臨時投稿 トマ・ピケティ『21世紀の資本』 池田信夫解釈or山形浩生訳のどちらが正しいのか?

<臨時投稿 トマ・ピケティ『21世紀の資本』 池田信夫解釈or山形浩生訳本のどちらが正しいのか?>

池田本
池田解説本 ピケティ

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山形監修解説本 ピケティ 広告

 ちなみにオビは出版社が書くが、著者も時期の前後はあるものの、当然確認する。もし、著者の意図と違うことが書かれていたら、訂正するか訂正を発表するか、出版社に訂正を要求する。

 ということは、池田信夫解説本オビ「資本収益率r>g経済成長率」について、に「資本主義の根本的矛盾」という表現は、池田信夫自身が認めている表現、間違いとはしていない表現ということになる。

トンチンカンはどっちかね。帯は私が書いたものじゃない。“山形浩生「帯に書いてあることのほとんどがかなりトンチンカンだから中身を見るべきかどうか。」との消えたエントリー。キャッシュ→urx2.nu/eQpb”
From: ikedanob at: 2014/12/04 18:50:31 JST Re 公式RT

いろんな小物がコメントしてくるが、帯に文句つけてきたのは山形浩生が初めてだ。よほど暇なのか。
From: ikedanob at: 2014/12/04 19:18:07 JST Re 公式RT

左も読んでください。日本人にはほとんど関係ないけど、いい本です。“ @shinjifukuhara: 左、買いました!がんばって読みます!pic.twitter.com/ja1JjQruNx””



ピケティは、矛盾と認識したのか否か。

 では回答は? カテゴリ トマ・ピケティ「21世紀の資本」 記事参照
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ピケティ 『21世紀の資本』 公債編

<公債残高を、減らしたのは何?>

トマ・ピケティ(ピケッティ)『21世紀の資本』
Capital in the Twenty-First CenturyCapital in the Twenty-First Century
(2014/04/15)
Thomas Piketty

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21世紀の資本21世紀の資本
(2014/12/09)
トマ・ピケティ

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今、プライマリー・バランスを、ゼロにすることが、求められています。しかし、実際に、国債残高/GDP比率を下げるのは、「ゼロ」では無理で、プライマリー・バランスが黒字になることが必要です。

では、100年間頑張って黒字にしていたイギリスは、債務比がどうなったかを見てみましょう。

英 債務/GDP比率

債務レベルが高い=貸し手や子孫にとって良かった。政府に貸し付けるだけの財産を持つ彼らは、税を払うより、国に貸して数十年、利子を受け取る方が、利益になった。国債投資に経済的繁栄が委ねられる人々は、もっと儲かった

1815-1914年、インフレ率はゼロで、国債の利率は4-5%だった



 これは、国債を持っている資産家にとっては、ものすごいことですね。

経済成長率より、ものすごく高かった



 これは、資産家にはうれしい時代です。

で、1810年から、1910年にかけて、イギリスは、その債務/GDP比を下げたのですが、その間、プライマリー・バランスは黒字です。つまり、税収>支出です。イギリスは、修行僧のように、禁欲生活をしました。ところが、そんなことで債務/GDP比が下がったのではありません。答えは、

GDPの成長2.5%(1815-1914年平均)



なのです。

英 債務 GDP 1810年=100

 100年間、毎年、2.5%も経済成長すると、なんと、GDPは11.5倍、別の国になります。

竹森俊平(慶大)『経済危機は9つの顔を持つ』日経BP社 2009  p430

竹中平蔵(慶大)
…昔,大蔵省の時代,財政金融研究所にいたとき,変なリサーチをやらされたことがあります。それは経済学の手法なんかは全然使わないもので,こんなリサーチに意味があるのかと最初は反発したのですが,やってみてすごく面白かった。
  それは,ナポレオン戦争後のフランス,あるいは,第一次世界大戦の後のイギリスは,どのようにして赤字問題を解決したのかというものです。よく赤字を減らすとか,借金を返すとか言いますが,借金を返した国なんかないんです。借金を返すことなんてできません。

竹森
残高が相対的に小さくなっていったということですね。

竹中 
そういうことです。残高を増やさないようにして,その間に経済成長するから,2%成長で30何年したらGDPが2倍になるから半分になると。この手法しかありません。やっぱり成長をすることは,ものすごく重要なことだと思うんです。



拙著「図解 使えるマクロ経済学」

借金を返した国は,ありません。すべての国のGDPは,年々増加していますので,公債残高の額面そのものも増加しています(p101グラフ参照)。借金は,返すものではないのです。実際に、デフォルト(債務不履行)させないためには、経済成長(国債発行額減)し、30年後には、残高/GDP比率を小さくするというようなことしかできません。どこの国も「借り換え」「借り換え」であり,借り換えができるかどうかが重要なのです。



国債残高を減らした国はありません。残高/GDP比率を小さくすることしかできないのです。

あるいは、英国の戦後のように、インフレによってチャラにするか・・・

1950年には、GDPの200%超、1950年代のインフレ(4%超)、1970年代のインフレ(約15%)、イギリスの負債はGDPの約50%に減少した。インフレという、再分配のメカニズムはすごく強力だ。



2英 債務/GDP比率 
 
 ただし、日本の場合は、このようなことにはなりません。イギリスは、プライマリー・バランスを黒字化して、必死??でやったのですが、日本はプライマリー・バランスが赤字なので、どんどん拡散し、名目3%の成長でも、2060年には、国債残高/GDP比が560%になります。

英 債務 GDP 1810年=100
日本 債務 GDP 2014年=100

この試算だって、名目成長率3%ですから、いかにムチャクチャか(笑)。実際は1%内外ですから、公債/GDP比は、このグラフどころではないほど、拡散します。

だから、これも、ウソになります。

クリック

高橋洋一 [嘉悦大学教授] 2014年10月30日 「消費増税で財政再建できる」は大間違い


 「政府は、2020年のプライマリー・バランス黒字化を目指し、消費税率10%へ引き上げをする予定」・・・何だか、頭抱えたくなりますよね(笑い)
 
 日本の場合、もう、「高成長」はできないので、残高/GDP比率を小さくすることは、できません。

プライマリー・バランスを黒字化する・・・あとは、インフレ起こすかですね。

インフレによる、公的債務圧縮は、ドイツも同じです。

1930-1950年のインフレは17%。物価は300倍(フランスは100倍)。ドイツはどの国よりも、インフレで債務をなくしてしまった国



 でも、特に、戦後もインフレが続いたドイツは、インフレを極端に嫌います。まあ、公的債務も、ものすごく嫌っていますが(来年、ドイツは、赤字国債発行ゼロだそうです)。なにを目指してなのか、ドイツは厳格すぎて、よく分かりません(笑)。

20世紀に、インフレを最も活用して、債務をチャラにしたドイツは、(現在)2%以上のインフレを認めず、いつも債務返済を行い、たくさん払ってきたイギリスが、インフレを容認し、中銀が公債を購入して、インフレ率が上がっても、かまわないと考えている



 おいおい(笑)。

ドイツ 国債 考え方

ドイツ、固すぎ(笑い)。

でも、財政赤字だろうが、財政均衡だろうが、どっちでも、成長しますから、ドイツが間違っているわけでもありません。

英 独 GDP成長

 問題は、EUという通貨圏で、金融緩和を行う場合、ドイツ国債(一番信用度が高い)を、EU中銀が、購入できないことです(過去分は購入できますが)。国債をバカバカ発行してくれているのは、イタリアや、ポルトガルや、スペイン、ギリシャ…
 EU中銀が、頭抱えるのがわかります(笑い)。

ピケティ“21世紀の資本”、日本語版、発売直前です。必読!

ピケティ『21世紀の資本』⇔水野“資本主義の終焉と世界史の危機”その2

<ピケティ『21世紀の資本』⇔水野“資本主義の終焉と世界史の危機”その2>

水野

水野“資本主義の終焉と歴史の危機”

P3
資本主義は、「中心」と「周辺」から構成され、「周辺」つまり、いわゆるフロンティアを広げることによって「中心」が利潤率を高め、資本の自己増殖を推進していくシステムです。・・・もう地理的なフロンティアは残っていません。

P56 
1974年以降、実物経済において、先進国が高い利潤を得ることができるフロンティアは、ほとんど消滅してしまいました。


 
 まあ、端的に言うと、植民地支配とか、低所得国から搾取して成長しているというイメージですね。

トマ・ピケティ(ピケッティ)『21世紀の資本』
Capital in the Twenty-First CenturyCapital in the Twenty-First Century
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Thomas Piketty

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21世紀の資本21世紀の資本
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トマ・ピケティ

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底辺国の成長について、ピケティは

「最近、先進国に近づいたアジア諸国は、どの国も、大きな額の外国投資は受けていない。日本・韓国・台湾・最近の中国もそうだ。これらの国は、すべての投資を、物理的な資本(モノ・カネ)とヒトによって、得た(国内のカネとヒトだ)。ヒトは、長期成長のキーだ」

といいます。

別に、アジアの成長は、海外資本(ということは、実物取引:貿易も同じ額分、発生)によって賄われたわけではないのです。こんなもの、当ったり前で、経済学者の合意事項です。

「GDP成長率は、①ヒト②資本(モノ・カネ)③生産性」だと何度も言っている通りです。

 貿易がどうのこうの、黒字が勝ち(赤字が負け)だの、国際競争力で勝っただの負けただの、 貿易=国際競争の戦争だ!!、資本主義は、周りの周辺国を搾取するって、ばっかじゃないか?という話なのです。

 だから、

ポール・クルーグマン 山形浩生訳 『クルーグマン教授の経済学入門』主婦の友社1999 p41

「みんなが,『アメリカの競争力』とか言ってるのは,ありゃいったい何のことかって?答えはだねえ,残念ながら要するにそいつら,たいがいは自分が何言ってんだか,まるっきりわかっちゃいないってことよ」


なのです。どうやったら、勝ち組?(まあ、経済成長した経済大国のこと?として)になるか、それは、

「GDP成長率は、①ヒト②資本(モノ・カネ)③生産性」なのです。貿易とか、国際競争とか、全く関係ないのです。

わからない人は、「日中貿易戦争」「勝った、負けた」とか、言い続けるんでしょうねえ・・・本当に、どうしようもないです。

P・クルーグマン『経済政策を売り歩く人々』ちくま学芸文庫 2009

 経済学者は、どうすればハイパーインフレーションを避けられるかといった助言は確実にできるし、不況の回避方法も、たいていの場合教えることはできる。…しかし、貧しい国をいかに豊かな国にするかということや、奇跡的な経済成長を再現させるにはどうしたらよいかといった問題に関する解決策はいまだにない



ピケティ第二法則です。

β=s/g

β=資本/GDP比率

s=貯蓄率
g=成長率


そうすると、その国の国民の貯蓄率sが12%、成長率が2%なら、資本/GDP比率
は6倍=600%になります。

つまり、低成長、貯蓄率が、12%で、成長率が1%なら、資本/GDP比率
は12倍=1200%になります。

英独仏の資本/GDP比率

つまり、ヨーロッパや、日本の資本/GDP比率が、18世紀や19世紀の水準になっているということは、資本主義は、本来の「低成長率」に戻ったことを示すのです。

1950年~1970年代は、高成長率なので、資本/GDP比率が低かったともいえるのです。

米 資本/GDP比

アメリカの場合は、人口増加は年に1%もあり(これだけで、GDP成長の要因)、成長率が2.5~3%になる国は、資本/GDP比率がヨーロッパや、日本に比べて、低くなります。

また、資本蓄積には、時間がかかります。

1914-1945年のダメージが消えるのには、時間がかかった。β=s/gになるには、数十年必要だ。だから、超長期的な歴史の観点が必要だ。
β=s/gは、世界大戦や、(リーマン・ショック)のような短期は説明できない。長期的な水準を教えてくれる。


 貯蓄率が高く、人口増が止まり(結果としてGDP成長率も低下)、β=s/gに収れんしていくことになります。

成長率 資本/GDP

英独仏の資本/GDP比率

日本は、年15%の貯蓄率、2%の成長率ですので、資本/GDP比率が、今後、6-7年分になっていくのも、当然なのです。

東学 2014 政経資料集 国富

 また、金融資本主義について

「家計・企業・政府が保有する金融資産=負債総額が、実物資産(国富)より、急増し、富の構造を変えた。金融資産は、2010年には、GDP比10~15倍に増加し、イギリスでは20倍になり、歴史的な新記録となった。

で、このままいけば(戦争とか、人口爆発による未曽有の高成長とか、無い場合)、人類は、過去経験したことがない資本/GDP比率の時代を迎えるのです。

21世紀の資本/GDP比率

これが、「21世紀の資本」の、メインテーマの2本目、「格差」につながります。

水野“資本主義の終焉と歴史の危機”

P131
先進国のみならず新興国においても、一部の特権階級だけが富を独占することになるはず。非正規雇用者が全体の3割を超え、年収200万円未満が23.9%・・日本の二極化も、今後グローバルな規模で進行していくのです。

p166
 結論を言うならば、グローバル資本主義とは、国家の内側にある社会の均質性を消滅させ、国家の内側に「中心/周辺」を産み出していくシステムだと言えます。資本主義自体、誕生以来、少数の人間が利益を独占するシステムでした。世界人口のうち豊かになれる上限定員は15%前後である・・。15%が残りの85%から資源を安く輸入して、その利益を享受してきたわけです。

P168
 資本主義は利潤を求めて「周辺」を産み出そうとし、もう海外に「周辺」はありません・・そこで国内に無理やり「周辺」をつくり出し利潤を確保しようとしているのです。アメリカや日本に限らず、世界のあらゆる国で格差が拡大しているのは、グローバル資本主義が必然的にもたらす状況



資本主義は、もともと、格差を生むシステムです。「グローバル」とは何の関係もありません。

だから、世界の上位15%の国が、グローバルな関係において、他国を搾取しているのでもありません。

正規労働と、非正規労働も、格差の本質ではありません。



α=r×β

です。

 資本所得βが6年分(資本/GDP比が6倍)で、その実物資本の収益率が5%の場合、αは、30、つまり、GDPのうち、30%は、資本から得られる所得、残り70%が、労働所得となります。

 つまり、GDPのうち、額に汗して稼ぐ所得が、70%、土地や建物(実際には株や債券を通して所有していることになる)を貸して得られる不労所得が、30%になります。

過去の、労働所得と、不労所得の比率と、不労所得の収益率(利益率)です。

イギリス 不労所得 取り分
 
不労所得の収益率、利益率は、農地→不動産の時代でも、5%程度と、安定しています。

世界 r g

さて、その所得に対する、課税率です。

労働所得には、各国平均で、30%の課税がなされています。
不労所得(不動産や、株や債券や預貯金)の課税は????30%もありますか?

税引き後 r g


で、格差の話になるわけです。

では、資産をもっているのは誰なのか?

すべての国の、すべての時代に見られる事実として、

労働所得は、上位10%が、25~30%を持っていく
労働所得は、下位50%が、25~30%を持っていく

不労所得は、上位10%が、資本の50%を持つ。
不労所得は、下位50%は、資本をほとんど、持たないか、0%。


労働所得割合 資産所得割合

 つまり、労働所得から、家や、株や、債券や、貯蓄に回すのですが、下位所得者は、労働所得分では、まあまあもらっているものの、ほとんど、貯蓄することがない(できない)ため、資本(家や、株や、債券や、貯蓄)は、持っていません。

 その結果、不労所得の50%は、資産家の上位10%が、持っていきます。労働所得階層は、資本を持っていないため、不労所得はほとんどありません。

 そして、r>g、資本収益率>労働所得伸び率なので、資本を持っている層(特に資産家の上位10%)は、ますます、資本収益を、増やします。

 資本を持っていない労働所得下位層と、資本を持つ層との格差は、どんどん開いていくことになります。

これが、格差の原因です。よく言われる、

もともと、資本のない労働者は、労働を売って、カネを稼ぐが、貯蓄に回す余裕はない。カツカツの生活者は、貯蓄などに回す余裕などない。資本は、貯蓄できる層に集中する。

カネは、カネ(資本)を持っている人の所に集まる・・金持ちは、より金持ちに・・・なのです。

「フランスでは、上位10%の賃金シェアは、2010年までの10年間で。6→7.5~8%になった。所得が30%増加した。上位0.1%、0.01%では、所得は50%増加した」 

これが、格差です。

労働所得 格差
資本所有 格差

GDP:労働所得の格差など、どうでもいいくらいに、資本(実物+カネ)格差があります。

 派遣労働者や、ほとんど貯金がなく年金に頼る生活者と、高所得層との格差もありますが、それは、「労働所得」の分配だけを見た、格差です。

日本 上位1% 所得

 本当の格差は、「資産家」と、「資産を持たない(低所得で貯蓄する余裕がなかった層)」から、生まれます。

上位10%の国富所有率

上位10%の階層が持つ資本割合は、別にアメリカが突出しているわけではなく、スウェーデンと大差があるわけでもありません。

で、結果として、労働所得+資本所得のトータルで、上位層比率は、こうなります。

米国 最上位の占める比率


 そして、例の、金融資本主義の時代です。資本は、土地建物ではなく、金融資産なのです。

「上位1%では、金融・事業資産が、不動産よりも確実に多い。最大級の財産は、株や、パートナーシップがほとんど。資産200-500万ユーロ層では、不動産は1/3以下、1000万ユーロ層は、不動産は10%以下。大半は株。住宅は中流や小さな金持ちに人気があるが、本当の富は、いつも、金融・事業資産にある(いつの時代も、どこの国でも)。我々は、不労所得生活者の社会→経営者社会へと移ってきた。労働所得で生活する、高賃金労働者へと」

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

1992年に、アメリカの証券規制当局が、各企業に経営幹部の報酬と役得を事細かに開示するよう義務付けました。

 1976年、平均的な最高経営責任者の給与は、平均的な従業員の36倍でした。1993年には、131倍にもなりました。
 公になったことで、アメリカの最高経営責任者は、自分たちの収入をよその最高経営責任者と比べるようになり、うなぎ上りになりました。いまや、平均的な従業員の369倍、報酬を開示する以前の3倍になりました。



 経営者は、平均的な従業員の369倍、生産性が高い・・・これは、あり得ないでしょう。片方が時給2000円のところ、経営者は、73万8千円の生産性???

 つまり、資本を持って(昔は農場、その後工場)、不労所得でゆったり生活するのではなくて、現代の金持ちは、アメリカの経営者のような、労働価値を得るものの、その額が年収何百億とか、ちょっと信じられないくらいを得る階層に移ってきたんですね。

 格差をなくすには、「インフレ」ではだめです。なぜなら、不動産や株は、インフレに強いので・・・

 だから、文字通り、資産を破壊する「戦争」が格差を縮めます。←結論は、恐ろしいものになります。

 さて、マルクスは、「私有財産制を止めろ、資本は、みんなのものにしろ!=資本論」となったのですね。

 階層についてです。100年前の1900-1910年には、中間層はほとんどいませんでした。ヨーロッパでは、上位10%が、資産の90%を持っていました。中間層の40%は、資産の5%、50%の低所得層が資産の5%を持つだけです。

「中間40%が、低所得層50%と、ほぼ同じくらい貧しく、中流階級は存在しなかった」

中流階級なる幻想は、戦後の高成長時代の「幻」なのです。→次回の水野解説のテーマです。

さて、あなたは、「格差」をOKとしますか?それとも・・?これが問題(ハムレット)なのです。 続く。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141025-00000520-cakes-life

図解 使えるマクロ経済学 (中経出版)図解 使えるマクロ経済学 (中経出版)
(2014/10/20)
菅原 晃

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山形浩生

これを執筆中に、菅原晃『使えるマクロ経済学』(KADOKAWA/中経出版)が送られてきたのでざっと見たけれど、マクロ経済学の流れが図解で完結に整理されていて、なかなか便利だし、一般読者が必要なマクロ経済学の見取り図としては、かなり有用じゃないかな。もちろんアベノミクス(の黒田日銀による金融緩和)についても、期待の役割(お金を刷るとか円安にするとかいうのは本質ではなく、将来のインフレ期待を上げるのが重要という点)もしっかり説明されている。消費税をうかつに8%へあげたせいで、せっかくうまくいっていたアベノミクスもひどい状況だけれど、願わくは持ち直しますように。そしてもちろん、消費税率10%への引き上げなんていう愚行はやめてくれー。期待はすぐ変わるけれど、それがリアルな投資行動の変化につながり、実体経済に根付くまでには時間がかかるんだから。


ピケティ『21世紀の資本』⇔水野“資本主義の終焉と歴史の危機”

ピケティ『21世紀の資本』⇔水野“資本主義の終焉と歴史の危機”

トマ・ピケティ(ピケッティ)『21世紀の資本』
Capital in the Twenty-First CenturyCapital in the Twenty-First Century
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21世紀の資本21世紀の資本
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では、そこに書かれてあることをまとめます。

クズネッツの主張は、資本主義が進むと、所得格差はなくなり、長期的に見れば、成長は、万人に利益をもたらすというものです。

クリック

サイモン・クズネッツ

1941年に刊行された『National Income and Its Composition(国民所得とその構成)』や1971年に刊行された『Economic Growth of Nations: Total Output and Production Struct(諸国民の経済成長:総生産高と産業構造)』など、経済成長に関する一連の著書は、クズネッツの業績を知る上で最も重要な作品である。これらの本の中でクズネッツは、経済成長に伴い所得格差が増加するのに対し、先進国では経済成長に伴い所得格差が減少することを示した。

 クズネッツは、1955年「成長と格差」という論文を提示しました。

ピケティは、その業績・手法は評価するものの、データ範囲が狭く、「1914年~1945年に見られた格差の低下は、世界大戦と、それにともなうショックが大きかった」からだと言います。そして、その前後の、データを提示します。そこから、命題

資本収益率(実物資産・金融資産)は、常に(実証的に)経済成長率を上回り、資本を持つ層は、少数なため、格差が広がるシステムになっている、これが、『資本主義』

が導かれます。

 資本主義は、資本(キャピタリズム)主義です。需要・供給とか、市場経済とか、GDPの成長率とか、株式がどうのとか、市場の失敗とか、政府の役割とか、いろいろ言っていますが、これらは、「資本主義」の一部分を示すもので、本質は、「資本(実物・金融)」をどう使うか、どう動かすか、どう増えるか・・・というものです。

 アダム・スミスの、有名な、「見えざる手」は、「市場メカニズム(価格)」ではなく、「資本(実物・金融)」をどう動かすかという、話です。

『世界の名著 アダム・スミス(国富論)』中央公論社 S62 p386

 各個人は、自分の自由に出来る資本があれば、その多少を問わず、最も有利に使おうといつも努力しようとしている。かれの眼中にあるのは、もちろん自分自身の利益であって、社会の利益ではない。けれども、かれ自身の利益を追求してゆくと、自然に、というよりもむしろ必然的に、その社会にとっていちばん有利なような資本の使い方を選ぶ結果になるものなのである。

 それゆえ、各個人は、彼の資本を自国内の勤労活動の維持に用い、かつその勤労活動をば、生産物が最大の価値を持つような方向にもってゆこうと、できるだけ努力するから、だれもが必然的に、社会の年々の収入をできるだけ大きくしようと骨を折ることになるわけである。

 もちろん、かれはふつう、社会公共の利益を増進しようなどと意図しているわけではないし、また自分が社会の利益をどれだけ増進しているのかも知らない。…生産物が最大の価値を持つように産業を運営するのは、自分自身の利得のためなのである。
 
 だが、こうすることによって、かれは、他の多くの場合と同じく、この場合にも、見えざる手に導かれて、みずからは意図してもいなかった一目的を促進することになる。…自分の利益を追求すること によって、社会の利益を増進せんと思い込んでいる場合よりも、もっと有効に社会の利益を増進することがしばしばあるのである。



 自己の利益を追求するために、資本(実物・カネ)をどう使うかという話です=「主」。かつ、「勤労(労働)」をも、利益を最大にするように使う=「従」という話です。

 だから、「資本主義」は、「資本(キャピタル・実物資産とカネ)」の話なのです。ピケティの本の題名は、「21世紀の資本」です。

 以前から、説明してきました。「『見えざる手』は、市場機構のことではない。もっと大きな概念」だと。

 需要と供給、市場メカニズム・・・そんなもの、「資本主義の、一部分にしか過ぎない」のです。「見えざる手」は、そんなちっちゃな話ではないのです。

クリック

アダム・スミス 「自由放任・見えざる手」 (12)

クリック

アダム・スミス「見えざる手」(10)
見えざる手=市場機構ではなく、見えざる手=自然法則(経済法則)であり、見えざる手>市場機構なのです。



ピケティ「21世紀の資本」は、「見えざる手」を「見える」ようにした、本です。

 ※ちなみに、マルクスも資本論です。資本(実物とカネ)を持つのが資本家です。

 で、資本主義では、「格差は開くのが当然」になります。(以下グラフは、数値データがないので、本のグラフから、大まかに作った、エクセルグラフです

 では、なぜ、こうなるかです。資本主義の自然法則(経済法則)を、明らかにしていきましょう。

※ただし、ピケティは、この本の中で、「なぜそうなるかは分からないが」と、色々な個所で、断っています。実証データ、事実はこうなっているというものです。理論的に説明しますが、それが、絶対ではないこと、よくわからないこともあること、そもそも、データが、完璧に正しい(完璧なデータなんて、無いですよね。現代の国際収支表だって“誤差脱漏”です)わけではないことを、再三断っています。

GDPデータも、大まかに扱っているにすぎません。「おおまか」です。スミスや、リカード、マルクスの時代のデータなんて、無いも同然、彼らは、「無い」中で、本を書きました。データがきちんとそろうのは、「今日・現代の話」それも、まだ数十年しかありません。

「経済学は、純粋理論偏向や、イデオロギー偏向を克服できていない。経済学内部(たこつぼというニュアンス)での、どうでもいい、数学問題ばかり、やっている。科学的なことをよそおっているが、現実の問題には答えずにやり過ごす。経済学は尊重されていない。(経済学は)科学的・正統的だという、間違った主張を控えねばならない。経済学者はどんなことも、ほとんど知らないというのがほんとうの所だ(冒頭)」

閑話休題

 英独仏の資本/GDP比です。
英独仏の資本/GDP比率

 ここでいう資本とは、民間資産です。中身は、「実物資産+金融資産から、金融負債を引いたもの」です。金融資産=金融負債は同額なので、要するに国富(土地や建物や、海外純資産)のうち、国ではなく、民間が持っているもののことです。

 日本の国富 東学 2014 政経資料集
東学 2014 政経資料集 国富

大体3000兆円なので、GDP500兆円の600%ほどになります。そのうち、国が、181兆円(平成23年度)の有形資産を持っていますが、おおよその数値としてとらえてもかまいません。

<格差拡大の根本的な力>

r>g

rは、資本収益率

利潤・配当・利子・賃料などの年間平均収益率を、その資本の価格で割ったもの、要するに、実物資産+カネから生まれる収益率です。

gは、経済成長率 

GDP成長率です。額に汗して(最近は、クリックひとつや、頭脳労働もありますが)産み出す、労働の付加価値です。

世界 r g
税引き後 r g

で、歴史的には、常にr>gであり、相続財産は、GDPよりも、急速に増えます。これが成立しなかったのは、20世紀の一時だけです。その理由です。

(1) rが落ちた

 まず、資本が壊れました。両大戦で、資本がボロボロになった(戦争で、土地建物・生産設備破壊、日欧のどの国も、戦後インフレで、カネ価値暴落)のです。

英の資本 GDP比 

 資本が、農地→建物・企業資本・国有資本になっていったことがわかります。フランスも示していますが、同じようなものです。

(2) gが伸びた

 戦後復興で、復員、ベビーブーム、失われた建物・生産設備が回復します。GDP成長率は、①ヒト②資本(モノ・カネ)③生産性です。①と、②だけでも、異常に伸びます。戦後にGDPが急成長したのです。

東学 2014 政経資料集
東学 2014 政経資料集 戦後成長

 日本の高度成長期、①だけで、年間150万人~200万人、増えました。だまっていても、人口「人の口」が増加したのです。

 さらに、日本は、戦争で、国富の25%を失いました。それを元に戻すだけで、成長します。

 1956年白書「もはや戦後ではない」は、「GNPが戦争前と同じ水準になった」ことを宣言した表現です。

 そして、当時は「金の卵」15歳、中学卒業で、労働者です。1961年から、毎年200万人以上、団塊の世代が、労働者に加わります。①が激増です。仮に②③がゼロでも、①だけで、GDP成長率は、2%超です。

齊藤誠他『マクロ経済学』有斐閣2010 p315
寄与度.jpg

 先進国は、軒並み成長率が高い時期(1945年→1975年の30年)を迎えます。これが、「異常な、高度成長」なのです。「黙っていても、高成長」なのです。

 アメリカは、戦争によって、本土を破壊されていません。また、人口減も、兵隊の損傷率にとどまり、女性子どもが犠牲になったわけではありません。アメリカが、「先進国の中」では比較的成長率が低いというのも、当然です(ですが、もともとの規模が世界一なので、低い成長率でも、世界一はさらに加速します)。

英独仏の資本/GDP比率
米 資本/GDP比

ちなみにピケティはこの稀有な時代を

「黄金時代(1950年~1970年)」

と表現しています。

1人当たり成長率

 日本も、ヨーロッパと同じと考えてください(実際は、それ以上でした)。

ですから、人口増が止まり、社会資本が飽和状態(資本投入量と減価償却費が同じになる時代)だと、成長率が止まるのは、当然です。本来は、こちらが正常なのです。

 だから、成長率低下は、「歴史の必然」ともいうべきもので、国家が介入すればどうなるとか、そういう問題ではありません。

「仏・独・日は、どんな政策を採用しても、(戦後)、英米に追いついた可能性が高い。(皮肉で)国家介入によって何も被害は起きなかった。これらの国が(英米に)先進技術で追いつくと、英米の成長率に勝つ成長率は実現できなく、豊かな国の成長率がほとんど同じになったのも、不思議なことではない」

 ちなみに、ドイツと英国の労働力増加率が、1970年代以後、マイナスになってきますね。少子化の影響です。で、両国は移民労働を受け入れます。「労働力が足りなくなった」からです。ドイツが90年に東西統一をしたのも、経済的視点では、「労働力が足りないから」です。

経済産業研究所 日本産業生産性(JIP)データベース
GDP成長率 寄与度.jpg

で、gの方、1人当たり成長率を長期的に見ると、先進国だろうが、すごい成長率を達成した時期などないということです。

「重要なことは、技術的な最先端の国で、1人当たり成長率が、長期間、1.5%以上の国の歴史的な事例は一つとしてない」ということだ。

「多数の人々が、成長とは最低でも3~4%でなければならないと思っている。これは歴史的・論理的に幻だ(この世にない)」


 「資本主義は終焉している」?「歴史は危機」?「利潤率が低下し、国家が衰退する」?

しかも、成長率が、1%とか、1.5%は、実はすごいことです。

「(これは)かなりの急成長、多くの人が思う以上に速いということ。30年単位では、年1%成長で、35%成長すること、1.5%成長で、50%成長すること。先進国で、今から30年前の80年は、ネットも携帯もなく、多くの人は飛行機に乗ったことがなく、先端医療もなく大学進学も少なかった」

「30年で35~50%増えるということ(筆者注:実際に、先進国はそうだった)は、今日生産されているものの1/4から1/3は、当時なかったものであり、職業の1/4から1/3も当時なかったものだ」

「年1%の成長社会は、深く、永遠の変化をともにする」


1人当たりgdp 30年間

 1%~1.5%の成長は、「凄まじいこと」に見えます。でも、これは見る人によって、「利潤率の低下=資本主義の終焉」と見えるようです。

gdp1%成長

1人当たり成長率
1人当たりGDP比成長率

 さて、以上のように、r>gにおいて、20世紀は、戦争で、rが低下し、戦後復興でgがめちゃくちゃ伸びたので、独英仏や、日米を含んだ「資本/GDP比率」は、その時期だけ、低かったのです。

 で、1970年代にその異常な状態は終わり、いつも(歴史的にという意味)のr>gに戻ったので、

格差拡大の根本的な力
r>g

が、働き、格差は開く一方になりますよ、それが、21世紀ですよ、だから「21世紀の資本」という題名・・・という話です。

英独仏の資本/GDP比率
英の資本 GDP比 その2
21世紀の資本/GDP比率

終わり。

 で、水野和夫は、戦後の異様な成長時期を当然(正常状態:ピケティからすると、こちらが異常状態)ととらえます。

 で、「今は、GDPが伸びなくなりました。成長率が鈍化しました。低利・低成長・果実の分け前が低くなった(ピケティに言わせると、こちらが正常状態)」から、「資本主義の終焉」だ「歴史の危機だ」というのです。

水野『資本主義の終焉と歴史の危機』

P15 紀元前3000年のシュメール王国から現在に至るまで・・ジェノバでは金利2%を下回る時代が11年続いた・・・日本の10年国債利回りは、400年ぶりにそのジェノバを更新し。2.0%以下と言う超低金利…経済史上、極めて異常な状態に・・・

 p18 利子率が2%を下回る…資本家や投資家が満足できるリターンが得られなくなったこと…設備投資をしても…利潤を産み出さない…過剰な設備になってしまうこと…。

P16
 なぜ 利子率の低下がそれほどまでに重大事件なのかと言えば、金利はすなわち資本利潤率とほぼ同じだと言えるからです。利潤率が極端に低いということは、資本主義が資本主義として機能していないという兆候。利子率=利潤率が2%を下回れば、資本側が得るのはほぼゼロです。革命と言えるほどに、利子率が低下したのです。「利子率革命」です。



世界 r g
税引き後 r g

貯蓄→ストック 図解 使えるマクロ経済学

 GDPのうち、「資本S=I」は、必ず残ります。これが、実物資本+金融資本です。
翌年以降、ここから生まれる取り分は、およそGDPの3割から4割です。

イギリス 不労所得 取り分

ここからの収益率は、「資本主義の法則」どおり、元に戻りますよということです。

税引き後 r g

 資本純利益率は、1913-1950年に、歴史上、初めて経済成長率より低くなった。これは例外的な高い経済成長率のせいで、1950-2012年まで続いた。戦争の破壊、(底からもたらされる)第二次大戦後の例外的成長が、歴史上ありえなかった事態を生み出した。

資本収益率が自然的・長期的に2-3%に落ち込んだ社会はこれまでにない。伝統的社会の農地収益率も同様だ。


事実は、

水野  「資本主義の終焉と歴史の危機」vs
ピケティ「資本主義の本質と歴史の復権」


なのです。

臨時投稿 ピケティ&池田信夫

<臨時投稿 ピケティ&池田信夫>

2014年11月08日14:11
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51918562.html

1000兆円の借金を返す方法

、歴史上、政府債務がGDPの2倍を超えて崩壊しなかった国は、最盛期の大英帝国しかない。ナポレオン戦争が終わってから20世紀初頭まで、イギリスは莫大な政府債務を植民地からの搾取と増税で返済し、GDPに占める税収の比率は20%に達した。今の日本でいえば100兆円、ほぼ2倍の増税をすることになる。

もう一つの方法は、第2次大戦後にイギリスの行なった金融抑圧だ。これは金利を規制する一方で人為的にインフレにし、実質金利をマイナスにして政府債務を減らす方法だ。これが黒田日銀の実質的にやっている政策だが、これもインフレ税を国民に広くかけて実質資産を減らす増税である。

どっちにしても、大増税は避けられない。増税しなければ財政が崩壊して、公共サービスも年金給付も生活保護も止まり、餓死する人が出るだろう。イギリスが政府債務の圧縮のために緊縮財政をしき、公共投資を大幅に削減したことが、その社会インフラが貧しくなった原因だ、とピケティは指摘している。




イギリスが政府債務の圧縮のために緊縮財政をしき、公共投資を大幅に削減したことが、その社会インフラが貧しくなった原因だ、とピケティは指摘している。

ピケティは、大英帝国は、その債務を「真面目に、政府の歳出を黒字にし(これは、こんなことをやっても、結局、意味なんかなかったじゃないかという皮肉)→本当は、この間、①毎年2.5%も経済成長したこと、②第二次大戦後にインフレでチャラにした」と言っているだけ。


ピケティの、「公的債務」のところは、こちら。

トマ・ピケティ(ピケッティ)『21世紀の資本』
Capital in the Twenty-First CenturyCapital in the Twenty-First Century
(2014/04/15)
Thomas Piketty

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21世紀の資本21世紀の資本
(2014/12/09)
トマ・ピケティ

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今、プライマリー・バランスを、ゼロにすることが、求められています。しかし、実際に、国債残高/GDP比率を下げるのは、「ゼロ」では無理で、プライマリー・バランスが黒字になることが必要です。

では、100年間頑張って黒字にしていたイギリスは、債務比がどうなったかを見てみましょう。

英 債務/GDP比率

債務レベルが高い=貸し手や子孫にとって良かった。政府に貸し付けるだけの財産を持つ彼らは、税を払うより、国に貸して数十年、利子を受け取る方が、利益になった。国債投資に経済的繁栄が委ねられる人々は、もっと儲かった

1815-1914年、インフレ率はゼロで、国債の利率は4-5%だった



 これは、国債を持っている資産家にとっては、ものすごいことですね。

経済成長率より、ものすごく高かった



 これは、資産家にはうれしい時代です。

で、1810年から、1910年にかけて、イギリスは、その債務/GDP比を下げたのですが、その間、プライマリー・バランスは黒字です。つまり、税収>支出です。イギリスは、修行僧のように、禁欲生活をしました。ところが、そんなことで債務/GDP比が下がったのではありません。答えは、

GDPの成長2.5%(1815-1914年平均)



なのです。

英 債務 GDP 1810年=100

 100年間、毎年、2.5%も経済成長すると、なんと、GDPは11.5倍、別の国になります。

竹森俊平(慶大)『経済危機は9つの顔を持つ』日経BP社 2009  p430

竹中平蔵(慶大)
…昔,大蔵省の時代,財政金融研究所にいたとき,変なリサーチをやらされたことがあります。それは経済学の手法なんかは全然使わないもので,こんなリサーチに意味があるのかと最初は反発したのですが,やってみてすごく面白かった。
  それは,ナポレオン戦争後のフランス,あるいは,第一次世界大戦の後のイギリスは,どのようにして赤字問題を解決したのかというものです。よく赤字を減らすとか,借金を返すとか言いますが,借金を返した国なんかないんです。借金を返すことなんてできません。

竹森
残高が相対的に小さくなっていったということですね。

竹中 
そういうことです。残高を増やさないようにして,その間に経済成長するから,2%成長で30何年したらGDPが2倍になるから半分になると。この手法しかありません。やっぱり成長をすることは,ものすごく重要なことだと思うんです。



拙著「図解 使えるマクロ経済学」

借金を返した国は,ありません。すべての国のGDPは,年々増加していますので,公債残高の額面そのものも増加しています(p101グラフ参照)。借金は,返すものではないのです。実際に、デフォルト(債務不履行)させないためには、経済成長(国債発行額減)し、30年後には、残高/GDP比率を小さくするというようなことしかできません。どこの国も「借り換え」「借り換え」であり,借り換えができるかどうかが重要なのです。



 国債残高を減らした国はありません。残高/GDP比率を小さくすることしかできないのです。
あるいは、英国の戦後のように、インフレによってチャラにするか・・・

1950年には、GDPの200%超、1950年代のインフレ(4%超)、1970年代のインフレ(約15%)、イギリスの負債はGDPの約50%に減少した。インフレという、再分配のメカニズムはすごく強力だ。



2英 債務/GDP比率 


<追記>

ikedanob at: 2014/11/05 00:26:30

池田信夫ツイート

リフレ派って、どうしてみんな増税に反対なんだろうか。(1)政府が自由自在に景気をコントロールできると本気で信じている。(2)リフレ政策がきかなかったのを増税のせいにしたい。(3)単に頭が悪い。



(1)政府は、自由自在に景気をコントロールできる。

リフレがどうかはともかく、その通りです。フリードマンには、1929年の恐慌が大恐慌になったのは、中銀の失敗によるものという、代表的な著作がある。

増税すれば、不況になる。これも当然です。例えば、今、公債をゼロにするために、40兆円増税してみましょうか。日本経済、壊滅します。つまり、「政府は、自由自在に景気をコントロールできる」のです、不況に向かっては。

ただし、どうやったら、経済成長するかなんか、誰にも分かりません。GDPは、1人1人、1軒1軒の会社のもうけ(付加価値)の合計です。どうやったら、儲けられるか、もうけを増やせるか・・・これが分かったら、ノーベル賞100年分に相当します(笑)。

(2)リフレ政策がきかなかったのを・・・

 失業率も、求人も、時給も、倒産件数も、株価も、GDPも、好結果です。失業率が低くなった←失われた20年の悲願でした。これが、達成されました。

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