<マンションくい打ちも、VWも、情報の非対称性>VWが、ディーゼル車の排気ガス装置の不正を行っていました。
三井不動産販売のマンションが、不正な基礎工事のため、ゆがんでしまいました。
これらには、
「情報の非対称性」が内在しています。
売り手(供給側)は、売る財・サービスについて情報を持っていますが、買い手(需要側)は分からないというものです。
これが、「経済関係(取引・交換)の本質=必ず付いて回る=避けて通れない」ものです。
対策は打てるものの、法律で縛ろうと、モラル頼ろうと、絶対に無くならない問題です。
この「情報の非対称性」があるので、詐欺という犯罪が成立します。売り手(供給者)は買い手(需要者)をだますことで、「詐欺」は成り立ちます。つまり、「情報の非対称性を100%なくせる」ということは、「詐欺を100%なくせる」ということ=不可能です。
・霊感商法
売り手は霊が見える、前世が分かる、あなたの運命が分かる、あなたの人生の○○は○○のせい、買い手は見えない・・・
・振り込め詐欺
だます側は架空情報をでっち上げ、だれにも言わないでという、買い手はその情報を信じ込まされる
・マルチ商法
この羽毛布団は最高品質です(実は粗悪品)、買い手にはわからない
・僕はあなたと結婚しようと思います、お金を貸して・・・買い手にはわからないので結婚詐欺。
情報の非対称性は、人生のイベントにも内在します。
・僕(私)はあなたを幸せにする・・こんな人だとは思わなかった・・カップルの1/3が離婚
そもそも、供給側も、自身の情報を100%持っているわけではありません。あなたに今、病気があるかどうか、今ガン細胞があるかどうか、あなた自身も知りません。
で、この情報の非対称性を埋めるように、政府は法律を整えます
医師・薬剤師・看護士、司法書士、弁護士etcの国家試験、各種資格試験、許認可
建築基準法
食品衛生法
特定商取引法
工業製品の各種法律民間でも、なんとか、この情報の非対称性を埋めるように努力します
・食品産地表示
・能力表示(英検 TOEIC 簿記 国家資格所持 学歴 学校歴 職歴・・)
・カブトムシ でかいからだ、立派なツノ
・チェーン店
・ブランド
・広告でも、だまそうと思ったら、いくらでもできます
・VW このディーゼル車は環境に優しく、高性能です。
・三井不動産 このマンションは、最新の耐震対策で建てられました
・有名レストラン この食材は○○エビ、○○牛ですそもそも、不動産会社すら、下請け、孫請け業者の施工という情報さえ、情報の非対称性ゆえに、わかっていませんでした。
日経H27.10.25記事より
1 住宅会社
完成前に販売=青田売り(引き渡しは3月や9月に集中)
戸数は1000戸越えの物件も 工期の遅れは客からのクレーム殺到なので認めず
純利益率5%、儲けにくい事業。用地取得の資金は借入。工期の遅れは金利負担高騰。中小では資金ショート、倒産さえありうる。
2 現場
工期を守るのは、開発担当者の腕の見せ所。
想定外の事態が発生すると、スケジュールがタイトに。
当初の設計とは違う資材を住宅会社に要求しても、拒否されることさえ。
工期の遅れの損害賠償は、住宅会社からくる。その分元請け→下請け→2次→3次へ請求する。
横浜のマンションの場合、三井住友の図面より、長い杭が必要になった。数十万円のコストだが、くい打ち3か月のところ、工期が1か月延び、作業増・人件費増、影響は甚大。現場は工期の遵守を迫られ続ける。品質に手を抜かざるを得なくなる・・。
しかも、この「情報の非対称性」があるから、そこに商売=取り引き=経済活動が成り立ちます。
・体の具合が悪い(わからない)→専門家に聞く=商売→お医者さん(医療に詳しい)
・税金の申告(わからない)→専門家に聞く=商売→税理士(税に詳しい)
・遺産相続問題(わからない)→専門家に聞く=商売→法曹(法律に詳しい)
・知識がない(わからない)→専門家に聞く=商売→本執筆者、解説者(その事象に詳しい)
・知識がない(わからない)→専門家に聞く=商売→学校(教師)やろうと思えば、自分でも調べられます。出来ます。でも大変な費用(コスト:カネ・膨大な時間・それを調べることによって失われる機会費用)がかかります。だから、費用を払って、プロにたのみます。
・タイヤ交換→専門家=商売→車関係業者
・おいしい料理・食材→専門家=商売→専門店
・炭酸飲料→専門家=商売→メーカーだから、専門家は、専門家ゆえ、シロウトを簡単にだますことができます。法律やモラルがあっても、やろうと思えば、簡単にだませます。
雪印 食品偽装
三菱自動車 リコール隠し
船場吉兆 食材使い回し
赤福 日付改ざん
白い恋人 日付改ざん
有名温泉 白色濁り財を温泉に投入 温泉が出ないので、お湯を浴槽に投入
成年後見人 財産管理を任せられて、横領東芝、不適切会計で旧経営陣に賠償請求訴訟へ2015年10月25日 21時55分 読売新聞
東芝が、不適切会計問題に関連し、田中久雄前社長ら歴代トップら旧経営陣に対して損害賠償請求訴訟を起こす方向で調整を進めていることがわかった。
東芝は、委員会からの報告を尊重する意向で、田中氏や佐々木則夫氏、西田厚聡氏の歴代3社長ら旧経営陣の責任が指摘される見通しとなった。
調査した外部の第三者委員会の報告書は、歴代3社長の関与を指摘していた。インフラ(社会基盤)や半導体などの多くの事業で、収益の目標達成を現場に迫った結果、損失先送りや利益のかさ上げが横行していたとされる。
東芝の不正会計、投資家(株式出資者)には、分かりません。
需要者は、情報が分からないので、供給者を信用して、購入します。
命を預けるクルマを購入できるのは、メーカーを信頼してです。
日本の商品を信頼して、中国からの観光客は日本で爆買します。
ブランドを信用して、消費者は商品を購入します。
警察を信用して、DV相談します。
会社は、応募者を信用して採用します。
有権者は政治家を信用して投票します。
間接民主制は、代表者を信用して、政権を託します。
自民党の衆院滋賀4区支部は25日に開いた役員会で、未公開株購入をめぐる金銭トラブルが週刊誌に報じられ8月に離党した武藤貴也衆院議員に対して、議員辞職を促すよう党県連に要請する方針を確認した。(京都新聞)
でも、情報の非対称性が内在する限り、「こんなはずではなかった・・・」は、この世からなくなることがありません。
婚姻カップル間でも無理なのですから、ロビンソン・クルーソーでもない限り、情報の非対称性を埋めることは、永遠に不可能です。
だから、「民主主義が崩壊した!」「真の民主主義とは!」なんて、ちゃんチャラおかしいのです。要するに、我々の生活自体、「まあまあ」「なあなあ」「適当なレベル」「任せるから頼むね」なのです。「真の」とか、「完璧な」には、最初から程遠いのです。
キリスト教の「神」とか、ドラゴンボールの「○○神」だけの世界なら、全知全能なので、可能かもしれませんが・・・
情報の非対称性を埋めるためには、莫大な費用(コスト:カネ・時間ほか)がかかります。それを最少費用ですませられるのが
「信用」「信頼」:理性、「安心」:感情です。
教育だろうが、経済だろうが、政治だろうが、およそ人生そのものが、
「信頼」がないと成り立たないというのがお分かりでしょうか?
いわしの頭だって、「信心」からです。