至上命題だった、国体(天皇制)護持 天皇制維持のために、憲法は、押し付けられ,日本が飲んだ

<至上命題だった、国体(天皇制)護持 その2 天皇制維持のために、憲法は、押し付けられた>

 さて、日本国憲法です。これは、天皇制維持(国体護持)のために、GHQによって、押し付けられました。日本は、天皇制維持(国体護持)のために、これを受け入れました。

 この記事は、「押し付け憲法だから改憲しろ」という意見主張を目的とすることではなく、事実として「憲法は押し付けられた、日本は受け入れざるをえなかった」を述べるものです。

日本国憲法はどう生まれたか? 原典から読み解く日米交渉の舞台裏 (ディスカヴァー携書)日本国憲法はどう生まれたか? 原典から読み解く日米交渉の舞台裏 (ディスカヴァー携書)
(2013/07/07)
青木 高夫

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 この本は、GHQ側のマッカーサー、ホイットニー、ケーディスらと、日本側 松本国務相、白洲次郎などの交渉記録を、英文から掘り起こし、丹念に追ったものです。

 日本国憲法がどのような思惑によって誕生し、日本が受け入れたかが、詳細に記されています。憲法を語るうえで、必読書となっています(以下引用は全て同書 ページは前後するので省略)。

GHQの思惑


 すべては、この図のとおりなのです。GHQも、日本側も、「天皇制維持をしなければいけないこと」は、必須であり、共通項だったのです。

<日本国憲法制定の経緯>

1946年に1月26日に、豪州政府が天皇を戦争犯罪人として出廷させたい(筆者注:東京裁判)との要望を出してきますが、これに対するマッカーサーの回答…。

 Practically all Japanese…believe rightly or wrongly that the Potsdam Agreement were intended to maintain him as the emperor of Japan

 rightly or wronglyは、「間違っているか、正しいかはともかく」…「日本国民はポツダム合意が彼を日本の天皇としておくことを意図したものだと信じているのである」と回答しています。

 …この時点でマッカーサーは、天皇を、内実はともかく、その地位に留めておく意思決定をしていました。

…グル―国務長官代理は、「天皇が日本を自由化する有力な力となる」との見解を持っていたようですが、マッカーサーの意図もこれとほぼ同じものでした。

…アイゼンハワーに宛てた電信…

He is a symbol which unites all Japanese. Destroy him and the nation will disintegrate.

「彼は日本人を統合するシンボルである。その人物を斥けることは、国家の崩壊につながるのではないか・・・マッカーサーも1946年初頭には、日本国民にとって天皇がどんな存在であるかをある程度は理解できていたようです。

 マッカーサー(GHQ)は、最初から最後まで、その上部組織である極東委員会の意向(筆者注:ソ連含む…ということは共産主義思想が入り込む)に振り回されるのを回避しようとします。

 12月27日 モスクワ宣言…宣言の内容は、米英中、ソ連の他に豪州、フィリピンなど11カ国で構成される極東委員会の設置を宣言したもの…元々…参加国は、米国主導の対日方針決定に不満を抱いており、その権限を…政策決定に拡大したのです。後にGHQを悩ませた改憲に関する宣言文書…。

 …Any directive dealing with fundamental change in the Japanese Constitutional structure…will be issued only following consultation following the attainment of agreement in the Far Eastern Commission.

改憲に関わる指示を出して良いのは「極東委員会との協議と賛成を得た後でなければならない」と書かれており…

 当然のことながら、極東委員会はGHQの上位組織となるため、この委員会が機能し始めると、マッカーサーは自信の意志のみで、改憲を推し進めることができなくなります。
 後のGHQの改憲作業の慌しさは、この委員会の動きと追いかけっこをするような形になったことが原因です。



 

2月13日の会談

 …この会談に出席した白洲次郎が…GHQの草案を「押し付けられた」と言っています。GHQによる「憲法の押し付け論」は今日でも根強く存在します。その主たる論拠の一つが、この会議で述べられた(とされる)ホイットニーの脅迫ともいえる発言です。…「このままで納得しろ。さもないと…」といった脅迫的なニュアンスが感じられる部分が存在します。

 He feels however, that acceptance of the provisions of this new Constitution would render the Emperor practically unassailable.

全文を訳すと、「マッカーサーは、この新しい憲法にある条項が受け入れられるなら、天皇は安泰であろうと考えている」という意味になります。

 この文章の前に、「天皇を戦犯として調査しようという外部からの圧力が増している(increasing pressure from the outside to render him subject to war criminal investigation)との記述があるので、この場合の「安泰 unassailable」というのは、いわゆる「戦犯として訴追されはしない」ということでしょう。

 日本側がこだわる天皇の立場が安泰であることを保障する部分ですが、当然、その裏には「受け入れないなら、その保証はないぞ」との脅しも隠されています。

 …松本国務相のメモにはどう書かれているのでしょうか。

4.日本政府が此の提案の如き憲法改正をすることは、右の目的達成のため、必要なり、之なくしては天皇の身体(person of the Emperor)の保障を為すこと能わず。

 ホイットニーは、そのままを押し付けた形ですが、松本国務相はそれを「自主改正案の提示」と理解したことになります。
 松本国務相のメモにあるperson of the Emperorは「天皇個人」を意味するものと理解できますが…かなりきわどい表現でしょう。

 …間違いがないのは、天皇の地位の保障を条件にホイットニーがマッカーサー三原則の受け入れをせまったということ…。



 

 マッカーサー3原則は、次のことです。

1.Emperor is at the head of state. His succession is dynastic.
天皇は国家元首の地位にあること。天皇の地位は、天皇家で継承されること。

2.War as a sovereign right of the nation is abolished. Japan renounces it as instrumentality for settling its disputes and even preserving its own security.
国権の発動たる戦争、国際紛争の解決、それだけでなく、自国の安全保障の手段としても、戦争を否定する。

3.日本の封建制度は廃止される。貴族の権利は、皇族を除き、現在生存する者一代以上には及ばない。華族の地位は、今後どのような国民的または市民的な政治権力を伴うものではない。予算の型は、イギリスの制度に倣うこと。

…幣原首相の決断…。…当然、閣議は紛叫します。その結果が、GHQ草案に対する回答期限の延期と21日の幣原・マッカーサー会談。首相はマッカーサーの「天皇の地位、戦争放棄に関する部分さえ受け入れれば、その他は交渉が可能」との説得を受け入れ、翌22日、その報告も兼ねた閣議でGHQ草案を基礎に改憲をする姿勢を表明します。

 …which in turn elevates the sponsorship well above party or other local political considerations.

「我々の考えは、マッカーサーの指示を受けることで、日本の政党や日本政府の意見などよりも上位となる」と言いたいのでしょう。




 日本の改憲草案は、完全に否定されます。

That the Diet would receive the instrument in the manner you suggest if it bear the stamp of joint approval both by the Government and the Supreme Commander is unthinkable.

…「日本政府とマッカーサー双方が承認した草案が国会に上程されるというあなた方の提案は、我われの考慮に値するものではない」…。
 …この一文で、今日の憲法の概要が決したと言っても過言ではありません。

もう一つのダメ押しは目の上のタンコブである極東委員会について、その名は出さずに触れた部分です。

 …it is quite possible that a constitution might be forced upon Japan from the outside which would render the term ‘drastic’, as used by you in your letter to describe the document submitted by me on the 13th, far too moderate a term with which to describe such new constitution…

 外部から憲法が押し付けられる可能性があるという警告です。…極東委員会のことや、もっと具体的には日本の領土に野心のあるソ連を筆頭に、反日感情の強い豪州なども念頭に置いてのことでしょう。事実、天皇をいわゆる「戦犯」として裁くことを主張しているのは、こうした国々です。
…「あなた方は13日の草案を『過激』だというが、外部の押し付けてくる憲法はその程度の『過激』さではないぞ」となります。

 幣原首相の最大の関心ごとは天皇の地位でした。マッカーサーは「GHQ案を了解して、天皇の戦争犯罪を主張する極東委員会の批判を逸らすしかない」と説明します。
 
ここに至り、幣原首相個人はGHQ草案を基礎とした改憲を決断したようです。

結局、閣議は、…GHQ草案を基礎に松本国務相が正式な草案を作成するという方向に決します。この日の午後、首相は拝謁して状況を報告、天皇はその内容を承認します。

マッカーサーは「天皇を守るためには、この憲法を世界に公表して、ソ連や豪州などの天皇戦犯論を牽制しなければならない」と首相に伝え、草案受託を促しているのです。

…次の松本国務相の記録…

…余において、助手として佐藤法制局第一部長を委嘱し、速やかに翻案全部を作り翻訳のうえ、3月11日を期限として先方に交付することの了解を得たり。

…英語に「翻訳」し戻したうえ、マッカーサーに提出することを閣議が了承しました。
ここで大勢は決したと言ってよいでしょう。わが国が、GHQの作った憲法草案を基礎に新しい憲法を定めると決めたということです。この日は偶然にも、GHQが常に憂慮する極東委員会の第一回会合が開かれた日でもありました。

憲法の押し付けを嫌い、必死で防戦するもののGHQには抗えない日本政府、独自の統治政策で連合国のみならず、本国の意向さえ無視して突っ走るGHQ。結局、意図の違いこそあれ、天皇を守るという利害で一致する日本政府とGHQが、俯瞰すれば「共謀」する形で新憲法を作り上げてしまった形になっています



…新憲法が翻訳であるとわからぬように懸命に草案を推敲しています。

…1964年、憲法調査会が報告書を公表していますが、これを読んだ白洲次郎が次のような言葉を残しています。

この憲法は、占領軍によって強制されたものであると明示すべきであった。歴史上の事実を都合よくごまかしたところで何になる。後年そのごまかしが事実と信じられるような時が来れば、それはほんとに一大事であると同時に重大な罪悪であると考える。

…自身の草案は出席議員の3分の2が賛同すれば承認されますが、それを改定したければ、議員3分の2の賛同と、明治憲法にはなかった国民投票での過半数の賛成が必要という厳しい条件を課しているわけです。
占領が終了した後も、自分たちが作成した草案による憲法を簡単に変えてほしくないというGHの意図が明白です。…日本における民主主義の成熟度が低いとして、1955年までは改憲を不可能とする案も提案されていました。

 そうした利害の調整の結果、生まれたのが現在の日本国憲法です。

 …ルールというのは、単に利害調整の産物であるかもしれず、決まったルールは守る必要があるにせよ、ルールそのものは神聖なものでも、命を懸けて守るプリンシプルでもありません。「絶対のルールなど人間には生み出せない、それは神の領域だ」というのが欧米人の認識なのです。



 本書を読むと、白洲次郎の皮肉など、知的好奇心を刺激されます。

<事実>

 前回、今回の記事に書いたとおり、

東条らは天皇を守るために、東京裁判に臨み、幣原らは天皇を守るために、憲法を受け入れます。

 さて、平成25年、今、現下、このような状況に巻き込まれたら、今の日本国民は、どのように行動すると思いますか?

 あなたは、どのように行動しますか? 

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至上命題だった、国体(天皇制)護持 その1

<至上命題だった、国体(天皇制)護持>

 天皇制維持、天皇の戦争責任(アメリカ国民は、天皇処罰・・・処刑を望んでいました,ソ連やオーストラリアは、もっと露骨に処刑を望んでいました)を回避する・・・とにかく、戦争終結をめぐって、東京裁判をめぐって、為政者たちの目標(国民もそうでしょうけど)は、この1点でした。

<ポツダム宣言>

5. 吾等の条件は左(以下)の如し 

吾等は右条件より離脱することなかるべし 右に代る条件存在せず吾等は遅延を認むるを得ず

6.吾等は無責任なる軍国主義が世界より駆逐せらるるに至る迄は平和、安全及正義の新秩序が生じ得ざることを主張するものなるを以て日本国国民を欺瞞し之をして世界征服の挙に出ずるの過誤を犯さしめたる者の権力及勢力は永久に除去せられざるべからず

7.右の如き新秩序が建設せられ且日本国の戦争遂行能力が破砕せられたることの確証あるに至る迄は聯合国の指定すべき日本国領域内の諸地点は吾等の茲に指示する基本的目的の達成を確保する為占領せらるべし

8.「カイロ」宣言の条項は履行せらるべく又日本国の主権は本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし

9.日本国軍隊は完全に武装を解除せられたる後各自の家庭に復帰し平和的且生産的の生活を営むの機会を得しめらるべし

10.吾等は日本人を民族として奴隷化せんとし又は国民として滅亡せしめんとするの意図を有するものに非ざるも吾等の俘虜を虐待せる者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰を加へらるべし 日本国政府は日本国国民の間に於ける民主主義的傾向の復活強化に対する一切の障礙を除去すべし 言論、宗教及思想の自由並に基本的人権の尊重は確立せらるべし

11.日本国は其の経済を支持し且公正なる実物賠償の取立を可能ならしむるが如き産業を維持することを許さるべし 但し日本国をして戦争の為再軍備を為すことを得しむるが如き産業は此の限に在らず 右目的の為原料の入手(其の支配とは之を区別す)を許可さるべし 日本国は将来世界貿易関係への参加を許さるべし

12.前記諸目的が達成せられ且日本国国民の自由に表明せる意思に従ひ平和的傾向を有し且責任ある政府が樹立せらるるに於ては聯合国の占領軍は直に日本国より撤収せらるべし

13.吾等は日本国政府が直に全日本国軍隊の無条件降伏を宣言し且右行動に於ける同政府の誠意に付適当且充分なる保障を提供せんことを同政府に対し要求す 右以外の日本国の選択は迅速且完全なる壊滅あるのみとす


 余談ですが、日本はこのとおり、条件付で降伏をしており、「無条件降伏」したのではありません。「無条件降伏」は軍隊についてのみです。ドイツは政府が崩壊していたので、無条件降伏でした。
 なお、高校の教科書記述「無条件降伏」をめぐり、山川を始め、教科書会社とやり取りし、その記述を削除してもらいました。

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ポツダム宣言は、「無条件降伏」ではない


 この受諾をめぐり、内閣は、右往左往です。最初は黙殺し、その間に、原爆が落とされ、ソ連が参戦し、天皇のご聖断があり、「天皇制維持」を暗黙の了解として含まれていることを前提に受け入れを決定します。

日本は、「国体(天皇制)護持」が保障されていないので、連合国に問い合わせます。連合国の回答は、昭和20年8月11日、バーンズ米国務長官による、

「日本の政治形態は、ポツダム宣言に従い日本国民の自由に表明せる意思により確立するものとする」

「降伏の時より、天皇及び日本国政府の国家統治の権限は降伏条項の実施の為其の必要と認むる処置を執る連合軍最高司令官に"subject to"する」


だけでした。天皇制維持、天皇の戦争責任回避について、あいまいなままです。subject toは隷属なのか、従うことなのか、解釈でもめましたが、最終的に受け入れを決定します(8月14日)。

本当は、ポツダム宣言に「天皇制維持」は書かれていたのです。しかし、それを書くと、日本はすぐに降伏すると考え、アメリカ大統領トルーマンはわざとその条文を削除しました。理由は、日本が降伏すると、原爆が落とせなくなるからです。日本にわざと受諾を遅らせようと画策したのです。

連合国では、天皇に戦争責任をとらせる考え方が、圧倒的でした。

ウイキペディア「昭和天皇の戦争責任論」

アメリカでは1945年6月29日に行われた世論調査によれば、天皇を処刑するべきとする意見が33%、裁判にかけるべきとする意見が17%、終身刑とすべきとする意見が11%であった。



 ただし、連合国側では、天皇制維持は、占領政策において、必要だとの考えですでに一致していました(日本側は知りません)。

以下の引用は『戦争裁判余録』(豊田隈雄著 泰生社 1986)です。ページは、前後引用するので、載せません。

天皇、天皇制問題は連合国側の占領政策にとっても、重大案件だった。連合国内部では天皇制の存否について激しい論争が繰返されたが、元駐日大使ジョセフ・A・クルー氏を中心とする知日親日派の努力により、英豪中ソ比等の反対を押し切って、一応天皇制存続の方針は決定を見たのであった。

 これにともない、極東諮問委員会(のち極東委員会)の天皇不起訴の方針はマッカーサーの日本上陸以前から決定されていた。マッカーサーも勿論この方針を承知していたのであるが、日本側はこの方針を知る由もない。


 

 天皇自身は、退位、責任を取っての処刑すら、覚悟していました。

天皇 マッカーサー.jpg


マッカーサー總司令官は二十年九月二十七日、天皇がご訪問になったとき「戦争遂行のことはすべて私の責任であり、私の身は連合国にお委せするが、国民を助けてもらいたい」と述べられたお言葉とお人柄に深い感銘を受けた。

 欧米では敗戦となると元首は国外等へ亡命、逃亡することが近代の常識であったから、マッカーサーは一層の感動を覚えたのであろう。

 以後、マッカーサーはキーナン首席検事らと緊密に連絡しながら、豪中ソ等の検察団、裁判官のみならず、アメリカ本国、在日總司令部内の政治がらみの天皇訴追要求をも却け、くぐりぬけしながら裁判終了まで持って行くに至る。
 
このように皇位の継続は占領前から米国は保証していたわけだが、米国内にも天皇の責任を追求せよとの強い意見があったためか、駐留軍が進んで「天皇護持」を公表するようなことはなく、したがって日本側にとって、天皇問題は曖昧模糊としたものであった。



 かかる情勢のなか、最初に天皇制存続の米国の方針を確認したのは恐らく米内光政海軍大臣であった。

元帥の部屋を出るとき、米内は思いきったようすでたずねた。「ひとつうかがいたいが、天皇は、ご退位にならねばならないことになっていますか

この率直な質問に、マッカーサー元帥は面くらったような顔をした。

 「講和がうまくゆき、連合軍の進駐がきわめて順調に行われたのは、天皇の協力によるところが大きい、と私は思っている。その天皇が退位しなければならないとは、私は考えていない。それは、日本国民が決定すべき問題でしょう」

 その言葉を耳にしたとき、米内は、終戦いらい頭上をおおっていた暗雲が、一時にはれたような明るい気持ちになったという。



<東京裁判>
 
 ポツダム宣言に基づいて、戦争責任が追及されます。日本側は、いかにして、「天皇の責任」を回避すべきか、模索します。結論は、「東条以下に責任を押し付ける」方針でした。

フェラー准将、天皇の裁判対策を指示

 終戦の年が明けて東京裁判の開始が近づくにつれ、總司令部は天皇問題対策に腐心し、米内元大将等を通じて積極的にその対策を示唆するようになる。二復の記録によれば、總司令部のフェラー准将は米内元大将に天皇を裁判から守る方法にまで触れて話し、その後も念を押して「これはマッカーサーの本国における立場にも影響するのだ」と云っている。

フェラー准将の米内大将に対する話
                         二一・三・六(水)……二復記録
 
自分は天皇崇拝者ではない隨て十五年二十年先日本に天皇制があろうがあるまいが又天皇個人としてどうなって居られようが関心は持たない。然し連合軍の占領について天皇が最善の協力者である事を認めて居る現情に於て占領が継続する間は天皇制も引続き存続すべきであると思ふ
 
所が困った事には連合側の或国に於ては天皇でも戦犯者として処罰すべしとの主張非常に強く殊に「ソ(ソ連)」は其の国策たる全世界の共産主義化の完遂を企図して居る。隨て日本の天皇制とMCの存在とが大きな邪魔者になって居る。
 
加ふるに米に於ても非亜米利加式思想が当局の相当上の方にも勢力を持つに至って天皇を戦犯者として挙ぐべきだとの主張が相当強い

右に対する対策としては天皇が何等の罪のないことを日本人側から立証して呉れることが最も好都合である。其の為には近々開始される裁判が最善の機会と思ふ。殊に其の裁判に於いて東條に全責任を負担せしめる様にすることだ
 
即ち東條に次のことを言はせて貰い度い。「開戦前の御前会議に於て仮令陛下が対米戦争に反対せられても自分は強引に戦争迄持って行く腹を既に決めて居た」と

右に対し米内大将
 
全く同感です

 東條(元首相)と嶋田(元海相)に全責任をとらすことが陛下を無罪にする為の最善の方法と思ひます
。而して嶋田に関する限り全責任をとる覚悟で居ることは自分は確信して居る。



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 全責任を、東条以下が負うようにすること、そして、東条自身も、そうなるように、自覚して、東京裁判に臨んだのです。

キーナン検事 
それでは真珠湾攻撃の前夜に、天皇は戦争を欲しておらず、かつこれを回避するごとくあらゆる努力をしておられたと、あなたは確信をもって云えるか。

岡田啓介証人 
それは確信をもって云える。天皇陛下は負けるとか勝つかなど考えておられないので(あって)戦そのものがおいやなのです。

キーナン 
しかしながら陛下の勢力を以てしても、これを回避できなかったわけか。

岡田 
その通りです。

キーナンが岡田証人から、天皇に責任がなかったという証言を引き出そうとしているのを察したウエッブ裁判長は「ただいまの質問と本裁判の関連は理解できない。どう思います。首席検事」と割り込む。

キーナン 
関連性はある。被告らは共同謀議をして国民を欺き、開戦の大詔を発布することによって、陛下が戦争を支持しておられたと国民に信じこませた。それに伴って国際法に違反を来したのだと検事側はいうのである。

ウエッブ 
そういうことを聞くのはいまが初めてである。検事側か提出している証拠に反することを云ったのは、この永い裁判で初めてのことである。

キーナン 
首席検事として法廷の注意を喚起したい。今被告席にすわっている被告は、検事側が、実際戦争に対する責任を持っていると考える人々である。もしほかに戦争に責任ある人がいるなら、やはり被告席に列しているはずである。



東条 東京裁判 .jpg

キーナン
 (開戦と天皇と東條の問題に移り)あなたはすでに法廷に対し、日本の天皇は平和を愛する……といっていることは正しいか。

東條 
もちろん正しい。

キーナン 
また日本臣民たる者は何人たるも天皇の命令に従わないということは考えられないといいました。それは正しいか。

東條 
それは私の国民としての感情を申しあげた。天皇の責任とは別の問題です。

キーナン 
戦争をおこなえというのは裕仁天皇の意思であったか

東條 
意思と反したかもしれません、か、とにかく私の進言、統帥部その他の進言によってしぶしぶ御同意になったのが事実です。

而して平和愛好の御精神が……明確になっておりますのは、昭和十六年十二月八日の御詔勅のうちに明確にその文句が加えられております。しかもそれは陛下の御希望によって政府の責任において入れた言葉です。それは、まことに巳むを得ざるものであり、朕の意思にあらずという意味の御言葉であります。

東條被告が述べた開戦の詔書(筆者注:天皇)の言葉

……而して列國との交誼(こうぎ)を篤くし、萬邦共栄の楽を偕にするは、之亦帝國が常に國交の要義と為す所なり 今や不幸にして米英両國と晋端(きんたん)を開くに至る洵(まこと)に已むを得ざるものあり豈(あに)朕が志なむや……
とあるのを指す。

 東條被告は戦争の責任が統帥部と政府にあったことを明瞭に挙げ、平和を望まれる陛下の言葉を詔書という全き証拠によって証言し、法廷における天皇問題論争に終止符を打ったのである。



 天皇制を守る、天皇の戦争責任を回避する、天皇を処罰(最悪処刑)させない、これが、当時、日本人為政者だった人たちが、一番優先した課題でした。

 東条たちは、戦争責任を背負って、処刑されます。命で、天皇に責任が及ぶのを回避したのです。

 命で償う以上に、責任を取る方法が、あるのでしょうか。

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日本は、戦争を命でつぐなった これ以上、何ができるというのか

 だから、当時の国民は、圧倒的多数で、戦犯を、日本の法律においては戦犯としない署名を、法律を通したのです。
 赤穂浪士のお墓には、未だに線香の煙が途絶えません。テロと言えばテロですが、日本で、仇を取った例は、2例しかありません。秀吉と、赤穂浪士だけです。「いざ鎌倉」が武士道とされたのですが、親分の仇など、武士は取ったことがないのです。赤穂浪士は、命で償いました。

 まったく架空の話ですが、今の天皇制において、終戦時の状況だったと仮定します。

 さて、今の日本国民は、今の天皇に戦争責任を負わせるでしょうか?天皇制放棄や、天皇退位や、天皇処刑を、望むのでしょうか。

日本国憲法

第七条  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

一  憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。




 天皇が署名捺印「御名御璽」をしなければ、法律は公布できません。もちろん、この国事行為は、「内閣の助言
と承認」によって行われるもので、天皇の意思は入らないとされていますが・・・されていますが・・・


 内閣・・・安倍首相以下・・・が「責任を取る」「裁判に臨む」「処刑もいとわない」「天皇に責任は負わせない」という姿勢で東京裁判に臨むとします。

 これを、あなたは、どのように受け止めますか?

<天皇無答責>

大日本帝国憲法は、天皇に責任はない「天皇無答責」が明記されています。

大日本帝国憲法一章

第1条 大日本帝国は万世一系の天皇之を統治す
第2条 皇位は皇室典範の定むる所に依り皇男子孫之を継承す
第3条 天皇は神聖にして侵すへからす
第4条 天皇は国の元首にして統治権を総攬し此の憲法の条規に依り之を行ふ

第3条は、「君主無答責の規定」といって(当時、君主制を採用している、各国の考え方)、天皇は政治的・法的に責任を問われない、天皇を輔弼する国務大臣が負うと、はっきりと、うたわれているからです。「君臨すれども統治せず」とはこのことです。

左翼は、「天皇正反対」「天皇責任論」ですから、これを認めませんが、実質上、「君主無答責の規定」だったのは、事実なのです。

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『天皇制(皇室典範その他の後続関連法に関する調査を含む)に関する基礎的資料』
 衆議院 憲法調査会事務局 5・6ページ


 天皇制・・・世界最古の制度です。

PS

マッカーサーと、天皇の会談で、何が話されたか、本人たちは、述べていません。

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@zittaikokuhaku @miyud経常収支が赤字でも黒字でも国内の経済状況には、なんら関連性はありません。経済好調なアメリカは赤字だし、デフレ下の日本は黒字でした。詳細は下記書籍 《高校生からわかる、ミクロマクロ経済学》 http://t.co/Y5Aam6Y593



ps

池田信夫某なる、デマゴーグが、当ブログを取り上げて批判していますが、貨幣数量説など、こちらが述べてもいないことで、またデマを流しています。

クリック

貨幣数量説は死んだ

そもそも、貨幣数量説など、誰も信じていないことは、とっくに述べています。

クリック

日銀理論 2011-06-24

この、池田信夫某なるデマゴーグについては、改めて扱います(予定稿詰まっているので、12月中旬以降になります)。本当に池田信夫某の言っていることは、害虫言説です。ウルトラマンに退治してもらわなければなりません。


http://book.akahoshitakuya.com/b/4309246281

Kimiyasu Igarashi

確かによい。GDPの三面等価について1章を割き解説したあと、貿易・国債に関する実際に触れ、最後はアベノミクスも。


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左翼が言わない憲法9条論 ちょっと違った角度から

<憲法9条論 ちょっと違った角度から>

百地章(ももち・あきら)
 
実は「憲法」にもさまざまな意味があります。まず「固有の意味の憲法」。これは古今東西を問わず、国家であれば必ず持っている統治のルールのことです。
 
次に、近代国家が誕生すると「立憲的意味の憲法」が登場します。これは憲法とは国家権力を制約し、国民の権利を保障するものという考えで、絶対王制でみられた権力者の横暴を抑制するために生まれました。「憲法が国家権力を縛る」というのはこのことです。

 憲法の性質や特色に着目すると、憲法には国家権力を制約する「制限規範」の側面があることは確かです。国家権力がむやみに国民の権利を制限したり奪うことは許されません。

 しかし、同時に憲法は国家権力の行使について根拠を定めています。例えば国会が法律を制定することができるのは、憲法が国会に立法権を授けているからです。内閣が国会に代わって勝手に法律を制定したりできないのです。

税金も同じです。憲法では課税徴収権が政府(権力 )に授けられています。それによって国民から強制的に税金を徴収することが許されているのです。こうした憲法の役割を「授権規範」といいます。これも「制限規範」同様、憲法の大切な一面です。

 そこで「憲法とは国家権力を縛るもの」という言い方ですが、これは一面を強調しただけで決して正しくないことがわかります。憲法は国家権力を縛ることもあれば、国民にさまざまな義務を課したり、時に権利を制限する場面もあるのです。

 特に17~18世紀の自由主義国家のころと違い、現代は社会国家の時代ですから、国民の福祉の実現のため、国(国家権力)が国民生活に積極的に関与するようになりました。また快適な環境を維持するため、さまざまな規制を加えるのも国の役割です。

 ◆「国柄」明記の潮流
 とすれば「憲法とは国家権力を縛るものだ」と決めつけるのは、古い考え方であり、一方的に国家=悪、国民=善だと思い込んでいないか。注意深く考えてみる必要があります。

 国民の憲法の議論の過程では以上のことを前提に「国家論を踏まえた憲法」を考えました。憲法は英語の「コンスティテューション」の訳語ですが、この言葉は本来「構成し組織する」ことをいい、「国柄」という意味も持っています。

 最近の世界の憲法を見ると、単に「国家の基本法」にとどまらず、「コンスティテューション」の原義どおり、国家を構成する「国の姿・形」や「成り立ち、歩み、ありよう」を積極的に盛り込んでいます。歴史や伝統を踏まえた「国柄」を盛り込むのが最近の憲法潮流でもあるのです。




 さて、憲法論の専門家の先生の、解説です。まとめると、

憲法=

①憲法とは国家権力を縛るもの
②国家権力の行使について根拠
③国家を構成する「国の姿・形」や「成り立ち、歩み、ありよう」を積極的に盛り込むもの


ということです。


 その中の一つ、確実にいえるのは、「憲法は権力を縛るもの」ではあるということです。構成要素の一角であるのは間違いありませんね。

 さて、本題は、ここからです。以下の論点については、憲法を語る人、特に左翼と呼ばれる、憲法改正反対派は、ほとんど述べていません。不思議です。

 左翼の人達は、憲法を変えるのには絶対反対ですよね。特に9条について。

<自衛隊は国家権力の最強装置>

 さて、現存の自衛隊は、「存在するが憲法に記載されていない」組織です。

 民主党の仙石官房長官(当時)は、左翼の定番表現「暴力装置」と発言しました。
 
 この暴力装置?なるものは、憲法で縛る必要=「憲法は権力を縛るもの」はないんですか?左翼の皆さん。

 警察?消防?海上保安庁???そんなものをはるかに上回る、最強暴力装置!でしょう、自衛隊は。

 予算5兆円/日本の国家予算90兆円ほど・・の日本国内最強暴力装置ですよ。これを、憲法に書かない=「憲法によって権力を縛らない」ままで、いいのですか???

 現実にこの暴力装置は、存在していますが、それに目をつむれば(憲法で縛らない)、平和になるのですか???

<自衛隊クーデターが100%、万に一つもないとどうして言えるのか?>

 あの、自衛隊は憲法に記載されていないのは、もちろん、自衛隊法を見ても、「クーデター」を避ける条項はありません。

 そりゃ、陸・海・空がそろって立ち上がる(クーデター)は可能性は低いかもしれません。三島が「立ち上がれ!」と叫びましたが、ダメでしたよね。

 ですが、ごく一部組織が、クーデターを絶対にしないと、どうして「確証」できるのですか?

 やろうと思えば、官邸占拠、皇居占拠、にせの戒厳令で、首都要所占拠など、簡単に出来ますよ。最強暴力装置ですから。

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 終戦をめぐる、昭和20年8月14日、何があったかご存知ですか?

 近衛兵の一団が、「ポツダム宣言受諾は絶対に認められない、陛下の御心は違うはず、自分たちが立ち上がれば(後続の部隊も続くので)、情勢は逆転する」と、クーデターを起こしました。

 命令を出さない上官を2人殺します。上官の印を使い、偽の命令書を作り、皇居(宮内庁)を占拠します。

 宮内庁にあるはずの、玉音放送(8月14日に、録音したレコード)の原版を探します。宮内庁職員は一箇所に集められ、拳銃を突きつけられます。命が危険にさらされます。(原版は、かろうじて発見されませんでした)

 その後、放送局に乗り込みます。放送局職員を拳銃で脅し、玉音放送を、流さないように脅します。

 横浜の陸軍部隊は、東京に乗り込みます。鈴木首相の私邸を襲い、探し出して殺そうとします。鈴木首相がいなかった(かろうじて逃れた)ので、私邸を焼き払います。その後、他の閣僚を襲おうと、別途行動します。

 結局、偽の命令で、しかも、上官を殺したことが明らかになり、クーデターは失敗し、首謀者2人は皇居前広場で、自害します。

 これが、8月14日~15日におこった、陸軍クーデターです。武器を持たない、庶民には、抗うすべがありません。実際に、一般人がこのクーデターで、殺され、負傷しています。
 
 では、これが、今の自衛隊では、100%、いや、1万%、いや、絶対に起こらないと、言えるのですか?

 今は、可能性がないように見えます。では、10年後、30年後、50年後も絶対にないと???

共産党が政権を取り、自衛隊がクーデター・・・可能性は1万%ないのですか?

 5/15事件、2/26事件は、「絶対」に自衛隊では起こらないのですか?

 憲法で、自衛隊を縛る必要は、無いのですか一般の刑法と違う、軍法は必要ないのですか?左翼の皆さん。

 なんで、左翼の皆さんが率先して、「自衛隊を縛ろう」とならないのですか????

<集団的自衛権>

 続いて、今、内閣法制局により、集団的自衛権が論議されています。

今のままでは、アルジェリアの邦人救助で、自衛隊が武器を使用することすらできません。
日本の上空を越えるミサイルが、グアムを狙っていたら、打ち落とせません。

 これが、憲法を変える事無く、解釈を変えることで、実行可能になります。

 憲法変えなくても、自衛隊は武器を使用できるかもしれません。

 憲法を変えずに、自衛隊=暴力装置温存させ、憲法を変えずに、武器使用拡大は不承不承で容認せざるを得ないのですか?

日本国憲法第9条


日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。


前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。



芦田修正により、「国際紛争を解決する手段としては」 武力による威嚇又は武力の行使を放棄しますが、それ以外の目的では、武力を行使できるようになっています。自衛権です。

ということは、「それ以外の目的」では、武力を行使できることになり、クーデターも合法です(憲法上はと言う意味です)。内乱をおこすため、(まあこれは、別の法律で、違法なのですが)、政権交代させるため、日本を外乱に持ち込むため・・・

理由はさまざまですが、一般法では違法で、憲法上は違反ではない・・・こんな状態が現出してしまいます。

それでも、自衛隊を、憲法に明記して、自衛隊を縛ってはいけないのですか?左翼の皆さん。

 ちなみに、左翼代表?らしき、北海道の弁護士(法律の専門家)に質問しても、答えられないのか、回答をもらえません。

クリック

弁護士 猪野亨のブログ


ちなみに、左翼の代表である共産党は、次のように考えています。

http://blogos.com/article/69109/forum/

佐々木憲昭消費税増税に対する政府部内の「抵抗勢力」

コメント欄記述

昭和50年前後の赤旗日曜版のQ&A欄で「共産党が政権とったら軍隊を持ちますか?」の問いに対し「国家にとって必要なことですから持ちます。
今の自衛隊はアメリカ帝国主義に従属する軍隊だから反対です」と答えていた。



 理解できません。

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<憲法について、学んでみる その4>

<憲法について、学んでみる その4>

 「小さな政府論の蹉跌」という連載で、「法律(憲法)・人権」について扱ってきました。この憲法について、高校で教えられている内容を再確認したいと思います。
 
憲法は、基本法中の基本法ですが、実は案外、知られていないことも多いのです。

<クイズ>

<回答・解説>は、下にあります。

質問 

 問題となる規制の様態が「事前抑制」に当たり、なおかつ、最高裁判例の趣旨に合致しているものはどれか、○×で答えましょう。

1 

外国から輸入しようとしたわいせつな表現が含まれている場合、これを税関が輸入禁制品として没収するのは、違憲である。




裁判所が、仮処分の形で、名誉棄損的表現を含む書物の出版を前もって差し止めるのは、当事者に十分な意見陳述の機会が与えられていれば合憲である。




新しく小売市場を開設しようとするものに対して、既存の小売市場との距離が接近していることを理由に、知事がこれを不許可とするのは違憲である。




勤務時間外に公務員が支持政党のポスターを公営掲示場に貼りに行った行為を、公務の政治的中立性を理由に処罰するのは合憲である。




高校の日本史の教科書を執筆し、その出版を企てるものに対して、国があらかじめその内容を審査し、記述の変更を求めるのは、違憲である。



<教科書無償配布>

第26条2項
 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とする。


 小学校・中学校の教科書は、現在、無償で配布されています。私立中学では、もらったとたんに捨てられる運命にあることもあります。私立校は、独自の(別な)教科書を使用するからです。配布された教科書は使用しないのです。

 例えば、ある自治体で、財政難から、この教科書無償配布を止めたとします。これは憲法第26条「義務教育の無償」に対して「違憲」でしょうか「合憲」でしょうか。

 正解は、「合憲」です。教科書無償配布は、「義務教育はこれを無償とする」に違反しないのです。

事件名

義務教育費負担請求事件


争点

義務教育期間中の教科書代金を国が負担すべきであるとしている児童の保護者が原告となり、訴えた。


判決要旨

「義務教育を無償」とする憲法26条2項は、授業料を徴収しないことを意味するものである。教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものではない。 
最高裁大法廷昭和39年2月26日




 違憲ではありません。無償は、授業料のことなのです。ですから、家庭科の実習費は、徴収されています。

 逆に、余裕があれば高校の教科書を、自治体が無償で配るのも構いません。

 教科書の無償配布は、「サービス」でやっているのです。2年前からの「高校授業料無償化」と本質は同じなのです。いずれも、財政的に厳しくなったら、法律改正で取りやめることができるのです。

もっとも前者予算は395億円、後者は4500億円ほどです。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/gaiyou/04060901/013.htm
 無償給与 13.教科書無償給与の仕組み


<回答>

1 ×

 税関検査事件と言われるものです。

 最高裁判例の趣旨にあてはまりません。最高裁は、税関検査につき、「一般にそれらの表現物は国外で発表済みであり、税関でそれらが没収・廃棄されるわけではなく検閲とはいえない(最高裁 S59.12.12)」と、「違憲」であるとはしていません。
 
 これは、外国図書などの輸入(といってもわいせつな本)に関して、税関が審査し、「輸入禁止」の措置をとることは、「検閲」にあたるかどうかを巡っての裁判です。

 最高裁判断は、「すでに諸外国で発表されている」ものであり、税関は「思想・内容等」を対象として規制する機関ではなく、「検閲」に当たらないというものです。



2 ○

 いわゆる、「北方ジャーナル」事件です。事前抑制に当たり、かつ最高裁判例に合っています。裁判所が仮処分の形で名誉毀損的表現を含む書物の出版を前もって差し止めるのは「事前抑制」です。

 しかし、最高裁は、「公共的事項に関する表現に対しての仮処分による事前差止めには、原則として口頭弁論又は債務者の審尋を経なければならない(最高裁S61 .6 .11)」とし、予(あらかじ)め十分な意見陳述の機会が与えられていれば、合憲となるとしています。

 また、差し止めているのは「裁判所」であり、「行政」が主体となっていないので、「検閲」ではないとしています。



3 ×

 すでに前回のブログで解説した、小売市場事件です。
事前抑制に当たらず、最高裁判例にも合っていません。「事前抑制」とは、表現行為を規制する、表現の自由に対する制約をいいます。

 小売市場開設に対する不許可処分は、営業の自由に対する制約であって表現の自由に対する制約ではないので、「事前抑制」ではありません。また、最高裁は、小売市場開設に対ずる規制(距離制限)を違憲とはしていない(最高裁47.11.22)ので最高裁の判例にも合っていません。



4 ×

 猿払事件といわれています。公務員の政治的中立について、争われました。

 事前抑制に当たりません。最高裁は、「行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼の確保という規制目的は正当であり、その目的のために政治的行為を禁止することは目的との間に合理的関連性があり、禁止によって得られる利益と失われる利益との均衡がとれている」ことを示し、合憲である(最高裁49.11.6)としています。

 ですが、ここで問題となる規制は、そもそも表現される思想内容自体を審査し、この発表を事前に禁止するものではないため、いわゆる「事前抑制」に当たらないと考えられます。



5 ×

 家永教科書訴訟といわれる事件です。教科書について行われる、「教科書検定」は「検閲」にあたり、違憲ではないかと争った一連の訴訟です。

 最高裁判例の趣旨に合っていません。第一次教科書裁判上告審(最高H5.3.16)において「一般図書としての発行を何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や発表前の審査などの牲質がないから、検閲に当たらない」とし、教科書検定を違憲であるとはしていません。

 それは当然で、教科書としてダメでも資料集や、一般図書として販売することを規制しているわけではないからです。一般本としては「でたらめ日本史」「ギャグ日本史」でも売れればかまいません。

<おまけ>

日経H23.8.7『中外時評 マードックの教訓』

 5年前に東京地裁が出したひとつの決定をいまも時折思い出す。以下のような内容だった。

 公務員は仕事で知った秘密を漏らしてはいけないと法律が定めている。その秘密をメディアが報じたら、公務員が法を犯した結果なのだから、加担した記者は取材源を明かさねばならない。取材源を明かすと以後は公務員の協力が得られなくなるだろうが、それで公務員に守秘義務違反がなくなるのなら結構な話ではないか-。

 もちろんメディアは徹底的に批判した。その後、東京高裁が地裁決定を取り消して記者の取材源秘匿を認めたから、東京地裁の判断にはいまやなんの法的な力もない。

 …特段の事情がなければ取材源の秘密は守られねばならないこと。こうしたことには最高裁もお墨付きを与えている。

 国民の「知る権利」に奉仕するための報道の自由は必要であり、報道の自由は表現の自由と表裏一体の関係にある。そのことも最高裁が認めている。
 

 さて、「取材源の秘匿」や「記者の証言拒否」について、最高裁はどのように判断しているのでしょうか。



 問題 ○×で答えましょう。

 取材の自由は取材源の秘匿を前提として成り立つものである。医師そのほかに刑事訴訟法が保障する証言拒絶の権利は新聞記者に対しても認められる。

答え ×

 石井記者事件
 
 その取材源について司法権の公正な発動について必要不可欠な証言の義務まで犠牲にして証言拒絶の権利まで保証したものではない(最高裁S27.8.6)。



問題 ○×で答えましょう。

 取材の自由は、表現の自由を規定した憲法第21条の保護のもとにある。

答え ×


事件名

博多駅テレビフィルム提出命令事件


内容

 昭和43年1月、アメリカ空母の佐世保寄港阻止の闘争に参加した学生約300人が福岡の博多駅に降りた際、警察の警備規制を受け、公務執行妨害罪で逮捕、起訴された。
その裁判で、福岡地裁が、事件を撮影したテレビ局に対し、裁判の証拠として用いるため、撮影したフィルムの提出を命じた。


争点

取材フィルムの提出を命じることは、取材の自由を侵害し、違憲ではないか。


判決要旨

 報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するもので、報道の自由は憲法第21条の保障の下にある。 

 このような報道機関の報道が正しい内容を持つためには報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法第21条の精神に照らして十分尊重に値するものと言わなければならない。  

 しかし、この自由も公正な裁判の実現のために制約を受け、諸般の事情を比較衡量した結果、裁判所が報道機関に対し、取材活動によって得られたものを証拠として提出することができる場合もある(最高裁S44.11.26)。




 報道の自由については、憲法第21条の保障の下にありますが、取材の自由については「十分尊重に値する」もので、直接第21条の保障の下にあるとは、されていないのです。

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genre : 政治・経済

<憲法について、学んでみる その3>

<憲法について、学んでみる その3>

 「小さな政府論の蹉跌」という連載で、「法律(憲法)・人権」について扱ってきました。この憲法について、高校で教えられている内容を再確認したいと思います。
 
憲法は、基本法中の基本法ですが、実は案外、知られていないことも多いのです。

<経済的自由権>

 憲法第22条

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。


 この経済的自由権ですが、「公共の福祉」によって制限を受けています。その種類は次の通りです。

(1)
社会公共の安全と秩序を維持することを目的とするもの
消極目的規制

①特定の資格を有する者に限る。
 医師 薬剤師 弁護士 税理士 教員免許など

②行政官庁の許可を必要とするもの
 旅館 飲食業 風俗営業 質屋など
 

 ①の場合、確かに医師免許のない(ということは、医学に関してシロウト)医者には診てもらいたくありません。
 ②の場合は、許可や認可、届出が必要となっています。例えば、パチンコ屋や、ラブホテルは、学校の周りでは営業できませんよね。
 

(2)
経済的弱者の保護、経済の共和的発展を目的とするもの
積極目的規制

①デパート スーパーなどの大型店舗の制限
②独占禁止法による独占の禁止
 

 ①には、例えば「大規模小売店舗立地法」があります。地域との融和を図ることが目的とされています。
 ②は、不当な取引制限、いわゆるカルテルや談合を禁止します。

 これらは、自由な競争を促進し、経済の効率的運営を実現するために規制されるものです。

<クイズ>

 ○×で答えましょう(正解は一番下です)

1 
 小売市場の開設経営について、都道府県知事の許可を必要とする法律については、中小企業保護を理由として合憲である。

2 
 公衆浴場を開業する場合の適正配置規制(250メートル離れること)については、健全で安定した浴場経営による国民の保健福祉の維持を理由として合憲である。

3 
 薬局の開設を許可制とし、許可の基準として、隣の薬局との距離制限を定める薬事法の規定は、営業の自由を保障する憲法違反である。



<薬事法距離制限>
 

 これは、高校の教科書や、資料集で、必ず扱われている事例です。

内容

 県知事に、薬局開設の許可を求めたが、適正配置基準(隣の薬局との距離制限)に反するとして、不許可にされた。薬事法による薬局開設に関する規制は違憲であるとして訴えた。

争点

 薬局の開設を許可制とし、許可基準として、配置の距離制限を定める薬事法の規定は営業の自由を保障する憲法に違反しているのではないか。

判決の考え方

 先ほどの、制限の種類を見てみましょう。

(1)
社会公共の安全と秩序を維持することを目的とするもの
消極目的規制

①特定の資格を有する者に限る。
 医師 薬剤師 弁護士 税理士 教員免許など

②行政官庁の許可を必要とするもの
 旅館 飲食業 風俗営業 質屋など
 

(2)
経済的弱者の保護、経済の共和的発展を目的とするもの
積極目的規制

①デパート スーパーなどの大型店舗の制限
②独占禁止法による独占の禁止
 


 この(1)(2)について、判例は、2つの異なる基準を適用しています。


(1)
社会公共の安全と秩序を維持することを目的とするもの消極目的規制

 こちらについては、「厳格な合理性の基準」を適用します。これは、「規制が必要かつ合理的であり、他の緩やかな規制という代替手段がない場合に、その規制は合憲である」とするものです。厳しい基準です。

k1.jpg

(2)
経済的弱者の保護、経済の共和的発展を目的とするもの
積極目的規制

 一方、こちらは、「その規制が著しく不合理であることが明白な場合に限って違憲」とする、「明白性の原則」が適用されます。緩やかな基準です。

k2.jpg

 そして、薬事法距離制限は、(1)の厳格な合理性の基準で判断されます。

k3.jpg

判決要旨

 薬事法の目的は、薬局等の偏在、競争の激化によって、一部薬局等の経営が不安定化し、それによって不良医薬品の供給の危険等の弊害が生じるをことを防止することであり、国民の生命および健康に対する危険の防止という、消極的、警察的目的のための規制措置の(消極目的規制)である。

 距離制限をしないと、こうなるというのです。

薬局などの偏在(隣との距離が近いなど)

競争の激化

一部薬局等の経営の不安定

不良医薬品の供給が起こる

国民の生命および健康に危険がおよぶ


 さて、こうなると思いますか?判決はこれを否定しました。

(上記の)因果関係は、合理的に裏付けることができない。規制の目的は許可制ではなく、行政上の取り締まりの強化など他の方法によっても十分に達成することができる。従って、薬事法による規制については、全体としてその必要性と合理性を肯定することはできず、憲法22条1項に違反する。
最高裁大法廷 昭和50年4月30日

 「合理的ではなく、他の代替手段でも目的は達成できるので、違憲」ということです。

<ほかには・・・>

 さて、薬局の距離制限は「違憲」でした。では、「公衆浴場がとなりと250メートル離れなければいけない」というのは違憲でしょうか、合憲でしょうか?

事件名

公衆浴場を距離制限事件


内容

 県知事の許可を得ずに公衆浴場を営業した者が、公衆浴場法等違反の罪に問われた。公衆浴場の営業を許可制とし、許可基準としてその距離制限を定める、公衆浴場法等の規制は、営業の自由を保障する憲法22条1項に違反しないか。


判決要旨

 公衆浴場の設立を競争の自由にゆだねると、その偏在により多数の国民が、公衆浴場を利用する場合に不便をきたし、無用の競争を生じ、その経営を不安定にし、浴場の衛生設備の低下等の影響をきたすなど、公共の福祉に反する結果を生じる恐れがある。

 公共浴場が近いと、まずいようです。

 従って、このような公衆浴場の現在及び乱立を防止するために、配置の適正を保つための措置を講ずることは、憲法22条1項に違反しない。
最高裁大法廷 昭和30年4月30日

 公衆浴場の距離制限は、合憲なのです。

k2.jpg


事件名
小売市場事件


内容

 無許可で小売市場を開設したものが小売市場の開設を許可制とする小売商業調整特別措置法違反の罪に問われた。


争点

 小売市場の開設を許可制とし、その許可基準としてその配置の距離制限を定める小売商業調整特別措置法の規定は、営業の自由を保障する憲法22条1項に違反しないか。


 小売市場の距離制限は、合憲なのでしょうか?


判決要旨

 小売市場の許可規制は、中小企業を保護する政策の一方策として取った措置である(積極的目的規制)。

 立法府がその裁量権を逸脱し、当該法規的規制措置が著しく不合理であることが明白である場合に限って、これを違憲として、その効力を否定することができるものとする(明白性の原則)。
 小売市場の強化規制はその目的において、一応の合理性を認めることができないわけではなく、その規制の手段・態様においても、それが著しく不合理であることが明白であるとは認められない。したがって、憲法違反ではない
最高裁大法廷 昭和47年11月22日

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 距離制限がいつでも違憲となるわけではないのです。



クイズの回答

すべて○です。

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