M&A増加
読売H30.4.13
日本企業M&A過去最多
日本企業が関係するM&Aが増えている。…海外企業に対するM&Aも5.7%増の672件となり、4年連続で最多を更新した。
<内部留保とは>
内部留保?と呼ばれる利益剰余金、これを何に使っているのか? 答えは株式購入です。もちろんM&A・直接投資も含まれます(直接投資は株式の10%以上を取得することを言います)。
内部留保とは、「資金調達」の方法です。
①株式を発行して資本金になります(純資産)。
②銀行から借り入れし、社債を発行し、資金を調達します(負債)。
それらのカネを使用して、工場や店舗、備品や機械を揃え、モノ・サービスを生産します。
その後、給与や仕入れ金、借入金利息、電気ガス水道などの可変費用を支払い、株主に配当を支払い、「利益」が残ります。この利益が「利益剰余金」、いわゆる「内部留保?」で、このカネを使って、新たな工場や店舗(設備投資)・・・会社を大きくするためのM&A(他社の株式取得)などに使われます。

この「利益剰余金(内部留保?)」は、2016年度までの4年間に「100兆円」増えました。
で、この利益剰余金(マスコミの言う内部留保)は、何に使われたのか?圧倒的に多いのが、M&A(買収・合併=資産の株式276兆円)です。この5年で70兆円以上増えています。
自社の設備投資に回さず、他社の買収・合併に使用しているのです。カネを遊ばせていることなど、ありえません。
http://blogos.com/article/253074/
「内部留保はけしからん」との批判は正しい? 企業の現金貯め込みの実情

確かに現預金も増えました。しかし、5年で50兆円に満たない増額です。しかも、株式に比べると、圧倒的に増え幅が少ないことが分かります。
その現預金を持っているのは、「大企業」ではなく、「中小企業」です。全体の6割弱を占めています。

しかも、総資産に占める現預金の割合は、微増にすぎません。
http://blogos.com/article/253074/
「内部留保はけしからん」との批判は正しい? 企業の現金貯め込みの実情

日本企業が「現預金をため込み、けしからん」という構図ではないことが分かります。
「内部留保に課税しろ」など、「企業の発行株式(自己資本)や、銀行からの借入金・社債に課税しろ」ということと同じです。ナンセンス極まりません。
<海外投資すると、産業の空洞化が進む?>
この「産業空洞化」ということばは、すでに、昭和48年の「通商白書」に登場しています。もう40年以上たっているのに、何を意味しているのか、いまだに不明ということばの代表です。
代表的な定義は、「企業が生産・研究拠点を海外に移すことで、国内の雇用・研究の基盤が失われる」というものです。この場合、世界経済が、マージャンゲームのように、限られた点棒を奪い合う、ゼロサムゲームであれば、理解できます。「あちらが増えればこちらが減る」というものだからです。
しかし、世界のGDPも、貿易も、雇用も拡大の一途なのに、日本の雇用が奪われる・・・としたら、日本のGDPだけ、減り続けているはずです。実際にはそんなことはありません。
この「産業空洞化」論は、スーパーのカップめんの棚で、A社のスペースが奪われて、B社のスペースが広くなる・・・このミクロ感覚をマクロ経済に適用させるという典型的なトンデモ論です。
専門書は、産業空洞化について、次のように否定しています。
清田耕造『拡大する直接投資と日本企業』NTT出版2015
結論から言うと、「企業が生産・研究拠点を海外に移すことで、国内の雇用・研究の基盤が失われる」という証拠など、見つかっていないということです。
Q1雇用は奪われているのか? A奪われていない
有意な関係は見られない。非熟練労働者の雇用が奪われている現象もない。非製造業でも、海外雇用比率の伸びと、国内雇用の伸びは相関関係にある。国内の雇用と関係しているのは、資本である。つまり、コンピューターなどの投資財価格が下がり、労働から資本への代替が進んでいる(例:パソコン導入で、事務員減少)。
Q2生産・技術基盤が奪われているか? A奪われていない
製造業全体では、「資源獲得・市場獲得のための投資効果」が、「輸出→現地生産に代替、逆輸入する効果」を上回っている。直接投資の拡大で、生産や雇用の減少につながっているとする証拠がない。
Q3直接投資すると、貿易(輸出入)は減るのか A減らない
直接投資増=輸出増という相関関係にある。
Q4円安で、国内回帰が進んでいるのか? A?
研究がない。データによって把握することが困難である。メディアで紹介される事例はあるものの、それらは必ずしも、国外工場閉鎖→国内工場回帰ではなく、新製品や、新規設備投資の事例も含まれている。
産業空洞化など、この世にありません。
直接投資は増え続けています。

円高になると、産業空洞化(海外投資増・対内投資減)になるなど、ありません。
相関係数 0.12、全く関係ありません。

産業空洞化(海外投資増)が進み、不況になるなど、ありえません。
逆に、GDP増かつ海外投資増になっています。
相関は0.77、関係があります。
好況=海外投資増です。

産業空洞化で、国内雇用が減る?もちろんあり得ません。

円高で不況になり、失業が増える? もちろんあり得ません。

海外投資額=輸出の別名です(三面等価図参照)。基礎基本を理解しましょう。