国は嘘をつく その2

<ウソの塗り重ね>

このレポートが事実とすれば、やっていることは、戦前の「大本営発表」と全く同じです。


上杉隆『福島原発 衝撃の真実 官邸、東電、大メディアの原罪』週刊文春1月5日・12日号。


「3月下旬に周辺の海水から法定限度の2000倍以上の放射性物質が検出されていました。記者会見で話題になっていましたが、出元が不明でした」政府はそうした都合の悪い情報を黙殺したばかりか、調査しようとしなかった。
そして4月2日、東電は、2号機取水口付近から汚染水が大量に海に流出している写真をいきなり公開した。…官邸がいうような「漏れている」というレベルでは到底なかった。

…このような驚くべき事態が残念ながら大手メディアで報じられることはなかった。何しろこの時期、すべての大手メディアは最大のクライアントを失うことを恐れるあまり「安心」「安全」を連発し誤報の山を築いていた頃だったからだ。

…事故直後、枝野長官は3km 圏外への退避を勧告しておきながら、次には10キロその次には20キロまたその次には30キロと広げていった。

…この時期、文科省がヒタ隠しにしていたSPEEDI(筆者注:事故時の放射線の流れを予測するシステム)の全データは官邸に報告されていた。しかも壊れたと証言していたモニタリングポストの数値も、実は事故発生直後から代替の車載器等によって計測され、官邸に上がっていたのだ。

 そうした危険な数値を知りながら「情報が確実ではない」として枝野長官は発表を控えるばかりか、みずからの政治責任を回避し続けたのであった。
「今回出た京ベクレル数になるというような推定・推測の話は3月中に、報告を受けていました。ただ、まさにその数値が確実性のない数字ではなくて、かなり確からしい数字であるということがようやく確定したので、それを受けてレベル7への引き上げを行ったということです」(4月14日)
そう、すでに3月、みんな知っていたのだ。官邸も、政府も、東電もそして大メディアも原発が危険な状態にあることに気づいていたのだ。だから彼らの中には家族を早々と地方や外国に避難させるものがたくさん現れたのである。



 SPEEDIの予測データは当たっていました。放射能がまさに流れている地域に、わざわざ住民が避難したのです。なぜ万が一の事故のために、何百億円もかけたシステムの情報を公開しなかったのか。政府によると「パニックを恐れたから」だそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=UNjQ8hS7r7A
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110325-OYT1T01048.htm
など、参照


…そして摩訶不思議なのはこれだけ事故を起こしながらも東電を守ろうとする姿勢だ。大手メディアだけではない。官邸の中枢、特にそのトップや与党の要の幹事長ですら同じであった。

…また、5月には原発事故を扱う政権中枢の議員に役人たちが繰り返し「レク」という形の洗脳を始めていた。「仮に被曝しても細胞は再生するので問題はありません。特に子供の細胞の再生が早いから心配することもありません」
内部被ばくや染色体の損傷を度外視した極端な意見の一つだが、こんな常識はずれの見解がさも当然のように政府内で語られ始めていたのは事実だ。メルトダウンをしているはずがない、汚染水があふれて敷地外に流れだすはずがない、被爆しても再生できるはずだ、そう信じたかったのだろうか。これではいつかは、神風が吹くと、勝算のない前線に国民を送り出したかつての戦争指導者と変わるところはない



<ミッドウェー海戦>

 日米戦争の緒戦は、日本が快進撃しました。ハワイ真珠湾攻撃で、アメリカの戦艦部隊を壊滅させ、マレー沖で英軍の最新鋭戦艦を沈没させ、陸軍はシンガポールまで陥落させました。

ウイキペディア
真珠湾攻撃

 ですが、真珠湾攻撃の最大の目標「空母」を討ちもらしたことが、戦争の転機、坂を転げ落ちる「ミッドウェー海戦」の始まりでした。

 戦艦の攻撃距離は、「大和」でも40キロです。しかし、航空機は、その8~10倍、400キロが攻撃範囲で、空母に載せることにより、その攻撃距離は何万キロにも広がります。将棋の飛車角なのです。

 真珠湾攻撃では、その最大の攻撃目標「空母」を討ち漏らしました。点数では、40点以下ですが、あまりにも戦果が大きく(戦艦8隻の沈没・損傷)、国民は熱狂し、連合艦隊司令長官山本五十六は、「軍神」になってしまいました。

 そのうちもらした空母によって、東京が空襲されます。「ドゥリットル本土爆撃」です。

 軍令部は、大変衝撃を受け、打ち漏らした空母掃討のための、ミッドウェー作戦に許可を出します。

http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/1340/wa-sang.htm
ミッドウェー海戦


引用 参考文献
NHKスペシャル取材班 『日本海軍400時間の証言』 新潮社 2011


日本海軍 400時間の証言



三代元大佐
ワシなんかはもう、連合艦隊長官の意見に対しては極めて反論してですね、頑張ったんですから、それだけれども結局抑えられちゃったのは何かというと、山本長官がいかに鼻っ柱が強いかということ・・・。そういうところに真珠湾作戦が成功したもんですから、ますます山本長官が強くなってですね。それを聞いて一部長が『どうですかな。(山本)長官がああいわれるんですから、長官にお任せしたら』と言うたら今度は次長がハッと、やれやれというな情勢で『そうですね、それがいいでしょう』と。こういうようなことで決めちゃったわけなんですなぁ」


「それから、今度はさらにその(永野)総長のところまで行かなきゃなりませんから、総長のところまで参りまして、そしてそのことを申上げたと。そしたら『そうか、それじゃあ山本にやらせてみよう』というようなことで決めちまったと」

極めて残念なことだと思うんですが、ワシなんかそれでもって泣いちゃったんですよ。こりゃ、駄目だと思って、ミッドウェー作戦やったら大変だということで、ワシは泣いちゃったんですけれどもね、そういうことだったんですよ」


 ミッドウェー島は、日本のトラック基地からあまりに遠く、占領しても長くは持たない(補給線確保)し、準備不足に関しては、現場から悲鳴のように報告が上がってました。


泉元大佐
「今のに関連してね、とにかく航空艦隊も潜水艦隊も(作戦実施を)伸ばしてくれいとあれほど言うたのにですね」
「1ヶ月作戦を延期してくれって言うことですよ」


三代
「いや、そいつはもうわかっとったんでね。やはりその少なくとも半月くらいは延ばさなきゃいかんだろうということだったんだけれども、それも連合艦隊に押し切られてしまったということだな」



「いや、あなたはね、わかっておったというように言っておられますけれども、わかってないですよ。わかってないからそういうことになった」


三代
「いや、あの連合艦隊に言ったんだよ」



「いやいや、駄目ですよ。そんなこっちゃだめですよ。言ったって駄目ですよ。本当にね、やっぱり軍令部の担当者もね、それから連合艦隊の担当者も、潜水艦はどういう行動しているか、ね、それを本当にしっておったらね、できないですよ」
「いや、それがですな、本当の前線に実際やっている人間と同じようにですね、本当に腹に入っておったらですね、連合艦隊にね、駄目だと言えたはずなんですよ」
 


 真珠湾攻撃に参加した空母6隻のうち、1隻が他の海戦で損傷し、参加できません(1隻は内地に留め置き)。開戦から半年、前線は緊張を強いられる、ぶっ通しの働きづめでした。早すぎるのです。

 しかも、4月に大規模な辞令交付・・・転勤です。空母の搭乗員さえ、ごそっと入れ替わりました。まともな発艦練習さえ、十分にしていませんでした。ミッドウェー海戦は6月5日です。 

 連合艦隊は、軍令部の下です。その司令長官が下剋上で、立案した作戦です。

軍令部 連合艦隊

 しかも、その連合艦隊の中でさえ、意思統一はされていません。表向きは、ミッドウェー島占領ですが、真の目的は、敵空母誘い出しと、それへの攻撃です。飛車角である、日本空母部隊を率いる南雲長官は、軍令部じきじきに「島占領」を命じられていました。山本長官以下、連合艦隊参謀(作戦立案)側は「空母破壊」です。

山本 機動部隊

 山本も、デモンストレーション(空母ばかり活躍し、戦艦部隊は出番がないので、昇給すらない・・だから・・)もかねて、総勢300隻にもなる、大艦隊を出撃させます(戦艦に出番なんてないことを分かっていながら)。結果は、大惨敗です。日本は、空母4隻、飛車角をすべて失い、戦いの主導権は、アメリカに移ってしまいます。

 ここで、「大本営発表」が行われます。のちに、「大本営」といえば「ウソ」の代名詞になったほどです。

 空母4隻沈没を、海軍報道部が「2隻喪失、一隻大破、一隻小破」と発表しようとした(これもウソですが)ところ、軍令部が「一隻喪失、一隻大破」に変更させたのです。

 国(官僚)は、国民に「ウソ」をつくものなのです。

 しかし、これは、100歩ゆずって、「敵に本当の被害を知らせてはならない」というへ理屈もあるでしょう。
 
 ですが、海軍内部資料(戦闘詳報=戦闘報告)でさえ、ウソでした。しかも、戦後そのウソを、あばいたのは、ただの女性民間人でした。

山本 機動部隊

 山本長官(参謀本部)側は、敵空母攻撃のために、「艦艇攻撃用の装備をしておけ」と言いましたが、現場は「敵空母は来ないだろう」と、「陸上攻撃」の用意しかしていませんでした。それを、「艦艇攻撃用の装備をしていた」とウソを報告=正式資料となったのです。

ウソ報告資料

①陸上(ミッドウェー島)攻撃した
②艦艇攻撃用装備準備した。
③陸上攻撃足りないので、もう一度陸上攻撃をとなった
④艦艇攻撃用→陸上攻撃用に兵装転換した
⑤敵空母発見
⑥陸上攻撃用→艦艇攻撃用に再度変更した
⑦あと「5分」で全機発進だったのに、間に合わなかった。


 実際には、「敵空母は現れるはずがない」との希望的観測をもとに、②をしていませんでした。②→④→⑥で、「混乱した」との報告はウソで、⑥しか行われていなかったのです。


上杉隆『福島原発 衝撃の真実 官邸、東電、大メディアの原罪』週刊文春1月5日・12日号。
 メルトダウンをしているはずがない、汚染水があふれて敷地外に流れだすはずがない、被爆しても再生できるはずだ、そう信じたかったのだろうか。


 「想定外、起こるわけがない・・・」歴史は繰り返されました。「起こるわけがない→起こらない=希望的観測が、絶対的事実とみなされる」

 戦後、「5分間の悲劇」と、戦争もの資料が流行りましたが、それは「ウソ」だったのです。
 
 そのウソを暴いたのは、澤地久枝『滄海(うみ)よ眠れ』毎日新聞社 昭和59年です。

 「戦闘詳報」は、戦闘終了後に書かれたものです。官僚は、ウソを書いて、自分たちを守るのです。

第2巻P106以降

蒼龍(筆者注:空母の名前)が敵の急降下爆撃機12機に攻撃され、第1弾が命中するのは0725(注:7時25分)第1次攻撃隊(注:ミッドウェー島攻撃)に「発進」が下命された時から6時間のちである。

注:急降下爆撃機とは、敵艦に爆弾を落とすための爆撃機。陸上用爆弾ではなく、鉄板を突き破るための、艦船用爆弾を搭載する。

 つづけて第2弾、第3弾が命中し、7時半以後は、爆弾、高格砲弾、機銃弾さらにガソリンの誘爆と延焼(注:これらはすべて蒼龍館内の物)によって見る間に火焔は全艦に広がり、飛行甲板と艦橋付近は強い火の海となった。

 この6時間のうちに兵装転換命令は出された。1航艦(注:第一航空機動部隊:空母4隻を率いる主力=飛車角部隊)の戦闘詳報によれば海→陸→海への転換だったというが、「戦闘詳報」通りの経過では再度の兵装転換は成り立たない。


 こんな、誘爆で、艦内が火の海になっている時間に、兵装転換を命令したと書いたのです。

 平時の航海中の兵装転換の実験で、格納庫から出して搭載準備完了の魚雷(注:海の中を進み、敵艦の海中部分に穴をあける爆薬)や爆弾を使っても1時間半から2時間半の時間が必要だったという。

0400(注:午前4時)
第2次攻撃隊の要あり
(注:ミッドウェー島第1回目攻撃は、敵の暗号解読による待ち伏せにあい、戦果をあげられなかった)

0415
第2次攻撃本日実施、待機攻撃機爆装に換え
(注:艦船攻撃用爆弾から、陸攻撃用爆弾に換えろとの命令→これはウソだった)

0428
敵らしきもの10隻見ゆ・・
(注:日本側偵察機による、敵発見の第1報)

0445
敵艦隊攻撃準備 攻撃機雷装其の侭(そのまま)。


 これが「戦闘詳報」の経過概要に残る兵装転換命令である。これを素直に読めば、0445に下達された命令の表現は、第1攻撃隊出撃後いかにも艦船攻撃用の雷装(注:魚雷装備)で待機していたように見える。30分間ではこれを陸用爆弾に転換できないから、「雷装其の侭」になる。しかしこれでは兵装転換の大混乱を生じる余地はほとんどない

 ミッドウェー海戦の「戦史」に嘘があると発言して、一部の旧海軍関係者から、誣告(ぶこく)呼ばわりは許されないと反撃されたが、資料に即して疑問を解いてもらいたい。


 第1航空機動部隊艦隊司令部では、まず敵機動部隊の出現を信じなかった。次に相手が出てきたとしてもせいぜい空母2隻と見ていた。ミッドウェー基地第2次攻撃実施後で叩けると判断し、さらに来襲する米艦上機は零戦(注:日本を代表する戦闘機)によって全機撃墜できると達観していた。「敵空母発見」の報に接しながら5時40分になるまで、基地攻撃を先行させようとしていたのである。




 経済産業省原子力安全・保安院・東電は、まず巨大津波の出現を信じなかった。次に津波が来ても、せいぜい電源喪失で、自家発電で対応できると判断し、さらに全電源喪失でも、30分で電源車そのほかで対応できると達観していた。「15mの津波が来る可能性がある」との報告に対し、対策をせず、通常業務を優先させたのである。



http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110824-OYT1T00991.htm
 東京電力が東日本大震災の前に、福島第一原子力発電所に従来の想定を上回る10メートル以上の津波が到来する可能性があると2008年に試算していたことが政府の事故調査・検証委員会で明らかになった問題で、東電は同じ試算で高さ15メートルを超える津波の遡上(そじょう)を予測していたことが24日わかった。

 大震災で同原発は、14~15メートルの津波に襲われたが、「想定外の津波」としてきた東電の主張は、15メートル超の遡上高の試算が明らかになったことで崩れた。東電は試算結果を津波対策強化に生かさず、大震災4日前の今年3月7日に経済産業省原子力安全・保安院に対し報告していた。
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国はウソをつく その1

<原発をめぐる報道の裏側>

国は、都合の悪い情報を隠します。

大手メディアも、同様のようです。

このレポートが事実とすれば、やっていることは、戦前の「大本営発表」と全く同じです。大マスコミが「真実を書かない」のも、全く同じです。


上杉隆『福島原発 衝撃の真実 官邸、東電、大メディアの原罪』週刊文春1月5日・12日号。 

 震災直後、東京電力は被災地に電気を送るためと称して「輪番停電」の実施を発表した。だが私にはすぐにこれがプロパガンダであることが分かった。なぜならその発表直前、情報源の1人から「明日にも原子力発電所の必要性を強調するため輪番停電を宣言するぞ」という情報提供を受けていたからだ。

 実は東電管内の17基の原発をすべて止めても、水・火力発電所の稼働で管区内の総電力をまかなえる―という情報を柏崎刈羽原発事故当時のデータとともに提供されていた。この反論材料を持って、私は…輪番停電会見に臨んだ。

…このやりとりを報じたメディアは私の知っている限り一社もない。むしろ、輪番停電は被災地のために必要なのだという東電の根拠の薄いデマを広めるありさまだった。

 結局計画停電そのものが無意味で、しかも東北の被災地には東京から電力を送るとことはできないという正しい情報がメディアによって遠慮がちに伝えられたのはそれから半年以上経ったときのことであった。

今年夏も、同様のようです。 

<電力需給>政府今夏試算「6%余裕」伏せる
毎日新聞 1月23日(月)2時30分配信
 今夏の電力需給について「全国で約1割の不足に陥る」と公表した昨夏の政府試算について「供給不足にはならない」という別の未公表のシナリオが政府内に存在したことが、分かった。公表した試算は、再生可能エネルギーをほとんど計上しないなど実態を無視した部分が目立つ。現在、原発は54基中49基が停止し、残りの5基も定期検査が控えているため、再稼働がなければ原発ゼロで夏を迎える。関係者からは「供給力を過小評価し、原発再稼働の必要性を強調している」と批判の声が上がっている。

 ◇再生エネ除外、「不足」のみ公表

 公表された試算は、東京電力福島第1原発事故を受け、エネルギー戦略を見直している政府のエネルギー・環境会議が昨年7月にまとめた。過去最高の猛暑だった10年夏の需要と全原発停止という想定で、需要ピーク時に9.2%の供給不足になると試算した。

 この試算とは別に、菅直人首相(当時)が昨年6月下旬、国家戦略室に置いた総理補佐チームに、電力需給の実態把握を指示。経済産業省に対して、発電所ごとの設備容量・稼働可能性、地域ごとの再生可能エネルギーの稼働状況など、試算の根拠データの提出を求め、再試算させた。

 その結果、現在の法律に基づいて電力会社が調達できる再生可能エネルギー容量は759万キロワット(原発約7基分)あったのに、公表された試算は供給ゼロだった。また、一部火力発電所で定期検査による稼働停止時期を猛暑の8月に設定したり、大口契約者への格安電気料金と引き換えに需給逼迫(ひっぱく)時の利用削減を義務づける「需給調整契約」による削減見込みもゼロとしていた。夜間の余剰電力を昼間に利用する「揚水発電」の供給力も低めに設定されていた。

 再生可能エネルギーによる電力供給などを盛り込むシナリオで計算し直すと、電力使用制限令を発動しなくても最大6.0%の余裕があった。再試算は昨年8月にまとまり、菅首相に報告されたが、公開されなかった。



 なぜメディアは事実を報じることができないのか。

…「会長にお伺いします。今東電管内の大口事業主などに対して節電や停電の協力を呼びかけていらっしゃいます。一方で、民間放送など民放テレビに節電すらお願いしていませんね。…なぜ電力消費量の多い民放テレビさんにはお願いしないんですか?」

…「え、はい。テレビ局さんにも広告を出しますから」

…意味を取れない私が、勝俣会長の真意を理解したのはその日の夜、情報源からの電話によってだった。

「上杉君、あれ、勝俣さんは君の事をおどしていたんだよ。きっと新聞記事かテレビ局の記者と勘違いしていたんだろうな。何しろ生まれてこの方おそらく批判的な質問などされたことないから、広告費をちらつかせたんだ



…実際、東京電力の年間の対メディア広告費は200億円を超える。電気事業連合会全体(沖縄電力含む10社)では860億円。もちろん日本一のクライアント(広告主)である。だから、勝俣会長がそうした脅しを行ったら、どのメディアも反応出来ないのだろう。



震災直後に清水社長が消えた件について。入院したとの報道については、


…病院ではなく、まさしくオペレーションルーム(筆者注:東電本店二階)の一角にいたのだ。「二階の奥の医務室に入院していました」…東京電力では会社で休養することを入院するというらしい。


政府も同じです。


3月下旬に周辺の海水から法定限度の2000倍以上の放射性物質が検出されていました。記者会見で話題になっていましたが、出元が不明でした」政府はそうした都合の悪い情報を黙殺したばかりか、調査しようとしなかった

 そして4月2日、東電は、2号機取水口付近から汚染水が大量に海に流出している写真をいきなり公開した。…官邸がいうような「漏れている」というレベルでは到底なかった。

…このような驚くべき事態が残念ながら大手メディアで報じられることはなかった。何しろこの時期、すべての大手メディアは最大のクライアントを失うことを恐れるあまり「安心」「安全」を連発し誤報の山を築いていた頃だったからだ。

…事故直後、枝野長官は3km 圏外への退避を勧告しておきながら、次には10キロその次には20キロまたその次には30キロと広げていった。

…この時期、文科省がヒタ隠しにしていたSPEEDI(筆者注:事故時の放射線の流れを予測するシステム)の全データは官邸に報告されていた。しかも壊れたと証言していたモニタリングポストの数値も、実は事故発生直後から代替の車載器等によって計測され、官邸に上がっていたのだ。

 そうした危険な数値を知りながら「情報が確実ではない」として枝野長官は発表を控えるばかりか、みずからの政治責任を回避し続けたのであった。

 「今回出た京ベクレル数になるというような推定・推測の話は3月中に、報告を受けていました。ただ、まさにその数値が確実性のない数字ではなくて、かなり確からしい数字であるということがようやく確定したので、それを受けてレベル7への引き上げを行ったということです」(4月14日)

 そう、すでに3月、みんな知っていたのだ。官邸も、政府も、東電もそして大メディアも原発が危険な状態にあることに気づいていたのだ。だから彼らの中には家族を早々と地方や外国に避難させるものがたくさん現れたのである。



SPEEDIの予測データは当たっていました。

http://www.youtube.com/watch?v=UNjQ8hS7r7A
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110325-OYT1T01048.htm
など、参照


 放射能がまさに流れている地域に、わざわざ住民が避難したのです。なぜ万が一の事故のために、何百億円もかけたシステムの情報を公開しなかったのか。政府によると「パニックを恐れたから」だそうです。


…そして摩訶不思議なのはこれだけ事故を起こしながらも東電を守ろうとする姿勢だ。大手メディアだけではない。官邸の中枢、特にそのトップや与党の要の幹事長ですら同じであった。

…また、5月には原発事故を扱う政権中枢の議員に役人たちが繰り返し「レク」という形の洗脳を始めていた。「仮に被曝しても細胞は再生するので問題はありません。特に子供の細胞の再生が早いから心配することもありません

 内部被ばくや染色体の損傷を度外視した極端な意見の一つだが、こんな常識はずれの見解がさも当然のように政府内で語られ始めていたのは事実だ。メルトダウンをしているはずがない、汚染水があふれて敷地外に流れだすはずがない、被爆しても再生できるはずだ、そう信じたかったのだろうか。これではいつかは、神風が吹くと、勝算のない前線に国民を送り出したかつての戦争指導者と変わるところはない


<では、そのかつての戦争指導者>

 以前、1月15日の記事で、アメリカとの戦争に突入した時、大東亜共栄圏での「自存自衛(共存共栄の反対)」をスローガンにしたと書きました。

 でも、永野修身軍令部総長(軍令部は海軍の事実上のトップ=制服組:背広組=海軍省)が、確かに「自存自衛」を言いましたが、自身も、誰も、こんなことをまともに信じていたわけではありません。単なる言霊(ことだま)です。

 海軍(海軍省という官僚機構)は、省益・・つまりカネと勢力拡大を追求したまでで、ずるずると戦争に引きずり込まれました。
 海軍勢力拡大のために、長年にわたり「予算」拡張をしておきながら、いざとなったら、「できない」とは言えない・・・


引用 参考文献
NHKスペシャル取材班 『日本海軍400時間の証言』 新潮社 2011


日本海軍 400時間の証言

 海軍の指導者層(参謀や、中佐、大佐以上の人たち)が語った、戦争の内幕です。海軍は上意下達ですから、先輩が鬼籍に入った(先輩が生きているときには、絶対に語ることが出来ない内容)、昭和50年代から行った、海軍反省会の証言です。

 まず、海軍が戦争に突入したのは、組織防衛のためです。

保品元中将 海軍兵備局長 
「僕は嶋田さん(開戦時の海軍大臣)に聞いたんです。もし陸軍が(言うこと)を聞かなかったら、あなた大臣をやめたらどうかって。嶋田さんが『お前、そんな子供らしいことを言うな』って(私に)言われたのを覚えているんです」

----

 当時の日本は、軍部が作り出した危機によってがんじがらめになっていた。昭和12年、局地的な衝突から始まった中国との戦争は出口が見えないまま泥沼化していた。昭和15年にはいわゆる「援蒋ルート」を遮断するためにインドシナ北部に進駐し、翌年には、インドシナ南部にまで兵を進めた。

ウイキペディア
日中戦争


 中国を支援するアメリカは、日本の勢力拡大を阻止しようと、日本に対する石油輸出を禁じる経済制裁を発動。インドシナのみならず、中国からの撤退を求めた。時の陸軍大臣東條英機中将は、これまでの戦闘で数十万に上る死傷者を出しており、今さら撤退はできない、撤退すれば陸軍はガタガタになる、統制できなくなるとし、対米強硬論を主張していた。

―――――

「(嶋田大臣は)、『もし自分が(対米開戦に)反対すれば、陸軍が内乱を起こす』というんですよ。内乱が起こったら、今の状態よりも悪くなるから、向こうから押し付けられてね、始末ができなくなると」



軍令部作戦課参謀 佐薙元大佐
「内乱の発生の恐れがあったかどうかという問題につきましてね、私、当時軍令部におりまして、ワーキングレベルで陸軍と接しておった感触から言いますと、私は内乱が発生すると、こう思っておりました当時の国内の状況をね、国内の日本の世論はですね、マスコミもあれですし、政治家もあれしている時に、アメリカの言いなりになればですね、これはもう内乱が発生すると。陸軍は少なくとも参謀本部の我々の接触する範囲ではそういう空気。私もやっぱり、このままアメリカの言い分を飲み込めば、内乱は必至だと、こう感じておりました。率直に」

「内乱を起こすと人数上ですね、海軍は(陸軍に)かなわないから、何ヶ月後にはですね、(海軍が)鎮定されて、結局そういう連中、右翼の内閣ができてですね。時期失して、日本としては不利な時期に戦争をやらなきゃならぬということになると。そういうことよりも、どうせ戦争をやらぬきゃならぬというのならですね、少しでも勝ち目のある間にあるべきだということが僕(永野総長)の考えだと、こういわれましたね」


----

 なぜ中国戦線で、ほとんど犠牲者を出していない海軍がここまで開戦に前のめりだったたのか、その理由が組織防衛にあったとは・・・。
 
 国家の存亡、国民の命がかかっていたこの時期に、海軍首脳部は自分たちの組織のことばかり考えていたのである。

 豊田元大佐が、軍部は「陸海軍あるをしって国あるを忘れていた」自己批判するが、 海軍を守るために一か八かアメリカと戦争するというのは、まさに「海軍あって国家なし」という思考そのものである。


----


本名元少佐
「この開戦はこういうわけで、自存自衛のために戦争ざるを得ないという、そういう考えでやったんだという、そういう考えが全然出ていませんけれども
「担当の者が、本当に日本の自存自衛のために、日本の独立を守っていくためには戦争せざるを得ないんだと、そういう考えで戦争に走ったと思うんですよ。そうじゃないんでしょうか


大井元大佐
「それだと非常に良いんですがね、そうじゃないから問題になっているんですよ


本名
「陸軍の将校が、一部立身出世のために何の計画もなしにですね、名義のない、強盗侵略戦争をやったということが、それは事実なんですか。それを我々は認めるわけですか」


大井
「(戦争に)負けると思った方は、内乱を恐れてやったと。内乱を起こそうという連中はですね、勝つと思っていたわけです」


保科元中将
東條さんがね、最後に開戦の決を決めるときに、『海軍が反対すりゃできません』といった。戦争はね、そういうことは、海軍が反対すれば戦争、要するに陸軍もどうにもしようがないということなんだね。海軍が戦わなきゃ、アメリカと戦争できないでしょ。軍令部は内乱が起こるという。内乱が起こったってね、海軍が反対すれば結局戦争にならない。あれだけの人を殺して戦争するよりも、そういうことで若干譲歩をしてね、そして決をとる方法があったんじゃないですか。いわゆる大戦略だな。そういうことが足らなかったなということは、これは反省していいと思うんだ、当然」


 高田元少佐
「それはね、それはね、デリケートなんでね、予算獲得の問題もある。予算獲得、それがあるんです。あったんです。それそれ。それが国策として決まると、大蔵省なんかがどんどん金をくれるんだから。軍令部だけじゃなくてね、みんなそうだったと思う。それが国策として決まれば、臨時軍事費がどーんと取れる。好きな準備がどんどんできる。準備はやるんだと。固い決心で準備はやるんだと。しかし外交はやるんだと。いうので11月間際になって本当に戦争するのかしないのかともめたわけです」

「だから、海軍の心理状態は非常にデリケートで、本当に日米交渉妥結したい、戦争しないで片付けたい。しかし海軍が意気地はないとか何とか言われるようなことはしたくないと、 いう感情ですね。ぶち明けたところを言えば」

軍人であってもヒト、モノ、カネを取れる人が出世していたのが実態ですよ。武人としてのプライドがあるから自分から話ませんが、そこは今の官僚と同じなんですよ」


 次回は嘘に次ぐ嘘です。

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