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所詮、民主主義など、こんなもの

<所詮、民主主義など、こんなもの>

 東京都舛添知事が辞職しました。

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<舛添知事>辞職が正式決定…都議会、全会一致で同意

 これは、民主主義に本質的に内在する、情報の非対称性と言う問題です。


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<マンションくい打ちも、VWも、情報の非対称性>


 候補者(供給者)は、自分のことを知っていますが、有権者(需要者)は、候補者のことをよくわかりません。

 総理大臣は知っていても、自分の市や町や区義会議員の名前すら、よくわかりません。

 総理大臣の情報も、マスコミを通じた情報しかありません。総理大臣になってから「え?こんな人だったの???」というのもよくあります。

 しょせん、民主主義など、「よく知らない人の、よく知らない人による、よく知らない人のための」政治でしかありません。

 この世に完全情報など、ないのです。我々には、まあまあ知っているか、少し知っているか、ほとんど知らないか・・・レベルの情報(知識)しかありません。特化(専門化)してもその分野の全体の情報など、本当は知りません(当然ですが、私もです)。 

 完全情報など、「神」にしかありません。「神」がいるかどうか、証明できません。

カントでさえ、「神の存在を要請する」ことしかできませんでした。

<非対称性を埋めるもの>

 信頼、この一言に尽きます。

 政治も相手を信頼、経済もモノ・サービス・ヒトを信頼、教育も、信頼がなければ成り立ちません。結婚も、家族関係も、人間関係も、モノも、信頼で成り立っています。

 自分以外のすべて(相手・モノ)は、しょせん、自分にはわからない世界なのです。この相互関係を成り立たせている根本は、「信頼」なのです。

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<プリウスは、なぜいつもデザインが突き出ているのか>

<プリウスは、なぜいつもデザインが突き出ているのか>

トヨタ プリウス

プリウス1
プリウス2


差別化です。「ハイブリッド車の本家」であり、リッターあたり走行距離もその時点で、「最高値」を更新しています。現在は、「リッターあたり40キロ走る」です。

常に「最先端」の位置を目標としています。

購入する側も、「プリウス」だということを、周りの人に知ってもらいたいのです。

カローラや、アクアのボディを使っては、買う方も「差別化」ができません。これらの車で、「リッター40キロ走る」となっても、買う方も「買いません」。

カローラ

供給側にとっても、消費側にとっても、常に「目立つデザイン」であり続ける必要があるのです。しかも「思い切り、差別化」になります。ちょっと「変」なデザインで構わないのです。

 プリウスは、今後も「最先端デザイン」を求め続けられる存在になります。

プリウスは、「見たヒト」が「プリウス」と認識できる、「情報の非対称性」を埋めるためのクルマです。

マンションくい打ちも、VWも、情報の非対称性

<マンションくい打ちも、VWも、情報の非対称性>

VWが、ディーゼル車の排気ガス装置の不正を行っていました。
三井不動産販売のマンションが、不正な基礎工事のため、ゆがんでしまいました。

これらには、 「情報の非対称性」が内在しています。

売り手(供給側)は、売る財・サービスについて情報を持っていますが、買い手(需要側)は分からないというものです。

これが、「経済関係(取引・交換)の本質=必ず付いて回る=避けて通れない」ものです。

対策は打てるものの、法律で縛ろうと、モラル頼ろうと、絶対に無くならない問題です。

この「情報の非対称性」があるので、詐欺という犯罪が成立します。売り手(供給者)は買い手(需要者)をだますことで、「詐欺」は成り立ちます。つまり、「情報の非対称性を100%なくせる」ということは、「詐欺を100%なくせる」ということ=不可能です。

・霊感商法   
売り手は霊が見える、前世が分かる、あなたの運命が分かる、あなたの人生の○○は○○のせい、買い手は見えない・・・

・振り込め詐欺 
だます側は架空情報をでっち上げ、だれにも言わないでという、買い手はその情報を信じ込まされる

・マルチ商法 
この羽毛布団は最高品質です(実は粗悪品)、買い手にはわからない

・僕はあなたと結婚しようと思います、お金を貸して・・・買い手にはわからないので結婚詐欺。

情報の非対称性は、人生のイベントにも内在します。

・僕(私)はあなたを幸せにする・・こんな人だとは思わなかった・・カップルの1/3が離婚

そもそも、供給側も、自身の情報を100%持っているわけではありません。あなたに今、病気があるかどうか、今ガン細胞があるかどうか、あなた自身も知りません。

で、この情報の非対称性を埋めるように、政府は法律を整えます

医師・薬剤師・看護士、司法書士、弁護士etcの国家試験、各種資格試験、許認可
建築基準法
食品衛生法
特定商取引法
工業製品の各種法律


民間でも、なんとか、この情報の非対称性を埋めるように努力します

・食品産地表示
・能力表示(英検 TOEIC 簿記 国家資格所持 学歴 学校歴 職歴・・)
・カブトムシ でかいからだ、立派なツノ
・チェーン店 
・ブランド 
・広告


でも、だまそうと思ったら、いくらでもできます

・VW このディーゼル車は環境に優しく、高性能です。
・三井不動産 このマンションは、最新の耐震対策で建てられました
・有名レストラン この食材は○○エビ、○○牛です


そもそも、不動産会社すら、下請け、孫請け業者の施工という情報さえ、情報の非対称性ゆえに、わかっていませんでした。

日経H27.10.25記事より

1 住宅会社 

完成前に販売=青田売り(引き渡しは3月や9月に集中)
戸数は1000戸越えの物件も 工期の遅れは客からのクレーム殺到なので認めず
純利益率5%、儲けにくい事業。用地取得の資金は借入。工期の遅れは金利負担高騰。中小では資金ショート、倒産さえありうる。

2 現場

工期を守るのは、開発担当者の腕の見せ所。
想定外の事態が発生すると、スケジュールがタイトに。
当初の設計とは違う資材を住宅会社に要求しても、拒否されることさえ。
工期の遅れの損害賠償は、住宅会社からくる。その分元請け→下請け→2次→3次へ請求する。
横浜のマンションの場合、三井住友の図面より、長い杭が必要になった。数十万円のコストだが、くい打ち3か月のところ、工期が1か月延び、作業増・人件費増、影響は甚大。現場は工期の遵守を迫られ続ける。品質に手を抜かざるを得なくなる・・。



しかも、この「情報の非対称性」があるから、そこに商売=取り引き=経済活動が成り立ちます。

・体の具合が悪い(わからない)→専門家に聞く=商売→お医者さん(医療に詳しい)
・税金の申告(わからない)→専門家に聞く=商売→税理士(税に詳しい)
・遺産相続問題(わからない)→専門家に聞く=商売→法曹(法律に詳しい)
・知識がない(わからない)→専門家に聞く=商売→本執筆者、解説者(その事象に詳しい)
・知識がない(わからない)→専門家に聞く=商売→学校(教師)


やろうと思えば、自分でも調べられます。出来ます。でも大変な費用(コスト:カネ・膨大な時間・それを調べることによって失われる機会費用)がかかります。だから、費用を払って、プロにたのみます。

・タイヤ交換→専門家=商売→車関係業者
・おいしい料理・食材→専門家=商売→専門店
・炭酸飲料→専門家=商売→メーカー


だから、専門家は、専門家ゆえ、シロウトを簡単にだますことができます。法律やモラルがあっても、やろうと思えば、簡単にだませます。

雪印 食品偽装
三菱自動車 リコール隠し
船場吉兆 食材使い回し
赤福 日付改ざん
白い恋人 日付改ざん
有名温泉 白色濁り財を温泉に投入 温泉が出ないので、お湯を浴槽に投入
成年後見人 財産管理を任せられて、横領


東芝、不適切会計で旧経営陣に賠償請求訴訟へ2015年10月25日 21時55分 読売新聞

 東芝が、不適切会計問題に関連し、田中久雄前社長ら歴代トップら旧経営陣に対して損害賠償請求訴訟を起こす方向で調整を進めていることがわかった。

 東芝は、委員会からの報告を尊重する意向で、田中氏や佐々木則夫氏、西田厚聡氏の歴代3社長ら旧経営陣の責任が指摘される見通しとなった。

調査した外部の第三者委員会の報告書は、歴代3社長の関与を指摘していた。インフラ(社会基盤)や半導体などの多くの事業で、収益の目標達成を現場に迫った結果、損失先送りや利益のかさ上げが横行していたとされる。



東芝の不正会計、投資家(株式出資者)には、分かりません。

需要者は、情報が分からないので、供給者を信用して、購入します。

命を預けるクルマを購入できるのは、メーカーを信頼してです。
日本の商品を信頼して、中国からの観光客は日本で爆買します。
ブランドを信用して、消費者は商品を購入します。
警察を信用して、DV相談します。

会社は、応募者を信用して採用します。
有権者は政治家を信用して投票します。
間接民主制は、代表者を信用して、政権を託します。

自民党の衆院滋賀4区支部は25日に開いた役員会で、未公開株購入をめぐる金銭トラブルが週刊誌に報じられ8月に離党した武藤貴也衆院議員に対して、議員辞職を促すよう党県連に要請する方針を確認した。(京都新聞)



でも、情報の非対称性が内在する限り、「こんなはずではなかった・・・」は、この世からなくなることがありません。

婚姻カップル間でも無理なのですから、ロビンソン・クルーソーでもない限り、情報の非対称性を埋めることは、永遠に不可能です。

だから、「民主主義が崩壊した!」「真の民主主義とは!」なんて、ちゃんチャラおかしいのです。要するに、我々の生活自体、「まあまあ」「なあなあ」「適当なレベル」「任せるから頼むね」なのです。「真の」とか、「完璧な」には、最初から程遠いのです。

キリスト教の「神」とか、ドラゴンボールの「○○神」だけの世界なら、全知全能なので、可能かもしれませんが・・・

情報の非対称性を埋めるためには、莫大な費用(コスト:カネ・時間ほか)がかかります。

それを最少費用ですませられるのが「信用」「信頼」:理性、「安心」:感情です。

教育だろうが、経済だろうが、政治だろうが、およそ人生そのものが、 「信頼」がないと成り立たないというのがお分かりでしょうか?

いわしの頭だって、「信心」からです。

知ることと、選択肢の多さが前提・・だが その2

<知ることと、選択肢の多さが前提・・だが その2>

酒井順子 『知らないという幸福』 週刊文春連載エッセイ431回

  同級生達との集まり、いわゆる女子会において・・・その中の一人がぽつり「でも私、もし若い頃に戻れるとしたら、留学はしないな」と言った・・・。彼女は、仲間うちでも最も早く留学をし、その後も国際的な仕事を続けている人。・・・留学経験も無い私は、そんな彼女のことを眩しく見ていたというのに、「留学しなければよかった」とは…。
 
海外で暮らせば、それだけ多くの出会いもあるけれど、同じ数だけ別れもある。また国際的な仕事といっても、国際的であるからこそ、ストレスもまた国際規模。…という彼女の話に・・・ずっと母国語を仕事に使用してきた私のような者からは、想像のつかない苫労がそこにはあるのでしょう。
 
・・・私は、外国語も話せず海外経験も無いという自分が・・・コンプレックスでもあったわけです。が、「してみると・・・せずにいた苦労もあったわけね」と、その時に知りました。

 それは、国内においても同じことが言えるのでしょう。地方に行くと・・・やけに幸せそうに見えるのは、「その地方から出たことが無い人」なのです。一度都会に出てから戻ってきた人の中には、「本当はこんなはずではなかった」といった感覚を抱いている人も多い。

 対して、大学進学や就職で都会に出ることなく、ずっと地元に留まり早くに結婚して子供を産み育て、親と同居もしくは近くに住んでいる人というのは、都会の生活も、海外の生活も知りません。が、知らないからこその幸せの中に浸っている安定感がある。

 ・・・地方の人々の暮らしを見ていると、三食がご飯、ご飯、またご飯でもいい感じ。自分の土地で採れる新鮮で美味しいものを食べ続けるというその生活に、充足しているのです。カラスミのパスタだの、エッグスシングスのパンケーキだのは、知らないが故にどうでもいいのでしょう。 

幸せ度ランキングなど見てみると、上位に入る県というのは皆、地味な県であり、大都市圏は、そこに入っていない。そして私は、高い幸福度の背景には、「知らない宰福」というのもあるのではないかと思うのです。
 
 翻って我が国の若者達は昨今、外に出て行かないと言われています。海外旅行も留学も、若者達はしたがらないのだ、と。それはもしかすると、彼等が既に「たくさんのものを見て知って体験したからといって、それは幸福につながるわけではないのだ」ということを察知しているからではないでしょうか。一生懸命にたくさんの経験を積んだ大人達を見ても、少しばかり経済的に豊かにはなるかもしれないけれど、ストレスフルで幸福ではなさそう。であるならば僕たちは、広い世界なんかに出ていかなくても、ストレスを極力抑えて、幸せに暮らしていきたいということで自国に留まっている気がする。

・・・たとえば旅が多い私は、どんな宿に泊っても、ちょっとした不満点を見つけてしまったり、「こういう宿ってあるよね」とか、「○○系じゃない?」などと、類型化して考えたりする。しかし旅行経験が少ない主婦の人などを見ると、「誰かが作ってくれたごはんを食べるだけで幸せだわ~! お布団の上げ下ろしもしてくれるし」と、私かブッブツ言っている宿でも嬉しそうにしているではありませんか。そんな人を見ると、いかに自分がスレてしまったかよくわかりますし、「知らない幸福」は確実にある、と思うのです。

 「若い頃に戻ったら、留学はしない」と言っていた友人も、今になって「知らない幸福」のことを考えたのかもしれません。 
「色々なことを知るよりも、知らないままでいることの方が、ずっと貴重なことなのかもしれない」・・・などと語っていた我々ですが、もうここまで来てしまった以上、後戻りはできないことは、よーくわかっているのでした。



日経H26.7.27 『コンシューマーX』

都会と地方、都心と郊外の便利さの格差は縮まっている。1990年以降、地方・郊外に開業したショッピングセンターは全国で1800超。89年以前の2倍以上になる。生活コストの安い地元で買い物も便利になり、若い世代は車や付き合いなど暮らしを楽しむ分野に支出を振り向ける。

 「東京や大阪に住みたいなんて思ったことはない」。福井県敦賀市に住む配管工、馬路智也(32)はこう話す。全国の30歳代の平均世帯年収545万円に対し、馬路は400万円ほど。それでも「今の生活はとても充実している」。

 13年8月に建てたマイホームは土地込み2900万円。居間とキッチンをつなぐカウンターをバーのような雰囲気にしつらえ、広い屋上にもこだわった。休日は夫婦や2人の子供の友達を家族連れで招待し、ホームパーティーを楽しむ。買い物は、ほぼ敦賀市内で済ませて地元にお金を落とす。

「若い世代ほど安定した日常生活を伴う幸福を求める」。日本総合研究所の所長、松岡斉(59)はこう指摘する。14年1月にまとめた都道府県幸福度ランキング。待機児童ゼロ、正規雇用者の割合は全国3位という福井県がトップだった。



<知ることがいい、多様性が必須?>

 既存ミクロ経済学では、消費者と供給者は、完全に情報を持っているとしています。

清水書院 新政治・経済 p93 平成21年 三版
需給曲線 清水書院 新政治・経済 p93 平成21年 三版.jpg

 上記のおなじみの「供給・需要」曲線さえ、「仮定」だらけです。箱庭のような条件が必要です。


(1)財・サービスの内容について完全に知っている、無数の消費者
(2)財・サービスの内容について完全に知っている、無数の生産者
(3)完全競争市場であること(寡占・独占やカルテルを結ばない)
(4)消費者は、効用を最大限にするように行動する
(5)生産者は利益を最大限にするように行動する

 (1)(2)は、「完全な知識を持っていること」、(4)(5)は「常に合理的であること」を示します。この様な状態で、上記の「市場」は最適な資源配分をすると仮定されます。

 こんな、一番スタンダード:中学校の教科書でさえ、扱っている理論でさえ、「仮定」だらけです。しかも、「現実にあり得るの?」というような話です。

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予想通りに不合理

 知れば知るほど選択肢が増えていい、会社の中に、多様な人材(価値観)を取り入れなければダメだ・・・本当でしょうか。

 フランスでは、父子のDNA鑑定は、裁判所の許可がないとできません。

 事実婚が当たり前のフランスは、恋愛も自由で、そこに、父子関係を決定づけるDNA鑑定をおこなったら・・・悲劇になるからです。

 会社員の給与。お互いにお互いの給与を知ったら・・・悲劇です。

 アメリカの金融業とか、様々な会社経営陣の高額報酬。リーマンショック後、公的資金を投入されたのに、証券業界や、金融業界の経営者は、相変わらず高額報酬をもらっていた・・。オバマ大統領が「シェイム・オン・ユー(恥を知れ)!」と非難した件。

 なぜ、経営陣の報酬が、高額化してきたのか。それは、報酬額を公開するようになったからです。
 あの企業は、あの職種は、これだけもらっている・・・。公開されると、額がさらに上昇していきました。

 知れば知るだけ選択肢が増えてよい、できるだけ情報を得たほうが良い・・・こんな単純にはいかないから、「1つの経済学で全体を説明するのは無理」なのです。

日経 H26.7.22 『多様性こそ企業の力』

『革新産む環境づくりを』ロンドンビジネススクール教授 リンダ・グラットン

未来のリーダーは幅広い世界観を持つべきだ。最貧国はどんな状況か、気候変動や人口問題は・・こうした女性リーダーが数多く生まれれば、世界を変えることができるのではないか。

●ダイバーシティ(筆者注:多元化・多様化 全方向化)

グラットン氏
 仕事をするには・お互いの背景が同質の方が達成度は高く・ただし事象が複雑になってくると、多様性が重要。様々な国籍の社員や女性の経営陣が必要だ。



 
さて、ダイバーシティ(全方向性)は、正しいのでしょうか?

日経 H26.7.22 『企業、なぜ多様な人材確保?』

早稲田大学・経営学・入山章栄
 過去に発表されてきた多くの研究結果・・・能力や経験の多様性は生産性を上げる一方、性別や人種などの多様性は必ずしも利益につながらず、場合によっては悪影響を及ぼします・・・
多様性 長短



 多様であればあるほどいい、こんな万能理論など、理論でも実証でも、ないのです。

 女性として生まれたら、どうするか・・・考えてみます(続く)


高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学

k-takahashi’s 雑記

第6章では、財政金融政策の解説のために IS-LM分析というのを紹介している。さすがにこの部分は他の部分より難しいのだが、それでも「流動性の罠にはまる」というのが「LM曲線の傾きが水平になるため、金融政策を発動しても所得が変わらなくなる」(No.3037)というのは分かる。

そのあとで、アベノミクスの解説が入る。第1の矢は実質利子率を下げることでLM曲線をさげ、所得を増加させる。第2の矢は政府支出を増大させることでIS曲線を右にシフトさせ、所得を増加させる。そういうことを丁寧に説明している。

なんか、全体としては「ニセ医療批判」の本に近い感触だったように感じた。医療とは何か、疫学とは何かということを分かりやすく説明する一方で、ニセ医療のウソを暴くというのがパターンだが、本書は経済学の分野でそれをやっているように感じた。

情報の非対称性 供給側にしか完全情報はない

<情報の非対称性 供給側にしか完全情報はない>

読売H26.2.19
読売H26.2.19


 今回の、偽装事件は、経済学的には、情報の非対称性という範疇はんちゅうの問題です。

消費者(需要側)は、供給(生産者側)の情報を知りません。これを完全に知ることは、永遠に「無理」です。

本質的には、判断する能力があるとかないとかの問題では、ありません。

昨年起こった、デパートや、一流レストランの「食品偽装」も同じです。

 消費者側は、知りようがないので、生産者側が、簡単にだますことができます。

 ですので、消費者は、「ブランド」を頼りにします。「老舗」とか、「誰でも知っている大手企業」とか・・

 大手のレコード会社が出しているんだから・・大手の出版社が出しているんだから・・

 ○○という資格を持っているから・・・医者の本だから・・大学教授の解説だから・・

 有名人だから・・


私も、この「ブランド化」「ブランディング」を使用しています。

拙著「高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門」です。

高校・・・中学校より専門的そうで、大学の勉強より簡単そう

高校教師 小学校の先生より学問的そうで、大学の先生の学問よりやさしそう

どこの馬ともわからない「菅原晃」なるものの情報を開示することで、信用度がアップしませんか?

どこの馬の骨ともわからないので、みなさん「名刺」使用しますよね。スーツ着ますよね。学校歴や資格つけようとしますよね。これをブランディングと言います。

中身が大事?そんなものウソです。皆さんが一番よく知っています(笑い)。


※「高校生からの」とうたっていますが、中身は、それまでの皆さんの持っていた常識と180度違いますから、「ああなるほどね」と2時間で簡単にわかるような代物ではありません。逆に、2時間でサルでもわかるなら、200年以上も続いた経済学者の汗はいったいなんだったんだ!っていうことになるし、私の、勉強に費やした時間(リカード理論の説明は、冗談抜きにその汗の結晶です)だって、無価値です。

 出来るだけ、本質を分かりやすく解説しようと努力していますが、逆にそんなに簡単にわかってたまるか!とも思います。

 学問に王道なし、こつこつ学ぶしか、方法はありません。その方法を身に着けて、背骨にすれば、こんどは、絶対にぶれません。
 だから勉強は大切です(教師らしい説教になりました。ああやだやだ。 笑)。

閑話休題

 この「情報の非対称性」は、どんなにコンピューターが発達しても、なくなりません。ということは、それを利用しようとする悪意を防ぐ手立てもありません。

離職があるのも、解雇があるのも、この情報の非対称性によるものです。「こんな会社だと思わなかった・・・こんな人間だとは思わなかった・・・」

 いずれも、どんなに情報を集めても、「入ってみないと、雇ってみないと」分かりません。

753(しちごさん)、高卒・短大専門卒・大卒の3年後離職率です。7割5割3割です。

どんなに、丁寧な就職指導を行っても、減らすのは無理なのです。



 でも、この「情報の非対称性」こそ、消費者の醍醐味でもあるわけです。自分しか知らないものを見つけた、偶然すばらしいものに出会った、自分が先んじてそのよさを見つけた・・・
 
 調べて調べて買って、大満足した・・おおはずれだった・・

人生の伴侶を見つける結婚・・・友人との出会い・・離婚・・

 いつも、映画や、歌や、小説の題材になるわけです・・・ 人生のスパイス・・本質かもしれません。

 本質だとすれば、「経済学」は、基本的に、すべての事象を解明できないということです。

https://twitter.com/toda_shizuhon/status/422583605022322690/photo/1

【オススメ経済学本】難しそうなので敬遠していたけど、改めて勉強したい・し直したいと思っているあなたに。 一橋大学経済学部『教養としての経済学』(有斐閣) 菅原晃さん『高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学』(河出書房新社)

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