消費増税を凍結しろという暴論4 公共投資を増やせ!という 藤井聡 暴論


国債償還費、増え続けていますね。これは、「過去の国債償還費+利払い分」なので、国債発行を増やし続けている現状では、さらに増えます。国債償還費は法律で支払いが義務付けられており、「減らす」「繰り延べする」ことができません。

「国債をもっと発行しろ!公共投資をふやせ!」という人は、一体、何を考えているのでしょうか?国債発行を増やせ!というのは、国家予算の中で、国債償還費を増やせ!そのほかの予算を減らせ!、つまり、巡り巡って、公共投資を減らせ!ということになるんですけどね。
しかも、この公共投資額は、過去のインフラ更新だけで、一杯一杯になることが示されています。新規事業など、一体どこからカネをねん出するのですか?
日経H29.11.9
日本の公共投資が曲がり角を迎えている。国土交通省の試算では道路や港湾等のインフラ維持費は33年度に最大5.5兆円に上る13年度に比べ2兆円程増える。東洋大学の根本教授は「今後50年で約450兆円のインフラ更新予算がいる」という。日本の財政の根幹を揺るがしかねない重い負担だ。
政府予算など、どんどん増やせばいい・・・政府は無限大だ!とでも考えているのでしょうか?日本のGDPは530兆円程度、成長率は1%程度、そんな中で、国家予算G+(G-T)だけを増やし続けることなど、できるわけがないでしょうに。

しかも、社会保障費は黙っていても1.5兆円程度増です。黙っていてもです。しかも法律によって支払いが義務付けられ、減らすことができません。今のままの割合でも、これだけ予算が増えなければなりません。1.5兆円も予算を増やしたくないなら、どこかを削らなければなりません。
その上、国債償還費をもっともっと増やせ!というのでしょうか?

今までのところ、国債価格は安定(長期金利は低位)しています。つまり、現在の国債残高/GDP比であれば、問題は生じていないのです。

増え続ける一方の国債償還費を抑制し、また、債務残高比を安定させるには、「プライマリーバランス」の均衡が必要です。

プライマリーバランスとは、その年に入ってくる国債費だけで、その年に支払う国債費償還費を賄うことです。こうすれば、公債残高比や国債償還費が「増え続ける=拡散する」ことはなくなります。
平成29年度予算
公債費
歳入 34兆3,698億円
歳出 23兆5,285億円
赤字は、10兆円に上ります。この分だけ、さらに将来の「国債償還費」が増え、財政の硬直化が進みます。
また、今の日本で、「金融政策+財政政策」の総需要管理政策をもっと進めるべきだという考えもあります。
https://38news.jp/economy/11094
【藤井聡】「消費増税解散」を考える。
プライマリーバランス(PB)の点で言うなら、この「増税で借金返済」オプションは、増収分だけPBを「改善」させますから、経済は自ずとその分、縮小するからです。
(PBは改善すると経済は縮小するのです。詳細はこちらを参照ください。
『プライマリーバランス亡国論』https://www.amazon.co.jp/dp/4594077323)
したがって、このオプションが採用されれば、日本は二度とデフレ脱却を果たすことができない程のダメージを被ることになります。
景気を低迷させるのは「PB黒字」「PBの改善」なのですから、このオプションの景気「悪化」効果は、「借金返済」オプションよりもマシな水準となります。
むしろ、経済学の基本的な理論である「均衡予算乗数理論」(あるいは、均衡財政乗数理論)に基づくなら、増税してそのまま支出すれば、その分GDPが拡大することが知られています。
直感的に言うなら、増税して吸い上げた分の一部は、確実に貯蓄に回っていた(そしてそれによってGDPが縮小していた)一方、政府が吸い上げて使えば、貯蓄に回る分は「ゼロ」になり、結果、経済は拡大する、という次第です。
「企業の内部留保」がやたらと多い今日、法人税を増やしてそのまま支出すれば、経済成長が期待できます。今や、「企業」は「家計」の約二倍もの金額を貯蓄しているのですから、「政府が吸い上げて使う」効果は、理論通りにプラスになることが期待できるのです(https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf によれば、家計約13兆円に対して、企業は約24兆円も毎年貯蓄を増やしています)
もう、何を言っているんだか、さっぱりわかりません。意味不明のオンパレードです。
(1)
PBを黒字化させ、なおかつ日本より成長している国があります。ドイツです。
https://jp.reuters.com/article/de-fiscal-surplus-idJPKBN16222D
ドイツ財政黒字、昨年は統一後最大 税収増や雇用拡大など寄与
[ベルリン 23日 ロイター] - ドイツ連邦統計局が23日に公表した、2016年の同国財政黒字は237億ユーロ(250億ドル)と、1990年の統一以降最大を記録した。
税収が大きく伸びたほか、雇用が拡大し、債務費用も低く抑制したことが追い風となった。
黒字の内訳は、連邦政府が77億ユーロ、州・地方政府は合わせて78億ユーロ、社会保障基金は82億ユーロ。
メルケル首相は記者会見で、連邦政府の黒字規模について「むしろ小幅」と指摘した。難民関連支出にあてるほか、北大西洋条約機構(NATO)加盟各国に公約した通り防衛支出を一段と増やす方針だ。
メルケル氏は「同時に新たに債務を増やしたくない。このため(政策)余地はむしろ限られる」とも述べた。



PBが「改善・黒字化」すると、景気が低迷するのではありません。
S-I(貯蓄超過)=G-T(財政赤字)+X-M(貿易黒字)ですから、別に、G-Tがゼロやプラスになっても、GDPが減ったり増えたりするわけではありません。貯蓄超過は、財政赤字か貿易黒字になるという、ただそれだけのことです。


それに S=I+(G-T)+(X-M)ですから、貯蓄が「投資」に回ります。これがなければ、次年度の生産ができません。高度成長を達成できた理由の一つが、日本人の高い貯蓄性向でした。
確実に貯蓄に回っていた(そしてそれによってGDPが縮小していた)
デタラメにもほどがあります。
(2)
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/archives/259
京都大学大学院教授 藤井聡
公共投資が亡国を救う 10年で100兆円
こ れに防災対策や高速道などのインフラ整備などを含めて100兆円から200兆円の公共投資をする。90年代以降、諸外国では公共投資を伸ばしているのに、 日本だけ減らしてきた。それを元に戻せばいい。10年以内に、国内総生産(GDP)は10年以内に600兆~700兆円ぐらいになると思います。
総需要管理政策(マクロ管理政策)とは、世界大恐慌や、リーマンショック時のように、「GDP供給」を「需要」が下回った場合「供給>需要」時に、財政出動し、金融緩和をして「供給=需要」にするという政策です。ですから、「潜在GDP」に「需要」を追いつかせるという政策であり、GDPを増やす=成長させる政策ではありません。




そもそも、GDP(総供給)を増やすことなど「政府」にはできません。

齋藤誠他『新版マクロ経済学』有斐閣 2016
「マクロ経済政策には、潜在GDP自体を増大させる効果がまったくない」
日本の潜在成長率=GDP成長率は、1%程度です。労働時間は労働人口の減少により、常にマイナスです。それを「資本設備」「TFP(生産性)の上昇」で補っていますが、3%成長など、「不可能」なのです。

また、現在の日本は、すでに「供給<需要」、すなわち「完全雇用状態」に突入しています。

供給GDPを上回る「加熱」状態に突入しています。
未だに「ケインズ」だの「乗数効果」だの、本当に「無知」そのものです。
<追記>
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171213-00000003-moneypost-bus_all&p=1
12/13(水) 16:00配信
「消費税率10%への引き上げは国を滅ぼす」──そう声をあげたのは内閣官房参与を務める首相の経済ブレーン、藤井聡・京都大学大学院教授である。
藤井研究室は、全国の男女100人ずつ、計200人を対象に実験を行なった。
.
被験者に増税後の消費税率をさまざまに変えながら、欲しい商品を「絶対に買う」から「絶対に買わない」まで9段階に分けて回答させ、税率の「数字」の印象によって購買意欲がどう変化するかを調べたのだ。
.
「実験の結果、予想通り、消費税率が10%になれば増税に対する『心理的負担感』が格段に大きくなり、前回の8%増税時の1.5倍の消費縮小効果をもたらす。とくに女性に限れば、その『心理的負担感』は2~3倍程度にまで拡大し、激しく『買い控える』ことが示された。合わせて、自動車やマイホームなど高額商品ほど『買い控え』が大きいことも実証された。
前回増税時の世帯消費額の落ち込みは7%だったが、今回の落ち込みは1割程度に達し、国民のさらなる貧困化が決定的となる。そうなると、企業の売り上げも1割減って、賃金も下がってリストラは確実に増える」(藤井氏)
藤井氏の研究結果では、風が吹くと桶屋が儲かるようです。