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GDPが伸びると、輸入が伸びる???

<高橋洋一という、詐欺師>

 この、高橋洋一というデマゴーグは、北海道民を馬鹿にしています。「財界さっぽろ」という月刊誌に、「官僚にだまされるな」という連載をし、ウソ・デタラメ・デマばかり書き、北海道民を愚弄しています。

北海道民は「北海道新聞」というクオリティーペーパーを愛読する、大変知性の高い人々です。それを愚弄するなど、許せません(笑い)。

まあ、これは冗談ですが、まあまあ、彼のやっていることのレベルの低さ・・・。本人、自分自身で何をやっているんだか、さっぱりわからないのでしょうねえ。

これを「経済学者」とあがめる人たちも終わっています(その人たちも高橋がトンでも論者だということに気づいていないということです)。

中国経済を分析するという記事です。

財界さっぽろ 2015.10月号

輸入の伸び率とGDPの伸び率との間には、かなり安定的な正の関係(GDPが伸びている時には、輸入が伸びている)がある。
 世界中の国のデータから、その安定関係を推計して、中国の輸入の伸び率から、GDPの伸び率を算出する…2014年は1%増、2015年は3%程度の減少になる。



そして、「先進国の輸入伸び率と、GDP伸び率に相関があり、相関係数は、0.7だ」というグラフを載せます。

高橋

この人、本当に終わっています。

1)

GDPというのは、「総供給AS」と、「総需要AD」の交点のことです。皆さんご存知の「需給曲線」のマクロ版です。

ad-as


総供給は、GDP=Yです。それに、外国が加わります。国産車に、メルセデスやアウディや、BMWが加わります。それらを「輸入」といい、総供給は「輸入」+「GDP」です。

総需要ADは、家計消費C+企業投資I+政府支出Gです。これに、外国が加わります。日本車を需要しているのは、「海外の人」もいます。ですから、「輸出」が加わります。
総需要ADは、「C+I+G+輸出」です。

総供給    総需要
輸入+GDP=「C+I+G+輸出」


  総供給 総需要 高橋

です。ここで、GDP=国内で生産されたものだけを出すために、輸入を右辺に移項します。

GDP=C+I+G+(輸出-輸入)

さて、ここで高橋は、「輸入が伸びるとGDPも伸びる」と、「両者は相関関係にある」といいます。

高橋の言う相関係数については、
http://www1.tcue.ac.jp/home1/abek/htdocs/stat/corre.html
参照。

 私は、高橋の「相関係数」の説明は、怪しいと思っています。エクセルでプロットすれば、相関係数は出ますが、そのうち、r2乗は「相関係数」ではなく「説得力」の話です。

 1が「完全」だとしたら、r2が0.7ということは、相関には70%の影響がある、70%程度の説得力を持つということです。

高橋がrを0.7としているか、r2を0.7としているか、そこも示していないので、もともと、でたらめグラフではあるんですけど・・・

大体、GDPが「名目か実質か」、輸入が「名目か実質か」も示さずにグラフで「さあどうだ!」ですから、最初から「終わっている」んですけどね。

「輸入が伸びれば、GDPも伸びる相関がある」

これ、「国産車の生産が伸びると、外国車の輸入が伸びる」と言っていることと同じです。

いかに「アホなこと」か、お分かりですか?

1)大体、なぜ、同じ「供給」サイドの構成要素を、グラフにしなければならないのか、意味不明です。

「供給サイドが伸びれば、供給サイドが伸びる」・・・バカです。

貿易黒字 赤字 高橋

「オレンジ輸入が伸びると、ミカン生産も伸びる」???????

だから、「オレンジ輸入の伸び率から、ミカン伸び率を推計すれば」・・・・アホです。

2)そこに見かけ上相関がありそうに見えるから、それを「意味がある」とするのも異常です。

「公園の木々の葉っぱが落ちる率が高くなると、灯油消費伸び率が高くなる」、「警察官の数が多い街は、犯罪件数が多くなる」、だから「両者は相関関係にある、相関係数は0.7だ(これ怪しいです)」・・・アホです。

 高橋にかかると、なんでも「右上がりになると相関だあああ!!!」ですからねえ。

「暖房用電気消費量が伸びると、(北海道では)車のスリップ事故が多くなる」両者は1:1.3の関係だ。だから、「電気消費量伸び率をみると、スリップ事故の伸び率が予測できる」って、バカでしょう?

3)しかも、「先進国のデータから見ると・・・」って、とにかく何でもいいから、先進国をエクセルにぶち込んで、「輸入が伸びればGDPも伸びている!!!!」って、本当にバカです。こんなもの、学生論文なら、即「不可」です。

 条件から何から、全く違うデータを、ただ「先進国=1人当たりGDPが多い国」だからとまとめて、「輸入が伸びるとGDPが伸びる」って、絶対にやってはいけない事でしょう。

 そういえば、「藻谷浩介」の「人口が減るからデフレ」論を否定するために、「人口減少国とインフレ率」をプロットして、「人口減=デフレ」ではないっ」てやってましたが、これもアホです。
 これ、「理論」でもなんでもありません。ただ、「そういう国もある」という、「実証」に過ぎません。「実証」がそうだから、「日本のインフレ率が人口にともなって減るわけではない」とは、全く言えません。

「実証」がなぜ「そうなるか」と言う「理論」を発見し、その「理論」をもとに、「説明」しないとだめなのです。

 「交通事故が今まで起こらなかった(実証)、だから、これからも起きない(理論)」って、こんな話を、だれが信用できますか?

 違うでしょう。「人口減でもデフレにならないのは、こうこう、こういう理由による」だから、日本も、人口減でデフレになるのではない」と、理論で説明しないとだめです。

http://diamond.jp/articles/-/10728

日本のデフレは人口減少が原因なのか
人口増減と「物価」は実は関係がない



何でもかんでも、エクセルに「数値」を打ち込んで、「相関があるだの、ないだの」この人のやっていることは、

「公園の木々の葉っぱが落ちる率が高くなると、灯油消費伸び率が高くなる」、「警察官の数が多い街は、犯罪件数が多くなる」

レベルのアホ論です。アホをアホと認識できないのだから、この人の話を信じている人もアホです。

高橋のウソ、アホ論は、まだまだ続きます。「財界さっぽろ」記事のウソは続きます。

はっきりいって、「ゴミ」「害」です。

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新聞の間違い下原口徹『中国経済 転換なるか 輸出依存を内需主導に』その 日経H22.5.10

<新聞の間違い 日経H22.5.1>

1(数字は筆者挿入)

 上海国際博覧会(上海万博)は中国の経済成長を世界に示すとともに、①経済構造を投資・輸出依存型から、消費・内需主導型に変える起爆剤の役割も担う。…世界中が巨大化する中国経済とのかかわりを深めており、内需型転換の行方に注目している。
…②大阪万博後の日本は、内需拡大が十分に進まず、米欧との貿易摩擦が続いた。規模では当時の日本をはるかに上回る中国経済の内需型への転換が滞れば、摩擦激化で世界経済は不安定さを増す。


<中国は内需拡大で成長した>

①経済構造を投資・輸出依存型から、消費・内需主導型に変える起爆剤の役割も担う。…世界中が巨大化する中国経済とのかかわりを深めており、内需型転換の行方に注目している。

 「中国は、輸出依存」とよく言われます。確かに元安政策を維持し、輸出を伸ばしているようですが、この記者の頭には,「中国経済の全体像」が入っていませんので、「投資・輸出依存型から、消費・内需主導型に変える」などと書いてしまいます。実際の統計を見てみましょう。

中国 GDP 輸出 輸入額

 一目瞭然です。青い色のGDPから、(輸出-輸入=外需)を引いたものが、中国の「内需」です。内需が爆発的に増加していることが分かります。中国の経済成長とは、内需拡大(国内の経済規模が大きくなる)のことなのです。
中国 GDP 貿易黒字

GDPに占める、内需の割合は、2005年95.44%、2006年93.35%、2007年92.3% 2008年93.2%です。

中国 内需 外需割合

 2007年⇒2008年は、内需の割合が拡大しています。「投資・輸出依存型から、消費・内需主導型に変える」という日経記者の主張は、内需の割合を何%にすることを指しているのでしょうか?

 2009年は、さらに「黒字が縮小」しました。2009年のGDPは増えていますので、内需割合はさらに高くなっているはずです。(2009年、中国GDPのドルデータがないため、下記の記事を参照)

チャイナ・プレス http://www.chinapress.jp/finance/19847/
2010年1月21日、中国国家統計局は2009年経済データを発表した。データによると、2009年の国内総生産(GDP)は33兆5353億元(約449兆7022億円)に達し、前年比8.7%成長を遂げた。


日経H22.4.20『GDPに占める経常黒字の比率 中国2年連続低下』グラフも
中国…が発表した2009年の国際収支報告…。貿易黒字の大幅な減少が響き…前年を下回った。…モノの貿易の貿易黒字が31%減った…。

中国 経常黒字 減少

 中国が成長したのは,やはり,内需の拡大によるものです。

 貿易黒字が,なぜ生じるか,もう一度思い出してみましょう。

 中国が貿易黒字を増大させているのは,GDP(国内総生産)=GDI(国内総所得)が拡大したのに,国民がその所得を消費に回さず,貯蓄に回していることが原因です。所得が増えたので,貯蓄も増やしているのです。

『中国貯蓄率最高の28.8%』 日本経済新聞21.4.7
中国の家庭で,消費よりも貯蓄を優先する傾向が続いている。2008年の家計
貯蓄率は28.8%と過去最高を記録した。…貯蓄率は家計の収入から,税金などを差し引いた可処分所得のうち,モノやサービスの消費に使わず貯蓄に回した割合。…最大の理由は,医療や年金など社会保障制度の未整備にある。

黒田東彦 アジア開発銀行総裁『月曜:経済観測』日本経済新聞H21.9.7
…中国は消費を拡大する必要がある。…貯蓄が過剰で国内総生産(GDP)の10%
前後の大幅な経常黒字が出ている。…貯蓄率の上昇は中長期に続く。


 GDPの三面等価を見てみましょう。
三面等価 2008

 ①貸した(総額)=借りた(総額)②生産の残り相当分=消費した人(主体)から,言えること,貿易黒字についてです。
(EX-IM)は,経常黒字(貿易黒字含む)ですが,同時に日本の,海外への資金の貸し出し(外国の日本に対する借金)になるのです。

貿易黒字額=外国への資金の貸出額

「総生産額」から,国内の「総消費(投資)」(家計・企業・政府)を差し引いたものが,(EX-IM)=貿易黒字・海外への資金流出に等しくなるのです。

「総生産額-総消費」=「国全体の貯蓄超過」=「貿易黒字」

 日本全体の所得と支出の差は,貯蓄であり,それは(EX-IM)「貿易黒字」なのです。日本が「貿易黒字」を生み出すのは,日本人が,その支出を,所得以下におさえ,海外への貯蓄供給=海外投資をした結果です。

 これが,貿易黒字の正体です。ですから,日本という部分を,中国に置き換えると,

(EX-IM)は,経常黒字(貿易黒字)ですが,同時に中国の,海外への資金の貸し出し(外国の中国に対する借金)になるのです。

 中国全体の所得と支出の差は,貯蓄であり,それは(EX-IM)「貿易黒字」なのです。中国が「貿易黒字」を生み出すのは,中国人が,その支出を,所得以下におさえ,海外への貯蓄供給=海外投資をした結果です。

と,なります。「貿易黒(赤)字と,経済成長は無関係」なのです。

theme : マクロ経済学 ミクロ経済学
genre : 政治・経済

GDP <内需か外需かその2>

<内需か外需かその2>

『外食産業アジアへ』読売新聞 H21.8/6
シンガポールに日本の外食産業が相次いで進出している。日本の外食市場は少子高齢化で先細りが懸念されるため、シンガポールを拠点に東南アジアやオセアニアへの展開に活路を求める狙いだ。


記事では、「和民、吉野家、つぼ八、築地銀だこ、一風堂、デニーズ、大戸屋」が紹介されています。
 
『優優統合が促す危機シフト』日経h21.8.10
…キリンホールディングスとサントリーホールディングス…単独でも存続可能だろうが、内需の減退を踏まえ…世界市場とりわけ成長著しいアジア市場の「キリトリ」を図る。


 さて、前回、われわれが作る総生産(GDP)=「モノ・サービス」のうち、モノ作り産業は外需、つまり輸出が柱になることを説明しました。また、サービス業でも、海外に進出できる企業は、今後積極的に外需を取り込む戦略を持つことがわかりました。
 
 以上の状況から、次のことがわかります。モノは簡単に輸出入できます。一方、サービスは、①輸出入できるサービスと、②輸出入できないサービスがあるのです。
 ②輸出入できないサービスには、国内の卸・小売サービス(スーパー、商店など)や、国内の運送サービス(宅配便など)があります。ほかにも、散髪や医療サービス、電気・ガス・鉄道などもそうです。
 これらは、「輸入」することができません。これらを、「非貿易財」といいます。(参考文献 岩田規久男『国際金融入門 新版』岩波書店2009 p108~)
 
 さて、これらの産業は、「人口減」時代にどのように立ち向かう必要があるのでしょうか。

<GDPを産み出す>

GDPは次の3つの要素で構成されます。
GDP

① 労働量(何人の人が何時間働いているか)
② 資本ストック(どのくらいの機械や工場が動いているか)
③ 技術力(労働と資本を,どのくらい効率的に活用しているか)

 このうち、①労働量は少子高齢化により、減ることがわかりました。ですから、「モノ・サービス」のうち、モノ作り産業と、サービス輸出産業(運送・金融など)は外需、つまり輸出を柱にする方法で生き延びてゆくこと=付加価値=もうけを生み出すことを選択しなければなりません。

 一方、国内の卸・小売サービス(スーパー、商店など)や、国内の運送サービス(宅配便など)、散髪や医療サービス、電気・ガス・鉄道といった「非貿易財」は、縮小する国内人口のなかで、付加価値=もうけを生み出すしか方法はありません。それは可能でしょうか?それには、③技術力(生産性)のアップしか、方法はないのです。

 日本の高度経済成長時代は,この技術力を,欧米,特にアメリカから導入していました。「欧米に追いつけ追い越せ」という時代だったのです。

東学 資料集『資料政・経2008』 2008年 p313
技術力 東学 資料集『資料政・経2008』 2008年 p313
 この時代は,欧米から,技術を導入すれば,自動的に生産性は上がっていたのです。1960年から1970年までの,GDP成長の要因のうち,45%を占めるのが,技術進歩だったのです。(岩田規久男『マクロ経済学を学ぶ』ちくま新書 1996 p232)

 もちろん,これが成長の一番の要因です。また,日本人自身が,技術を吸収し,それを社会的成長に結びつけてゆく,優れた能力を持っていたことも欠かせませんでした。

 このように日本は欧米技術の導入によって,GDPを増加させたのですが,現在はどうでしょうか。
 実は,日本の技術力は,すでに世界最高水準なのです。エネルギーの効率的使用も,GDPあたりのエネルギー消費量(少ない方がよい)も,世界一の水準と言って差し支えありません。

とうほう 資料集『フォーラム現代社会2008』 2008年 p35
エネルギー消費 とうほう 資料集『フォーラム現代社会2008』 2008年 p35
    
とうほう 資料集『フォーラム現代社会2008』 2008年 p35
1人当たりエネルギー消費 とうほう 資料集『フォーラム現代社会2008』 2008年 p35
  
 「欧米に追いつけ追い越せ」の時代はとっくに過ぎました。「欧米の技術を導入すれば,経済成長できた」時代ではありません。すでに,世界一の水準にある日本は,今後,独自に,新たな技術や,ビジネスのやり方を開発していかなければなりません
 
 資本主義発展の原動力は「イノベーション=革新」です。日本では,第3次産業(サービス業)では,アメリカに比べて,まだまだ生産性が低いのです。
 今,地方の駅前中心商店街が,シャッター通りとなっています。そして,郊外型の大型スーパーが盛況です。人通りの少ない通りで,お客さんを待つのと,次から次へとお客さんが来るのとでは,どちらの生産性が高いかは明白です。①労働量と,②資本ストックを最大限に活用するのが,③技術力(生産性)なのです。

<まだまだ低いサービス業の労働生産性>

 日本の第3次産業は、アメリカに比べ、生産性が低いことが指摘されています。ということは、これらの業界では、「効率」を追求すれば、もっともっと生産性を上げる余地があるということです。
日経H21.8.10(グラフ)
日経21.8.10 労働生産性比較
 また、武田薬品工業社長 長谷川閑史氏は、次のように述べています。
日経H21.8.10
非製造業の生産性向上は遅々として進んでいない。味や品質に問題はないのに、曲ったキュウリは捨ててしまう生産農家に象徴されるように、消費者は「過剰」を求めてきた。その転換がカギを握る。


 サービス業の生産性を上げるために,ITチップをすべての商品に貼り付けることにより,スーパーで,買い物かごをレジに置いただけで,自動的に計算をするシステムが開発されています。他にも,人間型ロボットの導入により,人口減を補うことも可能です。
 
 さらに,技術だけではなく,規制撤廃や,教育の自由化など,「イノベーション」を起こすことが必要なのです。他人と同じではなく,「他者と違う」モノ・サービス・制度作りが,今後の日本のGDPを担うのです。「他との違い」が商品を産み出すのです。大量生産,大量消費の時代ではありません。  

内需か外需かその1

<内需か外需かその1>

『外食産業アジアへ』読売新聞 H21.8/6
シンガポールに日本の外食産業が相次いで進出している。日本の外食市場は少子高齢化で先細りが懸念されるため、シンガポールを拠点に東南アジアやオセアニアへの展開に活路を求める狙いだ。


 記事では、「和民、吉野家、つぼ八、築地銀だこ、一風堂、デニーズ、大戸屋」が紹介されています。
 
『優優統合が促す危機シフト』日経H21.8.10
…キリンホールディングスとサントリーホールディングス…単独でも存続可能だろうが、内需の減退を踏まえ…世界市場とりわけ成長著しいアジア市場の「キリトリ」を図る。


 さて、日本は、昨年の「リーマン・ショック」以降、外需が落ち込み、大変な不況になりました。そのため、製造業を中心に在庫調整を進め、その過程で「派遣切り」などの雇用調整が行われました。
 景気対策による公共投資の拡大や、中国を中心とする外需が持ち直したことにより、2009年4~6月期のGDPは、5四半期ぶりにプラス3.7%(年率換算)に回復したことが伝えられました(内閣府8月17日発表)。
 では、今後日本の経済成長は、外需頼みになるのでしょうか、それとも、内需拡大に依存するのでしょうか。答えは、前者外需しかありません。それほど、「少子高齢化」は、日本に決定的なダメージをもたらすのです。内需は減り続けるのです。上記の外食産業、キリン・サントリー統合は、外需シフトへの布石なのです。

<GDPを産み出す>

GDPは次の3つの要素で構成されます。

① 労働量(何人の人が何時間働いているか)
② 資本ストック(どのくらいの機械や工場が動いているか)
③ 技術力(労働と資本を,どのくらい効率的に活用しているか)

 GDPは,①労働力,②資本ストック,③技術力をかけあわせたものです。
GDP

 現在,日本のGDPは,約500兆円ですが,今後,どのように推移していくと考えられるでしょうか。①労働量です。日本は,少子化・高齢化が進んでいます。現在のままでは,明らかに「減る」ことは,間違いありません。15才から,64才までを生産年齢人口と言いますが,今後その実数も,人口に占める割合も,大変な勢いで低下していきます。

帝国書院『アクセス現代社会2008』 2008年 p50
帝国書院『アクセス現代社会2008』 2008年 p50
 この図を見れば分かりますが,日本は1960年~1970年代の高度成長期には,15~64才の人口が増えていることが分かります。その実数・比率は,バブル経済が崩壊する1990年代初頭まで増加していました。さらに,全人口数も,大変な伸びを示していることがわかります。GDPは,だまっていても,自動的に増加できる時代だったのです。伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏は,この時代について次のように述べています。

『週間朝日』2008.5.23号 p122  
  「当時(1955~75年)の実質経済成長率は年平均で9%,名目経済成長率は16%でした。その原動力は人口増加で,毎年約110万人ずつ増えていた。これは当時の北九州市の人口に匹敵します。毎年北九州市が新たにできて,その分だけ,胃袋も衣服や住宅の需要も増えた。経済成長をしたのは当たり前ですよ」 


 ところが,2005年以降,日本は,人口減少時代に突入しました。子どもの出生数が減り,それとともに,高齢者の人口に占める割合が高くなります。高齢化です。

東京書籍 資料集『最新ダイナミックワイド 現代社会』 2007年 p77
人口推移
 20年後(2025年)には、850万人も、人口が減ります。そして、働き手である、「生産年齢人口」は16%も減少します。

 一方、中国は、国内総生産で日本と並び(今年もしくは来年)、しかも13億人を超える人口を抱えています。インドを加えると、25億人市場です。東南アジアを含めると、この地域には、10億人の「新中流」層が控えています。
 
 携帯電話の市場を見て見ましょう。グラフから、その市場の規模の差は、一目瞭然です。
日経H21.8.18(グラフも)
日経21年.8.28 携帯電話・国別加入数
…2008年に中国で売れた携帯電話端末は世界最多の1億5800万台日本の4倍だ。…普及率は…全国平均は5割強。内陸部の新規需要と沿岸部の買換え需要が成長を支える。
 


日経H21.8.19『走る鉄道ビジネス』
日本の鉄道車両市場は年2000億円規模。…新規路線の伸びは望めず、人口も減少傾向。将来市場は頭打ちだ。…世界の鉄道関連産業の市場規模は…2005~07年の平均で…16兆円。16年には…20兆円に達するとみられる。人口が急増する新興国での輸送能力拡大…


日経H21.8.13『大機小機』
…購買力平価でみた実質GDPで、今年初めて、日本とアジアの合計が米国とユーロ圏合計を上回る予想だ。日本とアジアが世界を動かす時代が始まろうとしている。


 外食産業、飲料産業、パナソニックと三洋の統合が、なぜ行われたか明らかでしょう。
1億2800万の人口市場に、乗用車メーカーだけで、8社あります。総合家電メーカーも7社あります。その生産能力は、国内向け(内需)だけだとすると、明らかに「過剰」なのです。
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