新聞を解説(10) 日本経済新聞 H21,5.31

太田康夫『けいざい解読 米景気、過剰債務の重荷』日本経済新聞 H21,5.31

 「V字回復はなぜ起きないのか」。米ゴールドマン・サックスは、5月半ば家計の貯蓄志向、企業の消極的な雇用姿勢などが回復を遅らせると指摘。…米国では…家計も借り入れに狂奔した。2008年末までの5年間で…家計が45%も借金の残高を増やしている。増加額は…家計で4兆3千億ドルにのぼる。…担保の住宅が値下がりし、返済負担が重くなっている。
すでに家計は自己防衛を始めている05年にはマイナスになった貯蓄率は現在、4%程度と日本より高い。…それに伴って国内総生産(GDP)の7割を占める消費が抑えられ、景気に下押し圧力がかかる公算が大きい


 日経の編集委員の記事です。経済学的に正しいです。一方、ただちに、このブログで指摘してきた下記の記事が誤りだということがわかります。

『米の貿易赤字・貯蓄率改善 市況の法則』日本経済新聞 H21.5.23
米国の経済指標の一部に好転の兆しがみえてきた。財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」のうち、貿易赤字は縮小。個人の貯蓄率はプラスに転じている。これらの指標の改善は・・・

米国貯蓄率・貿易収支

 三面等価の図を見てみましょう。三面等価

 「消費を英語のConsumptionの頭文字C,貯蓄をSavingのS,税金をTaxのT」であらわします。すると,②分配(所得)は「C++T」という式になります。
 われわれが消費せずに貯蓄を増やすと,企業はモノ・サービスが売れないので,生産を縮小したり,値段を下げたり,新たな投資を控えますGDP(国民総生産)が減りますGDPが減るので,我々の所得(給料)も減ります。所得が減ると,ますますお金を使うことが出来なくなります。社会全体の経済が縮小します。これを不況と言います
 個人が貯蓄を増やすのは、個人にとっては良いことなのかもしれませんが、社会全体で消費が落ち込み、GDPが落ち込みます。これを、「合成の誤謬」といいます。
 貯蓄率の増加は「良いこと・悪いこと」という価値判断の対象ではないのです。「個人の貯蓄率はプラスに転じている。これらの指標の改善…」は、社会全体・企業の側から見ると、「社会全体の貯蓄率はプラスに転じている。これらの指標の改悪… 」となります。

 日経は、正しい記事と、間違った記事混在しています。
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