立候補すれば、全員が当選・・・これで選挙の意味があるのか
平成8年に導入された、衆議院比例代表並立制。
本来であれば、小選挙区から当選者1人となる。
しかし、当時1つの選挙区で5人当選の所、8人が立候補する(例えば、自民党から3人立候補すれば、自民党同士で接戦=北海道の十勝地区は、故中川昭一と鈴木宗男の激戦地として有名だった)システムだったため、それを1選挙区1人とすると、自動的に排除される議員がいる。そこで、済み分けとして「はい、あなたは、今回は小選挙区、次回は比例代表」と、順番に立候補するコスタリカ方式などの対策が取られた。
そうすると、比例代表の順番をめぐって、もめるケースが出てきたため(ある政党がその地区で比例代表枠を3人は得られるような予想の場合、名簿順の1位から3位は安泰、4位になると地獄、順位をめぐってカネが飛び交う・・)、現在は、重複立候補の場合、全員名簿1位に登載するケースが増えた。
全員名簿1位の場合、その政党が比例代表で3議席を確保した場合は、惜敗率(小選挙区で負けたかもしれないが、当選者の票数にどれだけ迫って善戦したか)で決めるようになった。
ある候補者は、当選者の票数の95%を得て落選(惜しい敗け方の率)、別な候補者は85%、3人目82%、4人目80%の場合、上位3人目まで議席を確保できるというものだ。落選候補の得票数は、結局国会にその人を支援した人の声が届かない=「死票」を少なくするという趣旨もある。
ところが、「小選挙区制+比例代表」を組み合わせると、立候補した全員が、当選するという現象を引き起こす。
例えば、沖縄県では全4選挙区で出馬した与野党候補計9人全員が当選し、落選者は1人もいなかった。全員当選!!!!
自民、沖縄全4選挙区で敗れる 辺野古移設反対派が当選
2014年12月15日02時02分 朝日新聞デジタル
沖縄県では全4選挙区で自民前職の候補が敗れた。11月の知事選と同様の構図で、国による米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設計画に反対する4人がそろって当選を決めた。
一方、敗れた候補者も次々と比例区で復活。四つの選挙区に立候補した計9人が全員、議員バッジを手にすることになった。




つまり「基地移転反対」候補と「基地移転賛成」候補の全員が当選=これが沖縄のすべての声ということになる。
これでは、沖縄の実際の民意はどちらにあるのかがさっぱりわからない。
移転反対者が5割いるが、賛成者も4割いる・・・全員の声が、国会に届く・・・
どっちも民意と言えばそれまで。