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国際収支表

高橋洋一という、詐欺師

この、高橋洋一というデマゴーグは、北海道民を馬鹿にしています。「財界さっぽろ」という月刊誌に、「官僚にだまされるな」という連載をし、ウソ・デタラメ・デマばかり書き、北海道民を愚弄しています。

北海道民は「北海道新聞」というクオリティーペーパーを愛読する、大変知性の高い人々です。それを愚弄するなど、許せません(笑い)。

まあ、これは冗談ですが、まあまあ、彼のやっていることのレベルの低さ・・・。本人、自分自身で何をやっているんだか、さっぱりわからないのでしょうねえ。

これを「経済学者」とあがめる人たちも終わっています(その人たちも高橋がトンでも論者だということに気づいていないということです)。

貿易に関する記事です。

財界さっぽろ 2015.7月号「高橋洋一の官僚にだまされるな」第39回

昨年末の対外純資産残高が、3年連続で過去最高を更新し、24年連続で世界一になったと報じられた。
世界一と聞くと何か誇らしげに感じるかもしれないが、経済学的な意味はそれほどない。

国際収支を復習すると、複式記帳になっているので、経常収支黒字(赤字)は、必ず外貨準備増減を含む広義の資本収支赤字(黒字)に等しくなる。資本収支赤字は、カネが出ていくことであり、資本供給、つまり対外資産を獲得するともいえる。



本当に、この人「ウソつき、でたらめ、デマゴーグのオンパレード」です。「害」です。

以前も、高橋が未だに紹介している、「怪しい経済学?」なるものを、扱ったことがあります。

高橋洋一(嘉悦大)@YoichiTakahashi 5月2日

バランスシート。簿記を小馬鹿にする官僚、経済学者等のエリートはこれがわかっていないので日本の財政状況も把握できていない。バランスシートの観点から経済問題を書いたこともある→バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる http://www.amazon.co.jp/dp/4334035973
posted at 11:21:34




これ、今年のツイートです!!!!!


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高橋洋一 嘉悦大


2011年2月の記事ですから、5年も前のものです。今になると、私と高橋のどちらが正しいかは、一目瞭然ですが・・・

 私、むかあし、むかし、この人「高橋洋一」は、「国際収支を全く理解していない」と、批判しました。そうすると、彼のお友達「○○さん(著名人)」から、たくさんの「高橋洋一擁護」メールをもらいました。

 私は、「高橋洋一は『国際収支は複式簿記(結果的にバランスシート)の要領だ』とまでは理解しているが、その中身や、つくられ方など、まったく勉強したことがないし、理解していない」と答えました。
そのお友達は、納得していないようでしたが・・私は回答をやめました。要するにそのお友達も「国際収支」を理解していないということなのですが・・・


 さて本題。高橋は、前回記事のように、「国際収支」だの、「輸出だの、輸入だの、GDP」だの、さも、「国際経済」を分かったかのように解説していますが、上記引用記事を読めば、でたらめであることがはっきり分かります。

記事は、2015年7月号ですから、6月発売、原稿は5月に脱稿したとしましょう。では、その時点で最新データであり、既に発表されていた、2015年2月の「国際収支」を、見てみましょう。

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平成27年4月8日 財務省 平成27年2月中 国際収支状況(速報)の概要

国際収支1
国際収支2


高橋の言う「外貨準備増減を含む広義の資本収支」という文言など、どこにもないですね。そりゃそうです。IMFマニュアルが、5版から6版に変わってから、この時点で、1年以上経過しているからです。私も、下記記事で扱いました。

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17年ぶりに、国際収支表の書き方が大・大・大変更!!!という話

 アジア通貨危機を経て、金融収支(フィナンシャル・アカウント)と、「外国から投資されている国か、外国へ投資している国か」というのが、一目でわかるように、マニュアルが変更されたのです。
 その際に、この「海外からの投資額」によって、ショックの度合いが、国ごとに大きく違っていたからです。

 ということは、高橋は、「国際収支」だの、「輸出だの、輸入だの、GDP」だのとほざいていますが、肝心の「国際収支表」すら、1年間:12回(1月ごとに発表)、まったく「見たことない」のです。いや、それ以前から、「変更された」ことすら、「知らない、調べていない、情報として入っていない」のです。
 
 この人、本当に終わっているでしょう?

 これで、学生に「国際経済」どうやって教えているんだか・・・

 むかあし、むかし、「法科大学院」というのができたときに、ありとあらゆる大学が乱立し、教える講師の数が足りなくなったことがありました。その時かき集めた「法曹家」は、まさに玉石混淆、ひどいのもいました。

 法律行為をする主体で、下記の人たちは、除外・制限されています。

ウイキペディア
制限行為能力者(せいげんこういのうりょくしゃ)とは、単独では完全に有効な法律行為をすることができない者(行為能力の制限された者)のことをいう。
具体的には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、民法第17条第1項の審判(同意権付与の審判)を受けた被補助人[1]を指す(民法20条第1項参照)。



 このように民法が変わっている(かたかなからひらがな表記というだけでも大変更)のに、その「石」の方の講師は、「禁治産者」とか「準禁治産者」と、講義していたのです。

 高橋のレベルは、これなみです。

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高橋洋一 嘉悦大

 ついでに、上で紹介した2011年記事の中で、「外貨準備を崩して、国家予算に使え」と、原理的にできもしないことを、2015年現在、未だに高橋が話していますが、これも「アホ論」であることを、後日述べます。

 2011年当時より、外貨準備については、もっと複雑になっています。もちろん、高橋は、その内容など、まったく勉強していません。要するに、高橋は、「研究・勉強」など、まったくしていないのです。

高橋洋一(嘉悦大)@YoichiTakahashi 2016年4月27日

経済マクロモデル。エコノミストの実力を見るには経済マクロモデル(連立方程式)を作った経験を聞くといい。この経験がない人はまずダメ。経済変数相互間の関係がわからないから、特定部分の結論ありきの話になる。マクロモデルが分かる人はすべての経済変数にどう影響するかがわかるから話が整合的
posted at 10:24:32



何が変数だか・・・高橋の言う変数とは、例の、なんでもかんでも「エクセル」にぶちこんで、「関係があるだのないだの」というアホ論です。

財界さっぽろ 2015.7月号「高橋洋一の官僚にだまされるな」第39回
 
1980年から2012年までの世界各国の平均経常収支対GDP比と平均実質成長率について、国際通貨基金 IMF のデータで見て相関係数を計算すると、0.00となって経常収支対 GDP 比と実質経済成長率には何ら関係がないことがわかる。



高橋にかかると、そのうち、「太陽の黒点の増減」と「GDP伸び率」をくらべて、「両者には関係がない」と言い出しそうです(笑い)

繰り返しますが、「害」です。高橋のウソ・デタラメは、まだまだ続きます・・・

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17年ぶりに、国際収支表の書き方が大・大・大変更!!!という話

<17年ぶりに、国際収支表の書き方が大・大・大変更!!!という話>

 今年3月発表分(数値は1月分)の、国際収支表から、基準が変わります。どれくらい変わるかと言うと、天地がひっくり返るほど、変わります。

今までは、「経常赤字資本黒字」で、「海外の国内投資額>日本の海外投資額」のこと、「経常黒字資本赤字」は、「海外の国内投資額<日本の海外投資額だから、対外純資産増加のこと」となっていました。

 「赤字が増えれば、黒字も増え、黒字が増えれば、赤字が増え」と説明してきました。

しかし、今回の改訂(IMF)からは、「赤字が増えれば赤字増」、「黒字が増えれば黒字増」というように、赤字増赤字増黒字増黒字増となります。

また、今の時代は、「モノ・サービス取引額1:100カネ取引額」の時代ですから、カネ=金融の動きのほうこそ、重要な時代になっています。そこで、今回は、「資本収支」ではなく、そのものずばり、「金融収支」と名前が変わりました。

まとめると、次のように変更になります。

旧表記

経常黒字広義資本収支赤字

新表記

広義経常黒字金融黒字

です。金融が主役です。

さらに

旧表記

経常収支+資本収支+外貨準備+誤差脱漏=0

新表記

経常収支+資本移転収支-金融収支+誤差脱漏=0

となります。解説していきます。

(1) 国際収支表の作成

新国際収支表.jpg

日銀資料
旧表新表.jpg

国際収支 具体例.jpg


このように、金融メインの時代にともなって、「金融収支」が、メイン表記になりました。この金融は、旧表記の「資本+外貨準備」合計額のことです。要するに、「株・社債・国債・現金」などの、まさにフィナンシャル=金融資産のことです。今後は、

経常黒字=資本赤字

ではなく、

金融黒字=経常黒字

としたほうが、わかりやすいです。

(2)金融赤字・黒字とは

国際収支 具体例.jpg

 上記の、2013年9月は、金融黒字(広義経常黒字)だったのが、10月には金融赤字(広義経常赤字)になっています。

昔で言えば、9月「経常黒字=資本赤字」が、10月「経常赤字=資本黒字」になったことです。

金融黒字とは、

 金融黒字=日本の海外資産増額>海外の日本資産増額

のことです。

対外資産 負債 残高

 この表で、次の年に、日本の海外投資>海外の日本投資=対外資産純増のことです。

金融資産黒字.jpg

 金融赤字とは、

 金融赤字=日本の海外資産増額<海外の日本資産増額

のことです。

金融資産赤字.jpg

 となります。「対外純資産」が、赤字分、少なくなります。

 見かけ上、日本の「対外資産」が、減るように見えますが、日本も上の図の「青」部分のように、海外投資を続けていますから、「対外資産」が減るわけではありません

 でも、「対外純資産(日本の持つ海外資産と海外の持つ対内資産の差額)」が減りますので、「大変だ大変だ!」と騒ぐ人は、きっと出てくるんでしょうねえ(笑)。

http://www.sinkan.jp/news/index_4339.html
2014年02月13日 19時配信
「貿易赤字=不況」は古い グローバル時代の経済学

景気回復を大きな柱の一つとしている「アベノミクス」ですが、長年日本経済を支えてきた輸出はいまだ伸び悩んだままで、1月27日に財務省が発表した2013年の貿易統計では過去最大の貿易赤字となっています。
 一般的な見方は「黒字はいいことで、赤字はまずい」ですから「過去最大の貿易赤字=相当まずい」という気になりますが、ちょっと待ってください。
 『高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学』(菅原晃/著、河出書房新社/刊)は、普段真剣に向き合うことの少ない「経済」について、素人にもわかりやすく教えてくれます。
 それによると、『貿易赤字=悪いこと』と捉えるのはすごく危険なのだそうです。

■貿易黒字・貿易赤字に意味はない?
 本書の著者、菅原さんは、一つの国単位に区切って輸入や輸出を量ることにはもう意味がないといいます。なぜなら、トヨタにしろユニクロにしろ、今の企業は多国籍化が進んでいるからです。
 たとえば、一つの企業の中がA国、B国、C国に工場を抱えて、その企業内で部品や原材料のやりとりをすると、それぞれの国の輸出入にカウントされます。事実、日産のマーチは月に4000台ほど売れていますが、これはタイの工場で製造された「輸入車」であり、売れれば売れるほどタイの輸出と日本の輸入が増えるわけです。
 一つの国の中でモノの製造過程が完結していた時代なら、貿易収支が黒字か赤字かということに意味があったのですが、多国籍企業・国際資本によって経済が動いている今の時代に、貿易を国境で区切って「赤字だから不調」「黒字だから好調」と考えてしまうと、経済の現状を見誤ってしまいます。
 そもそも貿易において、比較すべきは個々の企業同士であって、国ではないのです。

 他国と経済状況を比較するのであれば、GDPを見た方が確実です。GDPの値や一人あたりGDPの伸びを見れば、その国の経済の規模や伸びがわかりますし、GDPが伸びれば輸出入も必ず拡大するので、表向きの数字に騙されることは少ないはずです。

 本書は、現役の高校教師が、タイトルの通り高校生くらいの知識でも理解できるほど平易に経済学の基礎を解説しており、「経済学の最高の教科書」として専門家からも注目され現在5万部を超えるベストセラーになっております。
 社会人になると話のネタになることが多い分野ですから「今さら人に聞けない!」と思っている人は、入門編として本書を参考にしてみるといいかもしれません。
(新刊JP編集部)




補足すると、「貿易赤字・黒字」は、どうでもいいので、「金融赤字・黒字」が大切ですという、話です。

カネの移動が、「貿易赤字・黒字」を決めます。

これが、アブソープション・アプローチ、ISバランス論です。

theme : マクロ経済学 ミクロ経済学
genre : 政治・経済

フランシス・フクヤマ  『地球を読む 拡大中国に対処できず』 その1 読売新聞H22.6.27

フランシス・フクヤマ 『地球を読む 拡大中国に対処できず』読売新聞H22.6.27

数字は筆者記入

…第一は経済である。国際金融危機の根源には、米国の財政・金融構造の不均衡をあおった①中国の資本輸出があった。低コストの資本供給は、一種の麻薬となった。米国民は喜んでその中毒にかかり、低金利のローンを借りまくった。そして住宅バブルが膨らみ、やがて弾けたのである。

 中国は、意図的に人民元の価値を低くすることによって、②自国の輸出産業を支援すると同時に、事実上世界中に産業空洞化を生んだ。米国だけではない。中南米やアジア、アフリカの低コスト製造業も、中国の輸出に直面して、軒並み閉鎖されつつある。


 半分正しく、半分間違いです。 ①中国の資本輸出=②自国の輸出産業(貿易黒字)というのは、合っています。

 もうひとつ、 ②自国の輸出産業を支援すると同時に、事実上世界中に産業空洞化を生んだ。米国だけではない。中南米やアジア、アフリカの低コスト製造業も、中国の輸出に直面して、軒並み閉鎖されつつある。という事実はありません

 では、解説してゆきましょう。

<カネとモノ(サービス)は表裏一体>

 GDPの三面等価を見てみましょう。
三面等価 2008

 ①貸した(総額)=借りた(総額)②生産の残り相当分=消費した人(主体)から,言えること,貿易黒字についてです。
(EX-IM)は,経常黒字(貿易黒字含む)ですが,同時に日本の,海外への資金の貸し出し(外国の日本に対する借金)になるのです。

貿易黒字額=外国への資金の貸出額

「総生産額」から,国内の「総消費(投資)」(家計・企業・政府)を差し引いたものが,(EX-IM)=貿易黒字・海外への資金流出に等しくなるのです。

「総生産額-総消費」=「国全体の貯蓄超過」=「貿易黒字」

 日本全体の所得と支出の差は,貯蓄であり,それは(EX-IM)「貿易黒字」なのです。日本が「貿易黒字」を生み出すのは,日本人が,その支出を,所得以下におさえ,海外への貯蓄供給=海外投資をした結果です。

 これが,貿易黒字の正体です。ですから,日本という部分を,中国に置き換えると,

(EX-IM)は,経常黒字(貿易黒字)ですが,同時に中国の,海外への資金の貸し出し(外国の中国に対する借金)になるのです。

 中国全体の所得と支出の差は,貯蓄であり,それは(EX-IM)「貿易黒字」なのです。中国が「貿易黒字」を生み出すのは,中国人が,その支出を,所得以下におさえ,海外への貯蓄供給=海外投資をした結果です。

と,なります。

<国際収支表の原則>

国際収支は、複式簿記という記入方法で書かれている、会社で言う「貸借対照表=バランスシート」のことです。商業科に通っている高校生なら、すぐに理解できます。
 モノ・サービスを売買すると、必ず同額のカネが動きます。ですから、モノ・サービスを売ると、貸し方(+)に記載された同額が、借り方(-)にも記載されます。ですから、経常収支黒字額=資本収支赤字になるのです。モノ・サービス金額=カネ金額です。
だから、2009年の日本は

2009年 国際収支表.jpg

となるのです。△は外国カネ(資産)増と覚えれば間違いないでしょう。ドル・ユーロや、外国国債、外国社債、外国株の購入額のことです。貿易黒字=外国への資金提供のこと(国内に還元しないカネ)なのです。ですから、「貿易黒字はもうけ」ではありません。

①経常収支黒字②資本収支赤字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)
①経常収支赤字=②資本収支黒字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)

日経H22.2.6『中国経常黒字昨年は35%減』
…経常黒字は前年を35%下回る2841億ドルだった。世界的な金融危機を受けた貿易黒字の縮小が響いた。


 中国が、「経常黒字2841億ドル 資本黒字1091億ドル」ということは、外貨準備△3584億ドルになります(誤差脱漏を除く単純計算)。中国が、外貨準備をがんがん増やし、世界一になっているのは、このような背景があります。でも、外貨準備増も「いいとか、悪いとかの話」ではありません。

 中国政府・中銀の持っている外貨が膨らんでいるということで、市場は逆に「元」があふれて、インフレ傾向になっています。

『通貨供給量10月末29.4%増』H21.11.12

…中国人民銀行…は11日。10月末の通貨供給量(マネーサプライ)が前年同期比29.4%増だったと発表…。元相場を実勢より低めに維持するための元売り・ドル買い介入などの影響で、マネーサプライの膨張が続いている。

中国 貿易黒字

BRICS辞典 http://www.brics-jp.com/china/gaika_jyunbi.html
中国 外貨準備
 中国の外貨準備高(外貨準備金)は世界一で、その額は2兆ドル(約200兆円)に迫るほどです。2006年辺りまでは日本が世界一でしたが、今やその日本の1.5倍近くにまで伸びています。グラフから分かる通り、特に近年、数値が激増しています。

このように、

①経常収支黒字②資本収支赤字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)
①経常収支赤字②資本収支黒字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)

 なので、今後も経済が回復するに従って、「不均衡」は拡大するとみられています。中国などの場合、経済成長=給与増=貯蓄増=海外投資増になってしまうからです。

 貯蓄を、その国の投資で使い切ってしまわない場合、かならず貿易黒字(資本赤字)は発生してしまうのです。

読売『G20 成長に軸足 新興国に内需拡大に期待』H22.6.28 グラフも

経常収支不均衡 予測.jpg


 この「インバランス」を是正するには、中国が、公共投資を拡大=政府支出増大するしかありません。

(S-I)=(G-T)+(EX-IM)
 左辺が0なら、右辺も0です。

 左辺が1なら、右辺(G-T)を1にすれば、(EX-IM)は0です。

『新興国に内需拡大に期待』というのは、先進国が、財政赤字縮小に向かっている中で、(G-T)を拡大できないので、新興国に(G-T)を拡大せよと迫っていることを示します。

<お待たせいたしました>

拙著 「高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門Ⅱ」発売になりました。

 すでに、セブン&ワイや、amazonなどのオンライン書店で購入可能のようです。
一般書店には、7月中旬に並ぶようです。

(ご連絡いただければ、直接配送も可能です)

最寄の図書館にリクエストしていただければ幸いです。よろしくお願い致します。

表紙 1 

表紙 2

目次



theme : マクロ経済学 ミクロ経済学
genre : 政治・経済

新聞の間違い 日経22年3月6日

<新聞の間違い 日経22年3月6日 >

①『外貨準備高2ヵ月ぶり減』
 財務省が5日発表した2月末の外貨準備高は、前月末に比べて19億9100万ドル減り、1兆519億7900万ドルとなった。減少は2か月ぶり。…ユーロ建て資産のドル換算額が減ったことが響いた

②『対外直接投資が半減』
 日本からの対外直接投資が大きく減少している。日銀の国際収支統計によると、2009年の対外直接投資は7兆300億円で、過去最高だった前年(13兆2300億円)に比べ47%減少した。…09年は世界的な景気減速を受け、主力の北米向けが前年比78%減…欧州連合向けが32%減…。現地子会社の業績不振により、内部留保を経由した直接投資の増加が減ったことも追い打ちをかけた


<赤字が減少したのだから、喜ばしい?はず>

 上記の「外貨準備減」「直接投資減」は、国際収支表では、右側の大きな「資本収支」に入ります。「直接投資」は「資本収支」の項目、「外貨準備」は、「外貨準備増減」に入ります。日本は、2007年→2009年、この右側の大きな「△資本収支赤字」が減少しました。「赤字が減少したのだから、「喜ばしい」と書かなければなりません

2009年 国際収支表.jpg
2007年 国際収支表.jpg

 この新聞は、過去に、「貿易赤字は悪いこと」「貿易黒字縮小はまずいこと」と書いているのですから・・・

日経H22.2.2『韓国1年ぶり貿易赤字に』
…1月の輸出入動向によると、貿易収支が4億7000万ドルの赤字となった。赤字は昨年1月以来1年ぶり。半導体の製造設備や自動車部品などの輸入が大幅に増えたのが響いた

日経H22.2.6『中国経常黒字昨年は35%減』
…経常黒字は前年を35%下回る2841億ドルだった。世界的な金融危機を受けた貿易黒字の縮小が響いた


『経常黒字54.5%減 4月国際収支』日本経済新聞 H21年6月9日
財務省が8日発表した4月の国際収支速報…一部に持ち直しの動きはあるものの、経常黒字額は依然として前年の半分以下の水準にとどまっている。貿易・サービス収支は2873億円の赤字で、前年同月の黒字から赤字に転落した。

渾沌『大機小機』日本経済新聞 H21年5月22日
 企業の損益計算書は…前・後半で環境が激変し赤字転落した08年度の日本の貿易収支と表裏をなす


 ですが、何回も指摘してきたように、 「黒字が縮小はまずい」も、今回記事の、「外貨準備減(赤字縮小)」「直接投資減(資本収支赤字縮小)」も、良いことでも、悪いことでも、その対象ではありません

 もういちど、上記の国際収支表を見てみましょう。

2009年 国際収支表.jpg
2007年 国際収支表.jpg

経常収支黒字≡資本収支赤字 

 日本が経常収支黒字を抱えるということは、同額分外国資産(外国の国債・社債・株式・資産・貸付)が増えるということです。

資本収支黒字経常収支赤字

 アメリカが資本収支黒字を抱えるということは、アメリカ国内に、外国資本(外国の国債・社債・株式・資産・貸付)が増えるということです。

 投資を受け入れるということはどういうことでしょうか。

参考・引用文献 石川城太『政府、過度な肩入れ避けよ』日本経済新聞H21.4.15
…グローバル化が進展し、国境を越えたヒト・モノ・カネ・サービスの移動の活発に伴い…自国企業に見えながら、所有構造を見ると…株式の多くを外国人が所有しているケースが…ある。…日産自動車の外国人持ち株比率は6割を超え、ホンダとトヨタも3割前後である。ソニー、任天堂、キヤノン、日立製作所など、日本を代表する企業…も4割を超えている。…日産はルノーの株式の15%を所有し、逆にルノーは日産の44.3%の株式を所有している。…ルノー出身のカルロス・ゴーン氏が両社の社長兼最高責任者(CEO)を兼務し、日産が保有するルノー株式には議決権がないため、日産はもはやフランスの企業といってもよい。


 このように、今では,外国人株主の持ち株比率が30%を超える企業も少なくありません。東証一部上場企業では,’05年には100社を超えました。有力上場企業で,外国人持ち株比率が,50%を超える企業は,46社を数え,以下のような例があります。
出典 『会社四季報CD-ROMランキングでみる上場企業』2007年2週春号 東洋経済オンライン http://www.toyokeizai.net/online/topics2/?kiji_no=8

日産自動車69.3% 西友60.3% 昭和シェル石油61.3% 
ヤマダ電機55.2% HOYA50.5% 
富士フィルムホールディングス50.4% 

 これが、グローバル化の実態です。資本は国境を超え移動しているのです。「日産はフランス企業」です。
さらに、アメリカ貿易赤字額資本収支黒字額なので、アメリカが貿易赤字を出せば出すほど、外国資本(外貨準備、外国債、外国証券ほか)の投入が増えるのです。「日産はフランス企業」と同様、アメリカの「○○社は日本企業・タイ企業・中国企業」という事例が膨大になっているということです。
 でも、「日産はフランス企業」で、何か困ったことはあるのでしょうか?「ヤマダ電機は外国企業」ですが、それが何か?

「貿易赤字は損」「貿易赤字は悪いこと」ではなく、 「貿易赤(黒)字」は「お金の貸し借り」のことなのです。ですから、貿易赤字があろうと無かろうと、経済成長(GDP増=GDI増=国民所得増)します。アメリカも、イギリスも、オーストラリアもです。

アメリカGDP推移
アメリカGDP推移・貿易赤字
英国GDP・貿易赤字 推移

 逆に、日本は’98年「貿易黒字」を出しながら、戦後2回目の「GDPマイナス成長=国民所得減」でした。さらに、2008年、貿易黒字を27,103(単位10億円)も出しながら、戦後3回目の「GDPマイナス成長=国民所得減」でした。前年度GDPは560,816、2008年度556,710となり、0.73%のマイナス成長です。 (単位10億円 データ出展 内閣府速報値2009年2月13日)
失われた10年 実質
失われた10年 貿易黒字

 おかしいじゃありませんか、貿易黒字で儲けているのに、マイナス成長なんて。そう、 「貿易黒字はもうけ」『貿易黒字は良いこと』が間違いなのです。貿易黒(赤)字と、経済成長は関係ありません。赤字だろうが、黒字だろうが、GDPは増減するのです。

櫻川昌哉『経済を動かす単純な論理』光文社2009 
p178
 貯蓄率が国家の間で異なっていれば、経常収支の不均衡が長期にわたって続くということはありえるのです。経常収支赤字国が持続的な経済成長をすれば、黒字国から赤字国へ資金は流れ、経常収支の赤字も持続できます。…実際にアメリカは、過去30年間、経常収支の赤字を継続してきましたが、大きな問題は生じていません。

theme : マクロ経済学 ミクロ経済学
genre : 政治・経済

日経 『米貿易赤字1月6.6%減』 H22.3.12

日経 『米貿易赤字1月6.6%減』 H22.3.12

 米商務省が11日発表した1月の米貿易赤字は372億8800万ドル(約3兆3500億円)となり、前月の改定値から6.6%減少した。・・・前月からの縮小は3ヶ月ぶり。原油や自動車・同部品を中心に輸入が減少したことが主因。輸出も減少したが、輸入減のほうが大きく、貿易収支はやや改善した。


<経常黒字は良い、赤字は悪いという誤解>

 おかしいですね。アメリカ貿易赤字減というのは、その他の国の貿易黒字減です。
アメリカ貿易赤字=世界貿易黒字

H22.2.24の本ブログ記事です。

『経常黒字2年連続減』日経H22.2.9 
 財務省が8日発表した2009年の国際収支速報では,モノやサービス、投資などの取引状況を示す経常収支の黒字額が、07年のピークに比べて半分の水準に落ち込んだ。貿易黒字が低い水準にとどまったうえ、投資での稼ぎを示す所得収支も落ち込みは過去最大。…日本や東アジア諸国は収益性の高い製品を米国に輸出する一方で、そこで得た利益を米国に回す構図だった。…日本は「投資で稼ぐ」姿を鮮明にしていた。それだけに、所得黒字の減少は国民所得全体に悪影響を与えかねない

 
経常収支黒字=②資本収支赤字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)
経常収支赤字=②資本収支黒字(資本収支・外貨準備・誤差脱漏)

 「貿易収支や、所得収支の黒字が落ち込んだ」と嘆いています。しかも「所得黒字の減少は国民所得に影響を与えかねない」と、危機感をあおります。

 この記者は、「黒字が減れば赤字も減る」「黒字が増えれば赤字も増える」という、国際収支の原則を理解していません。だから、「落ち込む」とか、「黒字の減少はGNI(国民所得)に影響を与えかねない」とか、「黒字の減少がまずい」と書いてしまいます。




 世界中の経常(貿易)黒字アメリカの経常(貿易)赤字

 アメリカの赤字減は「改善」、日本の黒字減は「貿易収支や、所得収支の黒字が落ち込んだ」となげく。これらの記事を書いた記者は、結局何がいいたいのでしょう。

赤字減=黒字

インバランス 
9.26経常収支不均衡.jpg

 「アメリカの貿易赤字減」と書くなら同時に、「資本収支黒字が減」と書かなくてはなりません。これは、どれも間違いです。

「貿易収支や、所得収支の黒字」は、必ず、「同額で海外資産の増加」を意味します。海外資産がいくら増えても、

2009年 国際収支表.jpg
2007年 国際収支表.jpg

 経常黒字は、「国内に還流しないカネ=対外債権」なのです。ですから、経常黒字は「良いこと・悪いこと、損だ・得だ」という対象ではありません
三面等価 2008

<経常赤字=外国からの資金流入>

 まず,貿易赤字はアメリカ国内で生産されなかった生産財・サービスをアメリカが消費(購入)すること、あるいは無償で提供されること(経常移転収支)です。と同時に,外国から,アメリカの外国債や株式・社債を購入してもらったり,直接投資(海外に工場を建てるなど)でも株式を購入してもらったりしています。アメリカからみると海外かr資金提供を受けていることです。
ということは,アメリカが「貿易赤字」を出せば出すほど,アメリカ国内への海外からの「投資」が増えることになります。そして,実際にその通りになっています。
 

 世界からのアメリカへの「対外債権」は、アメリカから見たら、「対外債務」になります。
アメリカ対外債務残高jpg.jpg

 対外債務とは、借金ではなく、アメリカ国内の「預金・株・国債・社債・土地・建物」の購入者が「外国人」であるということの意味しかありません。日産や、ヤマダ電機、三井不動産、花王、ソニーetcはすでに、外国企業です。

投資してもらっている国から見ます。

あるアメリカ会社の株式が、外国人によって買われているということです。
あるアメリカ会社の社債を、外国人が購入している状態です。
あるアメリカ銀行の預金を、外国人がしていることです。(アメリカ銀行の預金は、銀行から見たら負債です)
アメリkの国債を、外国人が購入している状態です。
アメリカの不動産の持ち主が、外国人の場合です。

 株式の50%超を外国人が持っている、ヤマダ電機や、日産は、外国企業です。日本の国債の4%~7%ほどは、外国人が購入しています。北海道のニセコにある長期滞在型のホテルやコンドミニアムは、オーストラリア人が購入しています。
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