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新聞の間違い(9)日本経済新聞

剣が峰『大機小機』日本経済新聞 H21年3月5日

…米国は貿易赤字を手放しで増やしてきた結果、米国内にあった生産設備の多くが撤去されアジア地域に移転する結果となっている。…このような状況のもとで財政支出を拡大すると、相当程度の輸入を誘発し、必ずしも期待通りに国内生産と雇用の増加に結びつかない。そのため米国は国産を優先する保護貿易政策を打ち出さざるをえなくなった。他方、米国の国内生産について、失われた国際競争力を回復する必要性も高まる。これまでよりもドルの切り下げ圧力が強くなる。そうなると、世界中が通貨切り下げ競争に巻き込まれかねないとの懸念も出てくる。

  「貿易赤字=輸入増=国内の生産設備減」という部分ですが、輸入増=輸出増なので、アメリカ国内の生産設備は増えています。
 「輸入が増えれば(生産設備のアジア移転)、当然、それらの製品の輸出は減り、アメリカ国内産業は空洞化する=雇用が失われる」という考え方は、間違いです
 確かに、たとえば、「アメリカの自動車」の輸出が減れば、自動車産業の生産と職は減少します。しかし、リカード比較生産費説にも明らかなように、生産を特化する=労働者をシフトすることなので、自動車産業(比較劣位産業)から、他産業(比較優位産業)へ必ず雇用がシフトします。アメリカ全体で雇用量は失われていないのです。
 ですから、輸入増(比較劣位縮小)=輸出増(比較優位拡大)になるのです。輸入+輸出=量100なのではなく、輸入増+輸出増=輸出入量増大なのです。「輸出を伸ばし、輸入を抑える」ことは原理上できません。多輸出国=多輸入国なのです。

実教出版 資料集『新政治・経済資料』p2008 p259
一人当たり輸出入

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