『無料高速、鉄道に打撃』日経H22.8.20
『無料高速、鉄道に打撃』日経H22.8.20
6月28日に始まった高速道路無料化実験のあおりで、鉄道の乗客数が減少している。…(JR北海道)…6月28日~7月31日の乗客数は…前年同期比5%減少。…移動手段が自動車に移っているようだ。
…滝川-旭川間の乗客数は、前年同期比6%減…同路線に並行する道央道の利用台数は急増し…平日で2.0倍、休日も1.9倍となった。

<代替効果・所得効果>
北海道の高速道路料金が、無料化実験で安くなりました。無料化実験区間を含むと、札幌⇔旭川間(123キロ)が、普通車3250円だったところ、1000円になりました。
一方、札幌⇔旭川間のJR特急料金は4680円です。このように、車と電車のように、同じ種類の欲求を満たすもの(財・サービス)を、代替財と言います。
以下、ミクロ経済学の予算制約線を使用します。
(1)家計の予算線
ミクロ経済学「家計の予算線」から,学んでゆきます。
①家計とは,②企業,③政府と並ぶ,消費の主体です。要するに,商品を「誰が」買うのかという時の,「誰」のことです。商品とは,携帯電話機,自動車などのいわゆる形があるモノと,電話代,交通費など,形に残らないサービスという2つがあります。その商品を誰が買うのでしょう。
その買い手の代表が、①家計です。これは,個人,消費者のことです。つまり,我々1人1人のことですね。これをまとめて①家計と言います。あとは,②企業が,机や原材料や建物を買う,③政府が,車やペンや建物を買うという,これが,消費者側の全てです。(正確には,これに外国を加えます)
さて,では,私たち消費者は,どのように商品(モノ・サービス)を購入するでしょうか。まず,最も単純な場合を想定しましょう。商品は,食料品と,衣料品の2つだけとします。その,2つの価格はすでに決められています。また,我々の支出できる額=所得も決まっています。普通は,給料とか,アルバイト代などですね。その決まった額の中で我々は商品を購入します。
①所得は,1万円とします。
②衣料品は1000円です。
③食料品は200円です。
私たち消費者は,1万円の中から,何をいくつ買うかを決めます。例えば,今月は衣料品を10枚購入するとします。10枚×1000円ですから,1万円を使い切ることになります。また,全ての所得を食料品につぎ込むこともできます。200円の商品を50個まで購入することが可能です。まあ,普通は,食料品だけ,衣料だけという購入はないでしょう。例えば食料品を25個,衣料品を5枚などという組み合わせで購入すると思います。
その購入の仕方をグラフにすると,次のようになります。

図の直線abが,1万円の所得線です。a点だと,食料品0個,衣料品10枚(10枚×1000円)を示します。同じく,b点は,衣料品0枚,食料品50個(50個×200円)を示します。この線上が,1万円の所得で買える最大の組み合わせなので,予算線といいます。所得が1万円なので,この線以上は,購入できません。
例えば,d点は,1万円では,購入できない量を示しています。また,e点は,1万円を全て使わずに,購入した場合を示します。c点は,衣料品5枚×1000円=5000円,食料品25個×200円=5000円,あわせて1万円ですから,所得を全て使い切った場合を示しています。
予算線は,私たちが消費できる商品の,量の範囲を示しています。abの線上・内側であれば,どの組み合わせを選択してもかまいません。
それでは,所得が増えたら,どうなるでしょうか。アルバイト代が,1万円から,2万円になったとします。

所得が2万円に増えると,選択肢が増えます。衣料品は,20枚まで購入できます。20枚×1000円=2万円です。また,全て食料品にあてると,100個購入できます。100個×200円=2万円です。予算線は,abから,ABにシフトします。所得が増えるということは,私たちの商品購入の選択肢が拡大するということですね。
この図では,商品は2つしかありませんが,実際には世の中に,たくさんの商品があふれています。音楽ダウンロードでも,新しいシャツでも,所得が増えると,購入する選択肢が増えるのです。だから,アルバイト代が増えたら,私たちはうれしいのですね。
また,グラフを見ると,三角形の大きさが大きくなっていることが,分かると思います。三角形が大きくなるということは,実質所得が増え,商品購入の選択肢が拡大したことを示すのです。
次に,衣料品や食料品の価格が安くなったらどうなるでしょうか。食料品が,安くなったとします。今まで,1個200円だったものが,100円に値下がりしたとします。

b点は,衣料品0枚,食料品50個(50個×200円)を示しました。今,食料品の値段が100円に値下がりしたので,所得1万円の所得で買える最大の食料品は100個(100個×100円)になります。1万円という予算は変わりませんが,食料品を購入できる個数が増えたため,予算線は,abから,aBにシフトします。商品の価格が安くなるということは,私たちの商品購入の,選択肢が拡大するということですね。
昔は,ファストフード店のハンバーガーが,1個180円だった時代がありました。それが今は1個100円でも購入できます。高校生の皆さんがファストフード店を気軽に利用できるようになったのも,商品価格の下落ということが背景にあるのです。
また,グラフを見ると,三角形の大きさが大きくなっていることが,分かると思います。三角形が大きくなるということは,実質所得が増え,商品購入の選択肢が拡大したことを示すのです。
所得が増えても,商品の価格が下がっても,家計の消費可能な範囲が拡大し,三角形は大きくなります。
(2)JRと高速道路の場合

ここで、高速道が、3250円から、1000円に下がったとします。

鉄道の需要量が減り、高速道路の需要量が増えています。新しい最適点C´は、当初の最適点Cより、右下に来ています。この場合は、財2「鉄道」は財1「高速道路」の代替財と言えます。
また、財1の価格が下がったので、相対的に財2の価格が割高になります。相対的に高い財から、相対的に安い財に需要が移るので、「こっち(財2)の代わりにあっち(財1)を買おう」ということが起こったので、 「代替効果」と言います。

次に、この図のC1のように、財1の価格が下がっても、財2の需要量が変化していない場合があります。これは「独立財」といいます。
たとえば、財2が旭川方向と、反対の方角の鉄道の場合です。たとえば、札幌⇔千歳空港間のJRの場合、札幌⇔旭川間の高速道路料金の低下の影響はありません。
また、C2のように、財1の価格が下がると、財2の需要量も増える場合があります。
たとえば、財1札幌⇔旭川間の高速道路の値段が下がり、通行料が増えると、その間のパーキングエリアのお客さんも増えます。そうすると、たとえば、パーキングエリアの「お土産」の売り上げがアップします。このような財を「補完財」といいます。
6月28日に始まった高速道路無料化実験のあおりで、鉄道の乗客数が減少している。…(JR北海道)…6月28日~7月31日の乗客数は…前年同期比5%減少。…移動手段が自動車に移っているようだ。
…滝川-旭川間の乗客数は、前年同期比6%減…同路線に並行する道央道の利用台数は急増し…平日で2.0倍、休日も1.9倍となった。

<代替効果・所得効果>
北海道の高速道路料金が、無料化実験で安くなりました。無料化実験区間を含むと、札幌⇔旭川間(123キロ)が、普通車3250円だったところ、1000円になりました。
一方、札幌⇔旭川間のJR特急料金は4680円です。このように、車と電車のように、同じ種類の欲求を満たすもの(財・サービス)を、代替財と言います。
以下、ミクロ経済学の予算制約線を使用します。
(1)家計の予算線
ミクロ経済学「家計の予算線」から,学んでゆきます。
①家計とは,②企業,③政府と並ぶ,消費の主体です。要するに,商品を「誰が」買うのかという時の,「誰」のことです。商品とは,携帯電話機,自動車などのいわゆる形があるモノと,電話代,交通費など,形に残らないサービスという2つがあります。その商品を誰が買うのでしょう。
その買い手の代表が、①家計です。これは,個人,消費者のことです。つまり,我々1人1人のことですね。これをまとめて①家計と言います。あとは,②企業が,机や原材料や建物を買う,③政府が,車やペンや建物を買うという,これが,消費者側の全てです。(正確には,これに外国を加えます)
さて,では,私たち消費者は,どのように商品(モノ・サービス)を購入するでしょうか。まず,最も単純な場合を想定しましょう。商品は,食料品と,衣料品の2つだけとします。その,2つの価格はすでに決められています。また,我々の支出できる額=所得も決まっています。普通は,給料とか,アルバイト代などですね。その決まった額の中で我々は商品を購入します。
①所得は,1万円とします。
②衣料品は1000円です。
③食料品は200円です。
私たち消費者は,1万円の中から,何をいくつ買うかを決めます。例えば,今月は衣料品を10枚購入するとします。10枚×1000円ですから,1万円を使い切ることになります。また,全ての所得を食料品につぎ込むこともできます。200円の商品を50個まで購入することが可能です。まあ,普通は,食料品だけ,衣料だけという購入はないでしょう。例えば食料品を25個,衣料品を5枚などという組み合わせで購入すると思います。
その購入の仕方をグラフにすると,次のようになります。

図の直線abが,1万円の所得線です。a点だと,食料品0個,衣料品10枚(10枚×1000円)を示します。同じく,b点は,衣料品0枚,食料品50個(50個×200円)を示します。この線上が,1万円の所得で買える最大の組み合わせなので,予算線といいます。所得が1万円なので,この線以上は,購入できません。
例えば,d点は,1万円では,購入できない量を示しています。また,e点は,1万円を全て使わずに,購入した場合を示します。c点は,衣料品5枚×1000円=5000円,食料品25個×200円=5000円,あわせて1万円ですから,所得を全て使い切った場合を示しています。
予算線は,私たちが消費できる商品の,量の範囲を示しています。abの線上・内側であれば,どの組み合わせを選択してもかまいません。
それでは,所得が増えたら,どうなるでしょうか。アルバイト代が,1万円から,2万円になったとします。

所得が2万円に増えると,選択肢が増えます。衣料品は,20枚まで購入できます。20枚×1000円=2万円です。また,全て食料品にあてると,100個購入できます。100個×200円=2万円です。予算線は,abから,ABにシフトします。所得が増えるということは,私たちの商品購入の選択肢が拡大するということですね。
この図では,商品は2つしかありませんが,実際には世の中に,たくさんの商品があふれています。音楽ダウンロードでも,新しいシャツでも,所得が増えると,購入する選択肢が増えるのです。だから,アルバイト代が増えたら,私たちはうれしいのですね。
また,グラフを見ると,三角形の大きさが大きくなっていることが,分かると思います。三角形が大きくなるということは,実質所得が増え,商品購入の選択肢が拡大したことを示すのです。
次に,衣料品や食料品の価格が安くなったらどうなるでしょうか。食料品が,安くなったとします。今まで,1個200円だったものが,100円に値下がりしたとします。

b点は,衣料品0枚,食料品50個(50個×200円)を示しました。今,食料品の値段が100円に値下がりしたので,所得1万円の所得で買える最大の食料品は100個(100個×100円)になります。1万円という予算は変わりませんが,食料品を購入できる個数が増えたため,予算線は,abから,aBにシフトします。商品の価格が安くなるということは,私たちの商品購入の,選択肢が拡大するということですね。
昔は,ファストフード店のハンバーガーが,1個180円だった時代がありました。それが今は1個100円でも購入できます。高校生の皆さんがファストフード店を気軽に利用できるようになったのも,商品価格の下落ということが背景にあるのです。
また,グラフを見ると,三角形の大きさが大きくなっていることが,分かると思います。三角形が大きくなるということは,実質所得が増え,商品購入の選択肢が拡大したことを示すのです。
所得が増えても,商品の価格が下がっても,家計の消費可能な範囲が拡大し,三角形は大きくなります。
(2)JRと高速道路の場合

ここで、高速道が、3250円から、1000円に下がったとします。

鉄道の需要量が減り、高速道路の需要量が増えています。新しい最適点C´は、当初の最適点Cより、右下に来ています。この場合は、財2「鉄道」は財1「高速道路」の代替財と言えます。
また、財1の価格が下がったので、相対的に財2の価格が割高になります。相対的に高い財から、相対的に安い財に需要が移るので、「こっち(財2)の代わりにあっち(財1)を買おう」ということが起こったので、 「代替効果」と言います。

次に、この図のC1のように、財1の価格が下がっても、財2の需要量が変化していない場合があります。これは「独立財」といいます。
たとえば、財2が旭川方向と、反対の方角の鉄道の場合です。たとえば、札幌⇔千歳空港間のJRの場合、札幌⇔旭川間の高速道路料金の低下の影響はありません。
また、C2のように、財1の価格が下がると、財2の需要量も増える場合があります。
たとえば、財1札幌⇔旭川間の高速道路の値段が下がり、通行料が増えると、その間のパーキングエリアのお客さんも増えます。そうすると、たとえば、パーキングエリアの「お土産」の売り上げがアップします。このような財を「補完財」といいます。
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