リカード 比較優位 比較生産費説 その12
<リカード 比較優位 比較生産費説 その12>
<比較優位=三角形の傾き>
清水書院 教科書『現代政治・経済』2008 p152
間違い×「生産量が増え,交換すれば利益を得る」
正解 ○「特化前は,生産量≧消費量だったものが,特化後は生産量<消費量となり,消費者効用が増大する」

このような,三角形の違いがあれば,貿易による利益が発生することは,皆さんはすでにお分かりだと思います。ア国はB財に比較優位があり,イ国は,A財に比較優位があります。貿易によって,a点と,b点を結べば,両国の三角形は大きくなります。
あるいは,A財に対するB財の生産性が,全く同じケースでも,貿易の利益は発生します。

このア国は,A財に対するB財の生産性は全く同じです。しかし皆さんがお気づきのように,イ国では,A財に対するB財の生産性が違う(比較優位)ので,やはり,a点とb点を結べば,両国の三角形は大きくなります。(イ国は結んでも変わらないように見えますが,A財に特化しているので,b点では,B財の生産量は0です。それが,貿易によって三角形になるのです)
ですので,貿易前の三角形の形が,両国で全く同じ場合は,比較生産費説は成り立ちません。例えば次のような場合です。

あるいは,下記のような場合です。


実際には,このように比較生産費がぴったり同じということは,世界約200カ国の間では,ないと思います(あるかもしれませんが,たぶん少ないでしょう)。
つまり,三角形の傾きが少しでも違っていれば,「自由貿易によって,全ての国が利益を得ることができる」のです。貿易は,すべての国を利するのです。
三角形の傾きは,X(Y)財÷Y(X)財と同じ事です。すなわちX財についてどちらが比較優位かの場合は,X財÷Y財(Y財に対して,X財はどれぐらいの費用がかかるか),同様にY財についてはY財÷X財で示されます。


X財についてどちらが比較優位かを検討します。表2の場合,ポルトガルは1/2=1÷2(=0.5),イギリスは5/4=5÷4(=1.25)です。1/2(0.5)<5/4(1.25)なので,X財について,ポルトガルが比較優位です。ポルトガルの場合,X財はY財の1/2の費用で生産可能ということですね。
一方,Y財については,ポルトガルは2/1=2÷1(=2),イギリスは4/5=4÷5(=0.8)ですから,2>0.8となり,イギリスがY財において,比較優位なのです。
私たちの日常生活そのものが貿易です。なぜ,私たちは「自給自足」しないのでしょう?それは,銀行員,農業,商店員,教員,弁護士・・という仕事(自分の一番得意な分野)に特化したほうが,「生産者(消費者)利益」を生むからです。特化したそれぞれの生産物・サービスを輸出(提供)して,必要な生産物・サービスを輸入(購入)しているのです。
食糧生産,衣服生産,住居建築・・・これらを,1人の人がすべて自分で行うのは,考えただけで非効率な事がわかると思います。「自給自足<社会的分業」これがリカードの「比較生産費説」なのです。これを,国家間で行うと「貿易」になる。長々と説明しましたが,ただそれだけのことだったのです。
<比較優位=三角形の傾き>
清水書院 教科書『現代政治・経済』2008 p152

間違い×「生産量が増え,交換すれば利益を得る」
正解 ○「特化前は,生産量≧消費量だったものが,特化後は生産量<消費量となり,消費者効用が増大する」

このような,三角形の違いがあれば,貿易による利益が発生することは,皆さんはすでにお分かりだと思います。ア国はB財に比較優位があり,イ国は,A財に比較優位があります。貿易によって,a点と,b点を結べば,両国の三角形は大きくなります。
あるいは,A財に対するB財の生産性が,全く同じケースでも,貿易の利益は発生します。

このア国は,A財に対するB財の生産性は全く同じです。しかし皆さんがお気づきのように,イ国では,A財に対するB財の生産性が違う(比較優位)ので,やはり,a点とb点を結べば,両国の三角形は大きくなります。(イ国は結んでも変わらないように見えますが,A財に特化しているので,b点では,B財の生産量は0です。それが,貿易によって三角形になるのです)
ですので,貿易前の三角形の形が,両国で全く同じ場合は,比較生産費説は成り立ちません。例えば次のような場合です。

あるいは,下記のような場合です。


実際には,このように比較生産費がぴったり同じということは,世界約200カ国の間では,ないと思います(あるかもしれませんが,たぶん少ないでしょう)。
つまり,三角形の傾きが少しでも違っていれば,「自由貿易によって,全ての国が利益を得ることができる」のです。貿易は,すべての国を利するのです。
三角形の傾きは,X(Y)財÷Y(X)財と同じ事です。すなわちX財についてどちらが比較優位かの場合は,X財÷Y財(Y財に対して,X財はどれぐらいの費用がかかるか),同様にY財についてはY財÷X財で示されます。


X財についてどちらが比較優位かを検討します。表2の場合,ポルトガルは1/2=1÷2(=0.5),イギリスは5/4=5÷4(=1.25)です。1/2(0.5)<5/4(1.25)なので,X財について,ポルトガルが比較優位です。ポルトガルの場合,X財はY財の1/2の費用で生産可能ということですね。
一方,Y財については,ポルトガルは2/1=2÷1(=2),イギリスは4/5=4÷5(=0.8)ですから,2>0.8となり,イギリスがY財において,比較優位なのです。
私たちの日常生活そのものが貿易です。なぜ,私たちは「自給自足」しないのでしょう?それは,銀行員,農業,商店員,教員,弁護士・・という仕事(自分の一番得意な分野)に特化したほうが,「生産者(消費者)利益」を生むからです。特化したそれぞれの生産物・サービスを輸出(提供)して,必要な生産物・サービスを輸入(購入)しているのです。
食糧生産,衣服生産,住居建築・・・これらを,1人の人がすべて自分で行うのは,考えただけで非効率な事がわかると思います。「自給自足<社会的分業」これがリカードの「比較生産費説」なのです。これを,国家間で行うと「貿易」になる。長々と説明しましたが,ただそれだけのことだったのです。
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