比較優位論のP・F・ドラッカーによる説明 


 

比較優位論のP・F・ドラッカーによる説明 

これで比較優位に文句言うのは、白を「黒だ!」というやから


宝島社『まんがでわかる ドラッカーのリーダーシップ論』

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個人 得意分野に特化⇔交換(トレード)
企業 得意分野に特化⇔交換(トレード)

この結果が輸出入(トレード)として示される。

国と国は、「交換」する主体ではない。
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genre : 学校・教育

リカード 比較優位 比較生産費説 その13

<リカード 比較優位 比較生産費説 その13>

<比較優位=生産性>


清水書院 教科書『現代政治・経済』2008 p152清水書院 教科書『現代政治・経済』2008 p152.その2

間違い×「生産量が増え,交換すれば利益を得る」
正解 ○「特化前は,生産量≧消費量だったものが,特化後は生産量<消費量となり,消費者効用が増大する」

 以上のように,リカードの理論は,すべての国の,すべての消費者の「実質所得が増え,商品購入の選択肢が拡大するとともに,消費者効用も増大する」ということを明らかにしました。実際に,私たちは,貿易を拡大することによって,さまざまな利益を得てきました。

 たとえば,日本では,アメリカとの間の交渉により,1991年4月から牛肉とオレンジの輸入が自由化されました。その後,関税率はどんどん下がりました。その結果,牛肉は,安い値段で提供されるようになり,いつでもどこでも食べられる商品になりました。その昔,牛肉が「ビフテキ」(ビーフ・ステーキの略)と言われていたころは,高くてとても食べられなかったのですが,今では,ファストフードのハンバーガーから,食べ放題のお店まで含めて,牛肉は,庶民的な食べ物へと変わりました。貿易の自由化は,必ず消費者利益を拡大するのです。

(一方で,日本の畜産農家(生産者)は減少しました。1991年から,2005年までに,総戸数で28%減少したのです。農林統計協会『畜産統計』国立国会図書館web検索)

 このように,貿易の自由化は,消費者利益を拡大することが分かっているにも関わらず,コメの輸入自由化は,いまだに実現できていません。関税率は平成17年4月現在490%(例:100円のコメが日本に輸入されるときに,490円の税金をかけ,結果として590円で販売される)です。貿易自由化は,消費者利益を拡大するのに,なぜ日本は,「自由化拡大」という戦略を取らないのでしょうか。たとえば,オーストラリアや,東南アジアとの,農業自由化を伴う,FTA(自由貿易協定)をどんどん締結しないのでしょうか。

 実は,「リカード・モデル」には,比較優位な産業に特化(部分特化を含む)するという条件がありました。貿易をする前に,両国が,比較劣位産業を縮小し,比較優位な産業に特化しなければこのモデル自体が成り立たないのです。では,比較劣位とされた産業の生産者はどうなるのでしょうか。

 日本は,昭和30年代まで国策として石炭産業を保護してきました。しかし,1960年代のエネルギー革命により,世界中が,石炭から石油へという流れを取る中,日本も石油エネルギーに転換してゆきます。その結果,日本各地の炭鉱は閉鎖され,石炭産業は完全に衰退しました。石炭産業に従事していた人は,みな職を失いました。

 本当は,日本では,今でも石炭は掘れるのです。しかし,オーストラリアなど,露天掘りができる石炭に比べ,坑道を掘り,地中深く潜らないと石炭が取れない日本の炭鉱では,その生産性において圧倒的な差があります。何百人もの労働者が,坑道で石炭を掘るのと,十数人の乗組員が大型タンカーで原油を運ぶのと,どちらが優位かは一目瞭然です。石炭産業は,比較劣位産業なのです。

一方,自動車産業は,オーストラリアに比べ,日本が圧倒的に比較優位にあります。また,小麦や牛肉の生産に関しては,オーストラリアや,アメリカは広大な土地を背景に,やはり日本の小麦・牛肉生産に比べ,比較優位産業であることは,明らかです。 

図44 東京書籍 資料集『資料 新総合政・経』H18 p216
農業生産性国際比較.jpg

上記のグラフを見ると,労働生産性(従業者1人当たりの生産性)において,オーストラリア・アメリカ・カナダといった国は,日本に比べて,高い水準にあります 。
 さらに,日本国内で,農業と製造業との生産性を見てみましょう。製造業の労働生産性(従業者1人当たりの生産性)を100とした場合,農業はおおむねその20%から30%台で推移しています。

図45 東京書籍 資料集『資料 新総合政・経』H18 p216
農業工業生産性.jpg

 日本の農業は,国内比較の生産性において,比較劣位にあるのです。

 「リカード・モデル」において,比較優位な産業に特化するということ,貿易をするということは,比較劣位産業に従事している,生産者の職を奪うということなのです。だから,「コメの輸入自由化阻止」が,その生産者側から主張されるのです。その声が大きい(政治問題ですね)と,なかなか「自由化」とはならないのです。
生産者と消費者,どちらが多いかは明白です。平成17年度,日本の農業従事者は,350万人いません。日本全体の人口は,1億2600万人です。図に書くとこのような感じになります。
46リカード図.jpg

 貿易による利益は,広く日本全体に行きわたります。ただ,消費者利益の拡大は,経済学的な問題ですが,生産者利益の保護は,政治的な問題です。日本がコメの輸入自由化を禁止あるいは,制限してきた理由は,

教育出版 教科書『政治・経済 明日を見つめて』H18 p169
「主食である米だけは自給しておきたい,田んぼでの米の生産は日本の自然環境と一体化したもので輸入は自然破壊につながる,米は日本の伝統文化を反映したもので輸入により文化が破壊される」


というものです。経済学的な利益という観点から主張されるのではありません。

 これは,日本に限ったことではありません。どの国も,その国の中に「生産者」を抱えているのです。アメリカでは,1980年に,日本車を破壊するというデモンストレーションが行われました。1970年代後半に日本車の輸入が拡大し,アメリカの自動車メーカーは不況に陥っていました。自動車メーカーに大量に解雇された労働者は失業者となり,怒りを日本の自動車にぶつけたのです。日米自動車摩擦は政治問題化し,1981年からは,日本車の,対米自動車輸出自主規制が始まったのです。
 
 貿易を行うことによって,私たちは,比較優位な産業に特化し,自国産業を高度化し,所得を増大させてきました。しかし,それは同時に,比較劣位産業の衰退を伴うものでした。
 
 ただ、比較生産費=コストですから、比較優位=給料が高い(もうかる)、比較劣位=給料が安い(もうからない)ということです。

 我々が、職業や、アルバイトを選ぶ際、何を基準にするでしょうか。有力な一つが、給料、時給だと思います。比較優位産業は、「給与・時給」が高くなっている産業です。はじめは「失業」という痛みを伴いますが、再就職する際には、「給料、時給」を基準に職探しをしてゆくと思います。そのシフトの結果が、次のグラフです。

図47 東京法令出版 資料集『政治・経済資料』2008 p230
産業構造の変化 新.jpg

 このグラフにあるように,日本国内では,第1次産業→第2次産業→第3次産業へ産業構造が変化してきました。日本では,石炭産業が衰退し,繊維を中心とする軽工業から重工業にシフトし,そして,「モノづくり」から「サービス産業」にシフトしてきたのです。もうかる産業に、人が集まるとはこういうことです。

 農業に後継者がいないのは、「もうからないから」です。儲かる産業なら、人は殺到します。儲かる=生産性が高い=比較優位産業ということです。
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