双子の赤字は、企業の赤字と全く違う その3/3
<次回更新は、11月17日(火)です>
<双子の赤字は、企業の赤字と全く違う その3/3>
『小さな政府、世界の流れに』日経H21.11.2
1980年11月4日、米大統領に…レーガン共和党候補が初当選…。…レーガノミクスを掲げ…「小さな政府」志向は世界の一大潮流となった。
…「スタグフレーション」(不況下の物価高)が進行…総需要管理政策の有効性が疑問視…。…レーガノミクスは…サプライサイド経済学の考え方に基づいていた。
…同政権下で米国経済は回復した一方、財政赤字と貿易赤字という「双子の赤字」は世界経済の不安定要因になった。
『米の貿易赤字・貯蓄率改善 市況の法則』日本経済新聞 H21.5.23
…米国の経済指標の一部に好転の兆しがみえてきた。財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」のうち、貿易赤字は縮小。個人の貯蓄率はプラスに転じている。これらの指標の改善は・・・
<企業の赤字と、財政・貿易赤字の違い>
国債(公債)は、政府の借金=国民の財産です。三面等価の図を見ましょう。

ここから、S-I=(G-T)+(EX-IM)という関係がわかります。国民の貯蓄(S)が(G-T)に充てられています。ですから、 「国債は政府の借金=国民の財産」です。
この借入金を買っているのは誰でしょう?それは我々1人1人の国民なのです。我々が預貯金をしたり、生命保険金を支払ったりしたお金が、国債の購入に当てられています。しかも、国債の金利は、銀行や郵貯、保険会社の利益(GDPに算入)です。将来の世代が、その利子を受け取るのです。
日経21.6.27
約668兆円の国債のうち、94%=約628兆円は、我々日本人が持っているのです(海外の6%を除く:下記グラフ参照)。簡単に言えば、約1500兆円に及ぶ、日本人の個人資産の約45%は国債なのです。
帝国書院『アクセス現代社会2009』P134
家計→金融機関→国債購入なのです。
名目成長率が国債金利を上回れば、財政は健全化
ISバランスを見てみましょう。

企業も、投資(I)の主体です。
企業が借金をするのを、借金経営とはいいません。一部上場企業における他人資本の割合の平均は、6割です。借金をしていない企業は、ないといっても良いでしょう。
企業が借金をするのは、金利<売り上げが見込めるからです。金利と売り上げの差が、利益だからです。(これはものすごく単純化しています)
100万借りて、105万売り上げ、102万返す。3万円が利益です。このような企業の活動を「借金経営」と避難することはありません。
国債も同様です。日本政府が借りて投資(消費)をします。日本国全体のGDP成長率が、金利を上回れば、公債費は財政にとって負担にはならないのです。成長率>金利です。金利が現在1.390%なのですから、GDP成長率はこれを上回ればよいのです。
国債=国民の財産とはいっても、利子が生じます。広く薄く税金で集め、それを利子の支払いに充てます。利子を受け取るのは、郵便貯金銀行、銀行、証券会社、保険会社などの機関投資家と呼ばれる人たちです。たくさん集めて、一部の業界を潤します。
税金で、ダムや道路などの公共投資を行い、業者を潤す。
税金で、利子をはらい、金融業などの業者を潤す。
本質的には同じですね。公債利払い=形を変えた公共投資ですね。
「国はいくら国債を発行しても倒産することはないと考えて良いのでしょうか。結論から言えばそのとおりです。現代の管理通貨制の下では自国通貨建ての国債をいくら発行してもそれが理由で国が倒産することはありえ (下線部筆者)」ないのです。岩村充 『貨幣の経済学』集英社 2008 p153
同書では,「国債は政府の株式」に例えられています。また、国債は通貨制度のアンカー(昔の金本位制度における金)だと喝破しています。
アメリカの財政赤字も同じです。ただ、アメリカの国債の購入者の約半分は、外国です。日本や、中国が、購入しています。
中尾武彦 『アメリカの経済政策』中公新書2008

アメリカは、クリントン政権時代の一部を除き、1980年代のレーガン政権以来、ずっと、「財政赤字」です。しかし、同国のGDPは、ずっと、拡大し続けています。GDP成長率>国債金利であれば、財政負担にはならないのです。
アメリカの財政破たん?ありえませんね。
<双子の赤字は、企業の赤字と全く違う その3/3>
『小さな政府、世界の流れに』日経H21.11.2
1980年11月4日、米大統領に…レーガン共和党候補が初当選…。…レーガノミクスを掲げ…「小さな政府」志向は世界の一大潮流となった。
…「スタグフレーション」(不況下の物価高)が進行…総需要管理政策の有効性が疑問視…。…レーガノミクスは…サプライサイド経済学の考え方に基づいていた。
…同政権下で米国経済は回復した一方、財政赤字と貿易赤字という「双子の赤字」は世界経済の不安定要因になった。
『米の貿易赤字・貯蓄率改善 市況の法則』日本経済新聞 H21.5.23
…米国の経済指標の一部に好転の兆しがみえてきた。財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」のうち、貿易赤字は縮小。個人の貯蓄率はプラスに転じている。これらの指標の改善は・・・
<企業の赤字と、財政・貿易赤字の違い>
国債(公債)は、政府の借金=国民の財産です。三面等価の図を見ましょう。

ここから、S-I=(G-T)+(EX-IM)という関係がわかります。国民の貯蓄(S)が(G-T)に充てられています。ですから、 「国債は政府の借金=国民の財産」です。
この借入金を買っているのは誰でしょう?それは我々1人1人の国民なのです。我々が預貯金をしたり、生命保険金を支払ったりしたお金が、国債の購入に当てられています。しかも、国債の金利は、銀行や郵貯、保険会社の利益(GDPに算入)です。将来の世代が、その利子を受け取るのです。
日経21.6.27

約668兆円の国債のうち、94%=約628兆円は、我々日本人が持っているのです(海外の6%を除く:下記グラフ参照)。簡単に言えば、約1500兆円に及ぶ、日本人の個人資産の約45%は国債なのです。
帝国書院『アクセス現代社会2009』P134

家計→金融機関→国債購入なのです。
名目成長率が国債金利を上回れば、財政は健全化
ISバランスを見てみましょう。

企業も、投資(I)の主体です。
企業が借金をするのを、借金経営とはいいません。一部上場企業における他人資本の割合の平均は、6割です。借金をしていない企業は、ないといっても良いでしょう。
企業が借金をするのは、金利<売り上げが見込めるからです。金利と売り上げの差が、利益だからです。(これはものすごく単純化しています)
100万借りて、105万売り上げ、102万返す。3万円が利益です。このような企業の活動を「借金経営」と避難することはありません。
国債も同様です。日本政府が借りて投資(消費)をします。日本国全体のGDP成長率が、金利を上回れば、公債費は財政にとって負担にはならないのです。成長率>金利です。金利が現在1.390%なのですから、GDP成長率はこれを上回ればよいのです。
国債=国民の財産とはいっても、利子が生じます。広く薄く税金で集め、それを利子の支払いに充てます。利子を受け取るのは、郵便貯金銀行、銀行、証券会社、保険会社などの機関投資家と呼ばれる人たちです。たくさん集めて、一部の業界を潤します。
税金で、ダムや道路などの公共投資を行い、業者を潤す。
税金で、利子をはらい、金融業などの業者を潤す。
本質的には同じですね。公債利払い=形を変えた公共投資ですね。
「国はいくら国債を発行しても倒産することはないと考えて良いのでしょうか。結論から言えばそのとおりです。現代の管理通貨制の下では自国通貨建ての国債をいくら発行してもそれが理由で国が倒産することはありえ (下線部筆者)」ないのです。岩村充 『貨幣の経済学』集英社 2008 p153
同書では,「国債は政府の株式」に例えられています。また、国債は通貨制度のアンカー(昔の金本位制度における金)だと喝破しています。
アメリカの財政赤字も同じです。ただ、アメリカの国債の購入者の約半分は、外国です。日本や、中国が、購入しています。
中尾武彦 『アメリカの経済政策』中公新書2008

アメリカは、クリントン政権時代の一部を除き、1980年代のレーガン政権以来、ずっと、「財政赤字」です。しかし、同国のGDPは、ずっと、拡大し続けています。GDP成長率>国債金利であれば、財政負担にはならないのです。
アメリカの財政破たん?ありえませんね。
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