『5月の輸出数量、15ヵ月ぶりマイナス』 日本経済新聞H22.6.24
日本経済新聞H22.6.24 『5月の輸出数量、15ヵ月ぶりマイナス』
…財務省が24日発表した5月の貿易統計によると、輸出額は前年同月比32%増と、4月と比べて伸びが鈍化した。内開府が試算した輸出数量指数(季節調整値)で足元の動きをみると、5月は前月比0.1%低下と15ヵ月ぶりにマイナスになった。
日本経済新聞H22.7.2『韓国輸出6月32%増』
韓国知識経済省が1日発表した6月の輸出(速報値)は前年同月比32.4%増…月間の過去最高額…。…輸入は同36.9%増の352億ドルで貿易収支は75億ドルの黒字。
日本経済新聞H22.6.26『輸出額、7か月連続増』

<輸出と輸入は相関(比例)関係>
輸出が伸びれば輸入も伸びる、輸出が減れば輸入も減る。

輸出の裏には,必ず輸入があり,輸入の裏には必ず輸出があるのです。ということは,「輸出を伸ばし,輸入を抑える」のは,理論上,不可能になります。
輸出拡大には,生産量拡大が必要です。生産量拡大には,労働力が必要です。労働力はどこから持ってきますか?それは,比較劣位産業からしか持ってこられません。「比較優位な産業に特化しなければ,輸出は成り立たない」=「輸入をしなければならない」ということなのです。

輸出と,輸入がセットということは,輸出拡大と,輸入拡大もセットということです。
図50 浜島書店 資料集『最新図説 政経』2006 p309

棒グラフの左側は輸出,右側は輸入
日本の貿易額は,年を追って拡大してきました。その際,「輸出の拡大と輸入の拡大」はセットになっていることがわかりますか?「輸出を拡大する=特化する」ということは,「比較劣位産業を縮小しなければばらない=輸入を拡大する」ことなのです。日本は,繊維製品(当初),鉄鋼,造船,家庭電化製品,自動車に特化する一方,繊維製品・石油・鉄鉱石・石炭・農業産品など,劣位産業を縮小し,輸入を拡大してきたのです。
実教出版 資料集『新政治・経済資料』p2008 p259

世界の中で比較しても同様です。「一人あたり輸出額の大きい国は,輸入額も大きい,輸出額が小さければ,輸入額も小さい」という相関関係がみてとれると思います。
逆に,「輸出をしない」ということを選択すれば,「輸入をしない」ということと同じです。自給自足ですね。当然,経済規模は縮小します。いずれにしても,「輸出を伸ばし,輸入を抑える」という幼稚産業保護に基づく政策は,実現できないことが分かりました。
このように,貿易は,輸出と輸入を通した,「ゼロサム・ゲーム(勝つか負けるか)」の戦いではありません。ゼロサム・ゲームは,増えないモノとか資源とかを奪い合うことです。
16世紀~のヨーロッパ重商主義は,「一国の富は,貨幣としての金や銀であり,したがって富の増大とはそれらの蓄積である」という,「重金主義」を主張しました。一説によると,人類がこれまでに産出した「金」は50mプール3杯分だそうです。金の産出量は,今後も,劇的に増えることはありません。これを国と国で奪い合うのですから,ゼロサム・ゲームになります。

しかし,貿易は違います。資源(労働力),資本,技術力を有効活用し,量を増やすのです。

「勝つか負けるか」ではなく,両者ともに,「WIN-WIN」の関係になれる,それが貿易です。
…財務省が24日発表した5月の貿易統計によると、輸出額は前年同月比32%増と、4月と比べて伸びが鈍化した。内開府が試算した輸出数量指数(季節調整値)で足元の動きをみると、5月は前月比0.1%低下と15ヵ月ぶりにマイナスになった。
日本経済新聞H22.7.2『韓国輸出6月32%増』
韓国知識経済省が1日発表した6月の輸出(速報値)は前年同月比32.4%増…月間の過去最高額…。…輸入は同36.9%増の352億ドルで貿易収支は75億ドルの黒字。
日本経済新聞H22.6.26『輸出額、7か月連続増』

<輸出と輸入は相関(比例)関係>
輸出が伸びれば輸入も伸びる、輸出が減れば輸入も減る。

輸出の裏には,必ず輸入があり,輸入の裏には必ず輸出があるのです。ということは,「輸出を伸ばし,輸入を抑える」のは,理論上,不可能になります。
輸出拡大には,生産量拡大が必要です。生産量拡大には,労働力が必要です。労働力はどこから持ってきますか?それは,比較劣位産業からしか持ってこられません。「比較優位な産業に特化しなければ,輸出は成り立たない」=「輸入をしなければならない」ということなのです。

輸出と,輸入がセットということは,輸出拡大と,輸入拡大もセットということです。
図50 浜島書店 資料集『最新図説 政経』2006 p309

棒グラフの左側は輸出,右側は輸入
日本の貿易額は,年を追って拡大してきました。その際,「輸出の拡大と輸入の拡大」はセットになっていることがわかりますか?「輸出を拡大する=特化する」ということは,「比較劣位産業を縮小しなければばらない=輸入を拡大する」ことなのです。日本は,繊維製品(当初),鉄鋼,造船,家庭電化製品,自動車に特化する一方,繊維製品・石油・鉄鉱石・石炭・農業産品など,劣位産業を縮小し,輸入を拡大してきたのです。
実教出版 資料集『新政治・経済資料』p2008 p259

世界の中で比較しても同様です。「一人あたり輸出額の大きい国は,輸入額も大きい,輸出額が小さければ,輸入額も小さい」という相関関係がみてとれると思います。
逆に,「輸出をしない」ということを選択すれば,「輸入をしない」ということと同じです。自給自足ですね。当然,経済規模は縮小します。いずれにしても,「輸出を伸ばし,輸入を抑える」という幼稚産業保護に基づく政策は,実現できないことが分かりました。
このように,貿易は,輸出と輸入を通した,「ゼロサム・ゲーム(勝つか負けるか)」の戦いではありません。ゼロサム・ゲームは,増えないモノとか資源とかを奪い合うことです。
16世紀~のヨーロッパ重商主義は,「一国の富は,貨幣としての金や銀であり,したがって富の増大とはそれらの蓄積である」という,「重金主義」を主張しました。一説によると,人類がこれまでに産出した「金」は50mプール3杯分だそうです。金の産出量は,今後も,劇的に増えることはありません。これを国と国で奪い合うのですから,ゼロサム・ゲームになります。

しかし,貿易は違います。資源(労働力),資本,技術力を有効活用し,量を増やすのです。

「勝つか負けるか」ではなく,両者ともに,「WIN-WIN」の関係になれる,それが貿易です。
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