は人民元相場の上昇を抑えるために市場介入を実施し、それで急増した外貨準備をドル資産に投資している事情がある。
C:米国債を売却したり、引き受けを阻んだりすれば、ドル下落の要因になる。中国にはジレンマだが、米中が経済的に深い関係になっていることを示す。
(1)経常収支は、大きく分けると、
①貿易黒字
②所得収支=海外投資(外国の国債・社債・株式・その他貸出)からの収益
③経常移転収支=海外への無償援助です。
そして、この経常収支額=資本収支額です。
資本収支額は
④海外投資(外国の国債・社債・株式・その他貸出)と、
⑤外貨準備です(誤差脱漏を除く)。

輸出して、中国企業がドルを稼ぎます。そのドルは、中国人の給料・配当・原材料費購入などのため、人民元に交換されます。中国の中央銀行・政府は人民元を放出し、ドルを購入します。これが中国の⑤外貨準備増になります。

ただ、ドルを持っていても仕方ないので、それを、外国の国債・社債・株式等で運用し、利潤を得ます。その利潤(過去の投資の結果)が、②所得収支に含まれます。
もちろん、過去の日本のように、意図的にドルを買い(円安)為替操作をすることもありますが、その場合は、(1)経常収支額=④海外投資⑤外貨準備ですから、⑤が増えた分、民間の海外投資④が減ります。
中国の、アメリカへの貿易黒字増=④海外投資⑤外貨準備が絶対に増える のです。
A:「中国の保有額は、今年3月時点で約800億ドルに達する」のは民間が主体であれ、中国国家が主体であれ、必然です。
B:「中国は人民元相場の上昇を抑えるために市場介入を実施し、それで急増した外貨準備をドル資産に投資している」部分もありますが、過去の日本のように、意図的にドルを買い(円安)為替操作をすると、(1)経常収支額=④海外投資⑤外貨準備ですから、⑤が増えた分、民間の海外投資④が減ります。
C:「米国債を売却したり、引き受けを阻んだり」にはなりません。国債購入は止められないからです(減る事はあります:たとえば、ユーロ債・オーストラリア債に投資すれば)。
別に国債ではなくてもいいのですが、そのかわり、アメリカ企業の社債・株・アメリカ個人への貸付を増やすことになります。投資としては国債の低いけれど確実な利率を選ぶか、リスクの大きい社債・株かということになります。
皆さんが、中央銀行や政府で外貨を預かった係りの人なら、どちらを購入しますか?
中国が、アメリカ国債を購入するのは、国内の貯蓄超過が原因です。次のグラフを見て下さい。中国は経済成長しています。その分、国民所得も増大していますが、みなさん、所得が増えたら、全部消費に回しますか?しませんよね。所得が増えた分、貯蓄に回すはずです。
櫻川昌哉『経済を動かす単純な論理』光文社2009p149

なんと、中国の貯蓄率は、50%近いではありませんか!!所得の半分をS貯蓄に回しているんですね。この この貯蓄超過が、資本収支赤字(海外投資)=経常黒字になるのです。
何度も言います。 「貿易黒字はもうけ」「貿易赤字は損」「貿易赤字は悪いこと」ではなく、 「貿易赤(黒)字」は「お金の貸し借り」のこと なのです。
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