GDPの三面等価 貯蓄・投資バランス(ISバランス
<貯蓄・投資バランス(ISバランス)>
桐原書店 教科書『新政治経済改訂版』H19 p114

では,ここから,この三面等価を利用して,経済を全体で縛っている関係を見てゆきましょう。ここからが,間違った経済理解(一般常識)に進むか,本物の「経済学」かの,分岐点になります。一番大切なポイントです。
(1)
まず,①生産面を,Yで示します。これは,「産出する」の「Yield」の頭文字といわれています。
①生産=Y ield
②分配(所得)
③支出(購入)
(2)
次に,②分配(所得)面です。私たちが,給料をもらったら,何に使うでしょうか。これには3つの使い道しかありません。「使うか,貯めるか,税金か」です。高校生がアルバイト代を1万円もらいます。6000円で服を買います。消費税は,5%なので,300円です。残り3700円は,預(貯)金します。ものすごく単純な例ですが,これですべてです。お父さんが給料をもらっても,「家族の生活のために使うか,税金を払うか,貯めるか」です。
ここで,「貯める」というのは,使わなかったお金すべてを示します。それは,財布の中にあろうと,銀行預金になろうと,誰かに貸そうと,要するに,「使わなかったお金全部」のことを言います。
会社が使っても同じです。「モノを作るために,原材料を買ったり(飲食店のようなサービス業なら,食材を購入したり,従業員の服をそろえたり)するか,法人税や,消費税などの税を払うか,残る(内部留保(りゅうほ))か」です。
分配(所得)が,会社に回っても,個人に回っても,あるいは,宮崎県のような地方自治体に回っても,すべて同じ結果になります。「使うか,貯めるか,税金か」です。この「使うか,貯めるか,税金か」を難しく言うと,「消費・貯蓄・税金」と言います。
「消費を英語のConsumptionの頭文字C,貯蓄をSavingのS,税金をTaxのT」であらわします。すると,②分配(所得)は「C+S+T」という式になります。
①生産=Yield
②所得=C+S+T Consumption Saving Tax
③支出=
―貯蓄とは―
経済学で「貯蓄」とは,「所得のうちで,財・サービスの購入に支出されなかったすべて」です。タンス預金でも,財布に入っていても,株や社債の購入にあてても,銀行預金しても,すべて「貯蓄」に含めます。
(3)
次に,③支出(購入)面です。ここでちょっと補足します。国の経済全体でみた供給と需要を,総供給・総需要と言います。売った総額は,買った総額でした。総生産が総供給(売り手)になり,総支出が,総需要(買い手)になります。要するに三面等価と同じことです。
桐原書店 教科書『新政治経済改訂版』H19 p115

では,総供給=総需要を示した上図をもとに,③支出(購入)面を見てゆきましょう。
まず,総供給(売り手)ですが,2つしかありません。それは,「日本で生産されたモノ・サービス」と,「外国で生産されたモノ・サービス」です。
私が今,この原稿を書いている時に使用しているのは,パソコンです。東芝製ですので,日本で生産されたモノです。一方,ワープロソフトは,「Windows・Word」を使用しています。これは,「外国で生産されたソフト(モノ・サービス)」です。飲んでいるお茶は日本産ですが,コーヒーは外国産です。このように,総供給(売り手)は「日本産」か,「外国産」か,どちらかになります。このうち,「日本で生産されたモノ・サービス」はGDP=Yです。また,「外国で生産されたモノ・サービス」は「輸入」です。英語では,Importなので,IMで示します。
総供給=国内総生産+輸入
=Y+IM・・・式a
次に総需要(買い手)です。日本国内の買い手は,家計・企業・政府の三者でした。この三者が,「消費」・「投資」をします。
家計は,個人,消費者のことです。つまり,我々一人一人のことですが,主に「消費」の主役です(住宅を購入する,住宅投資を行うこともあります)。
企業は消費もしますが,主に「投資」の主体です。工場・機械・店舗・車などの「設備投資」,品切れを防ぐための「在庫投資」などがあります。
政府は,橋や道路や,港湾を建設する「投資」を行うほか,モノ・サービスを購入する「消費」も行います。
三者の行動は,「消費(家計が主)」・「投資(企業が主)」・「政府(による投資と消費) 」とまとめられます。
「消費を英語のConsumptionの頭文字C,投資をInvestmentのI,政府をGovernmentのG」であらわします。すると,総需要(買い手)は「C+I+G」という式になります。
以上に加えて,海外の人々がいます。「日本で生産されたモノ・サービス」を外国の人も購入します。車や,家庭電化製品は,海外のお客さんも購入しますね。これは「輸出」にあたります。英語では,Exportなので,EXで示します。総需要(買い手)は「C+I+G」と「EX」がそのすべてです。
総需要=消費+投資+政府+輸出
=C+I+G+EX・・式b
以上で,総供給=総需要の中味が分かりましたので,式aと,式bを代入します。そうすると,総供給=総需要なので
Y+IM=C+I+G+EX
ここで,IMを右辺に移項すると,
Y=C+I+G+(EX-IM)
総生産=消費+投資+政府+輸出-輸入
となります。日本の国内総生産への支出は,外国からの輸入を差し引いた分になります。これが国内総支出です。
①生産=Y
②所得=C+S+T
③支出=C+I+G+(EX-IM)
このように,三面等価のすべての式が出そろいました。ここから,次の式が成り立つことが分かります。
①Y=②C+S+T =③C+I+G+(EX-IM)
↓
C+S+T = C+I+G+(EX-IM)
両辺のをC消して,IとTを移行すると,マクロ経済学上,大変大事な式になります。それが,次の式です。貯蓄・投資バランス式,ISバランス式です。
(S-I) = (G-T) + (EX-IM)
(貯蓄-投資) = (公債) + (貿易黒字)
(貯蓄超過) = (政府への貸し出し)+ (外国への貸し出し)

この式を知っているかいないかが,間違った経済理解(一般常識)に進むか,本物の「経済学」に進むかの,分岐点なのです。
桐原書店 教科書『新政治経済改訂版』H19 p114

では,ここから,この三面等価を利用して,経済を全体で縛っている関係を見てゆきましょう。ここからが,間違った経済理解(一般常識)に進むか,本物の「経済学」かの,分岐点になります。一番大切なポイントです。
(1)
まず,①生産面を,Yで示します。これは,「産出する」の「Yield」の頭文字といわれています。
①生産=Y ield
②分配(所得)
③支出(購入)
(2)
次に,②分配(所得)面です。私たちが,給料をもらったら,何に使うでしょうか。これには3つの使い道しかありません。「使うか,貯めるか,税金か」です。高校生がアルバイト代を1万円もらいます。6000円で服を買います。消費税は,5%なので,300円です。残り3700円は,預(貯)金します。ものすごく単純な例ですが,これですべてです。お父さんが給料をもらっても,「家族の生活のために使うか,税金を払うか,貯めるか」です。
ここで,「貯める」というのは,使わなかったお金すべてを示します。それは,財布の中にあろうと,銀行預金になろうと,誰かに貸そうと,要するに,「使わなかったお金全部」のことを言います。
会社が使っても同じです。「モノを作るために,原材料を買ったり(飲食店のようなサービス業なら,食材を購入したり,従業員の服をそろえたり)するか,法人税や,消費税などの税を払うか,残る(内部留保(りゅうほ))か」です。
分配(所得)が,会社に回っても,個人に回っても,あるいは,宮崎県のような地方自治体に回っても,すべて同じ結果になります。「使うか,貯めるか,税金か」です。この「使うか,貯めるか,税金か」を難しく言うと,「消費・貯蓄・税金」と言います。
「消費を英語のConsumptionの頭文字C,貯蓄をSavingのS,税金をTaxのT」であらわします。すると,②分配(所得)は「C+S+T」という式になります。
①生産=Yield
②所得=C+S+T Consumption Saving Tax
③支出=
―貯蓄とは―
経済学で「貯蓄」とは,「所得のうちで,財・サービスの購入に支出されなかったすべて」です。タンス預金でも,財布に入っていても,株や社債の購入にあてても,銀行預金しても,すべて「貯蓄」に含めます。
(3)
次に,③支出(購入)面です。ここでちょっと補足します。国の経済全体でみた供給と需要を,総供給・総需要と言います。売った総額は,買った総額でした。総生産が総供給(売り手)になり,総支出が,総需要(買い手)になります。要するに三面等価と同じことです。
桐原書店 教科書『新政治経済改訂版』H19 p115

では,総供給=総需要を示した上図をもとに,③支出(購入)面を見てゆきましょう。
まず,総供給(売り手)ですが,2つしかありません。それは,「日本で生産されたモノ・サービス」と,「外国で生産されたモノ・サービス」です。
私が今,この原稿を書いている時に使用しているのは,パソコンです。東芝製ですので,日本で生産されたモノです。一方,ワープロソフトは,「Windows・Word」を使用しています。これは,「外国で生産されたソフト(モノ・サービス)」です。飲んでいるお茶は日本産ですが,コーヒーは外国産です。このように,総供給(売り手)は「日本産」か,「外国産」か,どちらかになります。このうち,「日本で生産されたモノ・サービス」はGDP=Yです。また,「外国で生産されたモノ・サービス」は「輸入」です。英語では,Importなので,IMで示します。
総供給=国内総生産+輸入
=Y+IM・・・式a
次に総需要(買い手)です。日本国内の買い手は,家計・企業・政府の三者でした。この三者が,「消費」・「投資」をします。
家計は,個人,消費者のことです。つまり,我々一人一人のことですが,主に「消費」の主役です(住宅を購入する,住宅投資を行うこともあります)。
企業は消費もしますが,主に「投資」の主体です。工場・機械・店舗・車などの「設備投資」,品切れを防ぐための「在庫投資」などがあります。
政府は,橋や道路や,港湾を建設する「投資」を行うほか,モノ・サービスを購入する「消費」も行います。
三者の行動は,「消費(家計が主)」・「投資(企業が主)」・「政府(による投資と消費) 」とまとめられます。
「消費を英語のConsumptionの頭文字C,投資をInvestmentのI,政府をGovernmentのG」であらわします。すると,総需要(買い手)は「C+I+G」という式になります。
以上に加えて,海外の人々がいます。「日本で生産されたモノ・サービス」を外国の人も購入します。車や,家庭電化製品は,海外のお客さんも購入しますね。これは「輸出」にあたります。英語では,Exportなので,EXで示します。総需要(買い手)は「C+I+G」と「EX」がそのすべてです。
総需要=消費+投資+政府+輸出
=C+I+G+EX・・式b
以上で,総供給=総需要の中味が分かりましたので,式aと,式bを代入します。そうすると,総供給=総需要なので
Y+IM=C+I+G+EX
ここで,IMを右辺に移項すると,
Y=C+I+G+(EX-IM)
総生産=消費+投資+政府+輸出-輸入
となります。日本の国内総生産への支出は,外国からの輸入を差し引いた分になります。これが国内総支出です。
①生産=Y
②所得=C+S+T
③支出=C+I+G+(EX-IM)
このように,三面等価のすべての式が出そろいました。ここから,次の式が成り立つことが分かります。
①Y=②C+S+T =③C+I+G+(EX-IM)
↓
C+S+T = C+I+G+(EX-IM)
両辺のをC消して,IとTを移行すると,マクロ経済学上,大変大事な式になります。それが,次の式です。貯蓄・投資バランス式,ISバランス式です。
(S-I) = (G-T) + (EX-IM)
(貯蓄-投資) = (公債) + (貿易黒字)
(貯蓄超過) = (政府への貸し出し)+ (外国への貸し出し)

この式を知っているかいないかが,間違った経済理解(一般常識)に進むか,本物の「経済学」に進むかの,分岐点なのです。
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