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ユリノミクス? ウーン、まったく理解できない(笑)

<ウーン、よくわからない(笑)>


http://news.livedoor.com/article/detail/13711204/

10代有権者は「よく分からない」日本共産党が目指す資本主義を乗り越えた社会とは?

AbemaTV『AbemaPrime』に出演した共産党副委員長の田村智子・参議院議員は「民主主義対共産主義という構図で描かれることが多いが、そうではなく経済で考えてみるべき。資本主義の世の中では、誰かや何かを犠牲にして経済成長するのが当たり前という社会になっているということ。ワーキングプアやブラック企業、あるいは原発の問題もそう。そういうことではなくて、未然に犠牲を防ぎながら経済を成長させていく理性と知性を人類は持っているはずだと。民主主義が全面的に開花して、資本主義を乗り越えた経済のあり方を共産主義と呼んでいる。日本共産党は将来、そうなるよう目指している」と話す。



 生産者は「できるだけ高く売りたい・・・」、消費者は「できるだけ安く買いたい・・・」(労働市場だと、生産者と消費者は逆転します)。根本的に、こういう矛盾が、経済には内在しています。

望んだものを、すべて手に入れられない・・・(希少性と言います)

 みな、何かを我慢するしかないんですけどね(トレード・オフ)。


ロイター
http://blogos.com/article/250589/
 
 金融・財政出動に依存せずユリノミクスを断行=希望の党公約

希望の党(代表:小池百合子東京都知事)は、22日投開票の衆院選公約で、金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間の活力を引き出す「ユリノミクス」の断行を掲げた。同党が6日、発表した。

安倍政権のアベノミクス政策に対抗し、消費増税を凍結することも公約に明記した。



 ウーン、中身がさっぱりわからない(笑)。


時事通信 10/6(金) 4:08配信

9条改正「議論」=増税凍結で「ユリノミクス」―希望公約【17衆院選】

自民党が実施を目指す2019年10月の消費税率10%への引き上げに関しては「前回の増税が消費に与えた影響を考えると、一度立ち止まって考えるべきだ」として「凍結」を主張。代替財源として国有資産売却や、大企業の内部留保への課税を盛り込んだ。また、消費税増税の前に国会議員の定数・議員報酬削減や公共事業などの歳出削減を徹底すると訴えた。



内部留保 新

 内部留保は、すでに使われてしまった「カネ」のこと(資本金と同じ)で、こんなものに課税などできません。すでに投資された「カネ」=だから実物資産になっているものです。「現金」ではなく、すでに「形」になっているものです。

 「これから」、設備投資をしても、新規採用をしても、利益剰余金(内部留保)の額は1円も変わりません!

マスコミに登場する「内部留保」というのは、本当の意味するところは、「資本金」と同じものです。設備投資・新規採用をして、資本金が減りますか!!!!!!

 万が一、万万が一、課税するとすれば、BSの左側、「現・預金」にということになります。マスコミや希望の党が言う「内部留保」は、この「現・預金」を、取り違えたものです。つまり、「資産と負債」「バランス・シート」が、全くわかっていない、トンデモ論です!!!!

企業は「活動」するのに、キャッシュが必要です。中小企業がこの「キャッシュ」が無くて、いかに苦しんでいるか、希望の党は全く理解していません。「キャッシュがない」から、BSの右側、銀行から借りるのです。「借入金」のない企業なんて、この世にない!

 では、増えた増えたと言われる「内部留保?」は何に使われたのか。左側の資産を見ると、一番増えたのは「株式」です。つまり、M&Aによる「他社の買収」や「海外投資」「資本参加」です。海外の会社を買収する、経営に参加する(これらは、海外企業の土地や建物や機械や従業員を購入することと同義)・・・これに、2004年以降、130兆円以上も「投資」され、一番多く使われています。倍増しているのです。

国際収支表にある、対外直接投資は、15年度に16.8兆円と過去最高になりました。これは「全額」バランス・シートの左側「株式」純増になります。そして同額で、右の利益剰余金(内部留保?)も16.8兆円増です。

バランス・シートは、左増=右増なのです! 

    右増=利益剰余金増
          ↕
左増=海外(国内)企業への投資増

なのです。

 利益剰余金(内部留保?)は、このように、実物投資されている額が一番多いのです!

企業が「利益の最大化」「生き残り」をかけて、投資する原資(しかも税引き後)に課税????

これで、


ロイター
民間の活力を引き出す「ユリノミクス」

日経 2017/10/6 10:00
希望の小池代表、内部留保課税「お金が設備投資や配当に回る」

希望の党の小池百合子代表(東京都知事)は6日午前、同党が発表した衆院選の選挙公約の1つに掲げた企業の内部留保課税について、会見で「ためられてきたお金が設備投資や配当に回る」と述べ、高い経済効果が期待できるとの考えを示した。



希望の党・小池代表「内部留保の課税は米国もやっている」
10/6(金) 23:45配信 THE PAGE

同党は2019年秋の消費増税を凍結することと、その代替財源の一つとして企業の内部留保課税を訴えた。政策集には「300兆円もの大企業の内部留保に課税することにより、配当機会を通じた株式市場の活性化、雇用創出、設備投資増加をもたらす」と記されている。

 同日午前に開かれた公約発表会見で、小池代表は「内部留保課税が実施された後に、課税を避けるためにそれを取り崩し、設備投資に回すとか、企業内保育園をつくるとか、そういったことにより有効に活用されるというのはまさしく内部留保課税の効果」と説明していた。



ですって?何を言っているのか、さっぱりわかりません。

では、内部留保?に課税するとどうなるか。断言します。設備投資や賃上げには回りません。留保課税を避けるめに、株式配当を増やすだけです。


http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/30345738.html
中嶋よしふみ シェアーズカフェ・オンライン編集長 ファイナンシャルプランナー

現金と内部留保を混同しているわけだ。・・・ここを間違っている人間のいうことは一切信用しない方が良い。頭の良い小学生が理解できる程度のことを間違っているならば、それ以外の言説も全て間違っていると考えるのが安全だ(自分の感覚では九九を間違うレベル)。内部留保も現金もどうせ似たようなモノだろう、と思っている人はこちらの記事で利益とキャッシュフローの違いを勉強して欲しい。今時そんな事を言ったら恥をかきますよ、とだけアドバイスはしておく(会計上の数字である利益と実際の現金の動きは全く異なる)。



 民進党のマクロ経済認識も「デタラメ」でしたが、それをそっくり受け継いだ「希望の党」のマクロ認識も「絶望的」です。

<追記>


https://kanjokamoku.k-solution.info/2005/09/_1_536.html

内部留保の性格・性質 貸方の概念

内部留保は貸借対照表上貸方に位置づけられる概念であり、借方に位置づけられる現金や預金とはまったく異なる概念である。
したがって、現金預金のように、内部留保という名称のお金が現実に企業等に留まっているということを意味していない。





内部留保に関する批判・批評・評価など 
内部留保課税の適否

内部留保が多いことは、お金が使われていない=お金が回らないことを意味するので、これに課税すべきという意見がある。

しかし、前述したように、現金や預金(借方)のように、内部留保(貸方)という名称の具体的なお金が企業等に留まっているというわけではない。

たとえば、貸方上は内部留保が多くても、借方上は現金や預金の構成割合が小さく固定資産が大きいというバランスシートもありうる。

この場合は、内部留保が多くても固定資産の取得・購入というかたちでお金がきちんと使用されていることになる。

したがって、批判の対象とされるべきものは現金や預金(借方。資金運用、つまり資金の使い方)であって、内部留保(貸方)ではない。

労働に関する一考察(笑い)


伊藤元重 読売 9.3
アベノミクスの今 名目GDP大きく改善

アベノミクスによって日本の名目GDPは13年度以降増え続け、16年度には約538兆円と、1997年度のピークを超えるに至った。

プライマリーバランスの赤字幅を10年度比で半減するという目標は達成された。

労働分配率は過去30年で最も低い。

有効求人倍率はバブル期を上回って、過去30年で最も高い水準。

賃金は本当に上がっていかないのだろうか。大企業の労働者は年功賃金と終身雇用制に守られて、大幅な賃上げは難しい。

労働者の半分以上はパートや派遣などの非正規雇用、中小企業の従業員、自営業である。これらの人の賃金は労働市場の状況に敏感に動く。現に外食、小売り、物流などの深刻な人手不足で、人件費も大幅な上昇が続く。最低賃金も大幅に引き上げられた。

非正規雇用から賃金上昇の波

賃金が上昇すれば、企業は生き残りのために労働生産性を高めなければならない。労働生産性の低い企業から高い企業へと労働力移動が加速していく。

宅配ヤマトHDは、1万人近い採用を行うが、応募者がどんな企業から来るのか想像してみよ。ヤマトの賃金に対抗できない企業は、運送業以外にも多い。生産性が低く賃金を挙げられない企業は生き残りが難しくなる。これが賃金上昇による供給側の調整である。



1)賃金は上昇中

 実質賃金は、2016年度に上昇済みです。

実質賃金6年ぶりプラス 16年度、名目も増加

2017/5/23 9:04 日経新聞

厚生労働省が23日に発表した2016年度の毎月勤労統計調査(確報、従業員5人以上)によると、名目賃金から物価上昇分を差し引いた実質賃金は前年度比0.4%増加した。増加は6年ぶり。



 実質賃金は、6年ぶりにプラス値になりました。

実質賃金が高止まり→不況→実質賃金低下→失業率低下→完全雇用状態⇒実質賃金上昇(労働需要曲線右シフト)・・・となります。

日経新聞
1 労働実質賃金


 賃金は、終身雇用・年功序列の公務員・大企業より、非正規雇用・中小企業という、労働需給市場に密接な現場から、上がり始めます。

1 労働

 春闘よりも、直ちに反応するのは「時給」です。

http://www.garbagenews.net/archives/2228492.html
アルバイトの時給動向をグラフ化してみる(最新)
1 労働 時給

2)労働分配率とは?

 雇用者報酬/国民所得のことです(内閣府 国民経済計算)。

みなさん勘違いしていますが、「労働分配率が低い=好況」ということです。

1 労働分配率


労働賃金(分子)は一定ですが、企業収益(分母)は「好況・不況」で上下します。不況(リーマン・ショック)の際には、企業収益(分母)が減るので、労働賃金(分子)の比率が見かけ上、上昇します。

 失業率が低下する状態=好況=労働分配率低下

ですから、「労働分配率を上げろ!」「労働分配率はまだまだ低い!」というのは、とてもナンセンスなことを言っていることになります。

好況だから、労働分配率は低くなるのです。

ただし、長期では、先進国の労働分配率は、低くなっています。

日経 経済教室 2017.9.14
先進国 労働分配率

理由は、産業構造の変化(例:IT企業や、知的アイディア産業の勃興)によるものだそうです。

高橋洋一や田中秀臣には理解できない、DSGE(現代経済学)理論

<高橋洋一や田中秀臣には理解できない、DSGE(現代経済学)理論>

 今年、はじめての記事になります。ものすごく骨太な話で、説明が長くなります(ですが、これでも説明のほんの一部分であることをご了承願います。すべてを説明できない事情がありますので、忖度願います)。

http://blogos.com/outline/205039/
アベノミクスと雇用について

アベノミクスが期待外れな結果しか残せていないことについてはいまや多くの人々が同意する所となりつつあるが、その一方で今も「アベノミクスは成功したんだ!」と主張する人々が強調するのは雇用の改善である。しかしながらアベノミクス開始以降、雇用が改善しているのは事実であるが、失業率や求人倍率の推移をみるとアベノミクスの前後で明確なトレンドの違いは存在せず、リーマンショックからの自律回復が続いているだけとも取れる結果である。

これに対し、アベノミクス支持派の主張は、「失業率だけをみれば確かにアベノミクスの成果は見えないが、労働力人口や就業者数を見れば、アベノミクスが雇用を大きく改善したことは明らかであり、同じ失業率の改善でも民主党政権下とアベノミクス以降では中身が異なる」というものである。

次にもう一つの問題点について指摘しておくと、労働力人口や就業者数が増加に転じたのは本当にアベノミクス以降だったのか?という点についても疑問が残る。

例えば高橋洋一氏は以下のような図を示して、「金融政策の効果を見るには就業者数をみればいい」「このデータほど、安倍政権と民主党政権の金融政策の差を如実に示すものはない。はっきりいって、民主党の完敗である。」(参照)とやっている。

失業率

そこで、試しに2012年以降の就業者数、雇用者数をプロットすると以下の通りとなり、少なくとも高橋氏の示したような大きな変化がアベノミクスの開始と共に起こったようには見えない。

失業率2

[追記]
田中秀臣氏は雇用の改善の他に自殺者数の減少もアベノミクスの成果(或いは金融緩和の成果)だと主張しているようであるが、氏も認めているように自殺者数と失業率の間には強い相関がある訳で、自殺者数の減少がアベノミクスの成果というのは失業率の減少がアベノミクスの成果であるという事を前提としており、後者が自律回復で説明できるのであれば、前者もその結果とみることができるため、結局は雇用の改善がアベノミクスの成果かどうかという問題に帰着するだろう。

つまり雇用にしても世界経済にしても安倍政権は強い追い風を受けてスタートしていたという事であり、当初はアベノミクスが大きな成功を収めそうだという期待が高まったことは確かである。それが虚像であったとしても繰り返し喧伝されていた「景気は気から」という考えが正しかったのなら、この好ダッシュはアベノミクスの成功を自己実現的に後押ししたはずであるが、その後の推移を見るに残念ながら「気」だけでどうにかなるわけでもなかったという事だろう。



要するに、「失業率や、就業者数の増加は、リーマンショック以後の『自律的回復』であり、アベノミクスの成果ではない」というものです。

これに対して、反論しているのが、高橋洋一・田中秀臣という、バカ教授です。この馬鹿が踏み外しているのは、今の経済学の本 質など、まったく理解していないというところにあります。
 
失業率


 どうですか?この図を見て、「アベノミクスの成功で、失業率が低下した」と、言えますか?「自律的回復ではないか?」に、「高橋や田中など、反論になっていない」と突っ込まれて、それを否定できますか?

<現在の経済学とは?>

 今の経済学は、動学的一般均衡です。動学的というのは、「時間を考慮した」一般均衡です。

DSGE モデル.jpg

経済学史 とうほう 政治・経済資料2015 p207-2


①古典派経済学  スミスやリカード

②新古典派経済学(ミクロ) ワルラス(静学的)一般均衡や、マーシャル需給曲線

③ケインズ経済学(マクロ) 帰納法(厳密な理論ではなく、実証優先)

④ケインジアン経済学 ケインズの予想(期待)を捨象し、静学(現在)のみ考慮
 IS-LMも、フィリップスカーブも

⑤ルーカス批判 「ケインジアンは、動学(時間軸)を考慮していない!」
 フリードマン・マネタリズム 「フィリップスカーブ(実証)など無意味」

⑥現代経済学
 動学的一般均衡(未来の予想を加味)← ②ワルラスの静学的(今現在のみを考慮)とは違う、③④の静学とも違う。DSGE=動学的確率的一般均衡

これが、「マクロ経済学」の推移です。

世間一般では(ネット上でも)、⑤フリードマンに始まる「市場原理主義」や、「新自由主義」批判!!!(40年以上も前の経済学理解)で止まっています。

要するに、40年以上も前の経済学で止まっている話であり、本当は「批判」にすらなっていません。

なぜ、世間一般では、「最新経済学」が、理解されていないかというと、今の、「動学的確率的一般均衡=DSGE」は、微分積分を多用するので、「一般的経済学解説書」「新書」「経済学入門」では、扱いきれないからです。

だから、入門書の類、高校教科書も、飯田泰之先生など、若手の教授が執筆するもの以外、全部「40年以上前」の、「新自由主義」だの、「市場原理主義」だので、止まっています。

つまり、日本人の経済常識は、未だに前記④ケインジアンの「財政+金融=ポリシー・ミックス」や、⑤フリードマンの「市場重視」で、止まったままです。

もう、団塊世代以上が書く入門書(池上彰など)、すべて「止まったまま」でしょう?さらに、経済学など学んだことがない「エコノミスト(安達誠司とか)」も同じです。彼らの本に「微分積分方程式=動学」を使っているか所など皆無です。

今の大学院で必須の「動学的確率的一般均衡=DSGE」など、彼らには全く理解できていないのです。それは高橋洋一や、田中秀臣など、バカ教授も同じです。だから、「書けない」のです。新書や「経済入門」書に、「最新経済学」が一切ないのは、「①一般向けには、技術的・分量的にも説明できない」、「②バカエコノミストやバカ教授には理解できない」からです。

だから、日本は終わってしまったのです。最新理論を、大学で教えられなかった時代=70年代後半・80年代・90年代初頭→「(理論が)失われた20年」

これが、90年代後半から、「失われた20年(実証)」として、現実化してしまいました。40代・50代の現役世代(官僚の最前線)が、最新経済理論を共通項として理解していないので、「対処の仕様がなかった」のです。彼らの理論も、40年以上も前の、④ケインジアンの「財政+金融=ポリシー・ミックス」や、⑤フリードマンの「市場重視」で、止まったままなのです。

<最新理論=今の経済学常識の本質>

 今の経済学の本質は、「動学的」です。つまり、「現在」だけではなく、「未来」を考慮した一般均衡です。

 未来は、「予想(期待)=expectation」です。

だから、

 実質利子率=名目利子率-期待(予想)インフレ率

です。

GDPで重視するのは、名目ではなく、実質です。

 実質GDP=名目GDPからインフレ率を控除

経済は、「①現実(今現在)」と「②未来(予想)」で動くのです。「②未来(予想)」が大事、というか、絶対にはずせなくなっているのが、現在経済学の本質なのです。

 だから、「(不安定な)未来をできるだけ確定させる」のが、現代経済学の「合意事項・必須事項」なのです。


 ①インフレ・ターゲット
 ②●年●月に「オリンピック」
 ③●年●月に、都市圏「新線」「新駅」「新道」完成
 
 これらが、「未来を確定させる」政策だということが分かりますか?なぜ、90年代になって、①インフレ・ターゲットが導入されたか、分かりますか?これによって、中央銀行は、「政治介入」を避け、中央銀行の独立を達成したのです。

 それまでは、③ケインジアン フィリップス曲線でした。

フィリップス曲線清水書院 現代社会資料集2014 p175


「インフレだと、失業率が低い、だからインフレが望ましい」=裁量政策これ、60年代に終わった話です。

 70年代に襲ったのは、「スタグフレーション=インフレなのに、高失業率=不況」です。

だから、フリードマンは、「フィリップス曲線は垂直になる=あてにできないぞ」と「自然失業率」を唱えたのです。「インフレ目指す裁量などしてもだめだ、ルールに基づいて、金融政策をしろ」と言ったのです。ケインジアン=裁量です。フリードマン=ルールです。

 ところが、ルールに基づく「マネタリズム」を中銀が採用したものの、変動相場制になって、金融自由化が進んだ結果、フリードマンがとなえた「マネタリーベース増減(ルールに基づく)→マネーストックの増減」など、まったくあてにならなくなったのです。金融商品が増大しすぎて、マネーストックの範囲が拡大し過ぎ、もはやコントロール不能になったのです。だから、中銀は、「ルールの基づく政策=狭義のマネタリズム」を捨てたのです。

 その後、インフレ目標(ルール)を定め、その政策目標を実現するために「裁量」を使用する(マネタリーベースの増減、短期利率のコントロール・・・)を導入しているのです。今は、ルール+裁量なのです。

 フィリップス・カーブも、今は「昔」のモノではありません。「インフレだとよい」ではなく、大切なのは、「インフレ率=変化率」なのです。

フィリップス曲線清水書院 現代社会資料集2014 p175


 企業の儲けは、物価が安いときに仕入れ、物価が高くなるときに売るのが一番です。その「差」が、もうけになるからです。
 
人件費も同じです。人件費が安いときに仕入れ、人件費が上がった時(インフレ)にも以前の「安い人件費契約」で使えるときが一番です。

実質=名目-期待(予想)変化率

です。

0%=2%(名目成長)-2%(変化率)では、最大儲けにはなりません。インフレであればいいのではないのです。

他の主体が2%のインフレ率を予想している時に、自社だけが、3%の名目売り上げを達成する(安く仕入れて高く売る)・・・これが「もうけ」なのです。

1%=3%(名目価格)-2%(変化率)

 つまり、大切なのは、「乖離=ギャップ」なのです。だから「インフレという事実」が大切なのではなく、「インフレ率という変化=動学」が大切なのです。

0%=5%(名目成長)-5%(変化率)

これでは、いくら「インフレ」でも、まったく「もうけ=付加価値=GDP」は増えないのです。

1%=10%(名目成長)-9%(変化率)

 もうけは「インフレ率が高いから」ではなく、「ギャップ」にあるのです。だから、フィリップス曲線で大切なのは、「インフレ」ではなく「変化率」なのです。

「実質」が大切なのは、労働市場でも同じです。①実質賃金が高止まり=失業率高(デフレ)→②実質賃金低下→失業率低下(回復期)→③実質賃金上昇=完全雇用(限界費用増)になります。

参照
クリック

池田信夫を銃殺せよ(クルーグマン風に言うと)その3

それで、マンキューが単なる「実証」だったフィリップス曲線を「限界費用増=変化率増=失業率低」という「理論」で、再構築したものが、ニューケインジアン・フィリップス曲線=NKFCです。大切なのは、「インフレ」ではなく「変化率」なのです。

その変化率は、「現在」と「未来」の間で「生じる」のです。

経済は、「未来に依存する」というのが、現代の経済学の必須事項なのです。だから、最新の「動学的確率的一般均衡=DSGE」では、2つの変数の1つ(XとY)は必ず「変化率」なのです。(無理やりです・・ここに欠陥があります。詳しくは説明できません。予定稿で扱います。忖度願います)。

 経済は「未来に依存する・・・」

Y=C+Iです。消費Cは「現在」です。今日の食事、今日の幸せ(ローンでクルマを買うのも、高いソファを買うのもすべて「現在」)が目的です。

 だから、消費など、好不況にかかわらず、「一定」なのです。不況だからといって、電気・ガス・水道・家賃・食費・病院代・・・など、削るわけにはいかないのです。

ところが、「投資」は、未来に依存します。来年以降どうなるか・・・工場を増やすか、人員を増やすか、店舗を拡大するか・・・これはすべて「未来予測」に基づくのです。

だから、「未来が不安」だと、「投資減=不況」になるのです。「好不況は投資に依存する」というのが、ケインズが見つけた「実証」です。だから、投資を拡大するには、「民間に変わってでもいいから、政府が投資する公共投資+民間投資を活発化させる金利下げという金融政策=ポリシーミックス」を提唱したのです。

今に依存するのが、消費。将来に依存するのが、貯蓄Sです。

企業から見るY=C+Iは、家計から見るとY=C+Sです。貯蓄は「未来のため」に行います。未来が不安だと所得Yが増えても、Cを増やすのではなく、Sを増やします。それが、今行われている「消費が増えない」現象の理由です。今現在、家計は消費を増やすのではなく、貯蓄Sを増やしているのです。若い世代ほど顕著です。Yが増えるのに、Sだけが増える・・・だから、S>Iになる。そこで「不況」になるので、Iを増やす=政府支出+金融緩和なのです。

 このように、景気は「未来」に依存するのです。

未来

そうすると、アベノミクスが成功しているかどうかは、「未来に働きかける」ことに成功しているかどうかが基準になります。

アベノミクス

 目先の「求人倍率」や、「失業率」は「今現在」の話です。企業は「今必要」だから動きます。

 一方、大学生や高校生の求人は「半年後、1年後、5年後、10年後・・・」の未来予測に基づいて行われます。今ではなく「未来に依存」する「先行投資」なのです。

 ①投資が増えているかどうか・・・・

アベノミクス 投資

http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_seizougyo-setsubitoushi
日本政策投資銀行が4日発表した2016年度の設備投資計画調査によると、大企業・全産業の国内投資額は前年度実績比10.9%増の17兆5128億円で、5年連続のプラスとなった。将来の成長に向け、企業が製品開発などの前向きな投資を増加。東京五輪・パラリンピックをにらんだインフラ投資も続く。

未来に依存する民間投資は、アベノミクスで「確実に」変化しています。

②大学生・高校生の就職はどうなっているか・・・

アベノミクス 大卒

http://fp-user.com/%E5%B0%B1%E8%81%B7/%E5%A4%A7%E5%8D%92%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%80%8D%E7%8E%87%E3%81%AE%E6%8E%A8%E7%A7%BB%EF%BC%882017%E5%B9%B4%E5%8D%92%EF%BC%89/

アベノミクス kousotu

未来に依存する大学生・高校生の就職率はアベノミクスで「有意」に変化しています。

分かりますか?高橋洋一や、田中秀臣のように「失業率がとか、労働者数がとか、自殺率がとか・・」など「現在」の指標で、アベノミクスが成功しているだの失敗しているだの・・・。

こういう説明をして「シロウト」を納得させるとことなど「ムリ」なのです。理論的にも実証的にも無理なのです。だから、シロウトに突っ込まれて、反論になっていないのです。

彼らが「バカ」だというのは、こういう「現在経済学」の本質を理解していないからです。

<高橋洋一や田中秀臣には、説明できない話>

DSGE モデル.jpg

動学的一般均衡は、次のような過程を経て確立されました(ここは、ほんのさわりです)。

1)ワルラス一般均衡論(新古典派=ミクロ) = ニュートン物理学(どんぶり勘定)

ワルラス均衡理論は、財市場・貨幣市場・労働市場・・・と複数均衡を扱います。ところが、ニュートン物理学では、「2つの引力」を分析できるのみで、「3つ以上の引力=均衡」は、理論的に扱えないのです。しかし、太陽系の場合、太陽の引力があまりにも巨大で、太陽と金星、太陽と水星、太陽と地球・・・とそれぞれ「2個の引力=ニュートン物理学」を使って解析し、それを寄せ集めて、「太陽系」を説明したのです。

ですから、ワルラス均衡も、それぞれの市場を分析し、それを無理やり「すべての市場均衡=複数均衡」として扱っただけで、もともと、原理的(2個の均衡しか扱えないニュートン物理学に依存)に、「無理」があるのです。

「ミクロ的基礎付け=ある理論からすべてを説明する演繹法」を装ってはいますが、最初から「誤謬」が生じるような理論なのです。


2)ケインズマクロ=帰納法(理論ではなく、実証から作った帰納法)

 一方、ケインズの理論=マクロ経済学は、帰納法です。つまり、実証から導き出した、「ミクロ的基礎付け=ある理論からすべてを説明する演繹法」ではありません。「投資の増減が不況につながる」のを発見し、では、投資を回復させるには・・・という帰納法です。理論などありません。世界大恐慌=不況を克服できれば、それでよいという、ざっくり論です。

 ケインジアンは、とりあえず、ミクロ=ワルラス均衡と、ケインズマクロを結び付け「古典派総合」として活用しますが、これらは原理的に「水と油」でした。

 だから、ルーカスらが、「マクロ経済学のミクロ的基礎付け=ある原理理論の演繹法によってマクロ理論にする」ことを、要請したのです。そこから、現代経済学が始まります。


3)動学的一般均衡
 
これが、現代の「マクロ経済学のミクロ的基礎付け」、ルーカス以後の現代経済学理論です。「動学=今と未来」を考慮したモデルです。

動学的予算線


この、理論には、

 ①フェルマーの定理
 ↓
 ②解析力学
 ↓
 ③ラグランジュアン

動学 


という、「ミクロ的基礎付け=演繹」が導入されています。

「マクロ経済学のミクロ的基礎付け」、すべてを最小単位(ミクロ)に落とし込み、そこから、壮大なマクロを作り出す・・・。

この理論が実践されているのが、「コンピューター」です。最小単位「0と1」から出発→最大単位「マクロ」まで、一貫しています。

この理論を、高橋洋一や田中秀臣は、全く説明できません。「マクロ経済学のミクロ的基礎付け」に、なぜ微分積分が必要なのかも、まったく説明できません。だから、彼らは「終わっている」のです。

もう、高橋や、田中のような「バカ」など、「使い物にならない」のです。

<ただし・・・>

「未来のことは分からない(ケインズ)」時代から少しは進歩して、「未来のことが予測できる」時代にはなりましたが、ですが、やはり「未来の事」は神のみぞ知るです。自然災害や、「ミス」は、やはり正確に予測できません(これらは必ずGDPを下げ、売り上げを下げます)。

経済学は「今」を説明するもので、未来を予測する「水晶玉」は持っていません。

DSGEも「変化率が○○ならば、結果は●●になる」といえるのみで、その「変化率」がどうなるかは「分かりません」

そもそも、経済を決める変数は、無数にあり、XとYだけで決まる「物理学」とは雲泥の差があります。

経済学は「進歩」していますが、「経済全体を描写」するのは、永遠にできません。

この人たちは、どこまで成長すれば成功と言うのか(苦笑)。

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<この人たちは、どこまで成長すれば成功と言うのか(苦笑)>

朝日1
朝日2


日本は、現在、完全雇用状態にあります。GDPは目一杯状態です。

不況3


労働力調査(基本集計) 平成28年(2016年)2月分 (2016年3月29日公表)
 (1) 就業者数,雇用者数
   就業者数は6351万人。前年同月に比べ29万人の増加。15か月連続の増加
   雇用者数は5684万人。前年同月に比べ89万人の増加。38か月連続の増加
 (2) 完全失業者
   完全失業者数は213万人。前年同月に比べ13万人の減少。69か月連続の減少
 (3) 完全失業率
   完全失業率(季節調整値)は3.3%。前月に比べ0.1ポイント上昇



日経 有効求人倍率、1月は1.28倍に上昇 24年ぶり水準
2016/3/1 8:30

 厚生労働省が1日発表した1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の1.28倍だった。1991年12月(1.31倍)以来、約24年ぶりの高水準。QUICKがまとめた市場予想(1.27倍)を上回った。企業の求人は減ったものの、求職者の減少がそれを上回った。派遣労働者を中心とする職業紹介・労働者派遣業からの新規求人が減った。訪日外国人客の増加で宿泊・飲食サービスなどの求人は堅調で、高齢化に伴う医療・福祉分野の求人も増えた。求人全体では1.6%減だった。一方、求職者は2.1%減った。厚労省は雇用情勢について「着実に改善が進んでいる」との見方を示した。
 雇用の先行指標とされる新規求人倍率は0.17ポイント上昇の2.07倍で、91年6月以来ほぼ24年ぶりの高さだった。正社員の有効求人倍率は前月と同じ0.80倍で、04年11月の調査開始以来の最高水準を保った。




日本の①労働力②資本力③生産性をフルに発揮するGDP水準を、実質GDP=完全雇用GDP=潜在GDPといいます。
上記、垂直のAS線です。

IMF予想(本日付 新聞各紙参照)では、日本の実質GDPの伸びは、2016年0.5%、2017年(消費税を導入したとすれば)-0.1%です。

0.5%というのは、GDP500兆円としても、2.5兆円プラス程度の数値です。GDP需給ギャップがあったとしても、その程度の数値です。

日本は、潜在成長率「1%程度の成長」しかできません。GDPギャップは限りなくゼロです。財政出動や、金融緩和の余地(短期AD曲線をシフトさせる政策)など、もうほとんどありません(ただし、5兆円程度の財政出動をすれば、インフレにはなります。「先進国そろって財政出動をしろ」というクルーグマンの言うことを、今度のサミットで合意できるか否か・・・)。

 日本だけ、「財政出動」しても、効果は薄まります(マンデル=フレミングモデル)。やるなら、リーマン・ショック時のように「そろって」が必要です・・・・。

 じゃあ、アベノミクスで、成長を実感できないのはなぜか?

毎年1%程度、所得が伸びても、税金(公的保険)が伸びているのですから、可処分所得など増えません。

国民年金保険料、厚生年金保険料、介護保険料、健康保険料・・・すべて急増中です。

安倍政権後3年間に、2人以上世帯の、税(公的保険含む)の支出は、1月あたり、5000円弱増、可処分所得は2000円強の増です(総務省 日経2016.3.28)。

皆さん頑張って、「超高齢社会」を支えているのです(笑)。みなさんの所得が伸びた分は、ちゃんと高齢者に回っています!!(笑) 
何しろ、65歳以上高齢者が、4人に1人を超えました!!!!。

「所得が増えない!アベノミクス失敗だ!」って、「バカいうな!」というお話です。高齢者は恩恵を享受しています(笑)。


あとは、無理やり、1人12時間以上働かせる、強制労働しかありません(苦笑)。

これが、「高齢社会」の現実です。

日本の福祉は、「賦課方式」ですから、その年の現役世代が、その年の高齢者世代を支えています。

現役世代の保険料+税金(それでも足りなくて国債費)→高齢者の「医療・介護・年金」に回るシステムです。

基礎年金は、半分がその年の保険料+税金投入が1/2です。税金部分の1/3は「国債」です。

少しは、高校教科書でも読んでみてはいかがでしょうか、朝日新聞編集委員さま。

http://blogos.com/article/171621/

江田憲司
2016年04月13日 11:00
民進党への政権交代で何が変わるか?・・・貴重な税金の使い途が変わる!

今、景気が悪化しているのも、経済がマイナス成長なのも、GDPの6割を占める「消費」が伸びないからです

なぜ、「消費」が伸びないのかと言うと、「実質賃金」、すなわち、皆さんの給料が上がらないからです。民進党は、介護や年金、子育て、教育等の施策、予算の重点配分等を通じて、この「家計の可処分所得」を上げ、「懐具合」を温かくしていきます。それが、「消費増」を通じて「経済成長」にはねかえり、景気回復を持続的なものにしていく、「好循環」を生むのだと考えています。



本当に、経済学を知らないので、グダグダです。こんな経済オンチが政策考えたって、サッカー選手が、野球の解説をするようなものです。

正解

「消費が悪いから、GDPが悪い」は、「雨が降るから天気が悪い」と同じです。まったく「供給」と「需要」の区別ができていません。

消費+投資+政府+純輸出は、需要AD曲線の話です。

GDPは、供給AS曲線の話です。

不況2


需要を伸ばせば、供給が伸びる・・・・本当に、アホか!です。

2 実質賃金が低下するから、雇用増です。

需給曲線 需要 供給 曲線 1


この、マクロの労働需給曲線の「価格」は、物価変動を加味した、実質賃金です。

実質=名目-インフレ率

+2=0-(-2デフレ状態)


実質賃金が高いので、労働需要が減る(企業求人が減る)のが、デフレです。

それが、

-2=0-(2インフレ状態)

実質賃金(グラフの価格)が低下するので、企業の求人が増えます。

実質賃金が高止まり=デフレ→需要減

実質賃金が低下=インフレ→需要増


政治家には、経済学が必須なのです。経済学を勉強したことが無いから、民進党の経済政策はとんちんかんなのです。

アベノミクスについて

アベノミクスについて


コメントする方へ

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アベノミクス、金融緩和、何点か? 確実に60点、70点以上です。

1月の失業率、3.2%です。完全失業者数は、64か月続けて、減少です。日本は、完全雇用状態です。潜在GDP=長期GDP=完全雇用GDPをすでに達成済みです。

これだけの成果を上げているのに、何を、どこに問題があるのですか?

日本は、潜在成長率「1%程度の成長」しかできません。GDPギャップは限りなくゼロです。財政出動や、金融緩和の余地(短期AD曲線をシフトさせる政策)など、もうありません。

不況3

アベノミクス批判する人は、日本が2%、3%、4%、どんどん成長できるとでも、思っているのですか?全く経済のことが分かっていない人たちだということがここで分かります。

「総需要管理政策(財政+金融)は、「需要AD」を刺激する方法で、「供給AS=GDP」を増やす政策ではありません。ましてや、「長期AS=完全雇用GDP水準=実質GDP=自然産出量」を増やす政策など、世界中の経済学の教科書を探しても載っていません。

目的「GOAL」は、脱デフレ、絶対にデフレにさせないことです。脱デフレであれば、手段は何でも構いません。とにかく大目的が「デフレにしない事」です。

不況1


デフレ
1)投資減になります
2)失業増になります

1)投資減=不況のことです。消費は変わりません。投資の増減が好不況の原因です。
投資は「未来予測」で行われます。未来を確定させると、企業の投資行動が変わります。

なぜ、投資減になるか、拙著図解使えるマクロ経済学p79参照
なぜ、失業増になるか、同p171~参照

中銀は「絶対にデフレにはしません」とします。インフレターゲットです。

金融政策は「短期」的効果しかありません。短期供給曲線ASは、インフレで右上がりになります。インフレ予測で、短期には産出量Y(GDP)が増えます。インフレターゲットは、短期をその年その年で、確定、すっと確定させるので、「長期」に働きかけることが可能です。

来年こうする→来年時点で、「来年こうする」→その時点でさらに「来年こうする」・・・

金融政策は、固定相場制では、1つしか手段はありませんでした。①利子率の操作です。日本では公定歩合です。

変動相場制では、①利子率操作に加え、②資産効果(株とか土地とか)、③為替効果という風に、手段が増えます。②資産効果で、消費が増えます。③為替効果で純輸出が増えます。

このことは、「高校生からわかるマクロ・・・」でも、ちゃんと書いています。 p235


つまり、総供給AD曲線を動かすことができます。総需要管理政策です。金融政策は、変動相場制時代になって、その影響力を大きくしたのです。昔の「金融政策=利子率操作」だけではないのです。

不況2


中銀は、「絶対にデフレにしない」ということが大命題です。ですから、失われた20年の日本のデフレ現状をみて、リーマン以降、FRBも、ECBも、BOEも、なりふり構わず、金融緩和(絶対にデフレにはしない)を採用したのです。マイナス金利は、日本の前に、欧州で導入しています。

2%は脱デフレという大目的のための「手段」です。しかも、中銀が「それを守る」という明確なメッセージです。2%を達成できている国など、どこにもありません。中銀は、何が何でも「デフレにはしない、できることは何でもやる」と宣言することで、私たちの行動が変わるのです。

私は、2%が達成できたら120点、インフレを達成できたら60点と、アベノミクス導入時のコメントに書いています。デフレにさえならなければ、「合格点」です。
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