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シルバー民主主義

<シルバー民主主義>

 代表制民主主義システム、間接民主制についてです。日本で、年間に提出される法律案は、100本を超えます。これを直接民主制にすると、3日に1回の割合で、採決をしなければなりません。地方議会も加えると、さらに膨大な法案・条例数になります。これを、忙しい現役世代が1つ1つの中身を精査して決定を下すのは、不可能です。だから、分業し、選ばれた代表者に政治をゆだねているのです。

シルバー民主主義


 現在は、65歳以上の高齢者が、投票の4割近くを占めます。価値観はさらに多様化し、投票はさらに高齢者にかたよる・・・。
現代の民主主義など、とても脆弱です。そういえば、地方議会の議員、なり手がどんどん少なくなっているそうな・・・。


地方議員の兼業緩和を提案、総務省 有識者研究会が報告書
TBSニュース 3/27(火) 1:57配信
規模の小さい町や村の議会で議員のなり手が不足している問題で、総務省の有識者研究会は今の地方議会制度に加え、地方議員の兼業を緩和するなど新たに2つの仕組みを選べるなどとした報告書をまとめました。

 総務省の「町村議会のあり方に関する研究会」は26日、規模の小さい町や村の議会で議員のなり手が不足している問題で、野田総務大臣に報告書を提出しました。報告書では、議員のなり手不足を解消する仕組みとして、今の地方議会制度に加えて2つの仕組みを提案していて、具体的には議員の兼業・兼職制限を緩和する「多数参画型」と、少数の専業的議員で構成し、重要な議案は住民も参加する「集中専門型」の2種類を挙げました。

 政府は対象の自治体などを総理の諮問機関である地方制度調査会で検討し、早ければ来年の通常国会で法改正を目指します。ただ、全国町村議会議長会などは一方的な提案だとして、「地方分権改革に逆行する」、「市町村議会からの意見聴取を後回しにしている」などと反発していて、議論は難航しそうです。(26日22:04)

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年金制度の破綻とは?

<年金制度の破綻とは?>

社顔保障 間違い

年金制度は、どのようになっているか?

この新聞記事は、全く理解していません。

年金は、『積立金の運用』ではなく、

その年の、現役世代の払った保険料+税金(年金の1/2は税金で負担)で、その年の年金がまかなわれています。しかも税金と言ってもその40%は、国債=借金です。

まず、新聞記事の、厚生年金の積み立てを見てみましょう。

以下、資料 「厚生労働省年金局 厚生年金保険・国民年金事業の概況 H27.12」

これは、株高、国債収入、金利で、増えています。

厚生年金 原資


ちなみに、国民年金(基礎年金)の積み立ては4兆円程度、話にならない額です。

次に、毎年払われている、年金額です。

年金 額 推移

 53兆円ですから、厚生年金の積み立て135兆円など、2年ちょっとでなくなってしまう計算です。こんなものを原資にはしていません。新聞記事は大間違いです。

 よく、国会で、GPIFの積み立てを使った資産運用で、「海外の債券・株、国内の株」の割合いを増やした、株が下がっているから怪しからん、と言われますが、そんな数値は、ごみみたいな話です。

 で、このままいったら、年金制度は持つのか持たない(破綻)のか? 答えは「破綻する」です。
 
年金を受け取る人たちは、ますます増えます。

社会保障 受け取り

 年金を「保険+税金」で支えている現役世代は減少しています。

社会保障 支払

 今の制度「65歳以上に年金支払い」は、現役世代が「負担」しています。これが減っているのですから、今の制度は「破綻=持たない」ということです。

 2013年は、現役世代2.3:1高齢者ですが、2035年には、1.6:1になります。

読売H28.6.18
社会保障今後

今の制度を維持するのは無理です。

<シルバー民主主義>

 で、社会保証制度は、改革できるか?

できません。

 選挙で、高齢者の票数の割合は、「ますます増えて」います。この世代を相手に、「選挙」で当選をねらおうとしますから、与党も野党も「社会保障」を見直すことができません。
18歳選挙権が導入されても同様です。焼け石に水です。

読売H28.6.18
選挙 年齢

 投票で重視される項目には、いつも「社会保障」が入っています。

 しかし、将来不安は「社会保障」ですから、皆「預貯金」を増やし続けます。

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「90歳、いつまで生きているつもりか」 麻生氏、小樽の自民・総決起大会で

<解決策>

 解決策は、「消費増税」しかありません。さらに、後期高齢者の、医療費負担を、「3割」にする、湿布などの市販薬は、病院でもらうと1割負担だが、それをやめる・・・

しかし、こんな微々たる額で解決などしません。

解決策は1つです。

将来不安で「預貯金」を増やすのですから、死後は、その「預貯金・資産」を国庫に返納すればいいのです。

つまり、65歳以降にもらった「年金・介護・医療」代を、夫婦(同世代)死後に「返納」すればよいのです。

ほとんど全員が、「もらった額>預貯金・資産額」です。でもかまいません。

「将来不安」で預貯金ですから、天国にカネは持っていけないのですから、返納でいいのです。

大金持ちは、「もらった額<預貯金・資産額」ですから、相続してかまいません。

これしか、方法はありません。


シルバー民主主義だから、若者なんて放っておく

<シルバー民主主義>

日経H25.7.1
投票行動1

 この投票行動なら、自分が政党の選対であれば、当然「高齢者」をターゲットにします。

 団塊の世代に安心感を与えるため、年金や医療費負担には手をつけません。「安心・安全です」と言います。問題を先送りにして、とりあえず15~20年くらい持てばいい政策を掲げます。

 20年後には、自分は政界引退ですから、その後のことは、後の世代の人たちにやってもらいます。「財政破綻しようが、社会保障が破綻しようが、その時に考えてください」です。

 これは、あくまで、自分が「選対」だったらです。皆さんも戦略を考えてみてください。

投票行動2


若年者層?そんなもの、放っときます。どうせ、投票には来ないので、選挙の勝ち負けに影響しないからです。

 その結果、日本の社会保障はいびつになっています。いくら問題山積みでも、先送りされ続ける訳です。

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シルバー民主主義

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高齢者の高齢者による高齢者のための政治


 さて、18歳(高校3年生)に投票権を与えるとどうなるでしょうか。欧米では18歳が標準ですし、EUでは16歳引き下げさえ検討されています。

 18歳人口の97%は「高校生」で、3年生なら、「政治・経済」を履修している最中です。教師にとっては、「選挙参加」は、授業に対する最善の動機付けになります。

 実際に、18歳の投票率は、高くなるでしょう。まあ、高齢者のボリュームに比べれば、焼け石に水ですが。

クリック

「若者が~ってのは口だけなんですか?」 10代の「生追及」に政治家はタジタジ

<追記>

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130716-00000002-jct-soci

若者が投票棄権すると高年齢層に有利 1%投票率下落で1人年13.5万円損する
J-CASTニュース 7月16日(火)18時38分配信
  
「若者の投票率が低いと、政策は投票率が高い高年齢層に有利なものになりがちで、若者が損をする」

という話は、選挙が行われるたびに耳にする議論だ。

 このほど東北大学の研究室が、若年層の投票率の推移と政府予算の統計を分析し、この説を実証した。研究によると、若年層の投票率が1%下がることに、若者は1人あたり年に13万5000円分の不利益を被ることになるという。

■若者の投票率下がると新規国債増え、高齢者に手厚く配分される

 研究を行ったのは東北大学大学院経済学研究科の吉田浩教授(加齢経済学)と経済学部加齢経済ゼミナール所属の学生。2013年7月21日投開票の参院選を目前に控え、東北大が7月12日に研究論文を発表した。

 吉田教授によると、ゼミの学生が投票率を上げる方法について議論している時に、

  「投票に行かない若者には『政治不参加税』を課税するのはどうか」

というアイディアが出た。これに関連して、

  「すでに、若者は見えない形で経済的負担をさせられる部分もあるのではないか」

という意見も出され、今回の研究につながったという。学生が約2週間かけてデータを集め、吉田教授が統計分析を手伝った。

 研究では1967年からの衆参国政選挙の年齢別投票率の推移と、毎年新たに発行される国債の額の推移、社会保障給付の世代別配分の関係を分析。その結果、若年層(20~49歳)の投票率が低下するに従って新規の国債発行額が増加し、社会保障支出も若年層より50歳以上の層に多く配分されていたことが明らかになった、としている。

 額に直すと、若年層の投票率が1%下がった場合、「将来へのツケ」とも言える国債が若年者1人あたり年額7万5300円分新たに発行され、「若年世代1人あたりの児童手当などの家族給付の額」と「高齢世代1人あたりの年金などの高齢者向け給付」の額の差が年に5万9800円拡大。若者よりも高齢者への給付が手厚くなる様子を浮き彫りにした。この2つを合計すると、若年層1人あたり年に13万5000円分の経済的不利益を受けるという計算になる。

theme : 政治・経済・時事問題
genre : 政治・経済

シルバー民主主義

<シルバー民主主義>

読売新聞H24.6.6
社会保障

theme : マクロ経済学 ミクロ経済学
genre : 政治・経済

シルバー民主主義

<シルバー民主主義>

「高齢者の高齢者による高齢者のための政治」

過去の記事もご参照ください。
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-category-119.html


http://www.geocities.jp/yamamrhr/ProIKE0911-66.html
団塊ジュニアの結婚格差と少子化問題

人口 推移

選挙


参考・引用文献 安部順一 読売『超高齢社会の支え方』
                  読売『問われる所得の再分配』


 1年間に、65歳以上の高齢者は、107万人増えます。それに伴い、高齢者関連の社会保障費は1兆円強自然に増えます。

高齢者増

  

 その勢い(伸び率)は、人口の伸び率を上回ります。つまり、現状では、高齢者人口が1増えれば社会保障費は、1.28増えるのです。

高齢者増2


 この「再配分」の結果、高齢者の所得は、他世代に比べて、異様なアップの仕方をしています。高齢者世帯の年額平均は、90.1→374.9万円にアップするのです。284.8万円が、社会保障費から給付されています。

再分配1


※余談ですが、ワーキング・プア??・・年収200万円以下??なるものと比較してみてください。

http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-675.html

 母子家庭(これこそ、川村准教授がワーワー騒いでいるワーキング・プア???なるものの典型??)は、わずか27.4万円しか給付されていません。

 この、ゆがんだ再配分の結果、格差の大きさを示すジニ係数も、現役世代では、逆に大きくなる=開くのです。 
再分配2

「若年層では、税・保険料の負担が重荷になり、貧困状態にある子供の割合が、再分配の前後で12.4%が13.7%と上がってしまう。主要国で日本だけの現象だ。」

 これは、社会保障費の7割が高齢者に支給されているからです。

・高齢者特権

①給与所得より厚い公的年金等控除
(同じ所得で税・保険料が現役層より低くなる)

②医療費負担は、1割(現役世代は3割)
 今年4月より、65歳~74歳は2割負担へ

③生活保護受給者の4割が高齢者

<富裕高齢者の独り勝ち>

 高齢者の貧困率(全所得者平均の半分以下)は21%(2000年代半ば)で、OECD(先進国)平均の13%より高いのです。
 
 年金は、厚生年金・公務員共済が手厚く(夫婦2人で総額350万を超えます)、国民年金は低い(1人6万5千円/月)ことが知られています。

 つまり、現役時代に高所得だった層は退職しても高所得、現役時代に低所得だった層は、年をとっても低所得のままなのです。

 75歳の現役社長(中小企業の社長さん・・日本中にごろごろいますよね)は、20歳代の現役会社員よりはるかに給与所得は高いのですが、さらに年金や医療費で手厚く保護してもらっています。

 例えては失礼(下記の方、本当にごめんなさい)なのですが、東京都の石原都知事や猪瀬直樹副知事は、だまっていても夫婦2人で156万円の年金をもらっています。
 読売のナベツネさん、黙っていても、400万近い年金が入ってきています。

昭和女子大学学長 坂東眞理子『女性の品格』?だかの、ベストセラー 65歳
青山大学教授 榊原英資 70歳
評論家 田原総一郎 77歳
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 現行の社会保障費は、「生活に困っている人を困っていない人が助ける」のではなく「基準が年齢」なので、「若年層は低所得でも給付が受けられ」ないどころか、「高齢者は高所得でも」さらに「負担が軽減される(小塩隆士 一橋大)」システムなのです。

 トヨタのプリウス、乗っているのは、高齢者ばかりです(今度、運転手の顔を見てください)。若い人は乗りません。
 地デジ対応の40インチ以上TV、一番先に買い、一番持っているのは、高齢者です。しかも、何とかシアターとかいう、音響設備までつけて、ウン十万の出費を平気でします。

 今の社会保障システムは、「低所得者に優しく」という「権利保障」ではなく、「高齢高所得者にも手厚く」という、「特権」なのです。

  「つまり『恵まれた高齢者』対『困窮する貧困層』という図式ではなく『高所得高齢者の独り勝ち』なの」です。


 大阪市(橋下市長)は、一律年齢基準を見直すようです。
①敬老パス(市立交通網)廃止・縮小
②高齢者の水道代無料を廃止
③敬老祝い廃止etc


 でも、既得権益者=特権保持者のみなさんは、絶対に「声」を出しません。「円高」で潤っている人も、「教育委員会委員」に選ばれて、月収43万円(東京都)をもらって、月に数回しか仕事がない人も・・・下請け、孫請けに負担を負わすTV局社員も・・・再販制度に守られている新聞社社員も・・・・

 高所得高齢者も、「ひっそり」と、でもすごく楽しく、余生を過ごしています。

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