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資料集の間違い(1)

浜島書店『最新図説 政経』2008年10月10日印刷 p220

「検証・借金まみれニッポン」「借金大国・日本 日本の財政が危機に陥っている…国債残高は約547兆円…国と地方の長期債務残高は、約773兆円にも達する。…国民すべてで割ると、一人平均605万円の借金を背負っている計算だ」

同p224 「個人金融資産が海外に移され、国債の買い手がいなくなれば、国債は暴落し、資金を調達できない日本の財政は破綻する


これでは、誤りです。正解は、「国債は政府の借金=国民の財産です。国債を買っているのは誰でしょう?それは我々1人1人の国民なのです。約668兆円の国債のうち、95.4%=約637兆円は、我々日本人が持っているのです(海外の4.6%を除く 2006年3月末現在)。簡単に言えば、約1500兆円に及ぶ、日本人の個人資産の約42%は国債なのです。
 我々が預貯金をしたり、生命保険金を支払ったりしたお金が、国債の購入に当てられています。しかも、国債の金利は、銀行や郵貯、保険会社の利益(GDPに算入)です。だから上記の引用文「国民すべてで割ると、一人平均605万円の借金を背負っている計算だ」は、「一人平均577万円の財産を持っている計算だ」を加えないと、間違いなのです。
 だいたい、我々が給料を消費せずに、貯蓄すると、国債残高は増えるのです。貯蓄が、①企業の借金・②政府の借金・③外国の日本に対する借金の原資です。企業が100万借金するのは、金利2万円を返しても、105万売り上げて、3万もうけようとするからです。それを「借金経営」とは言いません(上場企業の資本のうち、6割は借金=他人資本です)。金利<売上げ利益なら、借金は負担ではありません。政府の借金も、金利<GDP成長率なら、政府にとって全く負担ではないのです。
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