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消費増税を凍結しろという暴論4 公共投資を増やせ!という 藤井聡 暴論

<消費増税を凍結しろという暴論4 公共投資を増やせ!という 藤井聡 暴論>

社会保障 予算増大
国家予算 歳出額

 国債償還費、増え続けていますね。これは、「過去の国債償還費+利払い分」なので、国債発行を増やし続けている現状では、さらに増えます。国債償還費は法律で支払いが義務付けられており、「減らす」「繰り延べする」ことができません。

社会保障 予算


 「国債をもっと発行しろ!公共投資をふやせ!」という人は、一体、何を考えているのでしょうか?国債発行を増やせ!というのは、国家予算の中で、国債償還費を増やせ!そのほかの予算を減らせ!、つまり、巡り巡って、公共投資を減らせ!ということになるんですけどね。

 しかも、この公共投資額は、過去のインフラ更新だけで、一杯一杯になることが示されています。新規事業など、一体どこからカネをねん出するのですか?

日経H29.11.9
日本の公共投資が曲がり角を迎えている。国土交通省の試算では道路や港湾等のインフラ維持費は33年度に最大5.5兆円に上る13年度に比べ2兆円程増える。東洋大学の根本教授は「今後50年で約450兆円のインフラ更新予算がいる」という。日本の財政の根幹を揺るがしかねない重い負担だ。

公共投資 維持費



政府予算など、どんどん増やせばいい・・・政府は無限大だ!とでも考えているのでしょうか?日本のGDPは530兆円程度、成長率は1%程度、そんな中で、国家予算G+(G-T)だけを増やし続けることなど、できるわけがないでしょうに。

2015 三面等価

 しかも、社会保障費は黙っていても1.5兆円程度増です。黙っていてもです。しかも法律によって支払いが義務付けられ、減らすことができません。今のままの割合でも、これだけ予算が増えなければなりません。1.5兆円も予算を増やしたくないなら、どこかを削らなければなりません。

 その上、国債償還費をもっともっと増やせ!というのでしょうか?

国家予算 歳出額

 今までのところ、国債価格は安定(長期金利は低位)しています。つまり、現在の国債残高/GDP比であれば、問題は生じていないのです。

社会保障 国債残高

 増え続ける一方の国債償還費を抑制し、また、債務残高比を安定させるには、「プライマリーバランス」の均衡が必要です。

社会保障 プライマリーバランス

 プライマリーバランスとは、その年に入ってくる国債費だけで、その年に支払う国債費償還費を賄うことです。こうすれば、公債残高比や国債償還費が「増え続ける=拡散する」ことはなくなります。

平成29年度予算
公債費
歳入 34兆3,698億円
歳出 23兆5,285億円

 赤字は、10兆円に上ります。この分だけ、さらに将来の「国債償還費」が増え、財政の硬直化が進みます。
 また、今の日本で、「金融政策+財政政策」の総需要管理政策をもっと進めるべきだという考えもあります。


https://38news.jp/economy/11094
【藤井聡】「消費増税解散」を考える。

プライマリーバランス(PB)の点で言うなら、この「増税で借金返済」オプションは、増収分だけPBを「改善」させますから、経済は自ずとその分、縮小するからです。

(PBは改善すると経済は縮小するのです。詳細はこちらを参照ください。
『プライマリーバランス亡国論』https://www.amazon.co.jp/dp/4594077323)

したがって、このオプションが採用されれば、日本は二度とデフレ脱却を果たすことができない程のダメージを被ることになります。

景気を低迷させるのは「PB黒字」「PBの改善」なのですから、このオプションの景気「悪化」効果は、「借金返済」オプションよりもマシな水準となります。

むしろ、経済学の基本的な理論である「均衡予算乗数理論」(あるいは、均衡財政乗数理論)に基づくなら、増税してそのまま支出すれば、その分GDPが拡大することが知られています。

直感的に言うなら、増税して吸い上げた分の一部は、確実に貯蓄に回っていた(そしてそれによってGDPが縮小していた)一方、政府が吸い上げて使えば、貯蓄に回る分は「ゼロ」になり、結果、経済は拡大する、という次第です。

「企業の内部留保」がやたらと多い今日、法人税を増やしてそのまま支出すれば、経済成長が期待できます。今や、「企業」は「家計」の約二倍もの金額を貯蓄しているのですから、「政府が吸い上げて使う」効果は、理論通りにプラスになることが期待できるのです(https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf によれば、家計約13兆円に対して、企業は約24兆円も毎年貯蓄を増やしています)



 もう、何を言っているんだか、さっぱりわかりません。意味不明のオンパレードです。

(1)
PBを黒字化させ、なおかつ日本より成長している国があります。ドイツです。


https://jp.reuters.com/article/de-fiscal-surplus-idJPKBN16222D

ドイツ財政黒字、昨年は統一後最大 税収増や雇用拡大など寄与
[ベルリン 23日 ロイター] - ドイツ連邦統計局が23日に公表した、2016年の同国財政黒字は237億ユーロ(250億ドル)と、1990年の統一以降最大を記録した。

税収が大きく伸びたほか、雇用が拡大し、債務費用も低く抑制したことが追い風となった。

黒字の内訳は、連邦政府が77億ユーロ、州・地方政府は合わせて78億ユーロ、社会保障基金は82億ユーロ。

メルケル首相は記者会見で、連邦政府の黒字規模について「むしろ小幅」と指摘した。難民関連支出にあてるほか、北大西洋条約機構(NATO)加盟各国に公約した通り防衛支出を一段と増やす方針だ。

メルケル氏は「同時に新たに債務を増やしたくない。このため(政策)余地はむしろ限られる」とも述べた。



社会保障 財政黒字 ドイツ
社会保障 ドイツ 経済成長率
社会保障 ドイツ 1人当たりGDP 日本比較

 PBが「改善・黒字化」すると、景気が低迷するのではありません。

S-I(貯蓄超過)=G-T(財政赤字)+X-M(貿易黒字)ですから、別に、G-Tがゼロやプラスになっても、GDPが減ったり増えたりするわけではありません。貯蓄超過は、財政赤字か貿易黒字になるという、ただそれだけのことです。

2015 三面等価

三面等価 2008

 それに S=I+(G-T)+(X-M)ですから、貯蓄が「投資」に回ります。これがなければ、次年度の生産ができません。高度成長を達成できた理由の一つが、日本人の高い貯蓄性向でした。

確実に貯蓄に回っていた(そしてそれによってGDPが縮小していた)

デタラメにもほどがあります。

(2)


http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/archives/259
京都大学大学院教授 藤井聡

公共投資が亡国を救う 10年で100兆円
こ れに防災対策や高速道などのインフラ整備などを含めて100兆円から200兆円の公共投資をする。90年代以降、諸外国では公共投資を伸ばしているのに、 日本だけ減らしてきた。それを元に戻せばいい。10年以内に、国内総生産(GDP)は10年以内に600兆~700兆円ぐらいになると思います。



 総需要管理政策(マクロ管理政策)とは、世界大恐慌や、リーマンショック時のように、「GDP供給」を「需要」が下回った場合「供給>需要」時に、財政出動し、金融緩和をして「供給=需要」にするという政策です。ですから、「潜在GDP」に「需要」を追いつかせるという政策であり、GDPを増やす=成長させる政策ではありません。

総需要管理政策

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ad-as ケインズ

そもそも、GDP(総供給)を増やすことなど「政府」にはできません。

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齋藤誠他『新版マクロ経済学』有斐閣 2016
「マクロ経済政策には、潜在GDP自体を増大させる効果がまったくない」


 日本の潜在成長率=GDP成長率は、1%程度です。労働時間は労働人口の減少により、常にマイナスです。それを「資本設備」「TFP(生産性)の上昇」で補っていますが、3%成長など、「不可能」なのです。

社会保障 潜在成長率 H27.10日銀

また、現在の日本は、すでに「供給<需要」、すなわち「完全雇用状態」に突入しています。

社会保障 需給ギャップ H27.10日銀

供給GDPを上回る「加熱」状態に突入しています。

未だに「ケインズ」だの「乗数効果」だの、本当に「無知」そのものです。

<追記>


https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171213-00000003-moneypost-bus_all&p=1
12/13(水) 16:00配信

消費税率10%への引き上げは国を滅ぼす」──そう声をあげたのは内閣官房参与を務める首相の経済ブレーン、藤井聡・京都大学大学院教授である。

藤井研究室は、全国の男女100人ずつ、計200人を対象に実験を行なった。
.
 被験者に増税後の消費税率をさまざまに変えながら、欲しい商品を「絶対に買う」から「絶対に買わない」まで9段階に分けて回答させ、税率の「数字」の印象によって購買意欲がどう変化するかを調べたのだ。
.
「実験の結果、予想通り、消費税率が10%になれば増税に対する『心理的負担感』が格段に大きくなり、前回の8%増税時の1.5倍の消費縮小効果をもたらす。とくに女性に限れば、その『心理的負担感』は2~3倍程度にまで拡大し、激しく『買い控える』ことが示された。合わせて、自動車やマイホームなど高額商品ほど『買い控え』が大きいことも実証された。

前回増税時の世帯消費額の落ち込みは7%だったが、今回の落ち込みは1割程度に達し、国民のさらなる貧困化が決定的となる。そうなると、企業の売り上げも1割減って、賃金も下がってリストラは確実に増える」(藤井氏)



藤井氏の研究結果では、風が吹くと桶屋が儲かるようです。
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消費増税を凍結しろという暴論3 税金の全体像?

<消費増税を凍結しろという暴論3 税金の仕組みをしらないの?>

 消費税を引き上げるなという人は、次のように言います。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-1127.html
通りすがり
・消費税を推進する奴等は佐川と同じで国民を謀る嘘吐きです。 昔のように広報とマスゴミで騙せる時代ではありません。
・借金依存は累進強化で解決


 税の3本柱は、所得税、法人税、消費税です。消費税率を引き上げないで、所得税や法人税で、税収を賄うことが可能でしょうか?

予算 公債費


(1)所得税

社会保障 消費税収

 所得税収を上げる・・・。上記グラフにおいて、所得税収は「低い」ですか?バブル期並みにあげろということですか?

 
社会保障 再配分 給与 税 

累進課税は十分に効果を発揮し、日本では1000万円超の給与所得者が所得税の78%を払っています。
 この結果、再配分では、低所得者に対し、手厚い給付がなされています。

社会保障 再配分 


 所得税は、「低所得者」は払っていないのですから、もしも所得税収を増やせというのであれば、「高所得者」に、さらに「払え」ということになります(もしも、低所得者に対しても所得税の課税範囲を広げるのであれば、『広く薄く』の消費税と全く変わらない課税になります)。

消費税ではなく、所得税を引き上げろという方は、高所得者にどれだけ「負担」させればいいと考えているのでしょうか?高所得者の税の支払いは、まだまだ足りないというのでしょうか。


「給与所得控除」縮小を検討。高所得の会社員は増税へ
11/17(金) 16:29配信
会社員の所得税を計算する際、一定額を経費とみなして税負担を軽くする仕組みについて、政府は、高所得者を中心に縮小する方向で、与党との調整に入った。
年収800万円~900万円以上は増税
年収が800万円~900万円程度以上の会社員は増税

給与所得控除と関係ないフリーランスなどで働く人に、減税の恩恵を拡大する一方で、年収が800万円から900万円程度以上の会社員は、増税になる方向。



消費税が導入されたときに、「やくざ(非合法)と坊主から、税金をとる」と言われました。日本の所得税は、公務員やサラリーマンはガラス張りですが、自営業や農家は「申告」なので、正確な所得が補足できないのです。
 


最新政治経済資料集 2017第一学習社 P217

所得に応じて税率が異なる
所得税は総収入から各種控除を引いた所得に課税される。
税務署が個人の所得の何割を把握しているかを示したものを所得捕捉率という。捕捉率は会社員が9(10)割、自営業者が6(5)割、農業者が4(3)割と言われ、「クロヨン(トーゴーサン)」といわれる。



http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-228.html
ショーエンk 『ぼうず丸もうけのカラクリ』ダイヤモンド社2009
P55グラフお寺を守る「10の結界」
寺税金

 上の図の税金が、全部タダです。もちろん、消費税もありません。戒名料・お布施が「税込108万円」とはならないのです。

 ですから、非合法活動や、宗教法人であっても、必ず「払う」税として、消費税の効能がうたわれたのです。「課税逃れ」ができないからです。

(2)法人税

 法人税は、企業の7割は払っていません。


http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei/04.htm
財務省

我が国の法人のうち、利益を計上し法人税を納めている法人は3割程度であり、残りの7割の法人は欠損法人になっています。資本金1億円超の大会社に限ってみても、利益を計上している法人は5割程度であり、残りの5割は欠損法人となっています。



 このように、所得税も法人税も、すべての課税対象者があまねく納める税金にはなっていないのです。

 また、日本は、法人税率を「引き下げ」ています。2016年度からは原則23.4%となりました。アメリカも引き下げる法案を固めました。


http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/09/20-36.php
アメリカ税制改革案、法人税20%に下げ 個人の最高税率も引き下げ

トランプ米大統領は27日、税制改革案を発表した。焦点となる連邦法人税率は現行の35%から20%に引き下げる。個人所得税は現在7段階に分かれている税率を12、25、35%の3段階に簡素化するほか、最高税率を39.6%から35%に引き下げる。



 理由は次の通りです。


最新 政治経済資料集 2017 第一学習社 p218
 国際化の流れの中で、法人税は引き下げ傾向…。法人税率の引き下げは、日本の企業競争力を高め、産業の空洞化を防ぐことが狙いである。



(3)国債に頼る?

社会保障 国債残高

 増え続けている国債残高、世界一の国債残高/GDP比です。ただし、この比が大きくなるから、財政破綻するわけではないことは示した通りです。

 一方、増税せずに、その分国債発行を増やし続けると、国家予算に占める「国債償還費」が増え続けるのです。


浜島書店 最新図説政経 2017 p219

日本とギリシャ国債の違い

日本の国債は、円で返済するので債務不履行には陥らない。しかしながら、①財政の硬直化②世代間の不公平③金利の上昇(注:国債価格の低下)といった問題が起こる。
財政の健全化の取り組みが必要である。



国家予算 歳出額


<国債費は、どこから調達しているか?>

2015 三面等価

 国債費は、その年の「S貯蓄」から出ています。

S貯蓄= I 企業投資+G-T財政赤字(政府投資)+EX-IM海外投資(対外純資産純増)

財政赤字からすると、政府の借金ですが、投資する側から見ると、企業投資(株や社債や借り入れ)と同じように、「日本国債券」に対する「投資」なのです。

その原資は、日本の「S総貯蓄」です。そこからしか「投資」できません。

新規国債も、新規企業投資も、対外投資も、すべてその年の新しい所得から出ているのです。

今年の貯蓄→今年の投資
今年の貯蓄=今年の借金総額

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/h27_kaku_top.html
内閣府 国民経済計算
フロー編
Ⅴ.付表
(18) 制度部門別の純貸出(+)/純借入(-)(Excel形式:50KB)


貯蓄 貸出 借り入れ

企業と家計の貯蓄額が、政府・海外の借金額に回っています。プラスとマイナスは必ず同額になります。

貯蓄総額=投資(借り入れ)総額

S=I


これが今年増えた「国富=ストック」です。新しい社屋や新しい工場や新しい店舗やトラックや、政府でいう高速道や、新滑走路や、新港や、対外純資産増なのです。

社会保障 ストック



社会保障 国富


これを使って、また次の年の新たなGDPを創造するのです。

この
今年の貯蓄=今年の借金総額
は、

過去の
貯蓄=借金総額

債権=債務

ストックに加わります。

日本金融資産 負債 8150兆円

消費増税を凍結しろという暴論2

<消費増税を凍結しろという暴論2>

 事実を箇条書きにしておきます。


(1)社会保障費は2025年に向って(団塊世代が後期高齢者)激増する。
①2015年の社会保障費119.8兆円、すでにGDPの1/5を超えている。
②2025年には、社会保障費は149兆円になる。GDPが毎年1.5%成長しても、24.8%=GDPの1/4になる。

(2)社会保障費は、われわれが払う毎年の「公的保険」と「税金投入(その1/3は公債)」で賄われている。
①社会保障費は、積み立て方式ではなく、毎年の「公的保険」徴収料でまかなう賦課方式である。
②「公的保険」は、被雇用者と雇用者(会社)が半分ずつ負担している。
③「公的保険」は、税金よりもはるかに多い、隠れた税である。
④「公的保険」は、結局「現役世代」が払っている。
⑤「税金」は、所得税+法人税=30.2兆円、消費税17.2兆円(2016年度)、結局「個人と会社」の現役世代が、圧倒的に負担をしている。
⑥所得税は、1000万円以上の給与所得者がその78%を負担している。
⑦法人税は7割の企業は赤字(倒産に至る赤字ではなく帳簿上の赤字)で払っていない。
⑧2025年には、社会保障費に対する税金投入割合が激増する。
⑨国家歳出の「社会保障費」は増大し続け、その分、他の予算が減っている。

(3)国債発行残高は、865兆円(29年度)
 ①日銀保有額は、前年比9.9%増の437兆円、保有比率は40.3%(29年6月)。
 ②民間金融機関の保有額は432兆円(39.9% 同)
 ③日銀は長期国債買い入れ額(保有残高の年間増加額)のめどを約80兆円とした。現在は、60兆円前後で推移。
④このままのペースで、8年後(2025年)には、日銀は現在の金融機関の持つ国債をすべて購入することになる。(ただし、新規発行国債は20兆円:29年度)。国債発行額1025兆円(8年後)の89.5%を日銀が保有することになる(単純計算)。
 ④国債残高/GDP比は、234%(2016年)。現状、暴落(インフレ・円)はない。
 ⑤ ④を拡散させないためには、「経済成長率>長期金利」が必要。しかし、バブル期以外の数年を除き、達成したことがない。
 ⑥ ④を拡散させないためには、プライマリーバランスの黒字化=財政の均衡化が必要。これは、現状も今後も「無理」⑤・⑥により、④は拡散し続ける。
⑦ ⑥により、国家歳出の「国債償還費」は増大し続け、その分、他の予算が減っている。



さて、これで

消費増税を凍結して、景気拡大をはかれ!
 消費税を上げなくても、成長すれば国の借金問題なんて解決する!

は、単なる「暴論」です。はっきり言うと「暴論」でも足りません。「バカ」です。


<社会保障費の全体像(マクロ)を見よう 財政の硬直化>


読売 2-17.10.8 社会保障費増大
読売2017.10.8

この119.8兆円、すでにGDPの1/5を超えています。これが「増える」といっても、全く理解できないようです。

社会保障 最新図説現社 浜島書店 2017年度

 「増える」のではなく「急増」なのが、理解できますか?

この内訳は、われわれが払う①「公的保険料」と②「税金投入(その1/3は公債)」で賄われています。②税金ですが、今でさえ、国家予算における「社会保障費」の伸びは、ムチャクチャなのです。

社会保障 予算増大

国家予算 歳出額


国家予算は、毎年「増え続け」ています。来年度も100兆円弱の予算が組まれそうです。理由は、①「社会保障費」が「伸び続け」ているからです。
伸びる第2の理由は、②「国債費元本返済+利払い費」の増大です。これも伸び続けています。
社会保障費や地方交付税交付金は、法律によって支払いが義務付けられています。減らせないのです。

社会保障 予算

問題は、国の予算は、「無限」ではないので、社会保障費が伸びる分、他の予算が「少なくなる」ということです。

国家予算 歳出額


公共事業費
教育関連費

が減っている理由が分かりますか?「アベノミクスを加速させるには、まだまだ公共投資が必要だ、国は減らし続けているんだ、財源は国債を増やせばいいんだ」など、バカそのものです。

国債は、「政府の借金=国民の財産」ですから、「借金が増えて、国民1人当たりの借金額が○○で」というのは、ナンセンスなことは説明しました。

また、ギリシャと違い、日本の国債は「円建て」ですので、原理的に国が「破産する」ことはないことも示しました。

国債に対する信用がなくなる=日本円に対する信用がなくなること(円札は国債などの資産を購入し、日銀が発行、要するに『国債=円札そのもの』)ですから、国債破綻は、円の破綻、通貨安・インフレのことです。円が暴落しても、国債の返済はその「安くなった円」で行われるので、原理的に破たんはしないのです。

国債増発の問題は、そこにはないのです。問題は、国債償還費(割合)が増え、国の予算が他の分野に回せなくなることなのです。


浜島書店 最新図説政経 2017 p219

日本とギリシャ国債の違い

財政破綻の危機に陥っているギリシャより、債務残高の対GDP比で高い日本で同様の問題が起こらないのはなぜか。…ギリシャは粉飾決済の発覚・景気悪化による税収不足により…外国資本が引き上げられ、資金不足となり海外に対して借金を払えなくなった(注:借金はユーロ建て債、ギリシャが発行できる紙幣ではない)。

日本の国債は、円で返済するので債務不履行には陥らない。しかしながら、①財政の硬直化②世代間の不公平③金利の上昇(注:国債価格の低下)といった問題が起こる。財政の健全化の取り組みが必要である。



この「社会保障費」「国債償還費」の伸びは、「ムダな予算を削る」「議員の数を減らす」「所得税・法人税収を増やす」レベルでは「焼け石に水」なのが理解できますか?

急増する社会保障費、国債償還費。減る一方のその他予算。これで「消費増税反対!」ですって?代案をどうぞ(笑)。

<社会保障費負担をマクロで見よう>

 社会保障費は、「公的保険+税金(国債)」でまかなわれています。

社会保障 最新図説現社 浜島書店 2017年度

社会保障費.jpg
社会保障費100兆円

社会保障費 (2)

 「公的保険」は増え続けています。
アベノミクスで、給与所得は上がっているのです。しかし、この「公的保険料」7がどんどん増えているので、「手取り」が増えていないのです。

読売 h28.4.22
健保組合 平均保険料率9年連続で増
平均保険料率は、9.103%(前年度比0.081%増)で9年連続の増。1人あたりの年間保険料は平均47万9354円(労使折半)。2007年度比較、1人当たり年間保険料は、約9万6000円増えた。




安倍政権後3年間に、2人以上世帯の、税(公的保険含む)の支出は、1月あたり、5000円弱増、可処分所得は2000円強の増です(総務省 日経2016.3.28)。



毎年1%程度、所得が伸びても、税金(公的保険)が伸びているのですから、可処分所得など増えません。

2015年、年金・医療・介護等の公的保険料は、66.9兆円です。所得税・法人税・消費税の56.3兆円を上回っているのです。消費税収など、16~17兆円程度しかありません(消費税率を1%上げたところで、2.5兆円程度の増税しかできません)。

この①公的保険料は「A本人負担+B企業負担」です。つまり、ほとんど「現役世代」が払っています。

 この「保険料」について、見ていきましょう。

 2015年、年金・医療・介護等の公的保険料は、①従業員負担35.3兆円+②事業主負担31.5兆円、合計66.9兆円です。所得税・法人税・消費税の56.3兆円を上回っているのです。

 この公的保険料は、「目に見えない税金」と同じなのです。

この「公的保険料」を、モデルで考えてみます。

月収40万円、給与年480万円+ボーナス120万円、年収600万円のサラリーマンで考えてみます。

この場合、手取り額は466.3万円(月31万円 ボーナス93万円)、公的保険90万円、税金43.8万円になります。

あなたの払っている税金は43.8万円、目に見えない税金(公的保険)は、その2倍以上、90万円も払っている!のです。

公的保険 税 支出 1

この公的保険金は、あなたが将来受け取るカネを積み立てているのではなく、賦課方式、つまり、今の「高齢者」に年金・医療・介護代として右から左に回っているのです。あなたが払った90万円など、あなたの老後には1円も残っていません。

よく、GPIF、政府の年金機構が積み立てた「年金」財源が話題になります。運用資産額149兆円(17年8月)、株式投資が寄与しただの、株価下落したら減るだのなんだの・・・。

こんな149兆円など、2016年度「年金予算額」56.7兆円ですから、3年も持たないカネにしかすぎません。年金に対する税金投入分を除いて、純粋に毎年の「給与所得者+雇用主」が払っている保険料支払い分35兆円で計算しても、4年ちょっと分にしかなりません。しかも、この積立金は、このまま順調に「なくなる」!予定です


http://www.nira.or.jp/outgoing/report/entry/n130222_696.html
総合研究所
積立金は2038年でなくなります。賃金が上がらないと、2032年に積立金はゼロになり、2050年には年金会計は、厚労省によると、最大800兆円の債務超過になります。



閑話休題

しかも、この90万円は、被雇用者が払っている分だけです。
2015年、年金・医療・介護等の公的保険料は、①従業員負担35.3兆円+②事業主負担31.5兆円、合計66.9兆円です。簡単に言えば、あなたの保険料と同じ程度、「会社」も払っているのです。公的保険は、企業も1/2負担しています。サラリーマンが90万円を負担しているとすれば、企業は88.75万円を負担しています。

社会保障 税と保険料

だから、年収600万のサラリーマンの場合、会社が払っている本当の給与は、688.8万円!
になるのです。「公的保険」の半分は、「会社」が負担しているのです!

公的保険 税 支出 2


企業にとっては、88.75万円を①本人に給与として払うか②国に保険料として払うかの違いだけであって、実質的には688.75万円をサラリーマン1人に「払っている」ことになるのです。

企業の負担する社会保険料は法人税の1.5倍!!!です。公的保険料という名の「目に見えない税」を、どれだけ払っているか、イメージできますか?

 「アベノミクスで賃金増がない!、恩恵などないんだあああ」など、「バカ」か?という話なのです。企業が賃上げすれば、企業は「公的保険増」という、隠れた税金を負担しているのです。しかも公的保険料は、毎年増加の一途です。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/h27_kaku_top.html
内閣府 国民経済計算 
フロー編
Ⅴ.付表
(10) 社会保障負担の明細表(Excel形式:51KB)

10.社会保障負担の明細表
(単位:10億円) 平成27年度(2015)

雇主の現実社会負担 29,527.8
家計の現実社会負担 34,949.4 
合計            64,477.2


読売 h28.4.22
健保組合 平均保険料率9年連続で増
平均保険料率は、9.103%(前年度比0.081%増)で9年連続の増。1人あたりの年間保険料は平均47万9354円(労使折半)。2007年度比較、1人当たり年間保険料は、約9万6000円増えた。




安倍政権後3年間に、2人以上世帯の、税(公的保険含む)の支出は、1月あたり、5000円弱増、可処分所得は2000円強の増です(総務省 日経2016.3.28)。



あなたの給与が1%上がっても、そのうち0.6%は公的保険料に、企業負担の保険料も実は0.6%増、企業は1.6%も「実質給与」を増やしているのです。

 企業の公的年金負担は、増え続けています。パート労働者なども、「厚生年金加入」が義務付けられたからです。これは赤字法人でも払わなければなりません。

企業にとっては個人負担も企業負担も「人件費」なので、パートを厚生年金に加入させると、時給をあげない限り、社会保険料の分だけパートさんがもらえる手取りの賃金は減るのです。

サラリーマンが負担している社会保険料35.6兆円を消費税に換算すれば税率14%相当、企業負担分も含めた66.3兆円で考えれば消費税は26.5%相当です。これが「公的保険」という名の「目に見えない税金」です。

理解できますか? 消費税率を2%上げる(5兆円税収増)のに賛成だの反対だの、「公的保険料66.3兆円=消費税率26.5%相当をサラリーマンと企業で負担済み」を考慮すれば、「そこを話して何が言いたいの?」レベルの、「枝葉末節」の話なのです。

 現行消費税を合わせれば、34.5%も「消費税(表に見える税金+目に見えない保険という税金)」が課されている計算になるわけです。

 年金で言えば、厚生年金(現在は共済年金との一本化)保険料率は2017年で引き揚げ停止になります。18.3%で「打ち止め」です。しかし、年金は今後も増え続けます。その差を埋めるのは、「税金(うち1/3は公債)」です。

 年金は増えるわ、それを支える保険料は据え置きだわ、税金投入はますます増えるわ・・・やっていることが、めちゃくちゃです。

 そして、この「公的保険」を負担しているのは、すべて「現役世代」だということです。会社も「現役稼働」の会社です。
 
65歳以上の人は、すでに27.3%です。4人に1人以上、基本的に無職、基本的に所得税など払っていません

サラリーマンが負担している社会保険料35.6兆円を消費税に換算すれば税率14%相当、企業負担分も含めた66.3兆円で考えれば消費税は26.5%相当、これをすべて「現役世代」が負担をして高齢者に回しているのです。

その「現役世代」が減り続けています。少子高齢化です。当然ですが、「働き手」の数も減り続けます。

社会保障 人口減

 その結果、社会保険を支払っている現役世代で、何人の高齢者を支えるかという割合も、どんどん負担が多きくなっていきます。

社会保障 人口支え

 2030年には1/2以下です。あと13年なんて、あっという間ですよ!

こんなに「現役世代」が減り続けているので、すでに、基礎年金(国民年金)など、「払う人<受け取る人」になっているのです!!!!!

もらう人 払う人 国民年金


 公的年金も、税金部分の「所得税」も「法人税」も、全部「現役世代」負担なのです。

 しかも、現役世代には「貯蓄」などありません。よく言われるように、家計金融資産の1800兆円の家計金融資産の半分は、60歳以上の高齢者が持っています。

社会保障 高齢者 貯蓄


増えつづける社会保障を、消費増税なしで乗り越えるというのは、すべて「現役世代の負担割合をどんどん増やせ!」「金持ちの高齢者を、貧乏な現役世代が負担するのだ!」という、「現役世代さんよ、お前たちはマゾヒストなのか?」という話なのです。

消費増税凍結しろという、暴論 その1

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-1125.html
アサヒが値上げをすると、キリンも必ず値上げする! 寡占市場の法則

ほら、ね!(笑)



サントリーもビール値上げへ…アサヒに続き
2017年11月21日 19時34分 読売新聞

サントリーホールディングスは21日、瓶ビールや飲食店向けの樽たる詰めビールの一部商品を2018年4月出荷分から値上げすると発表した。
 「ザ・モルツ」大瓶(633ミリ・リットル)の店頭価格は1割程度上がるとみられる。ビール業界では最大手のアサヒビールがすでに18年3月からの値上げを決めており、同様の動きが広がってきた。



続々と・・・


2017年11月28日 18時38分
産経新聞
キリンビールは28日、業務用のたる詰めビールを中心に容器回収タイプの酒類を来年4月1日に値上げすると発表した。

 アサヒビールが来年3月、サントリーホールディングスは4月出荷分からの値上げを決め、サッポロビールも近く発表する方向で検討しているという。3社とも缶製品は値上げしないが、瓶ビールの場合は店頭価格が10%前後高くなる見込み。



はい、完成(笑)


ホウドウキョク11/29(水) 19:34配信

サッポロ業務用ビールなど10年ぶり値上げへ

サッポロビールは、主に業務用に販売しているビールなどを10年ぶりに値上げすると発表した。これで、大手4社がそろって値上げとなる。
サッポロが値上げするのは、2018年4月1日以降に出荷するビールや発泡酒、第3のビールの瓶や、たる詰めなどが対象で、缶ビールは入らない。
人手不足を背景にした物流費の高騰などが理由で、値上げは、10年ぶりとなる。
値上げ幅は公表していないが、大瓶の店頭価格は、10%前後上がる見通し。
ビール業界では、アサヒ、サントリー、キリンが、2018春からの値上げをすでに発表していて、大手4社が、足並みをそろえた形となった。



<消費増税凍結などムリ その1>

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-1127.html
未来が現在を決める 現代経済学の本質 その2 & 内部留保に課税など、無理

 上記記事において、「消費税増税は不可避」ということ(将来的にはEUなみの15%~0%は必要です)を書いたところ、コメントに反論が来ました。

通りすがり
・消費税を推進する奴等は佐川と同じで国民を謀る嘘吐きです。 昔のように広報とマスゴミで騙せる時代ではありません。
・借金依存は累進強化で解決


 このコメントに対し、「では、増大する一方の社会保障をどう賄うのですか?代案をお願いします」と書いたところ、通りすがりさんからは、返事がありませんでした。

 当たり前です。この方は、

1.税金の全体像が全くわかっていない
2.社会保障の全体像が全くわかっていない

 からです。

①については、法人税は、7割の企業は払っておらず、所得税の課税対象額は110兆円程度にすぎず、しかも、1000万以上の所得者が76.5%も負担しています。

消費税の代わりに、所得税の累進税率を上げたり、法人税率を上げたり・・・では、社会保障には対応できないのです。

そして、何よりこういう人は、

2.社会保障の全体像が全くわかっていない

のです。

これは、すべてにおいていえることです。「マクロ=全体像」がまったく見えていないので、「消費税増税反対」などと、枝葉末節でしか論じることができません。「木を見て森を見ず」の典型です。

 消費増税を凍結して、景気拡大をはかれ!
 消費税を上げなくても、成長すれば国の借金問題なんて解決する!
 公共投資をしろ!

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12327955558.html
まず、需要ありき(後編)
三橋貴明


http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/archives/259
公共投資が亡国を救う 10年で100兆円
京都大学大学院教授 藤井聡 


 これらも同じです。日本のこれから=(1)社会保障がどうなるか(2)少子高齢化とは何か(3)国の予算はどうなっているかがまったくわかっていません。近視眼そのものです。

 数回にわたって、なぜ「消費増税」しか方法がないのか、解説します。その前に、簡単に説明できる、暴論2例を排除しておきます。

<暴論その1>

 国債を増発して紙幣を発行し、国民に配れとか、政府紙幣を発行しろなど、論外です。

市場モデル

市場モデル 22

 国民総生産(GDP)には限界があるのに(資源も人も)、紙幣だけ増発すると、インフレになります。インフレは、資産=負債(ストック)を棄損します。過去の借金=は名目だからです。

 インフレで、給与が2倍になります。名目GDPも2倍になります。しかし、生産できるモノ・サービス量は2倍にはならないので、実質的にはまったく豊かになっていません。給与が2倍になっても、カップめんが150円のところ、300円になるだけです。

注)あの、インフレ率はあくまでも「例」であって、100%だろうが、10%だろうが、1%だろうが、その本質は同じです。インフレは過去のストック 金融資産=負債を目減りさせることを理解しましょう。過去の預貯金・借金は名目で示されるからです。

一方、預貯金も減ります。家のローンのために貯めた頭金1000万円は、500万円の価値にしかなりません。家の購入額も3000万円の家がインフレで6000万円になっているからです。

 貸した方も大変です。銀行は1000万円貸していたところ、実質500万円しか返済されずにチャラです。国債の借金1000兆円は実質的に500兆円ほどに目減りします。外国人投資家が持つ日本国債10%も、実質的に半額返済になってしまいます。外国人投資家は怒ります。2度と日本に投資などするものか!

 1ドル100円だったものが、200円になります。ドル高円安です。

 アルゼンチンやブラジルの信用がないのも、ペソやレアルの暴落・・・こんなことを何度も繰り返しているからです。

インフレはこのように、借金棒引き令=江戸時代の毀損令・徳政令のことです。通貨の信用価値が毀損するのです。国民の金融資産=負債8150兆円は、半分の価値になってしまうのです。

注)デフレは逆です。過去の預貯金・借金が実質的に大きくなります。たかが1%というかもしれませんが、1%負担が増えると、過去のストック負債8000兆円は、80兆円も実質負担が増えることになります。デフレは、恐ろしいのです。

日本金融資産 負債 8150兆円

 ですから、中銀の使命は、「通貨価値の安定」なのです(日銀法第1条2条)なのです。インフレは、あなたの預貯金を、ボロボロにするのです。戦後の300%を超えるハイパーインフレは、今でいう郵便貯金10000円を30円にしてしまったのです。それで、国は、戦時国債・軍人恩給を実質的に「チャラ」にしたのです。

 余談ですが、経済学では、「幕府崩壊」はインフレによるものです。中国各王朝の後退も同様です。

<暴論その2>

 消費税を上げたから、消費が増えないのだ。だから、増税するな。

 国民の所得は、消費+税金(公的保険含む)+貯蓄です。まず、2012年以降、国民の所得(GDI)は増えています。GDPが増えているのだから当然です。
 
その所得の使い道ですが、国民は圧倒的に「貯蓄」を増やしています。消費は増えていません。税・公的保険も上昇中です。

貯蓄増

アベノミクスで、給与所得は上がっているのです。しかし、この「公的保険料」がどんどん増えているので、「手取り」が増えていないのです。

読売 h28.4.22
健保組合 平均保険料率9年連続で増
平均保険料率は、9.103%(前年度比0.081%増)で9年連続の増。1人あたりの年間保険料は平均47万9354円(労使折半)。2007年度比較、1人当たり年間保険料は、約9万6000円増えた。


安倍政権後3年間に、2人以上世帯の、税(公的保険含む)の支出は、1月あたり、5000円弱増、可処分所得は2000円強の増です(総務省 日経2016.3.28)。

毎年1%程度、所得が伸びても、税金(公的保険)が伸びているのですから、可処分所得など増えません。

 閑話休題

 消費が増えないのは、消費税が増税されたからだ!の根拠は、

総務省 家計調査
平成29年(2017年)9月分の消費支出は,1世帯当たり268,802円で,前年同月比実質0.3%の減少となりました。
消費支出(除く住居等)は,前年同月比実質0.7%の減少となりました。


 このような数値をもとに、「消費増税後、消費は伸びていない!原因は消費増税だ!」といいたいのでしょうが、総務省調査では、「自動車購入費や仕送り」は入っていません。

まあ、それでも全部を含めたGDE(国民総支出)でも、確かに消費税導入後の2014年度以降、総消費支出も家計総消費も増えていないので、「ほらやっぱり、消費税のせいだ!」といいたいのは、分かります。

 ですが、家計は「消費を減らし、貯金を増やしている」のです。「消費増税後、消費が減った」というのは一見説明できそうに見えますが、この論法では「消費増税後、消費を減らし 貯蓄が増えた」事実を説明できません。

 繰り返しますが、所得は「消費+貯蓄」です。「所得増で、貯蓄増」になっているのです。「消費増税すると、貯蓄が増える」など、まったく説明になっていません。

 これも木を見て森を見ず、要するに所得「①消費+税+②貯蓄」の、消費にしか目が行っていない証左です。お話になりません。

 マクロ=全体像が見えていないから、こういうことになります。では、次回以降、「消費増税をするな論」が、いかに「マクロ的視点=大きな視点」を欠いているかを説明します。

補遺

 消費増税すると、消費減になり、GDPが成長しない・・すべてがそういうわけではありません。


日本総研 2013年9月24日
欧州の事例から読み解く消費増税の影響

一方、税率引き上げ後の実質個人消費の推移をみると、駆け込みがみられた国では、税率引き上 げ直後こそ反動により消費が減少するものの、その後は緩やかに消費が持ち直していくのが通 例。税率引き上げ後に消費が失速したのは、イタリア(11年)、スペイン(10年、12年)に限定 。




三菱UFJ信託銀行
2014 10 
日本の消費増税とグローバル比較

イギリスは2年続けて段階的に増税を行っており、日本の 2014 年4月と 2015 年 10 月の段 階的な増税を考える上で参考になる。 2010 年1月(15%→17.5%)と 2011 年1月(17.5%→20%)の付加価値税引き上げ時の景気 動向を図表 10 から分析すると、付加価値税引き上げ前後の個人消費の寄与度から増税前の駆 け込みと反動が確認できる。ただし、その後の景気後退にはつながっておらず、駆け込みと 反動による景気の抑揚はあるものの、景気への影響が深刻とは評価できない。

ドイツでは 2007 年1月に 16%→19%に付加価値税が引き上げられた。図表 12 から GDPの 寄与度をみると、増税前後での駆け込みと反動は確認できるが、その後も景気後退には至っ ていない。個人消費の短期的な上下はあるものの、均してみると景気への影響は非常に限定 的であったといえる。

イタリアでは 2011 年9月に付加価値税が 20%から 21%に引き上げられた。図表 14 から消 費増税後に景気後退へと向かったことが分かる。消費増税後の個人消費支出はマイナスが継 続しており、GDP成長率にマイナス寄与していたことが分かる。

消費税は、不平等? いいえ、長期的には平等です

<消費税は、不平等? いいえ、長期的には平等です>

 今回の衆院選は、消費税10%、是か非かも争点になっているようです。

旧聞になりますが、消費税は「長期的には平等」という説明をしました。

クリック

税 その3 「税金の無駄を削れ、国会議員を減らせでは対応できない」

クリック

大竹文雄 阪大教授 『経済教室:消費税と所得税 どう違う』日経

 消費税が不平等というのは、「所得の少ない層は、消費額/所得額の割合が高く、所得の高い層はその割合が低い」というものです。

消費税   2

消費の年収に占める割合

 年収が300万円未満、低ければ低いほど、所得に対する消費割合は大きく、貯蓄の割合は少なくなります。生活保護の場合は、ほとんどが「消費」に回り、「貯蓄」に回る割合は極端に少なくなります。

 確かに高所得者の場合は、その所得のうち、貯蓄に回す割合が高くなるのですが、「貯蓄」は何のためにするかと言えば、「将来に消費する」ためです。

貯蓄=将来消費

佐藤主光(一橋大) 日経H24,10,29『第1章 税の仕組みと本質』 
…生涯の所得と費やす消費はおおむね等しくなります。今日の貯蓄も将来の消費に備えたものです。消費税は生涯ベースの課税とも言えます。



大竹文雄 阪大教授 『経済教室:消費税と所得税 どう違う』日経H22.9.6

 …消費税には「低所得者の方が税負担が重くなるという逆進性がある」との批判が根強い。…①一方、消費税の逆進性については、最近の経済学ではかなり懐疑的な意見が多い。

…生涯所得の大きさ別に消費税の負担率を分析した大阪大学の小原美紀准教授と筆者との共同研究では、生涯所得に対する消費税の負担率には逆進性がほとんど確認されなかった。



 その人の一生というスパンで見ると、結局、過去の貯蓄は、老後に使用されます。ですから、消費税は、一生という「長期」で考えると、税率通り、すべての所得階層のひとが「平等」に支払う「税」ということになるのです。

 また、消費税は、グローバル化時代に適した税でもあります。その国の「消費(企業投資も同じ)」にあまねく課税され、本社を「法人税率の低い国に移して、課税を逃れる」ことなど、できないからです。

読売h29.10.4
「アマゾン330億円追徴課税 欧州委ルクセンブルクに命令」

欧州委員会は4日、ルクセンブルク政府が米アマゾン・ドット・コムに適用していた法人税の優遇措置について、「違法な国家補助」に当たると認定した。

アマゾンはルクセンブルクに子会社2社を設立し、そのうち1社に欧州での事業を通じて利益を集めた。この子会社はルクセンブルク政府の課税対象だったが、アマゾンは課税対象ではない別の子会社に利益を移し、法人税の支払額を減少させていたという。

欧州委は…米国を中心とした多国籍企業の税逃れ対策を強化している。


 
 法人税率は、日本の場合、もう上げることができません。


2017/9/28 5:48 日経

米大統領「歴史的な減税」 法人税下げ20%案を発表

トランプ米大統領は27日、連邦法人税率を35%から20%に下げる税制改革案を正式に発表した。中西部インディアナ州で演説して「歴史的な減税で、米国に企業と雇用を取り戻す」と主張。賃上げなどで中間所得層に恩恵が及ぶとした。ただ、野党・民主党は個人所得税の最高税率引き下げなどを「富裕層優遇だ」と批判しており、議会審議は難航も予想される。



 世界中で、「自国に投資してもらおう、進出してもらおう」と「法人税率引き下げ競争」が起きています。

世界経済のネタ帳
米  38.91
仏  34.43
独  30.18
日  29.97
北欧3国 22
英  19
ハンガリー 9
 
露骨と言えば露骨ですが・・・(笑)
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