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「国の借金」日本経済新聞 H21年5月9日(グラフも)

「国の借金」日本経済新聞 H21年5月9日(グラフも国債残高


 財務省は8日、国債と借入金、政府短期証券を合計した「国の借金」の総額が2009年3月末時点で846兆4970億円になったと発表した。…一人当たりの借金は約663万円になる。

正解は、「国債は政府の借金=国民の財産です。これらの借入金を買っているのは誰でしょう ?それは我々
1人1人の国民なのです。約846兆円のうち、95.4%=約809兆円は、我々日本人が持っているのです(単純計算です。国債を海外が購入している、4.6%という2006年3月末現在の数値を使用しました)。簡単に言えば、約1500兆円に及ぶ、日本人の個人資産の約53.9%は国の借入金なのです。


山崎元『なぜ必ず儲かる話は儲からないのか』プレジデント2009.5.18号
…日本人が日本人から借りて、日本国内で支出している。一家に喩えると、夫が妻から借金をしてこどもに小遣いを上げているような状況です。

我々が預貯金をしたり、生命保険金を支払ったりしたお金が、国債の購入に当てられています。しかも、国債の金利は、銀行や郵貯、保険会社の利益(GDPに算入)です。だから上記の文「一人当たりの借金は約663万円になる」は、「一人平均632万円の財産を持っている計算だ」を加えないと、間違いなのです。
さらに,「国債発行は,孫の世代に借金を背負わせる」とも言われます。現在の国民が,借金をして,それを返済するのは,将来世代ということになるからです。返済する孫の世代になると,増税されるということです。しかし,借金(元金)を返してもらう,あるいは,利息を受け取る世代も,やはり孫の世代,将来世代なのです。その利息は日本のGDP(国民所得)になります

 だいたい、我々が給料を消費せずに、貯蓄すると、国債残高は増える のです。貯蓄が、①企業の借金・②政府の借金・③外国の日本に対する借金の原資です。企業が100万借金するのは、金利2万円を返しても、105万売り上げて、3万もうけようとするからです。それを「借金経営」とは言いません(上場企業の資本のうち、6割は借金=他人資本です)。金利<売上げ利益なら、借金は負担ではありません。政府の借金も、金利<GDP成長率なら、政府にとって全く負担ではないのです。
 さらに、日本政府は、世界で一番の金持ち政府なのです。国会や、裁判所の土地建物、国道など、売れない資産を除き、現金・預金,有価証券,未収金,貸付金,運用寄託金,出資金など,流動性の高い資産(現金化できる)だけで,523兆3890億円あります高橋洋一『日本は財政危機ではない!』講談社 2008 p29

柴山政行 『Google経済学』フォレスト出版 2008 p196
国際的にしばしば使われている指標は「純債務:289兆円」で,財務省が主張する「粗(あら)債務:980兆円」ではありません。日本ほど,政府が多額の資産を持っている国はないのです。その資産を「粗債務」から引くと,債務超過額は289兆円になります。その額は,単純計算ですが,日本の国家予算82兆円の3.5倍程度になります。

実は,日本が財政危機でない事を一番よく知っているのが財務省なのです(以下の内容は 高橋洋一『さらば財務省!-官僚すべてを敵にした男の告白』『日本は財政危機ではない!』講談社 2008)によります。
2002年,アメリカの格付け会社によって,日本国債の格付けが引き下げられました。それに反論した財務省の意見書です。
 「日本は世界最大の貯蓄超過国(筆者注:S-Iが黒字)であり,国債はほとんど国内で消化されている。また世界最大の経常収支黒字国(筆者注:外国への資金貸し出しが最大の国)であり,外貨準備も世界最高である
このように,「純債務でみると日本は財政危機ではない」という,常に「財政危機だ」と言っている日本国内向けの説明と,全く違う説明を海外にしたのです。
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