「デフレは構わない、政府は市場介入するな論者」
要するに、実証データを調べもしない、妄想であり、自分が、何を言っているか、もはや分かっていないのです。
流動性の罠とはデフレによって生み出されたものではない
高校の教科書(実況出版 高校政治・経済)によると、デフレーション下で金利が一定水準まで低下した場合、資産価値がさがる可能性がある中では、人々は資金を借りてまで設備投資をしたり、株式や不動産などを購入せず、また現金を投資に回すのではなく手元に保管しようとする。市中金融機関も金利が低い中では積極的に貸し出しをしようとは思わなくなる。このように、通貨量を増やしても、市中金融機関に資金が大量にあまるだけで消費を刺激することは難しくなる。ということが書かれていて、いかにもデフレが問題であるかのごとく意味不明な印象を生徒に与えてしまう説明になっている。こういう考え方が国家の骨の髄まで浸透したことによって安易な金融緩和を行い、バブルを生み出して経済を混乱させてきたのは何度も経験したことだ。
では現実をを見てみよう。前にも同じことを書いていて飽き飽きするが、日本人の賃金水準は非常に高くなっていて、ODAなどでアジアの人件費の安い国でインフラが整って来れば、当然そこに工場が次々と建てられて、熟練した技能は必要がなくて、人件費の安さがものをいう産業から発達していくことになる。そして、時間が経てば熟練工も育ってきて、国内でしかできない土木建築業などを除けば、先進国の熟練工の雇用も奪い始めてくるようにもなる。これが先進国の賃金を抑制していくことになってデフレ圧力となるし、人口が減少すれば不動産を中心に需要は確実に減っていって、これも当然デフレ圧力となっていく。
どこぞの経済学に洗脳されているアホどもは、人口減少は物価に関係ないなんておかしなことを真顔に言っていたりするが、GDPの18%も占める帰属家賃みたいな謎の指標には確実に影響を及ぼすことになる。人口が減ればGDPも上がらなくなっていくし、10年ぐらい前から日本は毎年50万人以上の移民を受け入れない限り、経済規模を維持できないといろんな方面から予言されていたことだ。
人口が減る。それによって経済規模が縮小する。だから需要が減る。需要が減るから設備投資をしなくなる。設備投資をしないから通貨量を増やしても市中に貸し出されなくなる。今の日本は完全にこのサイクルに入っているのであって、教科書に書かれているような、デフレだから貸し出しが減っているのではない。
しかし、デフレを問題ではないとする=デフレで構わないとするのですから、どうしようもないです。
しかも、それを抽出する「現実」?だかが、実は、「空想」ですから、もう、終わっています。要するに、データや実証を調べもしないで、ただ、「リフレ反対」を叫んでいるだけです。「リフレ反対」であれば、ポストが赤いのも、空が青いのも、全部「リフレが悪い」です(笑)。
では、上記で上げた、デフレの原因?なるものの、トンデモ具合を見てみましょう。
まず、日本は、賃金が高く、アジアの、低賃金国に、雇用を奪われ、賃金が安い方に収斂していくというものです。
まず、日本より、1人あたりGDPが高い、つまり、所得が高い国を、数カ国見てみます。

これは、購買力平価(PPP)で表した数値です。例としては、ビックマックを、その国では、幾らで買えるかというものがあります。長期的には、為替はこのPPPに沿って動きます。
ノルウェーや、オーストラリアのサービス価格が高い=1人当たりGDPが高い=人件費が高いことです。

ビックマックって、「輸入肉」ですよね。今年夏の、鳥肉騒動で、日本のマクドナルドは、売り上げ低迷していますね。日本で、370円のところ、ノルウェーでは、788円します。
ノルウェーでは、「高い肉」を輸入しているのでしょうか?もしかして、日本の神戸ビーフ?マックかもしれません。
でも、オーストラリアでも489円します。あれ?日本は、オージービーフ、安いから輸入しているのでは?本家オーストラリアでも、やはり、マックは、日本の「WAGYU」を使用?しているのでしょうか。
さて、これらの国の人口です。

日本も、1994年当時に比べると、人口は増えています。人口減になっているわけではありません。
それらの国の、インフレ率です。日本は、1999年以降、デフレ状態です。

あれれ?日本も1994年以降に比べると、人口は増えている=デフレにはならないはずなのに、デフレ。日本だけがデフレ。
スイスは、人口増なのに、リーマンショック以降、デフレ。なぜ?人口減でデフレなのでは????
さて、日本より所得の高い国の、輸入はどうなっているのでしょう?特に、中国からの輸入を見てみましょう。
アジアの、低所得国に、賃金が収斂、デフレになるはずですよね。
世界経済のネタ帳

各国共に、輸入額は、激増です。オーストラリアなど、4.5倍です。では、それらの国の、中国からの輸入額です。
JETRO資料
http://www.jetro.go.jp/world/gtir/2014/pdf/2014-cn.pdf
http://www.jetro.go.jp/world/gtir/2008/pdf/2008-cn.pdf

オーストラリアなんか、7年で2倍以上、デフレ圧力はすさまじいはずですよね。
中国輸出 100万ドル

あれ?あれれ?何で、日本より、中国輸入を増やしているはず、デフレ圧力が強いはずのオーストラリアが、インフレ?

日本は、賃金が高く、アジアの、低賃金国に、雇用を奪われ、賃金が安い方に収斂していく、人口減でデフレ・・・
<デフレがなぜまずいのか>
さて、今は、実物取引額の100倍以上の資本取引です。
図解 使えるマクロ経済学 p218
で、英も、米も、ニュージーランドも、スイスも、EUも、スウェーデンも、みな、インフレ・ターゲット国です。
図解 使えるマクロ経済学 p218
では、それらの国が、インフレ2%、日本がデフレ△1%だとします。
最初の年、1ドル=100円だとします。それが、日本だけ、デフレ、他国(ドルで表示)がインフレだと・・・


このように、日本は、どんどん、円高になります。これは、「望まれざる円高」です。つまり、インフレ率を、他国にあわせないと、日本だけ、勝手に「円高」になってしまうのです。
これは、「自然な円高=日本の国力を示した長期的円高」ではなく、「人工的円高」です。
最後に、インフレ率と、失業率のプロットです。

日本の場合、インフレ率が高い=失業率が低い、インフレ率が低い=失業率が高いと、相関しています。
例の、フィリップス曲線です。
図解 使えるマクロ経済学 p186-195、223