やればできる! 日銀その3

<やればできる! 日銀その3>


 この「やればできる日銀」という記事を立ち上げて以来、色々情報をいただきました。
東大の大瀧教授の、数値を都合のいいように持ってきた点については、前回取り上げました。

 ですが、今回はもっとむちゃくちゃな点を取り上げます。それは一方で現下の状況を「デフレ」と言い、一方では「デフレではない」と言っている点です。


(1)デフレではない

大瀧雅之『デフレは起きていない :世界2010 11月号』

P39 『二 デフレーションは起きていない 』

・・・そもそもデフレーションは本当に起きているのだろうか
06年  07年  08年  09年  10年
100.3  100.3  101.7 100.3   99.7(雑誌掲載時)
「消費者物価水準は極めて安定しており、到底デフレーションが起きているとはいえない



(2)デフレだ

大瀧雅之『基礎からまなぶ 経済学・入門』有斐閣アルマ 2009
P235
昨今の軽微なデフレーション(年1%程度)は半導体や電気機器部門での急速な技術進歩によると考えるのが自然です。
P237
 最近、2000年頃からの緩やかなデフレを、昭和恐慌になぞらえて大変な経済危機の到来を予言する書物がたくさん出版されています。



 一方で現下の状況を「デフレ」と言い、一方で「デフレではない」と言っています。私には理解不能です。

<デフレではないという人は産業調整を主張する>

大瀧雅之『貨幣・雇用理論の基礎』2011 

 大瀧先生は、低金利政策をやめろと言います。

p140
 確かにケインズは景気回復のために徹底的な低金利政策を主張している。しかしながら、これは当時、世界全体での設備投資の落ち込みがあまりにも激しく、少しでも有効需要を高めるための苦肉の策である。時代背景をわきまえず、これを踏襲しようというのは愚策というものである。


 そして、金融を引き締め、労働集約的な産業(注:人手を頼った産業)の再生が「最善策」と言います。

P140 ケインズの時代とは逆に、浪費をいかに食い止め世界全体の有効需要を抑えるかということが、環境問題も含めたマクロ経済政策の在り方であると、筆者は思慮する。
 より具体的に言えば、労働集約的な産業の再生と世界全体での協調的な引き締めこそが、現時点で考えうる最善の政策であろう。



また、『世界10年11月号』

「現在の物価水準の安定はマネタリー(貨幣的)ではなく、リアル(実物的)現象であると考えるのが妥当なのである」

と断言し、政策は、

「現在の日本経済において議論されるべきは、マクロ経済政策のあり方よりも、まずもって、徹底した産業調整政策である」

と断言し、

「筆者が唱える具体的な産業調整とは、金融業、殊に大手銀行の徹底したリストラクチャリングのことである」

と断言しています。

 両論文で主張しているので、核心であることは、間違いないでしょう。

 

大瀧雅之『デフレは起きていない』
雑誌『世界 10年11月号』

 この10年ばかり深刻なデフレーションが起きていると、喧伝されている。そして、このきわめて理論的・実証的根拠が曖昧な「デフレ・不況論」の大合唱に曝され、政府・日本
銀行のマクロ経済政策は、大きな制約を受けている。

 民主党政権における経済政策の迷走は、必ずしも政治家の不勉強ばかりに帰することはできない。実際これから論ずるように、日本経済における諸産業の利害対立は複雑に入り組んでおり、マクロ経済政策のみによって解決することは不可能と考えられるからである。筆者の見るところ、現在の日本経済において議論されるべきは、マクロ経済政策のあり方よりも、まずもって、徹底した産業調整政策である。

 筆者は福島県の産炭地に生まれ、石炭産業に対する産業調整がいかに厳しく苛烈を極めたかを目の当たりにしてきた。また、夕張市を「財政破綻自治体」として笑う無知蒙昧も多数存在するが、同市が嘗ては人口10万を誇る堂々たる炭鉱町であり、山間地にもかかわらず鉄道まで通っていることに、小学生の筆者は地図を見て非常な感動を覚えた。つまり夕張市の抱えている問題は、石炭産業の産業調整問題さえも未だ解決を見ていない証左なのである(余談だが嘗て日本海軍が誇った小型重装備の高性能軽巡洋艦には「夕張」の名がある)。それほど産業調整の問題は、国民経済にとって深刻な問題なのである。

 しかし嘗ての基幹産業であった石炭産業の雇用量から比べれば、今回の雇用・産業調整は僅かばかりのもので済むことになろう。それに比しそこから得られる国民的利益は計り知れないと、筆者は考える。本稿の目的は、マクロでの「デフレ・不況論」(以下「俗説」)の危険な狙いを、日本の産業調整政策との関連で理解することにある。

 筆者が唱える具体的な産業調整とは、金融業、殊に大手銀行の徹底したリストラクチャリング(競争政策上統合は認めるべきではない)のことである。大都市中心の支店網を持つほとんどの大手銀行は、もはや銀行としての実質的機能を失っており、他産業に向けた労働力の移動が不可避であるというのが主張である。以下ではその論拠を明示しよう。

 すなわち標準的な金融論では、銀行(間接金融)の存在意義を危険資産から安全資産への変換に求めている。つまり

①素人には経営内容がよく分からない企業の発行する株式・社債、および借り入れ要請を、入念な審査・調査によって有望なものだけを選別する。

②それでも将来の不確実性(貸し倒れリスク)があるので、調達金利(預金金利)にリスクプレミアムを乗せた、より高い金利あるいは低い株式(社債)価格で、選別した借り手の申し出に応ずる。

③こうした資金(今風にはリスクマネー)は、元本が保証された安全な資産である預金により調達される。

④結果として貸出金利と預金金利の間の利鞘が銀行の利潤の源泉となる。


 要約すれば、企業の内実を客観的に評価しうるだけの情報収集が可能な、人的・知的資質・合理的思考がリスクマネーの供給を可能とし、そうした貴重な能力ゆえに銀行員の高報酬(準地代)が経済的に正当化されるのである。

 しかしながら、大瀧・花崎・堀内(二〇〇八)、花崎(二〇〇八)第五章は、理論・実証両側面から、戦後一貫して銀行は審査能力を保持していないとするのが自然であることを明らかにしている。

 高度成長期に、特に都市銀行の業績が際立っていたのは、審査能力ではなく、主たる借り手であった製造業が厳しい国際競争に抜きん出るために、銀行に依らずとも自己規律がついていた所以と考えられる。更にプラザ合意(1985年)以降の円高局面で、主幹産業が融資の難しいサービス業(サービスの質を見極めるのは容易ではない)へと交代すると、低金利と相侯って、バブル崩壊を通じて大量の不良債権を生み出すに至った。すなわち日本の銀行は、金融論の説く「本道」を一貫して踏み外し続けてきたのである。

 花崎(二〇〇八)第三章では、この問題を統計データをもとに検討し、どの製造業でも一九九〇年以降は、リストラクチャリングのスピードが加速しているのに対し、金融保険業では逆に低下している事実を見出している。さらに同書ニ一六頁によれば、銀行の融資残高に個人のウェイトが二七・九%と最も高く、産業規模からするとさほど大きくない不動産業が第二位で一三・四%であり、製造業は全体でI∵八%にまで縮小している。この現象は、後に述べるインフレ推奨の偏ったマクロ政策の狙いを明らかにする上できわめて重要なので、記憶しておいて戴きたい。



 大きなお世話です。銀行がその経営のまずさから、自律的に(市場メカニズムの下で)リストラや、採用を控えるのなら、それについては、何も言いません。ですが、彼は「強制的にしろ!」です。理由は銀行本来の役目(企業のモニタリングなど)をはたしていない、不良債権を生み出した・・・です。

 なんで、一般企業である「銀行」に対し、自然発生的「リストラ」ではなく、強制的「リストラ」を迫れるのでしょうか?

優秀な人材を抱えて、効率的に使っていない、生産性低い。

より生産性の高い仕事にシフトすべきだ!でしょうか。

 まず、一般企業をやり玉に挙げて「生産性低いから合理化しろ」は、何の権利があって発言しているのか訳が分かりません。

 もちろん、「金融業」、その肥大化スピードは、「異常」です。その異常さによってリーマン・ショックが引き起こされたのは事実です。




 日本の株式市場は、売買が衰えたとはいえ、毎日1兆円に上ります。全盛期は、3兆円でした。少なくとも年に365兆円のカネが動きます。

日経H23.12.1
東証一部 1日平均売買代金.jpg


 日本の債券市場なんて、天文学的「1京」!(2007年全盛期)ですよ。GDP500兆円の20倍です!

実物取引<資本取引.jpg


 その結果、世界の金融資産は、リーマンショックであれだけ懲りたのに、さらに拡大しています。

世界金融資産 残高.jpg


 豊かさは、「実物」の中にあるので、「金融資産」にはありません。こんなもの、「資産=負債」で帳簿上あるだけですから、バブルがはじければ、また一気にしぼんでしまいます。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-561.html
藻谷浩介『震災復興・全国民が貯金の1%を寄付しよう』のトンデモ 
参照

 何度も同じことを繰り返し、その崩壊によって実物経済にショックを与える・・・これが「適正」だと思う人はいないでしょう。そこは認めます。

 ですが、「銀行悪玉論」で、「リストラ!」とは、普通ならないでしょう。こんな化け物みたいな金融資本主義を、どうやってコントロール下におけるのか?という方策ならば、分かりますが・・・

 それに、銀行がモニタリング(企業の監視・ガバナンス)をやってこなかったなど、周知の事実です。その程度の仕事さえできなかったので、日本の銀行は独自の商品を開発する技術すらないと批判されてきたのです。


<生産性高い仕事とは?>

 それで、金融業、リストラしたとします。で、彼らの再就職先は?そんなに給与の高い職業ってあるんですか?


日経H23.11.28 
リストラ 転職.jpg


 今年3月まで電子部品メーカーの営業部門で課長補佐を務めていたAさん(45)は、退職後、いまだに再就職のめどがたっていない。…高校生の娘2人…。800万ほどあった年収の大幅ダウンは避けたいと、給与水準を見て十数社に応募してきたが、書類選考で落とされたばかり。「なりふり構っていられない。年収が半分になってもいいから早くめどをつけたい」



 銀行なみの高給与が保障される業界の求人なんて、そうそうあるわけがないでしょう。

 生産性高い=人がいらない業界ですよ。


 今TVでさかんにやっている、医療保険、自動車損害保険、生命保険・・・。昔は、保険のおばちゃんが、職場訪問しながらという光景が当たり前でしたよね。
 ネットや、通販専門の保険会社「アクサ」という(アクサ・ダイレクトとかという商品販売)、がありますね。現ネクスティア生命保険。
 徹底したコスト削減で、今のような通販大手保険会社になりましたが、社員たった「50人」ですよ。増やすつもりも「全然ない(今井社長)」そうです。

 これが「生産性高い」の実態です。製造業だって同じです。札幌近郊のビール製造工場、まるで「休日」かのように、人が全然いません。もちろん巨大企業です。


 農業だって同じです。農家は減っているのに、その生産量、所得は増えているんですよ。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-473.html
農業の神話(2) 食料危機で、日本が飢餓
  参照

 会社の事務なんて、エクセル1台で数人分の生産性ですから、全然求人なんてありません。


小林慎哉『日本経済のデータ分析と経済予測』文眞堂 2011 P56
有効求人倍率.jpg

 もちろん、銀行をリストラされた人たちに、医師免許・薬剤師免許あるはずもありません。ミスマッチもいいとこです。



 「デフレではない」という人を紹介します。やっぱり、「日航」のような会社をつぶせ!って言っています。情報を頂きました。


http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/yumoto/pdf/5768.pdf
正しいデフレ認識と脱却への処方箋

株式会社 日本総合研究所 調査部 理事 湯元建治

7~9 月期の実質GDP 成長率は、前期比年率6.0%と4 四半期振りのプラス成長を記録
した。製造業のサプライチェーンが震災前の状況に復帰し、生産活動が正常化したからだ。しかし、夏場から秋口にかけての景気は決して芳しいものではない。台風、大雨など天候要因に左右された面もあるが、欧州債務危機の深刻化に端を発する急激な円高や欧米経済の下振れ、タイ大洪水の影響など外部環境の悪化により、景気は足踏み状態に近くなっている。期待された復興需要も政策の遅れが響き、経済を持ち上げるような力となっていない。

こうした中で、何よりも厳しい問題は、1990 年代半ばから15 年以上にわたって続いているデフレから日本経済が抜け出せないでいることだ。デフレが長期化していることの背景として、様々な要因が指摘され、対応策が提案・実行されてきた。
第1 に、デフレの主要因は、大幅な需要不足にあるとの観点から、財政支出の大盤振る舞いが実施されてきた。しかし、その効果は一時的なものに止まり、財政赤字だけが拡大を続けた。足下の需給ギャップは、なお20 兆円にも上り、財政支出の拡大で穴埋めできる規模を優に超えている。財政の持続性可能性を考えると、大盤振る舞いを何年も続ける余裕は今の日本にはないことは明白だ。

第2 に、デフレの主要因は、マネーサプライの不足すなわち金融緩和が足りないことにあるとして、日銀に国債の大量買い増し、インフレターゲティング導入や雇用目標の設定など、より大胆な政策運営が求められてきた。しかし、日銀はこれまでにもゼロ金利政策や量的緩和、そして現在の55 兆円の資産買取基金を含む包括緩和政策など、すでに非伝
統的な金融政策の領域に足を踏み入れている。それでもデフレ脱却はできていない。そもそも、デフレは貨幣的な現象ではないし、日銀はマネーサプライをコントロールできない。
これ以上、異常な金融政策を日銀に強いるのは、後々大きな禍根を残すことになる。

第3 に、デフレの主因は、95 年をピークに生産年齢人口の減少が始まり、構造的な需要
不足が生じているためであり、高齢富裕層から若年層への所得移転や女性の就労促進、外国人観光客の拡大を図るべきとの提案である。しかし、人口減少がデフレの主因とまで決め付けることは難しい。実際、総人口減少が始まった2005 年以降、リーマンショックが起きるまでの間、景気は欧米向け輸出の拡大を主因に好調が続き、デフレ脱却も手の届くところまで来ていた。

第4 に、デフレの主要因は、新興国の先進国市場への参入により、製造業を中心にグロ
ーバル規模で供給過剰が発生し、これと持続的な円高によるデフレ圧力が賃金の下落圧力となり、さらに国内物価を押し下げるという悪循環に入っているとの見方である。したが
って、少なくともファンダメンダルズを逸脱した異常な円高を是正することが必要との意見だ。しかし、円高対策も介入効果は限定的かつ一時的であることは経験済みだ。グロー
バル・デフレがデフレ長期化の大きな要因であることは確かだが、政策的な対応は難しい。

筆者は、デフレに対する即効薬や特効薬は残念ながら存在しないと考える。デフレの長期化が人口減少と相まって、企業の期待成長率を構造的にゼロ近辺にまで低下させ、設備投資や国内雇用・賃金の抑制要因として作用している。さらに、デフレは税収の減少を通じて、財政赤字を拡大させ、年金・医療など社会保障制度の持続性をも脅かす。このため、家計は雇用や社会保障に対する将来不安を抱えたまま、消費を抑制せざるを得ない。

このような状況から脱却するための最もオーソドックスな処方箋は、迂遠なようでも、家計の将来不安を払拭し、企業の期待成長率を高めることしかない。家計の不安を払拭するには、まずエンプロイアビリティー(雇用職業能力)を高める積極的労働市場政策に力を注
ぐことだ。同時に、社会保障財源をしっかりと確保し、社会保障の安心を生み出す。企業
に対しては、人口減少下でも成長できるという期待を高める成長戦略が不可欠である。

政府の成長戦略は過去幾度となく首相が交替する度に書き換えられてきた。しかし、その内容はそれほど大きく変わっている訳ではない。日本経済がデフレを脱却し、成長するためにやるべきことは、すでに言い尽くされた感がある。法人税率の引き下げ、イノベーションの促進、ベンチャー振興、IT 化の推進、TPP への参加、インフラ輸出、農産物輸出の促進、外国人観光客や外国企業の積極的誘致、グローバル人材の育成等々、やるべき政策課題は山積している。にもかかわらず、実行が伴わなかった。要は実行あるのみだ。

しかし、これまでの成長戦略には、決定的に欠けている視点があった。それは、産業構造の転換・高度化を図るために、「衰退企業・衰退産業の維持・救済はしない」ことを産業政策の基本ポリシーとすべきだという点だ。日本の政策は、日本航空救済に象徴される衰退企業への補助金、超低金利の長期化、雇用調整助成金など古い産業構造を温存する政策ばかり実施してきた。衰退産業の現状維持を図り、問題の先送りばかり続けてきた。そのツケがデフレの長期化となって現れていると認識すべきだ。

グローバル・デフレ下の成長戦略の基本は、ヒト、モノ、カネの経営資源を低生産性門から将来的に成長が見込める高付加価値部門にシフトさせることにある。これは相当時間のかかる漢方薬だが、今の日本に最も必要な構造改革だ。




「産業構造の転換・高度化」「構造改革」って、政府にそれがなんであるか、分かるのですか?いや、民間の人でも、「分かる」のですか?そんな、「将来」のことなんて、誰も分からないではないですか!どの業界が成長産業って、分かれば、苦労していませんって!


しかも、訳の分からないことを言います。

「低生産性→高付加価値」って、何「生産性」と「付加価値」ごっちゃにしてるんでしょう?

 低生産性→高生産性は、前述したとおり、「人件費削ることに成功した業界」のことです。人は、いりません。

 低付加価値→高付加価値は、人件費の割合が、高い業界のことです。付加価値=もうけ=その合計がGDPです。給与のことです。

 http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-565.html
藻谷氏、トンデモ論を一生語るのか?
 参照

藻谷質問


 人件費率高い=付加価値率高いです。ビール工場なんて、徹底して「高生産性=低付加価値」です。

 高付加価値産業は、例えば、「キャバクラ」です。経費は「人件費」です。「飲み物代」なんてそれにくらべれば、「水」みたいなものです。

 大阪の一等地、「キタ」の、高級料亭です(TVで見ました)。もともと、土地代の高いところに、板前さんごっそり、中居さんごっそり、要するに超高級のおもてなしです。だから食事代も高く、人件費率=高付加価値業界なのです。

 高付加価値の代表は「水商売!!」です。「超高級レストラン、料亭、旅館、芸者遊び」です

「ヒト、モノ、カネの経営資源を低生産性門から将来的に成長が見込める高付加価値部門にシフトさせることにある。これは相当時間のかかる漢方薬だが、今の日本に最も必要な構造改革だ。」

 何が「脱却への処方箋」だか。何言ってるんだか、さっぱりわかりません



<追記:高付加価値産業への支出>

政治活動費でキャバクラ=「今後控える」―岩本農水副大臣

時事通信 12月1日(木)16時13分配信

 農林水産省の岩本司副大臣は1日の記者会見で、キャバクラやクラブでの飲食代を自身の資金管理団体が政治活動費として支出していたことを明らかにした。岩本氏は「後援者との懇親会だった。国民に誤解を招くことは今後控えたい」と語った。
 2010年の政治資金収支報告書によると、支出先には今年6月に風営法違反容疑で警視庁の家宅捜索を受けた東京・西麻布の店舗も含まれていた。岩本氏は「会合が重なっている場合もあり、これは(政治活動費から)外そうという余裕がなく、そのまま事務所に領収書を渡した。女性と遊ぶのが目的だったら、当然自分で払っていた」などと釈明した。 


<追記 産業構造の転換は、自律的>

『日本のものづくりの可能性を探る』日本経済新聞H23年11月28日、
伊藤元重

 日本の産業は大きな転換点を迎えています。
・・・しかし、製造業の海外移転が進むと、国内産業が空洞化するというのは本当でしょうか。空洞化ではなく、産業構造の転換点ととらえるべきです。

 戦後日本は様々な節目で産業構造の転換を果たしてきました。1970年代の2度の石油ショックでは重厚長大産業から軽薄短小産業へ大きくシフト。こうした転換があったからこそ、日本は発展し続けることができたのです。

・・・自動車やエレクトロニクス産業が国際競争力維持のため海外シフトを進めることを前提に、産業構造の転換を考えることが必要です。

・・・日本の産業構造は大きな転換点を迎えていますが、決して悲観的になる必要はありません。時代が変わればものづくりの姿も産業の姿も変わってくる。変化を恐れず新しい形を作っていけばいいのです。
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theme : マクロ経済学 ミクロ経済学
genre : 政治・経済

やればできる!日銀 その2

<やればできる!日銀 その2>

 前回の「やればできる!日銀」記事について、コメントで紹介された、大瀧先生の本について、取り上げます。
まず、頂いたコメントは次の通りです。

世の中の通説は、デフレは終わらないというが、測定が難しいサービス価格は、実は今、労働の質が低下して、本当は価格が上昇しているのではないか。
 このような計測上の問題は、サービス価格や帰属家賃などの消費者物価指数において大きな構成をしめる項目にもあるのではないだろうか。
 正社員バッシング(教員など公務員バッシングを含む)や非正規社員問題などにより、価格は変わっていないが、実際には、サービス価格の質の低下が生じているのではないか。

これが物価指数に反映されないのは、統計を所管する日本銀行(卸売物価)や内閣府(消費者物価)の怠慢ではないかと感じる。

 また、パソコンの技術革新による性能向上の方は、消費者物価指数に反映される。
 東京大学社会研究所の大瀧雅之教授(マクロ経済)は、雑誌世界で、日本の「デフレ」は、パソコンなどの技術進歩による消費者物価指数の構成要素の急激な価格低下をあげる。また、GDPデフレーターの輸入物価によるバイアスをあげ、「日本はデフレではない」と指摘する。

 最後に、大瀧教授が、本年世に出した「貨幣・雇用理論の基礎 」(勁草書房)は、マクロ経済学のミクロ的基礎という課題に1つの回答を示した名著のようで、リフレ派といわれる論者からも評価が高い。(経済セミナー9月号浅田統一郎氏の書評参照)
 この著作では、物価と貨幣の関係をいう貨幣数量説(論者によっては、「理論」とまでいうようだが)に対して、根本的な批判をしているようだ。
 日銀の立場も、大瀧教授とはまた違うようだが、アカデミックの最先端では、貨幣数量説は、「理論」というほどのものではないようで、それに単純に従う、今回の論説には少し留保が必要ではないか。

 りふれ派の高橋洋一氏とかは、数字に強いという評判だが、学問的基礎について、少し誠実さに欠けるように感じるところ。世のリフレ派は、大瀧教授の理論が問題があるのであれば、ちゃんと指摘して、自分の学問的信頼性を明らかにしてほしいものだ。



大瀧教授の世界の論考は、「デフレは起きていない」(2010年11月号)。
ある種の財価格だけが変化し、それが平均である消費者物価水準に影響を与えているのであれば、技術進歩や対外直接投資を含む国際競争の激化による「実物的現象」と考えるのが最も自然である、としている。貨幣的現象なら、均一・一様に変化するほうが自然のようだ。
岩波書店の広告によれば、大瀧教授は、12月20日に岩波新書「平成不況の本質ー雇用と金融を考える」を出す。
菅原氏には、「貨幣・雇用理論の基礎 」(勁草書房)をまず読んでいただきたいが、大瀧教授の主張を知る入門書としては、これを読むのがよいかもしれない。




<この、データの引用の仕方、ずるいのでは?>

大瀧雅之『デフレは起きていない :世界2010 11月号』

大瀧先生は、消費者物価の総合値を引用しています(旧基準)。

06年  07年  08年  09年  10年
100.3  100.3  101.7 100.3   99.7(雑誌掲載時)


 まず、物価を見るには、(1)GDPデフレーターと(2)消費者物価指数があります。

(1)GDPデフレーターはGDPですから、「国内生産財・サービス」の価格を示します。輸入財・サービスは入っていません。BMWや、シャネルのバッグ、原材料価格は入っていないのです。国内生産財・サービスということであれば、こちらも重要な指標です。

(2)消費者物価指数は、輸入品価格を含みます。①総合物価(CPI)と、②生鮮食料品を除く(コアCPI)、③生鮮食料品とエネルギーを除く(コアコアCPI)が代表的な指標として使われます。

 このうち、物価水準を見るのは、②、③を使います。生鮮食料品や、エネルギー(ガソリンなど)は、天候や、投機などによる動きが激しく(2008年なんかまさにそうでした)、あっという間に値上がりしたり、値下がりしたりするから、それらを除いて考えます。

大瀧先生は
(1)GDPデフレーターについては、

「2000年を100としたとき、この十年で最少1.3%(2001年)から最大12.1%(2008年)だけ低下している。・・・これはGDPデフレーターに含まれる輸入物価デフレーターの上昇によるところが大きいと考えられる。このように・・・信頼性に欠ける部分があるにもかかわらず…デフレが起きていると喧伝している。そこでわれわれはGDPデフレーターに代えて、直接に観察される財・サービスに基づく消費者物価水準を用いて問題を考えることにした」

と、GDPデフレーターを使うのを否定しています。ですが、これもインフレ・デフレを見るのに重要な指標です。なぜなら、名目GDP・実質GDPの乖離は、このGDPデフレーターによってもたらされるからです。

 給料が、10万円から翌年11万円にアップしたとします。(1)GDPは10%アップです。
ところが、100円のカップめんが110円に値上がりし、物価もすべて10%上がっていたら、生活には、何の変化もありません。

 この(1)の場合のGDP値上がりを名目GDPといいます。給料10%アップ=かたち上、数字上だからです。
 ですが、物価が同時に10%上がっていたら生活は同じ・・この場合を実質GDPといいます。実質的に(事実的に)生活水準は全然変わっていないからです。

 だから、インフレ時は、実質GDPが大事です。給与が2倍になっても物価が2倍になったら生活は変わらないから、物価上昇分を除いて考えるのです。実質GDPが2倍になったら、生活水準も2倍になります。
 このグラフを見ると、2000年までは名目>実質ですから、インフレ、まあそれでも90年代は順調に成長していましたね。

日本名目GDP実質GDP推移 .jpg


 ところが、2000年を境に、実質>名目になっています。名目の給与は上がっていないのに、実質的には「豊かな生活」を送っていることになっています。本当に実感できますか?名目(給与)は1991年当時とおんなじですよ。
 これを「デフレ」と言います。2000年当時より給料下がっている・・・これ、実感ですよね。
 

 でもまあ、本当は豊かになっています。身の回りの物、「安く」なっていませんか?「トミカ」というミニカー、自分の子供時代(あまり記憶にないが、高くて買ってもらえなかったような記憶が)と比べても、安くなっています。中学校の時に買ってもらった「スーパーカーシフト」付自転車、64000円でしたが、今なら、12800円で、変速機付ママチャリ買えます。自転車用空気入れに至っては、1000円しません。中2で買ったスキー板「ロシニョール78000円+金具赤ネバダ26000円・・自分の貯金はたいて買ったので、今でも覚えています」、スキーセットなら、今なら2万円台~です。グレープフルーツだって、牛肉(昔ビフテキ)だって今250円の牛丼に・・・そういえば、吉野家の牛丼、大学時代は高級品でした。確か消費税が入って370円~400円くらいだったような・・いつも味は落ちるけど、松屋でした。同じ値段で味噌汁付でした。20年たった今も、吉野家牛丼同じ値段ですものね・・閑話休題。

 この実質GDPと名目GDPの差がGDPデフレーターです。

名目GDP÷GDPデフレーター=実質GDP

世界経済のネタ帳
[世] 日本のGDPデフレーターの推移(1980~2011年)

 2000年を「100」としても、めちゃくちゃ下がっていることが分かります。

 ついでに、ドルベースの日本のGDPも載せますね。こっちはもっとすごいことになっています。円高なので、ドルでみると、所得はすごく伸びていることになります。アメリカにその所得を持って住めば、かなり「リッチ」な生活が出来そうです。

 世界経済のネタ帳
購買力平価は「為替レートは自国通貨と外国通貨の購買力の比率によって決まる」という購買力平価説を元に算出された交換比率。各国の物価の違いを修正して比較できるため、より実質的な評価・比較ができると言われている。


[世] 日本の購買力平価ベースのGDP(USドル)の推移(1980~2011年)


今年6月のアメリカのマックオウナルドの値段です。1ドル77円として、

ビッグ・マック $2.29=176円
ハンバーガー $0.79=61円


 アメリカなら、貧乏学生でもなんとかなりそうです。


大瀧先生は
(2)、消費者物価指数については、

「2000年を100としたとき、この十年で最少1.3%(2001年)から最大12.1%(2008年)だけ低下している。・・・これはGDPデフレーターに含まれる輸入物価デフレーターの上昇によるところが大きいと考えられる。このように・・・信頼性に欠ける部分があるにもかかわらず…デフレが起きていると喧伝している。そこでわれわれはGDPデフレーターに代えて、直接に観察される財・サービスに基づく消費者物価水準を用いて問題を考えることにした」

 とするのですが、わざと(?)、消費者物価の総合値を引用しています(旧基準)。

06年  07年  08年  09年  10年
100.3  100.3  101.7 100.3   99.7(雑誌掲載時)


 そして、「消費者物価水準は極めて安定しており、到底デフレーションが起きているとは思えないと言っています。

 でも、同じ総務省エクセルに、③コアコア消費者物価指数も載っており、こちらの方を見るのが適切なのは、経済学者なのだから、本当は知っているはずです。

06年  07年 08年  09年 10年
99.6   99.3  99.3  98.6   97.4


 自分に都合のいいデータを持ってきて「デフレではない」と言われても・・・

③生鮮食料品とエネルギーを除く(コアコアCPI)では、なんと2.6%も下落しています。

 あの、2.6%を大したことないなんて思わないでくださいね。500万の給与が、487万に下がったことです。
 変動金利型住宅ローンで、2.6%金利が上がったら・・・破壊的です。

 しかも、ご本人は、

消費者物価水準の変化はおよそ千分の一の単位ですね.大学で統計学という学問を学ぶと分かりますが,どんなデータにも測定の誤差というものがあります.この程度の物価水準の変化は,誤差によるものか真の変動なのかまず絶対に区別できません.こうした誤差を勘案した上で,敢えて結論を出せば『消費者物価水準は安定していて変化していない』ということになると思います.知っておいてもらいたいことは,理科の実験に基づくデータと経済学のデータでは,その精密性が全く異なることです.」

 と、消費者物価指数は、「精密性に欠ける」「この程度の水準は誤差」と述べています。

06年  07年  08年  09年  10年
100.3  100.3  101.7 100.3   99.7(雑誌掲載時)


 ご自分の引用数値も「誤差」のはずですが。さらに、前回記事の「消費者物価が上がっているように見える」現象については

 「経済学は何ヶ月という短い期間の動きを説明したり予測をするようには出来上がっていないことです.常識から考えても分かると思いますが,1億3千万人の日本経済の構造を隅から隅まで直ちに把握できるわけがありません.ある程度(最低二,三年)時間が経過してどうやらこういう現象が起きているようだ,やっとぼんやりながらも把握できることがほとんどです.差し当たり「わからない」と正直に答えることが私の責任だと考えます.

 とおっしゃりながら、雑誌掲載時に、直近の月のデータを持ってきて、しかも確定していないはずの07年~10年の数値で「デフレではない」と断言しています。


 コアコアも0.1%単位よりちょっと大きい1%単位ですが、やはり誤差ですかね?

06年  07年 08年  09年 10年
99.6   99.3  99.3  98.6   97.4


 で、結論ですが、『世界』では、

「現在の物価水準の安定はマネタリー(貨幣的)ではなく、リアル(実物的)現象であると考えるのが妥当なのである」そうです。


アマゾン 
貨幣・雇用理論の基礎.jpg

 この本は、浅田統一郎先生(中央大)によって、めちゃくちゃに書評されています。

『経済セミナー 2011 10・11月号』
大瀧雅之著『貨幣・雇用理論の基礎』書評

 本書は、「ケインズ経済学と新古典派ミクロ経済学の『幸せな結婚j』(本書3ページ)を意図して書かれた経済学の理論書であり、第1部「ケインズ理論の再構築を目指して」(第1章~第4章)で、この目的のために開発された著者独自の理論モデルが展開されている。第Ⅱ部「ケインズ理論の哲学的背景」(第5章~第6章)では、ケインズの同時代人であるロビンス、ピグーと対比させたケインズの経済思想についての考察等が収録されている。

 第1部で展開されている理論モデルでは、現在流行している「ニューケインジアン・モデル」のように賃金・価格改定に際してのコストや摩擦を導入することなく、貨幣量が予算制約において重要な役刮を果たす「世代重複モデル」を用いて、たとえ物価予想に関する「合理的期待」(ないしは「完全予見」)を仮定しても貨幣が「非中立的」になる(すなわち、貨幣量が実質国民所得および雇用量に正の影響を及ぼすことができる)という、ケインズ的な結論を導いている。

 第1章では、「政府は貨幣の新規発行によって財政支出をファイナンスする」という財政政策と金融政策が一体化したポリシー・ミックスを仮定して、マクロ経済政策の効果を検討している。そこで提出されているモデルはいわゆる「ミクロ的な基礎」があるモデルであるにもかかわらず、貨幣供給(政府支出)が少ないと不完全雇用均衡がもたらされ、不完全雇用状態では物価上昇率は貨幣から独立になり(インフレは実物的現象になり)、貨幣(政府支出)を増やすことによって産出・雇用を増やすことができる。

 第4章のモデルでは、物価上昇率が産出・雇用の増加関数になるという「フィリップス曲線」が、「労働の学習効果」を導入することによって導出され、この場合には、拡張的な金融政策(本書の想定のもとでは拡張的な財政政策と一体化されている)によって雇用も物価上昇率も同時に増加し、そのような政策は「賢源配分を必ずパレート改善する」ことが示されている。つまり、この場合には、「インフレは貨幣的かつ実物的現象である」(本書97ページ)。

 私は、独自の理論モデルに基づくこれらの分析結果は、きわめて説得的で妥当なものだと思う。ただし、本書のいたるところで表明されている「リフレ派」(中央銀行が緩やかなインフレーションの実現に責任を持ってコミットする‘インフレーション・ターゲティング’によってデフレ不況からの脱却を目指す学説を提唱する学派で、バーナンキ、クルーグマン、浜田宏一、岩田規久男に代表され、私もこの学派の末席につながっている自覚がある)に対する敵意に満ちた非難には、強い違和感を覚える。

 なぜなら、本書の第4章のモデルの結論は、まさに「リフレ派」の主張を支持するために用いることができるからである。また、139ページで「マスメディア、日本銀行、そして理論経済学の基本を習得しているとは到底思えない」リフレ派の学者を同列に扱っていることも、大いに疑問である。マスメディアの多数派と日銀は「リフレ派」の主張に頑強に反対し、「金融政策によって景気を良くすることかできる」という、本書の理論モデルからも導かれる結論そのものを否定しているのである。

 また、リフレ派が統計データを無視しているという記述があるが、本書には統計データが皆無であるのに対し、「リフレ派」の文献には統計データが豊富に含まれることを想起すれば、この記述にも違和感がある。総じて、「リフレ派」に関する本書の記述は、誤解に基づいているように思われる。


 
 その批判されている4章の定理です。

 P97この章の世代間学習効果を含むモデルにおいて、インフレは実物的現象でも貨幣的現象でもある。すなわち、拡張的な金融政策は、まずは乗数効果を通じて実質GDPを上昇させる。これに伴い学習効果に基づき労働生産性が上昇するため、インフレが昂進する。したがってインフレは貨幣的かつ実物的現象である


 だから、浅田先生は、この定理は、「リフレ派」がそっくり使えますよと言っているわけです。

 また、因果関係で、
p139「今期の失業率&インフレ期待」→「インフレ率」となっているのに、リフレ派は、「インフレ」を起こせば→(景気が反転し)「失業率が低下」すると、全く逆の因果関係を述べている

と、非難します。

 私も、「デフレ状態では失業率は高くなる」という相関は示していますが、「インフレにすると、失業率は低くなる」という、因果論は話していません。「インフレと失業率のトレードオフ:フィリップス曲線」は示しますが、だからと言って「インフレにすれば失業率は下がる」などと言えないことは明白です。因果と相関は全く違う話です。

 今度、統計学を使って、因果関係と相関関係はまったく違うことを示します。みんな、この辺りがめちゃくちゃです。相関は因果ではありません。

theme : マクロ経済学 ミクロ経済学
genre : 政治・経済

やればできる!日銀

<やればできる!日銀>

9月全国消費者物価は+0.2%、10月都区部は‐0.4%
ロイター 10月28日(金)10時10分配信
 [東京 28日 ロイター] 総務省が28日発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI、2010年=100.0)は前年比0.2%上昇の99.9となり、3カ月連続の上昇しプラス幅は前月と横ばいとなった


 消費者物価が上昇しています。0.2%増とのことですが、7月まで使われた旧基準では、プラス0.2~0.3ポイント高い、0.4~0.5ポイント程度の上昇と言うことです。

 実証的には、「量的緩和→デフレ解消」が明らかになりました。これで、「量的緩和してもデフレには効果がない」という論者は、静かになることでしょう。それでも言い続ける方?は、たぶんいないと思います。


 日経H23.11.3 グラフも
 市場には大量の資金が滞留。金融機関の手元資金を示す日銀の当座預金残高は、2日、37兆1800億円となり、4月半ば以来の高水準に達した。


当座預金残高

消費者物価指数 % 総務省.jpg

日銀当座預金残高 前年比.jpg


マネタリーベース 前年比.jpg

M3 マネーストック 前年比.jpg

<日銀理論>


日本経済は11年度後半より緩やかな回復経路へ=白川日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPJAPAN-21465820110601
[東京 1日 ロイター] 

 日銀の白川方明総裁は1日、日銀金融研究所主催の国際コンファランスであいさつし、東日本大震災によるサプライチェーン(供給体制)の寸断、電力不足など供給面での制約要因は「企業努力により当初に予想されたより早く緩和されつつある」との見方を示した。
 …また、かつてシカゴ大で講義を受けたミルトン・フリードマン教授による「インフレはいつ、いかなる場合も、貨幣的現象である」との主張に言及。貨幣量の変化が長期的に物価上昇率に影響を与えるのであれば、デフレも貨幣的現象であり、中央銀行が巨額の資金供給で物価水準を引き上げることが可能、とする一方、「それは近年の日米での経験と整合しない」と指摘。デフレは貨幣的現象であるよりも、高齢化や労働人口の減少など経済の基礎的条件の構造的要因に起因するとの自説を示し、「マネタリーベースの大幅な拡大は、相応のマネーストック拡充や物価上昇をもたらさなかった」と結論づけた。
 


日経H22.12.11
日銀総裁写真

白川 日銀総裁.jpg

 白川総裁も訂正することでしょう。

 「デフレは貨幣的現象であるよりも、高齢化や労働人口の減少など経済の基礎的条件の構造的要因に起因するとの自説



 「デフレは貨幣的現象でした。」と。しないでしょうけど。

<追記 コメントに頂きました、大瀧教授の本>

 コメントに頂きました大瀧先生の本および、教えていただいたことを追記します。

 大瀧雅之 『貨幣・雇用理論の基礎』2011 勁草書房

p19 インフレは貨幣的現象か
まず回答を与えておこう。不完全雇用下においては、答えは否である。


 ということで、現在の日本は、当然「不完全雇用」状態です。そうすると、インフレは貨幣的現象ではないということが当てはまるようです。

 つまり

P22インフレが貨幣的現象となるのは、皮肉にもマネタリストのCaganが言い当てたように、貨幣の信頼性が失われた両極、すなわちハイパーインフレーションの場合と完全雇用におけるインフレーションのいう「真正インフレーション」の場合に限られるのである。

 とのことです。

 簡単に言えば、貨幣増によるインフレは、ハイパーインフレ(貨幣への信頼をまったく失った状態:戦後の日本など)か、完全雇用状態(これに近い状態は、1973までの、高度成長期と考えられる)においてのみだということです。

p29 不完全雇用下においては、インフレーションは貨幣供給増加率と無関係という意味で、実物的現象である。したがってケインズ‐ワルラス的動学モデルでは、インフレターゲッティング論はまったく根拠を持たない。

ということだそうです。

今必要な政策は次の通りだそうです。

P140 ケインズの時代とは逆に、浪費をいかに食い止め世界全体の有効需要を抑えるかということが、環境問題も含めたマクロ経済政策の在り方であると、筆者は思慮する。
 より具体的に言えば、労働集約的な産業の再生と世界全体での協調的な引き締めこそが、現時点で考えうる最善の政策であろう。


 ちなみに、現在は「不完全雇用状態であることは明らかです.現在の日本の失業率は約5パーセント、完全失業者は約350万人もいます」とのことです。

 また、現在見られる消費者物価の上昇については、 「経済学は何ヶ月という短い期間の動きを説明したり予測をするようには出来上がっていないことです.常識から考えても分かると思いますが,1億3千万人の日本経済の構造を隅から隅まで直ちに把握できるわけがありません.ある程度(最低二,三年)時間が経過してどうやらこういう現象が起きているようだ,やっとぼんやりながらも把握できることがほとんどです.」とのことです。

 今の0.数%程度の消費者物価上昇のように見える現象は、数年後にならないと、把握できないそうです。
 
 またそもそも0.数%程度の消費者物価上昇は、

「消費者物価水準の変化はおよそ千分の一の単位ですね.大学で統計学という学問を学ぶと分かりますが,どんなデータにも測定の誤差というものがあります.この程度の物価水準の変化は,誤差によるものか真の変動なのかまず絶対に区別できません.こうした誤差を勘案した上で,敢えて結論を出せば『消費者物価水準は安定していて変化していない』ということになると思います.知っておいてもらいたいことは,理科の実験に基づくデータと経済学のデータでは,その精密性が全く異なることです.」
 とのことです。誤差の範囲で、インフレとはいえないそうです。


 ということで、インフレかどうかは、最低2~3年後でないと分析できないようなので、その時にもう一度扱うことにしましょう。

 ちなみに、現下の「不完全雇用下」においては、貨幣供給増加率とインフレの間に関係はないということなので、国債日銀引き受けで、ガンガン紙幣を刷っても、大丈夫のようです。インフレを心配することはなさそうです。

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